ヘルメス&沈みゆく鎖刀VS見えざる結刀
ヘルメスと沈みゆく鎖刀が案内された先にいたのは竜導六刀の一振り・・・第六の侍女竜見えざる結刀であった。
緑髪のショートヘアーに金色の瞳。頭部に白く濁った宝石が埋め込まれているティアラを付けていて、その他にも多数の宝石が埋め込まれている。
合計四枚の緑色の昆虫のような薄い翼。
そして細くしなやかな、鞭のような尻尾。
尻尾の長さはエアの身長の二倍以上の長さで、その長く細くなっている尻尾の先端には銛のような形状をしており、かなり鋭利になっていてる。
竜人の特徴である角は額に一本。ひび割れたようになっている角がある。
遠目からではあるが、ヘルメスはこの竜人・・・エアがどことなくルーシャと似ていることに気がつく。
特徴時にもそうなのだが・・・雰囲気的に似ているのだ。
『やはり天使達では相手にならないのか・・・』
『当然だな・・・それにしても何だあの竜人の力は?』
『眼に見えない刀か?』
『多分そうなのだが・・・どうするヘルメス?』
『私なら間合いに入らず攻撃できるが・・・どうする二体一で攻めるか?』
『その方がいいと思う』
『ならば決まりだな!』
意見が一致したヘルメスとライフルは即座に風の属性魔法を発動させ、エアとの距離を一気に縮める。
『天使達ではない・・・なにあの・・・人間?』
ヘルメスとライフルが近づいてくるのを視界に捉えたエア。
天使達の集団の中で人間であるヘルメスと、魔導六刀の中でも人間に近い姿をしているライフルでは注意を引いてしまうのは仕方のないはずだ。
(この中で向かってくる・・・実力は不明だがとりあえず様子見で一発放つか)
ヘルメスとライフルに向かって風の属性竜法を放つエア。
一度防がれてもいいように連続で繰り出される風の刃。
『相手も私と同じ風の属性か!』
ヘルメスが先行し、前に出ると風の刃を撃ち落とすように魔法を放つ。
しかもエアが放ったのと同程度の威力の風の刃だ。
『同じ攻撃・・・いや、何か嫌な予感がする』
何か嫌な予感を瞬時に感じ取ったエアは攻撃するよりも、ヘルメスの行動を見る為に距離を取る。
『距離を取った・・・ヘルメスどうするんだ』
『これは予想外。てっきり直接攻撃に切り替えると思ってたのですが』
エアが距離を取ったことによって動きを止めたヘルメス。
ヘルメス目的としてはエアが接近戦をしてくると予想していたのだが、残念ながらエアはヘルメスの考えていた通りには動いてはくれなかった。
相手の攻撃の出方を見る為に攻撃したのにも関わらずに、全く同じ威力と攻撃方法で迎撃されてしまった。
ならばもう一度様子見するように攻撃してもよさそうなのだが・・・残念ながらエアは違った。
『仕方ない・・・距離を取ったことを後悔させて差し上げましょうか』
ヘルメスはその手に持っている弓を構え・・・魔力を一点に集中する。
『この魔力!?先ほどの天使達とは比較にならない』
遠くにいるエアですら驚くヘルメスの魔力。
先だとまで相手をしていた天使達よりは強者だとヘルメスのことを理解したエアが取った行動は・・・逃げの一手だった。
『逃げた!?』
『以外に臆病なのか?でも、まぁ・・・』
魔力を一点に集中し、風属性の・・・いや、嵐属性の矢を作りあげる。
嵐の属性魔法の矢は薄緑色をしており、矢自体が不気味に発光している。
ヘルメスの作り出した矢を初めて見た天使達は驚愕し、そして中には怯えている者もいるが・・・ヘルメスにはそんなことは関係ない。
まだ遠くに行っていないエアを倒す為に集中力を高め・・・
『逃がしませんよ!』
引き絞られた弓から嵐の属性魔法の矢が放たれる。
圧倒的な加速と同時に一直線に突き進む矢は、周囲に強風をもたらしエアに向かって飛んで行くが・・・エアに直撃する前にかわされてしまった。
『かわされたぞ!』
『思いの外速い・・・』
『次は!?』
『広範囲で攻めさせてもらいますよ!』
ヘルメスの嵐の矢をかわしたエアは、先ほどまで戦っていた空中とは違い下・・・家屋が立ち並ぶ区画に潜む。
無論潜むにしても見つからないようにする為に、即効で場所を移動する。
そして今エアがいる場所は小さな平屋であり、平屋の中で息を潜め相手・・・ヘルメスとライフルの次の一手を見極める算段だ。
それにエアにはまだ隠し球がある。
焦る必要はないのだ・・・
『さて・・・次の一手はどうするのかなぁ?』
防御竜法を展開しながら息を潜めエアなのだが・・・ヘルメスは既に次の一手を打っていた。
先ほどの一点に圧縮した嵐の属性魔法ではなく、面での攻撃。
無数に展開された魔法陣の数は約五十以上。
更にヘルメスはマリアティアスから貰った魔導石を使用して威力を更に上乗せする。
『風斬ノ爆矢』
無数に展開した魔法陣から一斉に風の矢が放たれる。
一斉に放たれる風の矢は美しく・・・そして地上に落下していく様は雨のように見える。
しかしながら着弾と同時に襲い掛かるのは爆裂する風の刃。
周囲の建物を斬り刻み、辺り一帯の光景が様変わりしてしまう。
『・・・いないのか?』
『反応が無いですね・・・』
『逃げた?』
『それはどうで・・・』
風斬ノ爆矢が放たれたのにも関わらずに姿が見えないエア。
エアを炙り出す為の、広範囲魔法なのだが・・・
ヘルメスは此方に迫りくる何かを瞬時に感じとり、防御魔法を発動させる。
すると展開した防御魔法に見えない何かが激突し、轟音が響き渡る
『今のは!?』
『まさか・・・ヘルメス!』
ライフルが叫ぶと同時に全方位に防御魔法を展開するヘルメス。
すると数秒後全方位・・・というよりも後方以外からまたしても見えない何かが激突してしまう。
『この攻撃は!?』
『見えない攻撃・・・当たった感触からするに、煉瓦とかだと思いますよ』
そう言いながら周囲の見渡すヘルメスとライフルなのだが・・・先ほどヘルメスが攻撃した風斬ノ爆矢により周囲は瓦礫の山。
その中からどれくらいの数がヘルメス達に飛んできたのかは不明だが・・・非常にまずい事態になってしまった。
見えない攻撃の正体は感触から判断することができ、ヘルメスの防御魔法程度でも防げる程度の攻撃。
しかしながら眼に見えないということは何時、何処から攻撃が飛んでくるのかが不明であり・・・そして今は瓦礫程度なので大丈夫なのだが、ヘルメス防御魔法でも防ぎきれない攻撃が飛んでくる可能性もある。
更にいくらヘルメスの魔力が強力だからと言っても限界は存在する。
このまま防御魔法を発動していれば、何れヘルメスの魔力が尽きてしまいかねない・・・
『まずい・・・非常にまずいですよ』
『油断したな・・・あの竜人、まさか刀以外にも不可視化できる何てな』
『どうする・・・どうする・・・このままじゃ、じり貧になって・・・』
『おい大丈夫か?』
ぶつぶつと呟いているヘルメス。
顔色は悪くなってしまっており、冷や汗なのか汗も流れている。
そんなヘルメスに対してライフルもまた焦っていた。
相手の姿が見えない・・・つまりそれはエア自身もまた不可視化しているということ。
このままでは一方的に攻撃され続けてしまう可能性だってあるのだ。
『ヘルメス風の属性魔法で感知することは不可能なのか?』
『私はマリアティアスさまほどの魔力はないです・・・それに障害物に囲まれていたり、室内に引き込もっていた場合探知は不可能なのですよ』
焦っているからなのか早口で答えるヘルメス。
一様自身の言っていることが理解できているとわかったライフルは、ほっと一息するが・・・その間にも攻撃は繰り出されており、ヘルメスの防御魔法に激突している。
どうすればよいのかを考えていたライフルだが・・・ふと、眼に見えない攻撃が此方にしか飛んで来ていないことに気がつく。
少し離れた場所で戦っている天使達には攻撃が飛んで来ていないのだ。
『ヘルメス!天使達だ!天使達と協力しよう』
『・・・良い考えですね』
そうです言い終えるとヘルメスとライフルは少し離れた場所で戦っている天使達と合流することに成功する。
事情を説明してもらった天使達は、ヘルメス達と協力し、見えない攻撃をしてくるエアを誘き出す算段を整える。
(天使達と合流した・・・さて、私を見つけ出せるのかなぁ?)
周囲に存在する瓦礫を不可視化させてゆくエア。
本当であれば自らが接近し、直接攻撃したいのだが、増援として駆けつけてきたアリセスとライフルの実力が未知数。
アリセスが風の属性魔法を扱うことはわかったが、ライフルはまだ攻撃さえ仕掛けてきていないのでエアとしては、ライフルがどのような攻撃をしてくるのか気になっているのだ。
増援として駆けつけてきたのであれば確実に、あの天使達より強い・・・少なくともエアはそう考えるており、竜力は温存しておいきたいのだ。
この不可視化の力は、エアがオールの竜力を自らの物にしたことによって可能となった力・・・
エアの竜力を付与させることによって薄い膜を張る。
それによって光を屈折させ、不可視化させるているのだが・・・この力はオール自身も使えるのだが、何故かオールは刀のみを不可視化ので、この力を一度見ているマリアティアスにも今の状況は理解できないはずだ。
(あの時の私とは違うんだよ。いくらあの人間が優れた知識を持っていたとしても打開するには時間がかかるはずですからね・・・)
不適に笑うエアは不可視化させた瓦礫を移動させ・・・今度はアリセス達と一緒にいる天使達ごと攻撃する。
すること物の見事に次々と天使達に直撃してゆく。
しかしながら瓦礫程度なので、致命傷となっている天使達の数は先ほどエアが直接攻撃していた時よりは少なくなってしまっているが・・・それでも少しずつ数は減らせるはずだ。
(さて、あの天使は一体何をするつもりなの・・・)
エアが周囲の瓦礫を不可視化していると、天使達が一斉に土の属性魔法を発動させる。
しかしながらその土の属性魔法で作り上げられた岩や石が竜人に飛んでくることはなく、風の属性魔法を扱える天使によって斬り刻まれ・・・砂埃のようになってしまった。
その砂埃を風の属性魔法を扱える天使達が吹き飛ばす。
これにより地上付近には砂埃に包まれてしまった。
(砂埃で私の場所を感知するつもりなのか・・・しかしながらその考えたは甘いぞ)
不適に笑うエア。
何故ならエアが今いるのは室内であり、その中から竜力のみを飛ばして周囲に存在している瓦礫を不可視化させている。
周囲に無数の瓦礫が散乱してしまっていて、どの瓦礫が不可視化されたかは直接目視しなければわからない。
いつの間にか見えなくなってしまっているこの状況では、不可視化させているエアを見つけるにはその周辺を攻撃しなければならないが・・・エアは探知されないように、不可視化した瓦礫を移動させてから攻撃している。
なので砂埃に包まれたとしても、見つけることが不可能だとエアは考えている。
(視界を塞いだとしてもこちらの攻撃は通る・・・もう一度攻撃だ!)
既に不可視化させていた瓦礫を飛ばすエア。
不可視化した瓦礫が砂埃から姿を表し襲い掛かる。
『来ました!』
『この範囲にこの量・・・流石はオールの懐刀!』
アリセス達に向かって飛んでくる不可視化された瓦礫なのだが・・・砂埃によって何処から出てきたかは発見でき、その飛んで来た数も確実に出来た。
数としては三十以上の瓦礫なのだが・・・一瞬しか瓦礫の大きさはわからなかったが、最高でも成人した人間程度の大きさだと判断でき、天使達は防御魔法を発動させて見事に防ぐ。
『場所はおおよそわかりました・・・さぁ出番ですよ』
アリセスに合図され別動隊が動き・・・砂埃が舞う中央浮遊都市へと飛んでゆく。
(おや?別動隊が動い・・・中央浮遊都市に降りたのか?)
少し渋い表情をするエア。
その理由は、砂埃舞う今の中央浮遊都市で風の属性魔法を発動して天使達を感知したのであれば、砂埃が動いてしまい自らの場所をさらけ出してしないかねないからだ。
風が吹けば砂埃は動く、それは誰でも知っていることであり、エアもこの状況ではあまり動きたくはないのだ。
『直接叩くか・・・』
隠れ蓑にしてい平屋から出て、直接攻撃しようとしたエアであったが平屋を出て直ぐ様異変に気がつく。
その異変とは・・・
『水?・・・何処から流れて?』
何処からながれて来たのかは不明だが、辺り周辺が水浸しになってしまっていたのだ。
先ほどまで・・・エアが平屋に入る前には何事もなかったのだが・・・
『何がどうなって・・・』
困惑しているエアなのだが・・・
残念ながらエアにはこの水が何処から来たのかを考える時間はなかった。
『見つけた!』
そう叫ぶや否や一気にエアに向かって攻撃を仕掛けてくる天使達。
『なに!?』
エアに向かって迫りくる怒涛の激流。
不意を突かれたエアであったが即座に防御竜法を発動させ、何とか直撃を間逃れた。
『何がどうなって・・・』
何がどうなっているのかが理解できないエア。
しかしながら怒涛の攻撃はまだ続く。
次に降り注ぐのは火の属性魔法で作り上げられた火弾に、風の属性魔法で作り上げられた風弾。
対して威力ではないが、広範囲と次々と繰り出される連続攻撃。
『まずい、このままじゃ・・・』
じり貧になってしまうと考えたエアの行動は速かった。
即座に降り注ぐ火弾と風弾の弾幕が薄い場所を見抜き、防御竜法と起動力を生かして突破を試みる。
(やはり私達と比べて練度がなっていないな・・・この程度なら楽に突破できる!)
火弾と風弾の弾幕を突破したエア。
周囲の状況を確認して今何処にいるのかを確認しようとしたその時・・・
エアが反応するよりの速く・・・電光石火の速さでヘルメスとライフルが近づき、手に持っている禍々しい宝石を起動させる。
『やっと見つけましたよ!』
『結構時間がかかったが、これで小細工は出来なくなったぞ』
禍々しい宝石が輝き、周囲に漆黒の光が包み込む。
一瞬にして広がり・・・そして中央浮遊都市上空に漆黒の塊が出来上がってしまった。
異様な雰囲気の漆黒の塊なのだが・・・その中にはヘルメスとライフル、そしてエアだけがいる状況だ。
そしてその漆黒の塊の中がどうなっているのかと言うと・・・
『おい!どういうことだ?』
漆黒の光に飲み込まれたエアであったが・・・漆黒の光の中は暗闇が広がっているのではなく、周りに奇妙な円柱と球が浮いている空間が広がっていた。
光源のような物が無いのにも関わらずにこの空間には光が広がっており、あの漆黒の光は何だったのかとエアは思うのだが・・・それよりも気になることがある。
それは目視できる範囲にあるだけで、五十以上の円柱と球。
どれもこれも同じようなデザインで黒を貴重し、皹割れているのような黄緑色の模様に、何故かその模様は不気味に脈動している。
いったい何が起きているのか理解出来ていないエアなのだが・・・この空間には何故か何処からともなく風も吹いており、心地よい気分にしてくれるような感じだ・・・この空間が突如として現れなければ。
『何なんだこの空間は・・・』
あまりの光景に唖然となってしまっているエア。
そんなエアはいつの間にか不可視化を解いており、目視できるようになっていた。
『この空間は私達が産み出した空間』
『と言っても別に貴方には関係ないでしょうけどね』
『・・・人間風情が空間を産み出したと?』
『えぇ・・・そうです。人間風情が産み出したのですよ』
『そう・・・じゃあ改めて自己紹介させてもらいますよ。私の名前は見えざる結刀。あなた貴女達は?』
『アリセスと申します』
『魔導六刀・・・沈みゆく鎖刀』
『魔導六刀?』
『そうだ・・・哀れにも人間によって作り上げられた刀だよ』
『刀・・・』
ライフルの言っていることが気になるエア。
(昔オールさまが言っていたあのか連中なのか?)
疑問に思っているエアであったが、その疑問は直ぐになくなった。
何故ならエアの目の前でヘルメスとライフルが一つになったのだ・・・
『その力に、その姿は!?』
驚きのあまり大声を上げてしまうエア。
そんなエアに対して一つとなったヘルメスとライフルは冷たく言い放つ・・・
『魔導秘伝・六刀融装・・・そして終わりだ!』
手に持っている禍々しい弓から放たれる激風の一矢。
あまりのスピードの速さに反応したエアであったが・・・一歩遅く、攻撃が直撃してしまう。
しかしながらエアもまたオールが常日頃から側に置くだけあり、間一髪で致命傷は避けることに成功する。
だが、エアの聞き手である右腕が傷ついてしまい・・・使い物にならなくなってしまった。
『貴様・・・』
『流石がと言いたいがもう終わりだぞ!』
もう一度風の属性魔法を圧縮した矢を放とうとしたヘルメス。
だが、ヘルメスが矢を放つよりも速くエアは力を解放する。
オールから譲り受けた竜力を我が物としたエア・・・新たなる力の名前は『竜王ノ刀』
力を解放したエアの姿が変わる・・・
メイド服の上に重なる武装は竜を思わせるような鱗のガントレット。
両足の武装は対して変わっていないが、エアの履いていたロングスカートには木葉を模様した武装。
背中には漆黒のマントで、そのマントには黄緑色をした竜王国の紋章が描かれている。
そして最も特徴的なのはエアの胸の中心・・・真ん中ある宝石だ。
まるで縦に割れた瞳孔のような物が存在しており・・・不気味にヘルメス達を見ている。
様変わりしたエアにヘルメス・・・数秒間の沈黙が支配し、最初に動いたのはヘルメスであった。
先ほどまで溜めていた風の属性魔法を放つヘルメス。
その攻撃は一直線にエアに飛んでゆくのではなく、まるで散弾銃のように拡散してエアに襲い掛かる。
『この程度・・・』
眼に見えない刀を振り下ろすエア。
すると拡散した風の属性魔法とエアの眼に見えない刀が激突し・・・衝撃波が周囲に襲い掛かる。
『同じ属性か!?』
自らが扱うことのできる魔法、竜力が同じ属性・・・風属性であるということに驚くヘルメスとエア。
しかしながらヘルメスは風属性よりも強力な嵐の属性魔法を扱うことができ、そしてエアは自分を含めた周囲の物を不可視化させることができる。
根本的な能力は同じであるが、使い方がまるで違う両者。
そんなエアは直ぐ様に全身を不可視化させて、また姿を眩ます。
(また姿を消したぞ!)
(安心してください。この空間でなら大丈夫です!)
姿を消したエアであったが、ヘルメスは冷静・・・周囲の音を感じ取る。
『そこだ!』
エアの微かに動くことによって生じる風斬り音を探知したヘルメスは嵐の属性魔法を繰り出す。
それはまさに縦に発生した竜巻。
暴風を伴う竜巻は、そのまま見えないはずのエアに向かって直撃する・・・よりも速くエアは動いた。
エアもヘルメスと同様に、風の属性竜法を扱うことができるので風の動きを敏感に感知して回避したのであろう。
しかし・・・ヘルメスの攻撃は終わってはいなかったのだ。
竜巻はそのまま周囲に浮遊している球に直撃すると、その球から更なる暴風が吹き荒れたのだ。
(なに!?か、風が・・・)
突如として後方から吹き荒れる暴風に対応が出来なかったエアは、バランスを崩しそのまま周囲に浮遊している円柱に激突してしまった。
かわしたと油断しており、更に攻撃されるはずがないと思っていた方向からの攻撃。
いくら空中での戦闘が得意な竜人でさえも、いきなり吹き荒れる暴風には対応が出来なかったのだ。
そして更にエアが激突してしまったことによって音が響き、ヘルメスも感知する。
『さて・・・貴女が死んだら不可視化の能力は解けるのでしょうか?』
不適に笑い勝利を確認したヘルメスは止めの一撃を放つ。
最速最高、最大威力の一撃。
逃げようとしても逃げられないほどの速さの一撃・・・『音斬リノ矢』
音速を越えるほどの速さの一矢は爆音と共にエアに直撃するはずであった・・・
エアは吹き飛ばされる瞬間に手に持っている刀を手放し、そして仕組んでいた。
ヘルメスが放つであろう魔法の直線上・・・矢の放たれたれる直ぐ目の前に置かれた不可視化の刀。
いくら強力な攻撃だとしても障害物に当たってしまえばその衝撃は拡散してしてしまい・・・もちろんヘルメスの音斬リノ矢も不可視化の刀によって防がれ矢に込められた魔法が暴発する。
『ぐっ・・・がぁ・・・』
『な、何が起きて・・・』
突如として起きた力の暴発に何が起きたのか理解出来ていないヘルメスとライフル。
身に纏っていた鎧は半分以上が砕け、服もボロボロになってしまい所々から皮膚が見えている。
見えている皮膚からは血や打撃傷。
そして手に持っていた弓は破壊され、最早弓としての性能を果たすことは出来なくなってしまった。
軋む身体を動かし、エアは翼を広げ・・・ヘルメスに狙いを定め突撃する。
不可視化に回していた竜力を全て推進力に変えたエアの攻撃。
それに対してヘルメスもまた、ボロボロの身体を動かし迎え撃つ。
弓は既に使うことが出来ないので、ライフルの鎖をまだ動かすことのできる腕に巻き付けての一撃だ。
双方の攻撃が炸裂し・・・そして衝撃波が周囲を襲う。
『多少喰らったが・・・この程度の攻撃なら!』
多少の犠牲も厭わないエアは傷つきながらも、その細長い尻尾を使いヘルメスの頭部で貫こうとする。
だがしかし、エアの攻撃がヘルメスに届くことはなかった・・・
何故ならエアはライフルの刀・・・沈みゆく鎖刀の能力を知らなかった。
傷つけた対象の動きを鈍くするという特殊能力。
その能力によって鈍くなってしまったエアであれば、ボロボロになってしまったヘルメスでも先に動けた。
エアの胸に嵌め込まれている宝石ごと貫くヘルメス。
『カウンター・・・成功かな?』
力なく倒れ込むエアとヘルメスであった・・・




