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衰癒の四教天使VS融滅の灼轟竜・終幕

 追ってきた天使達を撤退させたウルキード達は、目的地を目指して飛んでいたのだが・・・異様なことに気がつく。

 その異様なことはと言うと・・・天使達が全くもって居ないのだ。

 ウルキード達を追ってきた天使達以降、天使の姿を目撃することはなく・・・そしてとうとう衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)が最初に降り立ったであろう区画へとたどり着いてしまった。

 周囲の建物は軒並み破壊され、水没してしまっている。

 元々は竜人(ドラグニル)達の住居が建ち並ぶ住宅街であったのだが・・・その面影は少しだけ残っている程度で、中には見るも無惨に倒壊してしまっている家屋もある。

 そして、もちろんこの区画に住んでいた竜人(ドラグニル)は全滅している。

 その惨状を見て悲しみ、怒りに燃える竜人(ドラグニル)もいるが・・・ウルキードを含めて歴戦の竜人(ドラグニル)はあることに気が付く。


『全滅・・・何故?』

『おかしい・・・どういうことですウルキード様?』


 歴戦の竜人(ドラグニル)に意見を求められたウルキードであったが、自身もまたその謎に対しての答えは出ていない。

 その謎の答えはというと・・・先ほどウルキード達に起きた出来事。

 仲間であった筈の竜人(ドラグニル)が突如見境なしに襲ってきたという出来事のことだ。

 嘗て仲間であった竜人(ドラグニル)は既に何らかの方法によって死んでいた。

 外傷というものは何一つ存在していなかったが・・・ウルキードを含めた全員が死んでいたのを確認している。

 死んでいるはずであった竜人(ドラグニル)は何らかの方法によって操られ、ウルキード達と衝突し・・・そして倒された。

 そのことは事実であり、この場の全員が知っている。

 なのにも関わらずに、此処で死んでしまった竜人(ドラグニル)は明らかに外傷で死んでしまっていて・・・中には首を斬られてしまっている竜人(ドラグニル)もいる。

 つまりあの時とは違い戦闘があったと言える。

 あの時何故仲間達が襲いかかって来たのかは未だにわからないが・・・操るのには何かしらの条件があるのだと、ウルキードはこの惨状を見て過程する。


『ウルキード様よろしいですか?』

『どうした。何かあったのか?』

『その逆です。何もないのです』

『何もない?』

『はい。天使達との戦闘の後はありましたが・・・先ほど確認した通り天使達はおらず、そして仲間達も全員死んでしまっています』

『・・・・・・』


 竜人(ドラグニル)からの報告を受けて言葉を詰まらせてしまったウルキード。

 いるはずの天使・・・四教天使・衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)の存在は確認できない。

 ここまで苦労して来たのにも関わらずに宿敵である衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)が居ない・・・つまりウルキード達を突破される為に犠牲となった竜人(ドラグニル)の行動は無意味となってしまったのだ。


『なんということだ・・・』


 犠牲が無意味と理解してしまったウルキードから落胆と同時に、ため息が溢れてしまう。

 頭に浮かぶ、身を挺してウルキード達が進むべき道を作ってくれた仲間に犠牲となってしまった無念の竜人(ドラグニル)

 その者達の無念を晴らすと誓ったのにも関わらずに出来なかったことを考えてしまうと重圧に押し潰されてしまいそうになる・・・普通の竜人(ドラグニル)であれば。

 しかし・・・ウルキードは違う。

 歴戦の竜人(ドラグニル)の中でも長年前線で戦ってきたウルキード。

 四方の浮遊都市を任せれてからは若者の育成を主にしていたが・・・それでも長年、四方の浮遊都市をオールから任せているのは一重にウルキードの信頼、戦術、そして何よりもウルキードが他の竜人(ドラグニル)に比べて強いということが大きい。

 そして、そんなウルキードは普通の竜人(ドラグニル)であれば折れてしまい兼ねない重圧にも耐え・・・そこから起死回生の一撃を打てる逸材でもある。


『少し考えさせてくれ・・・』


 まぁ、直ぐ様に起死回生の一撃を打てるというのは無理な話なのだが・・・



 衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)率いる天軍。

 命令を受けて集合した天使達は衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)の作り出した機動要塞に集結していた。

 この機動要塞の名前は『天使ノ劇場』

 そしてこの機動要塞を一言で言い表すのであれば、円盤型の移動要塞であり・・・その大きさはウルキードの住んでいる城と同等。

 銀色した円盤であり・・・その中央には城のような物が存在しており、そこに衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)達天使達が集結している。

 城の周囲を囲んでいるのは夥しい数の魔法陣で、一秒ごとに動いているその様子は、異様な雰囲気となっており・・・衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)の命令で集結した天使達もまた戸惑っている者も中にはいる。

 様々な魔法陣に機械仕掛けの機材、金属質な室内は今まで天使達が見てきたどの光景にも似ていない。

 しかしながらこの天使ノ劇場は衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)が作り出した物なので・・・戦場に出ている時よりも安心はできる。


『さて・・・準備は整いました』


 衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)がそう言い終えると、様々な機材と繋がれた魔法陣の中央に移動し・・・魔力を流し込む。

 魔法陣の中央・・・衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)の両手には様々な機材と繋がれた杖があり・・・触ると天使ノ劇場が移動する。

 速度としてはあまり速くはないが・・・それでも城と同等の大きさの物質が動いているのはこの世界ではありえない光景だ。


『総員配置に着いてください。竜人(ドラグニル)が視界に入り次第連絡を』


 衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)の指示に従い天使達が配置につく。

 慣れない機械操作・・・があるわけでもなく天使達は衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)の作り出した魔法陣の中に入る。

 すると魔法陣から光輝く触手のような物が無数に現れ、天使達の輪に絡まる。


『こ、これは・・・』

『外の風景が目の前に!?』

『地上に敵の気配はないです』

『こちらも異常ないです』


 天使達の輪と絡み合った触手の正体・・・それは天使ノ劇場という機動要塞に組み込まれた監視網と連結しており、天使達は自ら目視しなくても下界や周囲の状況を見ることができる。

 一人では範囲全てを監視することは不可能なので、監視する天使は複数おり・・・監視役の天使達だけではなく、攻めてくる竜人(ドラグニル)に対抗する為の天使達も魔法陣につく。

 各種属性魔法を扱うことのできる大天使に、その大天使をサポートする為の天使達。

 無論死角が無いように全包囲に攻撃できるようになっている。

 最初は戸惑っていた天使達だが・・・それは何も知らなかったということが原因だ。

 無知・・・何も知らないということは、その正体不明な物が何をしてくるのかがわからないから戸惑ってしまうのだ。

 しかしながらそのことを理解できたのであれば世界は変わる・・・

 知識は力・・・衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)がその知識を集結させて作り出した天使ノ劇場は、相手にとって正体不明、理解不可能な存在となり襲いかかる。


『な、なんなんだ・・・あれは?』

『円盤?』

『て、敵なのか?』

『う、ウルキード様・・・ど、どうすれば』


 雲を掻き分けて現れ出た正体不明の円盤に戸惑うウルキード達。

 大きさもさることながら、巨大な鉄の塊が浮いているという事実。

 敵なのか?見方なのか?

 攻撃すべきか?それとも一度撤退して様子を見るべきなのか?

 長考しようにも衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)はそれを許してはくれなかった。


『全天使達に通達!天使達よ憎き竜人(ドラグニル)を殲滅せよ!』


 衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)の指示に従い各種属性魔法を扱うことができる大天使が魔力を込める。

 すると天使ノ劇場に魔法陣が浮かび上がり・・・その銃口がウルキード達竜人(ドラグニル)を捉える。


『慈悲など無い・・・』

衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)の名の元に粛清を!』

『完全に滅します』

『こちらは任せてください』


 魔法陣に魔力が伝えられ・・・各種属性魔法が炸裂する。

 ウルキード達竜人(ドラグニル)は天使ノ劇場の周囲を取り囲むようにして展開しているので、それらを薙ぎ倒す為の広範囲殲滅魔法。

 各種属性魔法を融合して作り出された超巨大な竜巻が襲いかかる。

 風の属性魔法を使用しての暴風を作り出し・・・更に炎を加えることによって暴風は炎の竜巻へと変わる。

 岩石は疎らに散らばっていて、大きい物は人の顔ほどあり暴風と共に岩石も巻き上げら・・・水の属性魔法によって産み出された雲は周囲を回転する暴風と共に雷鳴を轟かせる。

 天変地異を引き起こす大災害にも匹敵する魔法。


『これはまずいぞ・・・』


 長年生きてきたウルキードでさえも絶句してしまうほどの大魔法。

 抗うことができないと悟ったウルキードを含めた竜人(ドラグニル)達は、持てる全ての竜力を使い衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)に対抗する竜法を放つ準備をする。


『竜法秘伝・魔ヲ喰ライシ融滅ノ竜』


 ウルキード達竜人(ドラグニル)が暴風へと巻き込まれ・・・絶命と同時に竜法が炸裂する。

 自らの命を犠牲にした竜法は、周囲にある竜人(ドラグニル)の亡骸を喰らい尽くす。


衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)様何か変です!?』

『どうしたのですか?何があったのです?』

竜人(ドラグニル)は倒せた筈なのですが・・・』

『なるほど・・・何かこの暴風の中で予想外のことが起きているようですね』

『も、申し訳ございません・・・視界が悪いので何が起きているのか』

『大丈夫です。私は貴女を信じますよ』


 衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)に信じていると言われて顔を赤らめるてしまう。

 そして警戒するように防御魔法を展開しようとした瞬間・・・竜人(ドラグニル)を喰らい尽くした融滅ノ竜が天使ノ劇場に攻撃を仕掛けようとしていた。


『な!?』

『あ、あれは・・・』

『最大防御です!』


 大急ぎで防御魔法を展開することに成功した天使達だが・・・その衝撃は止めることは出来ず、地震にも似た揺れが襲いかかる。


『こいつは・・・』


 先ほどまで吹き荒れていた暴風が収まり・・・ウルキード達が産み出しが融滅ノ竜がその姿を現す。

 天使ノ劇場よりも小さいが竜人(ドラグニル)よりも大きく、その姿は竜人(ドラグニル)とは違い全身鱗に覆われた竜と言われる存在・・・をベースにしているのであろうが、何故か六足歩行。

 四足歩行の動物と同じような骨格をしているものの、その背中からは翼幕がある両腕よりも巨大な腕。

 しかしながらその巨大な腕を良く見てみると・・・多数の竜人(ドラグニル)の腕のような物が絡み合っているようであり・・・その姿はそれはまるで亡者のような感じだ。

 そして腕の中には目玉や心臓のような物が見られる。

 かなり高温なのであろう、全身からは蒸気のような物が出ていてより一層不気味な雰囲気を増大させ・・・呪いにも似た咆哮が天使達に襲いかかる。

 それはまるで世界全てを怨むような咆哮。

 融滅ノ竜が天使ノ劇場を掴もうとしているのを視界に捉えた衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)は、天使達に風の属性魔法を発動させて回避させる。


『危なかった・・・』


 急速に回避したことによって揺れてしまった天使ノ劇場を水平に立て直す衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)

 即座に天使達に状況を確認させ、破壊されてしまった箇所がないかを調べる。

 幸いなことに天使ノ劇場は無傷で、何も問題なく攻撃することも、移動することもできる。


衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)さまあれが・・・』


 モニターに写し出された融滅ノ竜の姿を再確認にした天使達から動揺の声が聞こえてくる。

 先ほどまでは融滅ノ竜の身体から出ていた蒸気と、そして距離が近かったからなのか、その全容を良く見えていなかったこともあり全容を確認した今・・・その歪さがより一層日の光に当てられ露になる。

 大きく裂けた大口は容易に天使を喰らうことができるだけではなく・・・その大口から覗く牙は怪しく輝いている。

 毒なのか?それとも全く違う物質なのかは不明だ。

『ギョロリ』と天使ノ劇場を見据える融滅ノ竜の瞳は金色であり・・・その瞳は見るだけで心の弱い者であれば萎縮してしまい兼ねない恐怖を与えてくる。

 融解ノ竜の皮膚は鱗なのだが・・・その鱗は元々は違う色だったのであろうが、自らの身体から溢れだしている蒸気の影響なのか黒く焦げてしまっている。

 不気味に溢れでる蒸気もさることながら、最も注目すべき物は中央に埋め込まれている数多の魔導石、竜導石だ。

 その中でも真ん中にあるのは、融滅ノ竜には全く似つかわしくない眩いばかりの光を放つダイヤモンドのような宝石。

 これはウルキードを含めた土の属性竜力を集結して作り出した竜導石であり・・・亡き竜人(ドラグニル)達の純粋な竜力の結晶。

 土の属性竜力以外にも火、風、水、更にはウルキード達を含めた使っていた魔導石が宝石のような結晶となってしまっているのだ。


『ぎぃぃぃぃがぁぁぁぁぁ!!』


 融滅ノ竜が咆哮を上げると同時に、組み込まれている竜導石が心臓の鼓動のように脈動し始める。


衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)さま!』

『まずいですね・・・』


 竜導石が脈動すると同時に竜法陣が展開する。

 しかも一つや二つではなく、合計で二十以上の竜法陣であり・・・全て天使ノ劇場、衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)達の方向に向けられている。


『全ては防げないか・・・総員衝撃に備えてください!』


 衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)の指示に従い天使達は衝撃に備えると同時に、最大防御魔法を展開し・・・夥しい数の竜法が天使ノ劇場に襲いかかる。

 炎弾に、水弾、風弾に岩石弾などの他にも、火炎放射のような攻撃に一点集中に圧縮した水。

 高速に回転している風の刃に、槍のように鋭く尖った無数の土の槍など、城壁すらも破壊しかねないほどの攻撃だ。

 攻撃が防御魔法に直撃し、衝撃で天使ノ劇場が揺れ動く。

 その振動に耐えきれなかった天使達の悲鳴が響き渡る。


『ぶ、無事ですか?』

『な、何とか・・・』

『た、大変です衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)さま!』

『どうしまし・・・』


 天使が報告するよりも早く、衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)は周囲の異変に気が付く。

 それは明らかに先ほどよりも高度が下がっており・・・そして今も徐々に下がって来ているのだ。


『先ほどの攻撃で、風の属性魔法を放っていた魔導石の一部が砕けてしまったようです』

『やってくれましたね・・・』

衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)さま奴が動きます!』

『接近戦は不利です。風の属性魔法を最大展開させるど同時に、その他の属性魔法で奴を打ち落としますよ!』


 残っている風の属性魔法を扱う魔導石を使い、融滅ノ竜と距離を取るように指示を出す衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)

 しかしながらそのことに感ずいたのか?融滅ノ竜は翼を羽ばたかせ距離を詰める。


『あんな巨体なのに意外と俊敏ですね』


 融滅ノ竜の再び脈動し始め・・・今度はその大口から光が漏れ始める。


『各種属性魔法放てる準備に入りました!』


 天使が報告し終えると同時に、天使ノ劇場の武装が展開し・・・戦艦の主砲のような巨大な砲身が露になる。

 一つの砲台に三本の砲身。

 風の属性魔法を放つことのできる砲台は無いので、展開できる砲台は合計で三台・・・九つの砲身が迫り来る融解ノ竜を視界に捉える。

 融滅ノ竜は至近距離で攻撃しようとしているからか、まだ竜法を放つ気配が無く・・・先に先手を打ったのは衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)だ。

 まず第一に融滅ノ竜の機動力・・・翼に狙いを定め魔法が放たれる。

 先ほどの魔法とは打って変わって、魔力の塊を圧縮し、その中に各種属性魔法を組み込んだ砲弾が発射される。

 爆音と共に放たれた砲弾。

 しかしながらその砲弾が直撃するよりも早く、融滅ノ竜は天高く飛び上がる。

 それはさながらロケットのような爆発的な加速で、ほぼ垂直に浮上することによって砲弾から逃れたのだ。

 虚しく空振りに終わってしまった。


『逃げた!?』

『いいえ・・・違いますね』


 上空へと逃げた融滅ノ竜であったが、逃げたのではなく、砲弾をかわすと同時に天使ノ劇場の死角となっている上の部分に移動しており・・・既に攻撃態勢は整っていた。


『どれ程の知識があるのかは知りませんが、死角に回り込むのはよい考えですね・・・まぁ、対策をしていないのならの話ですが』


 不適に笑みを浮かべた衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)は、懐から天秤を取り出す。

 この天秤は衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)が雷を誘導する為に使っていた魔導具なのだが・・・今周囲には雷を降らせることのできる黒雲は存在していない。

 はるか遠方にはあるかも知れないが・・・目視で見える範囲にはなく、そしてもちろん融滅ノ竜の周辺にもない。

 なのだが、衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)は天秤を使い雷鳴を呼び寄せる。


『天使ノ劇場の内部には更に雷を誘導するための仕掛けがあるのですよ。そして私の雷は下に落ちるだけではないのです』


 雷鳴と同時に、はるか遠方から雷が天使ノ劇場に向かってくるのだが・・・天使ノ劇場に当たる前に衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)の魔力によって誘導され融滅ノ竜へと直撃する。

 いくら融滅ノ竜の機動力があろうとも、雷の速度に反応することは出来なかったようだ。


『直撃しました!』

『し、しかしまだ生きています!』

『了解です。ならば急速浮上し、射程圏内に入れますよ』


 衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)の指示に従い急速に浮上する天使ノ劇場。

 雷は直撃したが、今だ健在な融滅ノ竜なのだが・・・どうやら雷に打たれてしまったからのか動きが鈍い。


『射程距離に入りました!』

『翼を狙ってください』

『了解です』


 衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)の指示に従い魔力を込め・・・そして融滅ノ竜に向かって放つ。

 天使ノ劇場の砲撃に反応することが出来なかった融滅ノ竜は、そのまま魔弾が直撃してしまう。

 世界全てを怨むような、悲痛な叫びと共に炸裂した火、土、水の属性魔法によって立派であった翼はボロボロとなってしまい・・・そのまま地面へと落下して行く。


『予想以上の戦果です。追撃して持てる全ての魔弾を浴びせますよ!』

『了解です』

『わかりました!』

『絶対に仕留めます』


 天使ノ劇場の方向を変え垂直になると、そのまま落下している融滅ノ竜に追撃するように魔弾を繰り出す。

 怒涛の砲撃を繰り出し、爆音と爆炎が、岩石が、激流が咲き乱れる。

 融滅ノ竜だけではなく・・・融滅ノ竜が落ちた地面すらも崩壊される程の砲撃によって、浮遊都市の一部が崩壊し、そのまま融滅ノ竜も一緒に落ちて行く。


『死にましたでしょうか?』

『落下しましたからね。死んだとは思いますが・・・』

『明確に死んだと仮定するのは少し不安です』

『そうですね・・・どうしますか衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)さま?』


 融滅ノ竜が落下していったのはわかっているが・・・それでもまだ確実に死んだかどうかは不明。

 確実に倒すのであれば融滅ノ竜が落下したと思われる場所付近にまで近づき、直接魔弾を叩き込まなければならない。

 しかしながら衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)を含めた天使、大天使達の残り魔力はお世辞にも多いとは言えず、この後にも竜人(ドラグニル)との戦闘が続くのを考えると・・・正直死んでいるのか、死んでいないのか不明な融滅ノ竜に対してこれ以上魔力を使いたくないのが天使達の本音だ。

 そんな中、衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)は迷った末にある決断をする。

 その決断だとは・・・


『総員天使ノ劇場から撤退してください』

衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)さま?』

『どういうことです?』


 天使達の視線が自らに集まっているのを確認すると、一拍置きこの後に何をするのか話し始める。

 この、衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)の切り札とも言える天使ノ劇場を切り捨て、天使ノ劇場自体を融滅ノ竜が落下して行った下界に向けて叩き落とすという作戦だ。

 天使ノ劇場自体の質量というのは、城と同等であり・・・そしてまだ天使ノ劇場の中には多数の魔導石が残っている。

 その魔導石が一気に起動してしまえばどうなるのか?

 実際、起動したことが無いので衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)自身にもどのような結果になるのかは不明なのだが・・・確実に言えることは融滅ノ竜を含めた下界にいる大半の生物は為す術なく、死滅してしまうということだけだ。

 そして多少の反対意見はあったものの、衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)の決定が覆ることは無く・・・衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)を含めた全天使が天使ノ劇場から撤退する。


『さて・・・祈りましょうか』


 衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)と天使達が祈り、天使ノ劇場が下界へと落下していき・・・そして世界が一転する。

 天使ノ劇場に組み込まれた魔導石が炸裂し、天使ノ劇場が落下したことによって生じた衝撃波が下界に襲いかかる。

 最早それは人類では抗えない自然災害にも匹敵する衝撃波。

 無論それほどの破壊に呑み込まれてしまった下界はどうなるのか?

 土埃が晴れた後に残るのは、生物が住まうことを許されなくなってしまった世界が広がってしまうだけであった・・・

 そしてそのことを見届けた衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)達は、更なる竜人(ドラグニル)を狩る為に動き出すのであった。


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