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絶軍の四教天使VS月響の純白竜・終幕

 北の浮遊都市・ロウェイノースより更に北に存在する研究施設。

 この研究施設はハッカが主導して作り上げた施設であり・・・ハッカは今その施設にたどり着いていた。

 数多に張り巡らされた竜法に、目まぐるしく動く機械。

 ハッカから命令を受け先にたどり着いていた竜人(ドラグニル)はその施設の仕掛けを起動させており、あとはハッカが竜力を注ぎ込めば完成する仕組みとなっている。


『さて・・・あの天使達はどうなっていますか?』


 そう言いながら周囲の竜人(ドラグニル)に天使達、絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)が来ていないのか確認するハッカであったが・・・どうやらまだたどり着いてはいなかったようだ。


『見失ったのでは?』

『四教天使と言っていたあの天使がですか?』

『それなら笑い事ですけどね』


 近衛の竜人(ドラグニル)が四教天使である絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)のことを警戒しているが・・・未だに絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)の姿形は確認されていなかった。


 絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)率いる天軍なのだが・・・ハッカを追っている最中に、別の施設を強襲した天使達と合流したことによって戦力の再確認をしていた。

 そして絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)の本陣と合流したことによってその数は二倍以上になっている。

 ハッカとの戦いで楽園へと導かれた天使達もいるが・・・それでも単純に戦力の増強には変わりなく、更に天使達が竜人(ドラグニル)にも対抗できると証拠にもなる。

 はっきり言って竜人(ドラグニル)との戦いは天使達によって不安材料。

 勝てるとは思っていても、相手は天使達よりも格上な存在であり・・・一対一の戦い戦いでは竜人(ドラグニル)に軍配が上がることは確実。

 しかしながら個々で戦っても勝てない相手な竜人(ドラグニル)に対して二対一、三対一で戦えば勝てるとこの戦いで証明されてしまった。


絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)様この後どうなさいますか?』

『私としてはあの逃げた竜人(ドラグニル)を追いたいのですが・・・何か妙なのですよね?』

『そうなのですか?』

『えぇ・・・撤退した区画というのが妙なのですよ。撤退した区画にも既に天使達は降下し、戦闘はしました。しかしながら降下してから数分もしないうちに連絡が途絶えてしました』

『それはつまり・・・』

『そして私がこの首都付近で戦闘している最中・・・あの竜人(ドラグニル)は乱入して来ました。北の・・・あの撤退した方角から』

『まさか、北の軍勢は・・・』

『倒された可能性が高いでしょうね』


 そのことを聞き、一気に表情が曇る大天使。

 彼女の名前はメスリア。

 先ほど増援に来た軍勢を率いる大天使であり、自らは風の属性魔法を扱うことができる。

 彼女が担当した区画の竜人(ドラグニル)は既に殲滅し終わっていり、増援に駆けつけることが出来たのだが・・・メスリアの降下した区画はあまり戦闘要員が配置されてはおらず、比較的楽に倒すことができたので他の天使よりも早く駆けつけることが出来たのだ。

 自らが比較的楽に竜人(ドラグニル)を倒したことによって他の勢力も比較的楽・・・とまでは言わないが善戦しているであろうと思っていたメスリアは、予想外の事態になっていると知り落胆の色を隠しきれていない。

 しかしながら落胆の色は数秒・・・数秒もしない内にメスリアの表情は引き締まった、何かを決意した表情へと変化する。


絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)様提案が・・・』


 一呼吸置きメスリアは絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)に一つの提案を提示する。

 その提案とは自らが率いる部隊の一部を率いて威力偵察だ。

 無論その提案主であるメスリアも同行する。

 つまりメスリアは自らを犠牲にして逃げた竜人(ドラグニル)・・・ハッカが何をしているのかを探ろうというのだ。

 しかしながらその提案を即座に却下する絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)

 納得のいかないメスリアであったが、絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)は何か秘策があるようだ。


『幸いこの周辺には、竜人(ドラグニル)にしてはなかなか素晴らしい物が数多くある・・・』


 そう言いながら不適に微笑む絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)は、周囲に天使達を集め儀式をし始める。

 周囲の天使達も驚く大儀式を・・・



 絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)との戦いから撤退し数時間が経過してしまった。

 しかしながら、数時間が経過したのにみ関わらずに一向に姿を見せる気配がないことに不安を抱き始めた竜人(ドラグニル)の面々。

 中には退屈してしまっているのか、欠伸をしてしまっている者もいる。

 確かに、戦う、攻めてくると言われているのにも関わらずに何時間も何のリアクションもないのであれば飽きてしまわなくもないが・・・今は戦争中であり、攻め込まれている最中だ。


『来ませんね・・・』

『確かにそうだな』

『まさか本当に我々のことを見失ったのでしょうか?』

『そうはないと思うが・・・流石に時間が時間をだからな』


 二体の竜人(ドラグニル)が話していると・・・遠方から何かが近づいてくるのを視界に捉える。

 その何かは複数ではなく、単体・・・それも明きらかに天使よりは大きな物だ。


『な!?あ、あれは・・・』

『ば、馬鹿な!?』

『あ・・・ありえ・・・ありえない』

『嘘・・・でしょ?』

『ハッカ様・・・』


 遠方から近づく物を視界に捉えると同時に口々に不安の言葉を口にしてしまう竜人(ドラグニル)

 それもそのはずだ。

 竜人(ドラグニル)の視界に現れたのは巨大な・・・巨大な空飛ぶ船であった。

 しかしながら、船っというのにも関わらずに風を受ける帆という物は存在しておらず・・・その変わりに船に乗っている風の属性魔法を扱う天使達が魔法を放っている状況だ。

 巨大な空飛ぶ船の材料なのだが、それは先ほどまで大儀式によって集めた周囲の瓦礫で作り上げた船であり・・・ところどころにハッカ達の見慣れた建物が見られる。

 その中にはもちろんハッカの住んでいた城も含まれている。


『やっぱり待ち伏せをしていたのか・・・だが、これは予想外だろ?』


 誇らしげな表情を浮かべる絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)に対して渋い表情のハッカ。

 絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)の声はハッカに聞こえないであろうが・・・それでも絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)が何を言おうとしているかは理解できる。


(・・・まさかあのまま突撃してくるのか?)


 速度を緩める気配のない巨大な船に竜法を放ち応戦する竜人(ドラグニル)なのだが・・・大きさ、質量共に並大抵の竜法程度では装甲を破壊する程度となってしまっている。

 操っている絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)を攻撃する竜人(ドラグニル)もいるが・・・残念ながらそう簡単には突破することはできずにいる。


『は、ハッカ様このままでは・・・』

『まずいですよ!』

『一向に止まる気配がありません・・・どうします?』

『破壊は不可能なのか・・・』


 落胆の色を隠しきれず、思わず口に出してしまう竜人(ドラグニル)

 ハッカの近衛兵という通常の竜人(ドラグニル)よりも強者であるはずの近衛兵も、徐々に焦り出してしまいそうになるが・・・

 ハッカだけは冷静に・・・冷静に竜法を放つ準備をしていた。

 一発逆転ができる竜法・・・『月ハ闇夜ニテ美シク輝キ、純白ノ竜ハ響鳴スル』


(何故動こうとしない・・・この状況からどうにか逆転できるとでもいうのか?)


 巨大な船に乗っている絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)なのだが、この船を目視できる範囲にまで近づいているのにも関わらずに一向に動こうとする気配がないことに疑問を抱く。

 この船は即席ではあるが、強度は高く・・・上位の竜人(ドラグニル)の竜法さえも凌ぐことができるほどの強度を持っている船であり、この船を破壊しようというのであれば、最高位威力の竜法を複数発放たなければ破壊することはできないであろうと踏んでいる。

 なのにも関わらずに、先ほどまで放っていた竜法は止んでしまった。

 それはまさに嵐の前の静けさ・・・ハッカが何かは企んでいる確実であった。


『逃げようとしないとは良い度胸だな!』


 絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)の挑発をするが、ハッカはまるで意に介してはいなかった。

 そして竜力を、集中力を高め・・・そして竜法を解き放つ。


『竜法秘伝・月ハ闇夜ニテ美シク輝キ、純白ノ竜ハ響鳴スル・・・』


 絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)の作り出した巨大な船が後数分で激突しようとしたその時・・・世界が変わる。

 先ほどまで昼間であった周囲の景色は一転し、闇夜に変わってしまったのだ。

 一瞬にして周囲の景色が変わってしまったことに驚きを隠しきれない天使達。

 それは絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)も同じであり・・・闇夜に変わったとしても巨大な船や、絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)を含む天使達には何の異変も感じられない。


(またハッタリか?)


 先ほどと同じように、はったりだと思った絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)であったが・・・そんなことを考えている間に巨大な船は地面へと激突し、周囲の建物を根こそぎ巻き込み破壊してしまった。

 最早それは巨大な土石流・・・

 ハッカが準備した仕掛けも全て破壊されてしまった・・・真っ暗闇の中だが。


『この空間は何だ?周囲が闇夜に変わってしま・・・』


 巨大な船諸ともハッカの仕掛けを破壊することに成功した絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)であったが、不意に闇夜を照らす光が出現した。

 何の前触れもなく、急に現れたその光の正体は夜に輝く月。

 人間だろうが、竜人(ドラグニル)だろうが、この世界に住まう者であれば必ず知っている月が出現したのだ。

 それにより昼間とまではいかないが・・・周囲を照らし、周囲の状況が露になる。

 月夜を背に天使達と対峙する竜人(ドラグニル)と、先ほどまでなかった筈の神々しい杖を携えたハッカが其処にはいた。

 形状としては錫杖をしており、その中央には目映いばかりの宝石が嵌め込まれている。

 鉄・・・というよりは白銀色をした錫杖の名前は『月憑響魂の錫杖』。

 いつの間にかハッカもまた先ほどとは違う服装に変わっており・・・マリアティアス達を彷彿させる聖職者の衣服を着ている。

 しかしながらマリアティアスとは正反対の純白で、ところどころに金色の装飾が施されていて・・・まるで動かなければ一枚の絵画のような美しさをしている。


『何だ・・・これは?』


 突如として現れ出た月に疑問を抱いていた絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)

 そんな絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)を他所にハッカは手に持っている錫杖を、天高く掲げたあと・・・叩きつける。

 しかしながらハッカがいるのは空中、錫杖を叩きつけたとしても空振りになってしまう筈なのだが・・・錫杖は目に見えない硝子にでもぶつかったかのように音が響き渡る。

 そして錫杖を叩きつけた空中・・・場所には皹が出現し砕け散る。

 女神セラフティアスがこの世界に降臨した時と同じような皹なのだが・・・皹からは名状しがたき光の塊が次々と溢れ出し、ハッカ意外の周辺にいる竜人(ドラグニル)にまるで憑依するかのように重なり合う。

 すると重なり合った竜人(ドラグニル)の雰囲気が一転する。

 ハッカが率いて近衛兵は確かにエリートであり、精鋭の中の精鋭・・・なのだが、長い歴史の中で見れば近衛兵よりも強者の竜人(ドラグニル)は存在している。

 英霊と言ってもよい竜人(ドラグニル)の力を一部でも使うことができれば、更に近衛兵の力が上昇するのは言うまでもなく・・・英霊の魂が憑依した竜人(ドラグニル)の竜力が上昇する。


『な!?まさかこれは・・・』


 驚き、戸惑う絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)と天使達。


『さぁ・・・英霊の魂と共に我が地を荒らす愚か者どもを殲滅するのです!』


 英霊の魂を、力の一部をその身に宿した竜人(ドラグニル)が一斉に攻撃を仕掛ける。

 その威力は先ほどりよりも強力になっており、天使達に襲いかかる。


『応戦しろ天使達!』


 絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)の咆哮にも似た叫びと共に乱戦が始まってしまった。

 竜人(ドラグニル)の意表を突いた奇襲攻撃を成功させたのは良かったものの、突如として強化された近衛兵に苦戦している天使達。

 乱戦なので白兵戦を仕掛ける竜人(ドラグニル)もいれば、遠方から得意の竜法を放つ竜人(ドラグニル)もおり・・・完全に個々の力で天使達と渡り合っている。

 ハッカが指揮している様子などはないが・・・こちらに攻撃することなく、近衛兵の竜人(ドラグニル)に厳重に守られていることから、絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)はハッカを殺ればこの状況を打破できると過程し・・・選りすぐりの大天使を連れてハッカに打って出る。


『あの竜人(ドラグニル)は私が斬る・・・取り巻きは任せたぞ!』


 そう言い終えると直ぐ様絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)の後方に多数の魔法陣が出現し、その魔法陣の中から絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)は巨大な槍を出現させ・・・ハッカに向かって投擲する。

 一撃で城壁さえも破壊できるほどの巨大な槍が迫りくる中で、ハッカは冷静に槍の軌道を見極め・・・かわす。


『あまいぜ・・・』


 ハッカにかわされた巨大な槍だが・・・絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)は更に魔法陣から新たな武器を取り出す。

 今度は鋭く鋭利な形状をしている大中さまざまな円盤状の武器で、その周りには無数の刃が付いている。

 その円盤状の武器を絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)は両手の他にも、背中から土の属性魔法で作り上げられた腕を使い合計で八つの円盤状の武器をハッカ目掛けて投擲する。


『同時に・・・周囲の天使どもは任せましたよ』


 迫りくる円盤状の武器と絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)と共に迫りくる大天使を近衛兵に任せ、絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)

 とハッカが激突する。


『お前を倒せばこの空間は破壊される!』

『貴女にその力があればですがね!』


 いつの間にか手にしていた双剣を手にハッカに斬りかかる絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)

 その攻撃を錫杖でガードすると、ハッカは水の属性魔法で作り出した刀で攻撃し・・・絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)の衣服を切り裂く。

 間一髪でハッカの攻撃をかわすことに成功した絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)に対して、更に攻め込もうと一歩前に踏み込む。

 その瞬間を待っていたかのように、土の属性魔法で作り上げた四本の腕で攻撃を仕掛ける。

 四本の腕の武器はそれぞれ違い、長槍や大鎌、短剣に鉄槌だ。

 間合い、威力、攻撃方法、そしてタイミングも全て違う絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)の攻撃。


『終わりだ・・・』

『それはどうでしょうか?』


 間合いを詰められてしまったハッカであったが・・・竜力を一気に爆発させ、ハッカを中心に巨大な水の衝撃が周囲を駆け巡る。

 ハッカと距離が最も近かった絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)は、その衝撃によって吹き飛ばされてしまいながら周囲の状況を確認していると、絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)だけではなく周囲にいた天使や竜人(ドラグニル)も同時に吹き飛ばされてしまっているのが視界に入る。


(仲間ごと・・・)


 自らの部下である近衛兵さえも吹き飛ばさしたハッカだが、そんなことは関係ないとばかりに水の属性魔法で作り出した刀を振り下ろす。

 到底刀の間合いではないのだが水に固定の形がないように、水の刀はその刀を変え・・・絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)に向かって襲いかかる。

 鞭のように撓った水の刀。

 それは圧縮されら高圧の水のように絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルを斬り裂く。


『ぐぁ・・・腕・・・がぁぁ』


 水の刀によって絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルの左腕が斬られ、斬られた部分から光輝く泡が溢れ出す。

 振り下ろした水の刀を即座に手放したハッカは、更に追撃するように水の属性魔法を放つ。

 その属性魔法は竜へと姿が変貌し、絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルに向かって襲いかかる。

 鋭利な牙に鉤爪は容易に人、竜人(ドラグニル)を貫けると確信できる。

 水で出来ているが・・・


(やはり強化されている・・・)


 先ほど戦闘した時よりも放つ竜法の威力が上がっているのを確信する絶軍の四教天使ミカ・ディエラエル

 斬られてしまった箇所に土の属性魔法を使い擬似的に腕を作り出すと同時に羽ばたき、水の竜の攻撃を回避する。

 するとすかさず反転し、再び絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルに対して攻撃する。

 大口を開けて迫りくる水の竜なのだが、絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルもまた応戦するように土の属性魔法を放つが・・・竜の身体は水で出来ている為に攻撃が直撃したのにも関わらずにダメージを負っている気配は感じられない。


『無駄ですよ・・・まぁ、油断などは一切するつもりはありませんが!』


 更に竜力を練り上げ・・・ハッカは更にもう一体の水の竜を作り出す。


『もう一体だと!?』


 合計二体となった水の竜。

 もちろん狙いは絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルであり・・・そして逃げ場を失ってしまった絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルに二体の水の竜が直撃する。

 水がぶつかっただけなのにも関わらずにまるで爆発のような轟音が響き渡り、絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルを中心に巨大な・・・闇夜を照らす月と同等の大きさの水球が誕生する。

 この莫大な水量は二体の水の竜を形成していた水であり・・・その水量全てを使い絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルを水の牢獄へと閉じ込めたのだ。

 更にハッカは絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルを水の牢獄に閉じ込めただけではなく・・・竜力を更に加え圧縮する。


『終わらせます・・・』


 圧縮すると同時に水の牢獄を地面に向かって思いっきり叩きつけ・・・弾ける。

 水の牢獄が弾けたと同時に現れた絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルは無様にも地面に叩きつけられてしまっており、うつ伏せに倒れ込んでしまっていた。


『終わったようですね』


 地面に倒れて動く気配がない絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルなのだが・・・更にハッカは追撃するように水の属性竜法を放つ。

 圧縮された水はまさにレーザーのようで、絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルに直撃すると同時に地面を抉り水柱が吹き出る。


『意外にあっけなかったですね』


 絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルを倒し終えたハッカは周囲を見渡す。

 相変わらずハッカ率いる近衛兵と、絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルまでは率いる天軍の戦いはまだ続いてはいるが・・・徐々に天使達の数は減ってきている。


『これならば私の手助けは必要ないですね・・・少し疲れました』


『ふぅ』っとため息を溢し、緊張の糸が緩んでしまったハッカ。

 最早自軍の勝利は確定だと思ってしまったからであろう・・・油断してしまったハッカは周囲の異変に気がつくのが遅れてしまっていた。

 ハッカの真下の地面が隆起すると同時に、突如として現れ出る絶軍の四教天使ミカ・ディエラエル

 姿はボロボロだが、その瞳は力強く鋭くハッカを捉え・・・油断していたハッカを斬りつける。

 しかしハッカもまた油断していたとはいえ一流の戦士、絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルに斬りつけられると同時にまだ自由は尻尾を使い吹き飛ばす。

 ハッカの攻撃を喰らい、身体の半分以上が光輝く泡へと変わりつつある絶軍の四教天使ミカ・ディエラエル

 しかしながら失った部分・・・左腕や、脚、翼の一部を土の属性魔法で補い、ボロボロになりながらも必死に体勢を立て直す。

 ハッカもまた斬られ、溢れでる血の流れを水の属性魔法で止め・・・斬られ動かなくなってしまった半身を補うように水の鎧のような物を纏う。

 飛び散った血により、純白の翼や角、尻尾がところどころを赤く染めながらもハッカも絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルと同じように決意する。


『確実に殺す・・・その為には接近戦を仕掛け首を跳ねるしかない』っと・・・


 持てる力を全て出し、互いに最高最速、最大最強威力の一太刀が繰り出され・・・絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルの首が吹き飛ぶ。

 まるで噴水のように絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルから光輝く泡が溢れ出す。

 間一髪・・・あと歩間合いを詰められていれば、逆にハッカの首の方が飛んいたが・・・絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルの軍刀はハッカの首もとを少しばかり斬る程度であった。

 首がなくなってしまった絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルの身体は、力が抜けたように落下していく。

 ボロボロと崩壊してゆく土の属性魔法に、既に光輝く泡へとなり・・・消えてしまう。

『倒した!今度こそ確実に』っと思ったハッカであったが・・・絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルが倒されてもなおその意志は受け継がれ、竜人(ドラグニル)を倒し終えた大天使が絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルの軍刀を手にハッカに襲いかかる。

 水の属性竜法で応戦しようとしたハッカであったが・・・放とうとしていた水の属性竜法を放つよりも先に、ハッカの後方にいた天使の放った風の属性魔法が直撃し、中断してしまった。


『しまっ・・・』


 風の属性魔法によって攻撃が中断してしまい、ほんの一瞬目を放した隙にハッカは絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルの軍刀を持った天使に貫かれてしまった。

 なんとか心臓を貫かれることは回避したハッカ。

 軋む手足を、駆け巡る激痛を我慢しながらハッカは攻撃してきた天使を返り討ちにし、突き刺さった軍刀を引き抜こうとしたその時・・・絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルの最後の魔法が炸裂する。

 絶軍の四教天使ミカ・ディエラエルの軍刀から、まるで木の根のように伸びる土の属性魔法が広がり・・・ハッカの心臓を貫く。


『そん・・・な・・・』


 失意の中で絶命してしまったハッカ。

 しかしながらハッカが倒されてもこの空間が元に戻ることはなかった・・・





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