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ソイル&蠢く虐刀VS融解する惨刀

 ソイルと蠢く虐刀(ヘル・ザ・リッパー)が天使に案内された先にいた竜人(ドラグニル)は、長い腰まである赤黒い髪に、マリアティアスと同じような赤い瞳。

 その赤い瞳と同じように赤く太い尻尾、角は白い純白、翼は角と同じように純白なのだが、ボロボロになっている竜人(ドラグニル)だ。

 そして他の竜人(ドラグニル)とは違い戦場には似つかわしくないメイド服を着ており、何故かそのメイド服の胸元を露出している。

 露出している胸元には赤黒く濁った・・・溶岩を思わせるような宝石を埋め込んでいる竜人(ドラグニル)であり・・・ソイルとヘルは即座にこの竜人(ドラグニル)がオールの懐刀である竜導六刀の一振りだと見抜く。

 身体的特徴もさることながら、その竜人(ドラグニル)からは圧倒的なまでのプレッシャーを感じ取ったからだ。

 時折圧倒的に強力な力を持っている者からは、眼に見えないプレッシャーを感じことがある。

 実はソイルもそのようなプレッシャーを感じたことがあり・・・そのプレッシャーの相手は女神セラフティアス。

 圧倒的な・・・自らが勝てないと思っていたマリアティアスよりも強力なプレッシャーを放つことができる女神セラフティアスに気圧されてしまった経験がある。

 あの時はまるで周囲が一気に氷点下になってしまったかのような感じがあった・・・女神セラフティアスとは違い目の前の竜人(ドラグニル)から放たれるプレッシャーはまるで正反対。

 灼熱の・・・全てを溶かし尽くすほどのマグマのような感じの竜人(ドラグニル)なのだ。

 その竜人(ドラグニル)の名前は融解する惨刀(オロ・ヴォルカ・ジア)

 オールに使える侍女竜であり、竜導六刀の纏め役である竜人(ドラグニル)だ。

 そのオロもまたソイルとヘルの接近に気がつく。


『人間・・・ではないな』


 オロの目線の先にいるのは異形の右腕の少女・・・蠢く虐刀(ヘル・ザ・リッパー)であり、その隣にいるソイルもまたオロはただならぬ雰囲気を感じ取る。

 ただの人間・・・と言い切るには場違いなことは明白。

 オロはつい先ほどオールの住まう巨城を出ており、実際周囲の状況がどのようになっているのかは伝令にくる竜人(ドラグニル)からの口頭でしか聞いていない。

 しかしながら敵は天使であり、その中に人間や・・・異形の右腕を持つ者がいるという報告は一切聞いていない。

 伝令の竜人(ドラグニル)が目撃していなかったからと言えばそれまでなのだが・・・

 はっきり言ってこの状況で隠れることもせずに堂々と出てきたことを考えるに・・・どうやら何かしらの意図があるとオロは判断する。

 何故ならこのバルエラ竜王国は浮遊大陸であり、下界から隔絶された場所。

 侵入するには飛んで来るしか方法はなく・・・戦争している最中であるバルエラ竜王国に自ら侵入してくるとは考え難い。

 何故なら人間は竜人(ドラグニル)よりも、そして天使よりも弱者であるとオロは考えており、どのような理由があるのかは知らないが、もしオロが同じ立場であればこの戦争に参加するようなことはせず、何処か安全な所で戦争が終わるまで待っている方が無難。

 飛んで火に入る虫のように、自ら危険を犯す必要など今の人間には一切ないのだ。

 そのことから考えるに、目の前の人間と異形の右腕を持つ少女が誰かしらの指示によって動いているのだとオロは思う。

 そして天使達との関係が良好であり・・・実力は天使よりも上。

 でなければオロの目の前に、出て来ることなどありえないのだ。


『実力は天使以上・・・されど実力は不明、ならば見極めさせてもらおうか!』


 天使達の攻撃を防ぎ、かわしたオロは融解した灼熱の泥・・・マグマの塊を放つ。


『来たぞ!』

『これは・・・マグマか!?』


 飛んでくるマグマに対してソイルとヘルは二手に別れ、無事回避する。

 外れたマグマはそのまま重力に従い下に落ち・・・地面に落下してしまう。

『ジュー』っという音と共に周囲の家屋がマグマに呑まれ、次々と炎に包まれる。


『かわしたか・・・なかなかの反応速度だな』


 攻撃がわかされたオロであったが、特段気にしている様子はなく、ソイルとヘルが次に何をしてくるのか注目している。


『熱いなぁ・・・何だよあれは!?』


 オロの放った攻撃の正体が理解出来ていないヘルは、マグマが通りすぎた時に生じた熱波に殺意を抱いていた。

 生まれてこの方マグマという物を、見たことも聞いたことも当然の反応とも言えるが・・・ソイルは逆にどのようにしてオロに近づき攻撃すればいいのかを考えていたのだが、オロはそんなことを許してはくれなかった。


『考えても埒か明かないからな!』


 そう言いながらオロは今度は両腕にマグマを出現させ・・・空中に叩きつける。

 すると何故か空中なのにも関わらずに衝撃波が・・・揺れが発生する。


『な、なんだ!?』

『空中なのに揺れ・・・』


 突如として発生した揺れによって身動きが取れなくなってしまったソイルとヘル。

 そして次の瞬間、ソイルはオロがどのような攻撃をしてくるのかを『心理の答え』によって察知する。

 先ほどのオロの攻撃をソイルは感知していたのだが・・・オロがやったのは拳を空中に叩きつけるという動作であり、それによって乗じる衝撃波までは感知出来なかったのだ。

 心理の答えによって感知することができるのは、自らに殺意を抱いた者が次に何を何をしてくるのかという未来予知に近い能力なのだが・・・実は連続で使用することが出来ないというデメリットが存在している。

 人間の瞬きと同じように何時間も使用することは不可能。

 ちょうどタイミングが悪くオロの衝撃波に捕まってしまったのだ。

 無論このことはオロは知らないのだが・・・運も実力の内。

 まぐれ当たりだとしてもオロの攻撃『炎融地動』はソイル達に襲い掛かる。


『な!?』

『なんだあの攻撃は!?』

『くそ・・・まずい、揺れが・・・』

『このままじゃ・・・』


 迫りくるマグマの波。

 速度はそれほどないが、衝撃波の振動によって揺られてしまったソイルとヘルは痺れたように動けなくなってしまう。

 こうなってしまえば、ソイルの心理の答えが意味をなさず・・・このまま炎融地動の餌食になってしまう覚悟したソイルとヘルであったが・・・ソイル、ヘル、オロの三名は忘れてしまっていた。

 この場には三名以外にも天使達がいることに。

 異変を察知した天使達は揺らされてしまい、動けなくなってしまったソイルとヘルを抱き抱えるようにして離脱する。

 そしてすかさずオロに向かって放たれる各種属性魔法。

 完全にノーマークだった天使達の攻撃が直撃する。


『雑魚風情が!』


 天使達の攻撃が当たったのにも関わらずにあまりダメージを負っている気配がないオロ。

 蟻の攻撃程度で象が動じないと同じように、天使達の攻撃程度ではオロを倒ことは出来ないようだ。


『ぜ、全然効いていない・・・』

『で、でも時間を稼ぐんだ』

『そっちの方は任せますよ!』


 動けなくなってしまったソイルとヘルを助けるために治療液を取り出し飲ませる天使に、攻撃が通っていないのにも関わらずに攻撃を繰り出す天使。

 ダメージを与えることはできなくても、拘束することができればそれでいいのだ。


『時間稼ぎか・・・小癪な!』

『時間稼ぎでもお役立てるんだよ!』

『少しでも時間を・・・』


 繰り出される各種属性魔法。

 その魔法の中でオロは飛んでくる火弾(ファイアーボール)を掴み取る。


火弾(ファイアーボール)を・・・』

『掴んだ!?』

『どうやって!?』

『むちゃくちゃ・・・』


 オロが火弾(ファイアーボール)を掴んだことに困惑する天使達。

 しかしながらオロは掴んだ火弾(ファイアーボール)をそのまま天使達に向かって投げつけてきたのだ。


『防ぎます!』


 そう言って前に出た天使達は防御魔法を発動させるが・・・


『きゃぁぁぁぁぁ!?』


 防御魔法を発動させた天使なのだが、投げつけられた火弾(ファイアーボール)が炸裂し炎に包まれる。


『そんな!?』

『まずい・・・崩れ・・・』


 炎の呑まれてしまったことによって連携が崩れてしまった天使達。

 その瞬間を見逃さなかったオロは手に持っている大剣を上段に構え・・・


『斬動熱波・散!』


 振り下ろされた大剣から放たれた熱波は、斬撃となり天使達に襲い掛かる。

 風の属性竜法を扱うことが出来ないオロではあるが、大剣に組み込まれた魔導石と自身の竜力を組み合わせることによって飛ぶ斬撃は、鋭く鋭利ではないが連携が崩れてしまった天使達にとっては致命傷になりかねない攻撃となる。

 しかもその斬撃は広範囲。

 陣形が崩れた天使達は次々と餌食になってしまった。


『天使達が・・・』

『やはり実力は上なの・・・』


 治療液(ポーション)を飲み干し、体力と気力を回復したソイルとヘルが動こうとしたのだが・・・残念ながら既に動いた者がいた。

 それは天使達でもなく、ましてやオロでもない・・・

 ソイルとヘルが取る足らないと無視していた竜人(ドラグニル)がソイルとヘルに向かって竜法を放ったのだ。

 不一致を喰らってしまったことによってダメージを負ってしまったのはヘルであり、水の属性竜法の水圧によって吹き飛ばされてしまった。


『ヘル!?』

『つ、冷た・・・何しやがるてめぇ!』

『き、効いていない!?』

『彼処か・・・』

『待て、ヘル・・・』


 ソイルが止めようとした時には既に遅く、ヘルは遠くで竜法を放った竜人(ドラグニル)に向かって突撃していた。

 たいしてダメージを負っていないヘルに驚きを隠せない竜人(ドラグニル)

 しかしながらまだ攻撃が通じると信じ、攻撃を繰り出す。


『遅い・・・遅い遅い遅い遅い!!』


 放たれる水の属性竜法を掻い潜りながら間合いに入ったヘル。

 その異形の右腕を振り下ろし繰り出した攻撃は竜人(ドラグニル)に直撃する。

 致命傷は避けたつもりの竜人(ドラグニル)であったが・・・突如として襲い掛かるのは想像絶する激痛。

 あまりにも激しい激痛は時として死を招き・・・そしてこの竜人(ドラグニル)はショック死へとたどり着いてしまった。


『あっけな・・・』


 竜人(ドラグニル)を倒し終えたオロは周囲を見渡す。

 するとこちらに近づくソイルを視界にとらえると同時に、周囲にいたはずの天使達が全ていなくなってしまうことに気がつく。


『マジかぁ・・・あの数をこの短時間で』

『そうですヘル・・・あの竜人(ドラグニル)は強い。勝手な行動して勝機を逃すつもりなのか?』

『そんなつもりは・・・』

『そん・・・』

『ソイル来るよ!』


 ヘルが叫ぶと共にソイルは振り返ると・・・そこには接近してくるオロを視界に捉える。


『当然私達を狙うよな・・・』

『どうするの?逃げる?』

『逃げたところで無意味でしょうね・・・』

『じゃ・・・戦うの?』

『あの灼熱の竜力を相手に生身で戦うのは辛いですが仕方ありません』


 ソイルはそういいなら治療液(ポーション)を取り出す。

 この治療液(ポーション)は、対象者の自然治癒能力を高める作用のある治癒液(ポーション)なのだが・・・この治療液(ポーション)を飲んだからと言ってもオロの灼熱の竜力に耐えれるわけではない。

 自然治癒能力を上げるだけで防御力を上げるわけではないのだ。

 受けきれない攻撃を受けてしまえばそのまま死んでしまう。

 相手の攻撃はかすり傷一つで致命傷になってしまい兼ねないほどの力・・・相性が悪いと言えばそれだけなのだが、ソイル達が引いたとしてもオロの快進撃を止める者はいない。

 他の面々・・・エリカやアイカ、ヘルメスであれば対象できるかもしれないが、今はいない。

 腹を決めたソイルは治療液(ポーション)を飲み干し・・・ヘルもまたソイルに近づく。


『さて・・・相手の度肝を抜いて差し上げますか?』


 そう言い終えるとソイルとヘルが一つになる・・・

 右腕が異形に変わったソイル。


(な!?何なんだあの姿!?)


 ソイルとヘルが一つになったことに内心驚きを隠せないオロ。

 目の前にいた二人が一つになる・・・

 見慣れた光景ではあるが、見慣れているが故に驚きも大きい・・・その光景が自分達にしたか出来ないのだと思っていたのであれば尚更だ。


(まさかオール様と同じ・・・)


 ソイルとヘルが一つになった姿を見て、自らの主人であるオールと重ねるオロ。

 しかしながらその速度が衰えることはなく・・・ソイルを殺そうと拳を繰り出す。


『その力・・・確かめさせてもらうぞ!』

『見せてあげてもいいですよ・・・ただし、少し場所を変えましょうか?』


 そう言い終えるとソイルから漆黒の光が溢れだし・・・ソイルを、オロを包み込む。


『な、なんだこれは!?』


 突然の光に驚きを隠せないオロ。

 それもそのはずだ。

 人体から突如として放たれた光・・・しかもその光が通常と同じような光であればさほど驚かないが、その光が異常な・・・漆黒の光なのであれば尚更だ。

 しかしながらオロはまだ理解していなかった・・・漆黒の光はただの現象にしか過ぎないということに。


『世界が変わっ・・・』

『そう・・・変わりましたよ!』


 そう言いながらオロの死角にいたソイルは有無を言わさずに攻撃繰り出す。

 突然の不意打ちに、死角からの攻撃。

 当然避けきれるはずもなく、ソイル・・・蠢く虐刀(ヘル・ザ・リッパー)の異形の腕が直撃する。


『不意打・・・きやぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ!?』


 不意打ちを喰らったオロ。

 そして不意打ちを喰らったことよりも、その身に駆け巡る激痛により思わず悲鳴をあげてしまう。

 耐え難い激痛・・・あまりの痛みに悶え、転げ回りたい気持ちに駆り立てるが、オロは即座に翼を羽ばたかせ一気に飛び立つ。


『させな・・・』

『私に近づくなぁぁぁぁ!!』


 竜の咆哮。

 大気を震わせ、骨を軋ませるほどの咆哮は、追撃しようとしていたソイルの動きを妨げ、オロを逃がしてしまった。


(不意打ちは成功?)

(のようですね・・・しかし、やはりそう何度も攻撃は出来なさそうですね)


 そう言い終えるや否やソイルは持っている治療液(ポーション)を飲み干す。

 数分程度の接触ではあるがソイルの身体は軽い火傷をしてしまっている。

 流石に魔導六刀である蠢く虐刀(ヘル・ザ・リッパー)になにも問題はないが・・・その身体はソイルそのもの。

 強化されており、軽症ではあるが・・・回復できる時に回復しなければ、軽症だとしても後々に尾を引いてしまう可能性がある。

 油断大敵・・・しかも相手が格上であれば用心にこしたことはないのは言うまでもない。


(さて・・・あの侍女竜はどうなったでのでしょうか?)

(死んだんじゃないの?)

(流石に相手はそこら辺のとは違うので死んではいないはずですが・・・呼吸は乱れているはずですよ)

(こっちは準備完了?)

(えぇ、既に準備万端です)


 ヘルとの会話を終えたオロは周囲の光景が一転した世界を移動する。

 周囲には水晶で作り上げられた木々が立ち並ぶ一転した世界を・・・


『はぁ・・・はぁ・・・な、何が起きたんだ?』


 額に大粒の汗と苦痛の表情を浮かべたオロは、周囲に並ぶ水晶のような木にもたれかかりながら治療液(ポーション)を飲み干す。

 すると、先ほどまで苦痛の表情を浮かべたオロなのだが、少しは回復したようで今は呼吸を落ち着かせている。

 ソイルに斬られた部分はそれほど深くなかったので、治療液(ポーション)で回復できたのはよいのだが・・・オロは先ほどソイルから喰らった攻撃の違和感に気がつく。

 攻撃を喰らった瞬間は、想像を絶するほどの激痛によって形振り構わず攻撃してしまい。その結果ソイル達を退けることに成功したのはいいが・・・冷静になった今であれば、あの程度の傷では悶絶しそうになるほど苦しむのはありえないのだ。

 人によって痛みに強い者もいれば、弱い者もいるが・・・あの程度の傷で苦しむのはありえないとオロは断言する。


『・・・あの姿になったのが原因なのか?それともこの世界か?』


 そう言いながら周囲を見渡すオロ。

 先ほどまでいた中央浮遊都市とは違い、周囲は水晶で作り上げられた木々が並ぶ世界。

 空中にいたのにも関わらずにいつの間にか地面があり・・・その地面もまた水晶。

 空も存在しいるが・・・天使達の姿は見られない。


『別空間・・・くそっ、何がどうなっているのか理解できねぇぞ!』


 あまりの予想外の出来事に思わず頭を抱えてしまうオロ。

 だがしかし・・・オロがこの世界の謎を解き明かすよりも早く、ソイルは近づいて来ていた。


『この気配・・・あの人間か!?』


 気配を感じ取り戦闘態勢に入るオロ。

 そしてオロと同じようにソイルもまたオロの気配を感じ取り・・・視界に捉える。


『さっきはよくもやってくれたなぁ!』


 殺意の咆哮をあげると同時にオロは竜力を高め・・・その翼が燃える。

 比喩ではなく、実際に燃える翼を大きく羽ばたかせると、周囲に存在する水晶の木々が根こそぎ熱波によって融解し始める。

 それはまるで溶けた蝋。

 人間であれば喉が焼けてしまうほどの熱量だ。


(熱波だ!)

(わかっている・・・だが怯んでいる暇はない!)


 吹き付ける熱波にも怯まずに特攻仕掛けるソイル。

 その光景を目の当たりにしたオロは、一瞬驚くが・・・すかさず大剣を手に持つ。


『人間風情が!図に乗るよ!』


 遠距離攻撃ではなく、確実に殺すために接触戦を仕掛けるオロ。

 ソイルもまた進む速度が衰えることはなく・・・互いの刃が交差する。

 オロの大剣を異形の右腕で受け止めるソイル。

 衝撃波と共に襲い掛かる皮膚を焼くほどの熱量。

 触れただけで危険な熱量を放っているオロなのだが・・・ソイルは異形の右腕に力を込める。


(な、何なんだこの力は!?)


 ソイルのあまりの怪力に驚くオロ。

 人間と竜人(ドラグニル)では確実に竜人(ドラグニル)であるオロの方に軍配が上がるはずなのだが・・・徐々に押されて初めていた。

 そしてソイルはいつの間にか左手にレイピアを持っており、そのまま手に持っているレイピアでオロに斬りかかる。

 狙いはオロの首。


『させるかよ!』


 迫りくるソイルのレイピアを尻尾を使い叩き落とそうとする。

 しかしながらその攻撃をまるで予測でもしたかのようにソイルは動いた。

 即座に左手で持っているレイピアを手離し、オロの尻尾をかわす。


『なに!?』


 ソイルの予想外の行動に驚くオロ。

 だがしかしソイルの攻撃はまだ終わってはいなかった。

 手離したレイピアを器用に足で蹴り飛ばしたのだ。


『終わりだ!』


 蹴り飛ばした方向にあるのはオロの首。

 直撃・・・

 オロの首に深々と突き刺さるソイルのレイピア。


『これで終わっ・・・』


『殺した』っと思っていたソイルであったが、オロはまだ死んではいなかった。

 その眼光は未だに衰えず、そして大剣に込めるている力が更に増す。


『化け・・・』


 オロがまだ生きていたことに驚きを隠せないソイル。

 驚いている間にオロとソイルの力比べはオロの方に軍配が上がり、ソイルの腕を弾く。


(ソイル!)

(わかっています!)


 心理の答えを使い次にオロが何をしてくるのかを感知するソイル。

 即座に後方に飛び退くと同時に急所をガードする。

 するとオロを中心に熱波と共に熱せられた土・・・マグマが周囲に飛び散る。

 瞬時に水晶の木々の間に隠れるソイル。

 あと数秒遅かったらマグマが当たっていたであろうが・・・ソイルは一様無事だ。

 しかしながら右腕を弾かれてしまったからなのか少々動きが鈍くなってしまっている。

 そんなソイルに対してオロはいうと・・・マグマを周囲に飛ばすと同時に周囲をマグマの壁と燃え盛る炎で囲む。

 安全を確保すると直ぐ様、首に刺さっているレイピアを引き抜き懐に入っていた治療液(ポーション)を飲み干す。


『はぁ・・・はぁ・・・残りの治療液(ポーション)の残量はゼロ。もう後には引けない』


 治療液(ポーション)を飲み干しソイルから受けた傷を回復し終えたオロ。

 オロ達侍女竜の持っている治療液(ポーション)はバルエラ竜王国でも最高の治療液(ポーション)であり、致命傷を受けたとしても飲むことができれば直すことができ・・・実際オロは致命傷を負ったのにも関わらずに回復した。

 本来であれば即死の攻撃であり間違いなく普通の人間、竜人(ドラグニル)であれば死んでいた。

 オロを突き刺さった瞬間は死を覚悟した・・・しかしながら奇跡とでもいうようにオロが意識は失うことはなく、そして絶命することもなかった。

 気力・・・と言えばそれだけなのだが、オロは窮地を脱したのだ。

 しかしながら治療液(ポーション)の残りはゼロ。

 もう致命傷を負うとも回復することはできなくなってしまった。


『背水の陣・・・覚悟を決めるか!』


 覚悟を決めたオロは飛び出す。

 障害物に阻まれる地上ではなく、空中に飛び出したオロ。


『飛び出した・・・まずい!』


 心理の答えでオロの次の行動を感知したソイルは即座に飛び出す。


『見つけた・・・』

『全方位攻撃・・・しかも最大最高威力か!?』

『へぇ・・・なんで私が次に何をしてくるのかがわかるのかなぁ?』


 その身から溢れ出す膨大な量の熱量、竜力・・・そして殺意。

 最大最高、全方位攻撃を放とうとするオロに特攻を仕掛けるソイル。

 そして光が世界を包み込むのであった・・・

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