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爛爛と輝く双眸が必殺の決意で隼人をにらみつける。
一度は死に、甦った怨霊である真紅郎は今までの八神家の者たち同様に、禍禍しい邪気を全身から発散させていた。
が。
相対した隼人が瞠目せしは、その邪気にあらず、真紅郎本人の剣気。
すなわち剣士としての闘気であった。
(こいつ…強い!)
隼人まで三間(約5.4m)ほどのところで、真紅郎が足を止めた。
ゆっくりと右手で長刀を抜く。
続いて左手で脇差しを抜いた。
(二刀流!?)
隼人が驚く。
真紅郎が左手を前に出した半身で立ち、二刀を構えた。
両手の肘は曲げている。
真紅郎の全身から湧き立つ気迫が、隼人を呑み込まんと殺到した。
並の者ならば、その剣気に押され、身体の自由が利かなくなり、何の抵抗も出来ず斬られてしまうだろう。
しかし。
真紅郎と向かい合う少年剣士、美剣隼人は。
笑っていた。
楽しくて堪らないという風に笑っていた。
強い者と戦い、もっと強くなりたい。
ただ、それだけ。
その単純な思考こそが隼人の強さ。
「俺流」の核となるもの。
「八神家臣、獅子真紅郎」
真紅郎が名乗った。
その声は落ち着いている。
「俺流、美剣隼人」
隼人も名乗った。
「いくぞ」と真紅郎。
その足が、すすっと前進した。
隼人の二刀が鞘走る。
「俺流、バツ斬り!!」
下方より、真紅郎に向かって左右から跳ね上がる白虎と青龍。
隼人の刀の届く距離まで跳び込んだ真紅郎の身体が、半身から正面構えへと変化する。
(速い!)
真紅郎は隼人の剣速に舌を巻いた。
(だが、それだけでは勝てぬぞ!!)
真紅郎の長刀と脇差しが、襲い来る隼人の二刀をそれぞれ受け止めた。
二刀対二刀。
両者の剣気が相手を屠らんと咆哮する。
お互い正面で刀の刃をぶつけ、耐え切って見せた。
しかし。
隼人は動き続ける。
この休まぬ連続攻撃こそ、隼人の「俺流」の真骨頂。
手首を返し、巧みに二刀を自らの胸の横へと引き寄せた。
敵の二刀の素早く予想外な動きに真紅郎の反応が一瞬、遅れる。
(もらった!!)
隼人の隻眼が勝利を見据えて燃え上がる。
「俺流、真覇突き!!」
神速の二刀突きが真紅郎の胸へと突進する。




