あの頃の思いに馳せる
高校では優秀な成績にも拘らず退学する羽目になる所だったけど通信制で高校卒業、大学は諦めて
働きながらユウリを支えるも裏切られ、私の人生進んだ方向正しかったのか?間違っているのか?
迷いながら日々奮闘する雪と家族の物語です
無事に日本に帰国した雪は
空港に迎えに来てくれた悠里の車に
悠と共に乗り込んだが
自宅へ向かうことなく、何故か海岸線を悠里の運転で走っていました。
この状況に至る数時間前
空港内待合所で雪を待っている時に、この後何処か行きたい所あるか?と
悠里が悠に聞いたのでした。
その時、悠は、そら覚えな幼少期
家族で行った内海の海に行きたいとリクエスト
していたのでした。
それに応える様に悠里はナビなしで慣れた道を
鼻歌を交え楽しそうに、車を走らせていた時に
後部座席に座る雪が自宅でない方向に
走り出した車に、思わず
「方向違うよ!!右方向だよ」
「いやいや、、大丈夫(笑)大丈夫(笑)」
「いやいや、、違うって、、さっき左に曲がったよ!」(焦る)
その会話を聞いていた助手席に座っている悠が
にこやかに
「大丈夫!大丈夫!だよ、、母さん、、
僕のリクエストに答えてくれたんだよね?父さん」
「そう!!雪ゴメン帰国して疲れてるだろうけど、もう少し
息子のリクエストに付き合ってくれる?」
悠の事を表に出されると、何も言えない雪は
静かになるや、車窓から見える懐かしい海原に目をやり
そのまま、悠里達に付き合うことになりました。
海岸線を走る車は、20分後、あの場所へ到着しました。
そこは、悠が小さい頃、まだ家族だった3人が
よく行った海水浴場でした。
今は、シーズンオフ、人はまばらですが、人気店は健在
お店の前には、メニューを確認している若い男女や家族連れ数名が
いますが、悠里は普通一般人と変わらない素振りで
(サングラスとキャップは、手放していませんが)
皆と同じ様に、メニューの看板に目をやり
私達に、何にすると聞いてきました。
その何でもない、他を気にするでもない様子に
あの頃、楽しかった家族の思い出を一瞬、、、馳せる、、
水着のままでも行くことが出来る、屋台風の掘っ建て小屋風のお店
入り口は透明のビニールカーテンを開け、中へ入ると長テーブル
パイプ椅子、そこに座り、いつも注文して食べていた、魚介のブイヤベース
鮮明に思い出してしまった私は、なんだか胸の奥が重くチクっとしたのでした。
ぼんやりする雪に、悠里と悠が同時ぐらいに
「雪、母さん何にする」
二人同時に声が揃った二人は笑って、私の方を見ました
「あ!私ね、ブイヤベース!!」
「ほらね!俺の言った通りだろ(笑)」
「本当だ!!当たりじゃん(笑)」
ボンヤリしていた私は、全然築いていませんでした。
きっと、雪はこのブイヤベース選ぶよと、
悠の耳元で悠里が囁いていた事に、、、
随分立っていても、彼もまた、あの頃の事を、ちゃんと覚えていたのでした。
あともう少し。