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アイカ&朽ちゆく奪刀VS美しき結晶刀

 第二の侍女竜である美しき(クリティアス・)結晶刀(プリズミア)は周囲の天使達を駆逐しながら踊っていた。

 正解には戦っているのだが・・・クリティアスの一挙一動がまるで踊りでも踊っているかのように可憐なのだ。

 薄い水色の髪のショートヘアーの少女。

 見た目的には十代前半であり、水晶のような美しい透き通る翼は、太陽の光を反射すると更に美しく輝いている。

 パタパタと翼を羽ばたかせると同時に鱗粉のようにキラキラと舞うその姿は、見る者の心を奪う。

 それが戦場だとしても失われることはない。

 更にクリティアスは翼だけではなく、尻尾、そして髪で隠れてしまってはいるが角までもが水晶で出来ているのだ。

 まだ幼いながらも美しさの片鱗を見せているクリティアス。

 しかしながらその両腕には似つかわしくない短剣を装備している。

 鋭利に輝く短剣もまたクリティアスの翼と同じように水晶で出来ているのだが・・・その切れ味は一級品。

 いや・・・一級品よりも更に上の超一級品だと言えるほどの切れ味を持っている。

 見た目からは想像出来ないほどの切れ味と強度で、何度か手合わせをしている天使達の刀を交えてはいるのだが・・・その切れ味は衰えることはなく、刃こぼれもしていない。

 逆に一度交えただけで天使達の刀や盾が破壊されてしまっている。

 接近戦は不利だと判断した天使達が、遠方から魔法を繰り出しているが・・・残念ながらクリティアスもまた遠距離から水晶の塊を飛ばして攻撃を繰り出している。

 属性的には土の属性の力なのだが・・・強度は土の属性魔法よりもはるかに強化されている。

 防御は不可・・・攻撃が飛んできたら避けた方がよいのだ。


『チマチマと・・・ウザイ!』


 クリティアスの攻撃をいつでもかわせる距離を保ちながら魔法を放ってくる天使達に苛立ちを覚え始めるクリティアス。

 天使達の攻撃はあまり強くなく、高火力の魔法が飛んでくる気配はないが・・・クリティアスが攻撃を仕掛けると同時に攻撃を繰り出すことによって、攻撃した瞬間の隙をついた攻撃。

 クリティアスも何度かかわしきれずに攻撃が直撃したこともあるが・・・あまりダメージは負ってはいない。

 しかしながら何度も何度もチマチマと攻撃されたのであれば、クリティアスもそろそろ我慢の限界に近づいていた。


『あの竜人(ドラグニル)もなかなかのタフだが・・・そろそろ我慢の限界かな?』

『まぁ・・・私ならもう少し前に限界がきてたと思うけどね』

『貴女ならね・・・でも私の予想ならもうそろそろ何かしらのリアクションを起こすはず』

『攻撃するにしても、これだけバラバラにいるのであれば一気に殲滅させられることはありえないはずですよね?』

『そうです。・・・私達で倒せないのであれば、削ることに徹すればよいだけなのです』

『女神セラフティアスさまが言っていた。あの人間ですか?』

『まだ此方に近づいてはいませんが、女神セラフティアスさまが言うには私達よりも強いそうです』

『なるほ・・・何か仕掛けてきますよ!』


 この部隊を指揮する大天使の二人が話しているとクリティアスが大きく羽ばたく。

 前線からの離脱・・・ではなく、クリティアスは竜力を高め、光輝く鱗粉を散撒く。

 それは雪のようにヒラヒラと周囲を幻想的にさせる。


『綺麗・・・』


 数名の天使が、そのあまりの幻想的な美しさに見とれてしまうが・・・大天使やその他の天使達は構わずにクリティアスに向かって魔法を放つ。

 火が、風が、水が、土が一斉にクリティアスに向かって行き・・・そして直撃する。

 先ほどまでの魔法よりも強力な魔法であり、最大最高威力・・・とまでは言わないが、かなりの威力の魔法だ。


『直撃!?』

『かわしきれなかった?』

『それにしては何の反応がないのもおかしい・・・』

『距離を置きますか?』


 確実に魔法が直撃したクリティアスなのであったが・・・煙が晴れ、その姿が露になる。


『む、無傷!?』

『うそ!?なんで!?』

『そ、そんな・・・』

『あの威力を・・・』

『四大属性魔法全てですよ』

『何か秘密が・・・』


 各四大属性魔法が直撃したのにも関わらずに無傷のクリティアス。

 あまりの予想外の出来事に同様してしまう天使達を尻目に、クリティアスは翼を羽ばたかせる急速に接近戦を仕掛けてくる。


『くるぞ!』


 迎撃の為に魔法を放つ天使達。

 しかしながら魔法など無意味だというようにクリティアスはかわす動作もせず、一目散に天使の元にたどり着く。


『まずい!?』

『避けて!』


 そう叫ぶ天使達であったが・・・クリティアスの攻撃をかわすことができなかった天使は一刀両断されてしまった。

 斬られ光輝く泡が溢れ出す天使。

 次の獲物を視界に捉えたクリティアスは更に攻撃を仕掛けてくる。


『回避だ!狙わせている者は回避に専念するんだ!』


 天使達に向かって叫ぶ大天使。

 そしてその大天使も叫ぶと同時にクリティアスを攻撃する為に動き出す。

 少しでも生存率を上げる為に、自らが囮となるために・・・


『司令塔は貴様か・・・』


 指揮している天使が誰かわかったクリティアスもまた攻撃を仕掛ける為に動く。

 未だに何故魔法が通じないのかはわかっていない。

 しかしながら少しでも生存率を上げる為には行動しなければならないのだ。


(遠距離攻撃をしてこない・・・出来ないわけではないが何故?)


 先ほどからクリティアスに魔法が直撃しているのだが、何一つ攻撃が通じている気配がない。

 完璧に魔法を何かしらの手段で無力化していることは確実なのだが・・・何故無効化出来ているのかは不明。


(確かめて見るか・・・)


 迫りくるクリティアスに遠距離から魔法を放つことを諦めた大天使は、手に持っている杖を手離し・・・ファイティングポーズを取る。

 そしてその拳には水の属性魔法を纏っており、ユラユラと揺らめいている。


(接近戦・・・だけどこの状態の私なら!)


 クリティアスが自身の剣の間合いに入ると同時に斬撃を繰り出す。

 襲い掛かる二本の短剣。

 その攻撃を紙一重でかわした大天使は水の属性魔法を纏った拳を繰り出す。


(とった・・・)


 拳がクリーンヒット・・・そう思った大天使であったが、その拳にはいつの間にか水の属性魔法は纏ってはいなかった。


『なに!?』

『終わり・・・』


 そう言い終えると同時に襲い掛かる二本の短剣。


(魔法が・・・しかもこの太刀筋では!)


 逃げ切ることは不可能だと判断した大天使は・・・前へと出る。


『前に!?』


 大天使が前に出たことに驚きを隠せないクリティアス。

 それもそのはずだ。

 短剣が迫って来ているのにも関わらずに前に出る・・・間合いを積めることによって剣の間合いから、拳の間合いへと変える目的なのであれば理解できるのだが・・・

 クリティアスの扱うのは短剣であり、クリティアス自身もまたリーチは大人よりも短い。

 なので間合いを積めたとしてもクリティアスの間合いから変わることはなく・・・クリティアスの短剣が大天使を斬りつける。


『ぐっ・・・あぁ・・・つか・・まえた!』


 短剣に斬りつけながらもクリティアスの腕を掴むことに成功した大天使。

 斬りつけられた箇所から光輝く泡が溢れ始める。


『はな・・・』

『今だぁぁぁぁ。殺れぇぇぇぇ!』


 叫ぶ大天使。

 その叫びを待っていたとでも言うように、もう一人の大天使は魔法を放つ。

 火の属性魔法と、風の属性魔法を複合させた魔法で・・・逆巻く炎の大槍を作り出す。


『炎断ノ大槍・・・』


 悲しそうな表情の大天使ではあったが・・・確固たる意識と共に炎断ノ大槍を解放する。

 轟音と共に襲い掛かる逆巻く炎。

 大天使によって腕を捕まれてしまったクリティアスはそのまま炎に包まれる・・・はずであった。

 炎が直撃すると同時にその炎はまるで白昼夢でも見ているかのように霧散してしまった。


『やっぱり魔法を無効化して・・・』


 炎断ノ大槍が無効化されてしまったことによって、クリティアスと共に死ぬはずであった大天使は無事なのだが・・・大天使は気がついてしまう。

 炎断ノ大槍・・・魔法を無効化する直前にクリティアスの纏っている鱗粉が広がり、魔法をガードし、そしてその鱗粉は先ほどよりも明らかに少なくなっていることに。


(なるほど・・・この鱗粉が)


 より一層力を振り絞り・・・そして大天使は叫ぶ。

 クリティアスが何故魔法を無効化させたのかを暴いた大天使。

 しかしながら既に身体の崩壊を止めることはなく・・・光輝く泡となって消えてしまった。


(鱗粉の正体がバレた・・・)


 魔法を無効化させていた鱗粉の正体が周囲の天使達に暴かれてしまったクリティアス。

 逃げるべきか、逃げずにこの場にいる天使達を殲滅する方が良いのかを考えていたクリティアスであったが・・・時既に遅かった。

 魔導秘伝・六刀融装を発動させ、一つとなったアイカが既に到着してしまったのだ。

 左右で異なる翼に二重の天使の輪。

 天使と同じような純白の翼に、世界全てを怨む存在・・・疫病の狂天使を彷彿とさせる姿をしており、見た目的にはクリティアスと大差ない幼い子供・・・というにはあまりにも似つかわしくない姿をした少女。

 少しアレンジを加えられてはいるが、聖職者を着るには幼すぎており・・・そして更にその聖職者の衣装に似つかわしくない鎧。

 左手に持っている長槍を扱いやすいような武装をしているが・・・手に持っているのは木で出来ている長槍。

 何故鉄や、鋼より硬度な武器ではないのかを疑問に思うクリティアスなのだが・・・それよりもやはり目がいくのはアイカの翼だ。

 天使の亜種・・・または変異体と考えるのが妥当だが、如何せん情報が不足してしまっているこの状況ではどうすることも出来ないと判断したクリティアスは水晶で作り上げたつららのような弾丸を放つ。


(まずは様子見・・・)


『水晶?綺麗・・・』


 飛んで来た水晶の弾丸をかわすと同時に、迫りくる弾丸の一つを弾き、キャッチするアイカ。

 透き通る水晶はか硬く、自身の握力程度では壊すことも、傷つけることも出来ないとアイカはさとる。


『へぇ・・・なるほど。でもあの水晶の刀はどうなのかなぁ?』


 そう言い終えるや否やアイカは即座に前線から離れ、クリティアスの射程外へと逃げ出す。


『逃げた!?増援に来たんじゃないの・・・』


 先ほどの攻撃がかわされたことで、少なくとも天使達と同等それ以上の実力の持ち主だとわかったクリティアスなのだが、何故かアイカは水晶を手にすると即座に離脱してしてしまった。

 何かしらの策を考えているにしてもクリティアスの倒す優先度は変わらない。


(まず最初はあの炎の槍を放った天使・・・)


 炎の槍・・・断炎ノ大槍で攻撃してきた大天使に狙いを定めるクリティアス。

 鱗粉の正体がバレたクリティアスであったが、まだ鱗粉は残っている。

 クリティアスの扱うこの鱗粉は竜力を使って作り上げられた物で、魔法や竜法といった物を無効化することができる。

 しかしながら無効化できる量、威力にも限界は存在し、鱗粉は無効化すればするほどにどんどん消費してしまう。

 一度に作れる量も限られており、更にもう一度作るとなると数時間必要。

 そして何よりもこの鱗粉は魔法や竜法を無効化することは出来ても、それ以外を無効化することは不可能なのだ。

 魔法を付与した矢であれば、鱗粉に触れると同時にだだの矢になってしまう。

 だがしかし、矢を放った時の威力までは無効化することは出来ないので、防いだり、かわしたり、打ち落としたりする必要が出てくる。

 まぁ・・・クリティアスがいくら小柄だといってもオールの懐刀であることはかわりなく、実力も周囲の竜人(ドラグニル)よりは上だ。

 鱗粉の正体がバレたとしてもクリティアスは勝てると思っていたのだが・・・予想外のことが起きてしまった。


『えっ・・・嘘!?』


 クリティアスと一度刀を交え、破壊されてしまったはずの武器や盾。

 なのだが、光輝く魔法陣から次々と武器や盾が天使達の元に出現し始める。


『せっかく破壊したのに・・・』


 ため息を溢すクリティアスであったが・・・覚悟を決める。

 今まで隠していた力を解放し、周囲に存在する全ての天使達を殲滅すると・・・


『武装・晶刻ノ衣!』


 クリティアスが叫ぶと同時にキラキラと輝く。

 するとまるでドレスのように結晶が集まり・・・形作る。

 一枚の絵画のような・・・優雅な姿へと変わったクリティアス。

 その姿は純白の竜人(ドラグニル)であるハッカにも勝るほどの美しさだ。

 しかしながらこの晶刻ノ衣は美しいだけではなく、クリティアスの竜力が続く限りどんな攻撃を通さない鎧となりクリティアスを守ってくれる。


『速攻で決める!』


 翼を羽ばたかせ、一目散に断炎ノ大槍を放った大天使に狙いを定め・・・繰り出す。


『お前はここで倒す!女神セラフティアスさまの為に!』


 クリティアスの攻撃を盾で防ぐ大天使。

 されど、その盾はクリティアスの短剣を一撃防ぐのが精一杯で、盾に深々と斬り込みが入ってしまう。

 そして即座に攻撃を繰り出す大天使なのだが・・・残念ながらその攻撃はクリティアスのドレスによって防がれてしまった。


『硬い!?』

『当然』


 刀をクリティアスの身に纏っているドレスによって弾かれてしまった大天使。

 ドレスという何の防御力も無いような装備なのだが・・・その防御力は絶大。

 大天使の攻撃に怯むことなく攻撃を繰り出すクリティアス。

 なのだが、大天使もまた即座に盾を出現させ防ぐ。


『また・・・』


 盾を出現させたことによって、またしても攻撃を防いだ大天使。

 そして大天使がクリティアスとの攻防をしている間にも天使達は移動し・・・クリティアスを包囲する。


『お前は攻撃を防げるが、衝撃は無効化させることができるのか?』


 クリティアスを天使達が包囲したのを確認した大天使は、攻撃を防ぐと同時に後ろに飛び退き天使達に合図する。

 すると合図を受けた天使達は次々と攻撃を繰り出す。

 しかも天使達が手に持っているのは斬撃や刺殺攻撃の武器ではなく、重さを利用してガードもろとも破壊することが可能な鉄球や鉄槌を装備している。

 これは先ほどの一瞬で、斬撃ではクリティアスを倒すことは不可能だと判断した大天使の指示だ。

 その攻撃をかわしたり、受け流したりしているクリティアス。

 やはり衝撃は無効化出来ないのか攻撃が当たることを避けている。


『面倒・・・一気に潰す!』


 殺意を表すと同時にクリティアスの周囲に結晶で作られた弾丸が出現する。


『一網打尽にしてくれる!』


 クリティアスの作り出した弾丸が放たれようとしたその時・・・突如としてクリティアスの目の前にアイカが降り立つ。


『なっ!?』

『ちょっと場所を変えようよ』


 クリティアスが驚いているのを無視し、アイカは懐から禍々しい宝石を取り出し起動させる。

 すると禍々しい宝石からこの世界ではありえない純黒の光が溢れだし・・・アイカとクリティアスを包み込み、天使達も包み込んでしまうと同時に漆黒の塊が中央浮遊都市に出現する。


『な、何が起きて・・・』

『みんなが・・・』


 正体不明な漆黒の塊へと仲間が飲み込まれてしまったことに動揺してしまった天使達。

 大天使もまた漆黒の塊へと飲み込まれてしまい統率する者がいなくなってしまった天使達であったが・・・その不安は直ぐ様解消される。


『あっ!?あれは!?』

『大天使さま!』

『それにみんなも!?』


 漆黒の塊へと飲み込まれてしまった大天使、天使達だったが、何事もなかったかのように漆黒の塊から抜け出す。

 直ぐ様に仲間の元に駆け寄る天使達。

 いったい何が起きたのか問い掛けるが・・・飲み込まれた天使達も何が起きたのかは理解出来ていなく、気がついたらいつの間にかこの場所に居たらしい。


『何がどうなって・・・』


 何がどうなっているのか理解出来ていない天使達。

 そして気がつくアイカとクリティアスがこの場所から居なくなっていることに・・・



 漆黒の塊の中・・・

 純黒の光に包まれたアイカとクリティアス。

 眼も開けていられないほどの眩い光によって強制的に瞳を閉じてしまったクリティアスは、光が収まったのを確認し終え瞳を開けると・・・するとそこにはありえない光景が広がっていた。

 先ほどまでクリティアスがいた場所は中央浮遊都市の上空。

 周囲には建物が建ち並び、竜人(ドラグニル)達が生活していた場所なのだが・・・今目の前に広がる世界はというと。


『平原?なんで?』


 クリティアスの目の前には平原が広がっている。

 何処までも続いていそうな平原は青々と茂り、何処から徒もなく心地好い風が吹いている世界。


『これはいったい!?』


 何が起きたのか理解できないクリティアス。

 それもそのはずだ。

 突如として先ほどまでいた場所とは似ても似つかない平原。

 明らかに中央浮遊都市ではない別の場所だと判断できるが、もしかすれば幻なのかもしれないと地面に降り立ったクリティアスなのだが・・・


『地面・・・幻、幻術じゃない!?』


 目の前に広がっている平原が幻術ではないと理解したクリティアス。

 すると、クリティアスは此方に近づいてくる影に気がつく。


『一つ・・・さっきの天使?』


 此方に近づいてくる影が一つ・・・アイカだとわかったクリティアスは短剣を構える。


(何がどうなっているのかはさておき・・・あの天使を倒す)


 アイカを視界に捉えたクリティアスは翼を羽ばたかせ攻撃を仕掛ける。


『狙い通り・・・』


 クリティアスの動きが狙い通りとなったアイカは純白の炎を作り出し・・・そして解き放つ。


『白い炎!?』


 火弾(ファイアーボール)のように飛んでくるアイカの純白の炎に驚くクリティアス。

 即座に危険だと判断すると、結晶の盾を出現させ防ごうとするが・・・


『なに!?』


 アイカの純白の炎に接触すると同時にまるでバターのように融解し始める。


『これ・・・は・・・』


 融解した盾を直ぐ様手離し、緊急回避したクリティアス。

 なんとか回避することに成功したが・・・ドレスの一部が溶けてしまった。


『な、なんだあの炎!?』


 溶けたドレスの一部を凝視しながら何が起きたのか考えるクリティアス。

 しかしながらアイカはそんなことは許してはくれなかった。


『畳み掛ける!』


 そう言い終えるや否や手に持っている長槍をクリティアス目掛けて投擲するアイカ。

 だがしかしクリティアスの動きは速く、長槍を短剣で受け流す。


『槍・・・』

『純炎・白ノ雨糸!』


 長槍がかわされたのを気にも留めずアイカは立て続けに魔法を放つ。

 細く白い糸のような雨・・・のように見えるがアイカの純白の炎であり、その数は数え切れないほどの雨。

 降ってくる雨を数えようとする者がいないようにクリティアスもまた数えるのを止め・・・竜力を集中させる。


『一か八か・・・結晶竜の撃咆!』


 竜力を一点に集中させ、咆哮として放つクリティアス。

 その咆哮には無数の結晶。

 小石程度の大きさしかないが、まるで散弾銃のように拡散する。

 アイカの純炎・白ノ雨糸と激突し・・・そして弾け飛ぶ。

 クリティアスの飛ばした結晶はアイカの純白の炎によって燃やされてしまったが・・・咆哮として放たれた風圧は燃やすことは出来ずに風圧、衝撃波によってアイカの純炎・白ノ雨糸は霧散してしまった。


『咆哮・・・風圧で!?』

『賭けは成功・・・倒す!』


 アイカの攻撃を無効化させ、一気に距離を積めるクリティアス。

 そして自身の間合いに入ると同時に短剣で斬り裂く。


『くっ・・・速い・・・』


 クリティアスの予想外の速さに、魔法で防ぐことがアイカから鮮血が溢れ出す。


『血!?』


 アイカから血が流れ出たことに驚くクリティアス。

 そんな一瞬の隙をアイカは見逃さずに、純白の炎を纏った拳底を喰らわす。


『ぐっ・・・しまっ・・・』


 純白の炎による拳底によってクリティアスの身に纏ってはいるドレスを焼き払う。

 このままでは危険だと判断したクリティアスは晶刻の衣を解除する。

 しかしながら一瞬遅かったようで、解除するのが遅かった部分と隣接していた箇所が焼ける。


(このまま押しきる!)


 焼かれてしまったクリティアスだが、そのまま押しきれば倒せると判断し、アイカに向かって斬りつける・・・よりも速く、アイカが先ほど放った長槍がクリティアスに襲い掛かる。

 アイカの扱っていた長槍はクチルギが使っていた長槍であり、アイカもまたクチルギと同じように長槍を自在に動かすことができる。

 しかしながらクチルギの時とは違いアイカ自身が動かしているわけではない。

 長槍はクチルギ自身であり、アイカではないのだから当然なのだが・・・攻撃のタイミングを自身でできないのは難点と言える。


『や・・・り・・・なんで・・・』


 アイカの長槍を背中に喰らってしまったクリティアス。

 器用に翼の間を掻い潜り刺さっている。

 痛みに思わず苦痛の表情を浮かべるクリティアスであったが、直ぐ様異変に気がつく。

 自身の身体が急速に乾いていることに・・・


(まずい!?)


 このままでは危険だと判断したクリティアスは長槍を尻尾を使い引き抜こうと試みるが・・・


『抜けな・・・』


 それほど深く刺さっていないのにも関わらずに抜ける気配がない長槍。


『これでおしまい・・・』


 冷たく言い放つアイカは止めをさそうと攻撃を繰り出すが・・・

 攻撃を繰り出すよりも速く、何処から徒もなく光が溢れだし、アイカとクリティアス・・・クチルギを包み込むのであった。










 

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