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絶軍の四教天使VS月響の純白竜

 北の浮遊都市・ロウェイノースに攻め込んで来た、絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)を迎え撃つ為に動き出したハッカ・ラフス・ノースルー・ライブエラ。

 自らが指揮する近衛兵と共に竜法を放ち、絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)の攻撃を中断させることに成功したハッカ達は更に弾幕を展開させて、仲間の竜人(ドラグニル)が合流するための時間を稼ぎ・・・一足先に絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)と交戦していた竜人(ドラグニル)と合流することに成功する。

 ハッカ率いる近衛兵はジェイロス率いる近衛兵とは違い、圧倒的に数が多い。

 ジェイロス率いる近衛兵の数が五十前後、それに対してハッカ率いる近衛兵の数は二倍の数の百以上。

 更にハッカの近衛兵は各々の長所を生かす為に特化した武装をしており、遠距戦が得意な竜人(ドラグニル)もいれば接近戦が得意な竜人(ドラグニル)もいる。

 遠距戦が得意な竜人(ドラグニル)には竜法の威力を高め、射程距離を長くすることができる杖。

 近距戦が得意な竜人(ドラグニル)にはそれぞれが得意な武器に、各種それに見合った武装。

 剣士でもそれぞれ違う武装をしており、大剣を手に持ち堅牢な武装をしている者や両手に刀を持ち軽装の鎧を着込んでいる者。

 防御を重視し、身の丈ほどもあるタワーシールドを手に持っている者など武装は様々だ。

 更にハッカの指揮のありジェイロスの近衛兵とは違い、統率が取れていると言える。

 まぁ・・・乱戦になってしまえば各々の力に頼るしかないが・・・


『ありがとうございますハッカ様』

『奴ら想像以上にやり手です・・・我々だけでは殺られていました』

『た、助かりました』


 合流することに成功した竜人(ドラグニル)が安堵のため息をこぼすと共にハッカに感謝の意を示す。

 その中には既にボロボロになってしまっている竜人(ドラグニル)もおり、ハッカが指揮する近衛兵に治療してもらっている者もいる。


『油断してはいけません・・・我々が来たからと言って勝てるとは限らないのですから』


 ハッカのその言葉に息を呑む竜人(ドラグニル)

 四方を統べる竜人(ドラグニル)であるハッカが、勝てとは限らないと言い放つ相手・・・それはつまり自分達では勝てないと言われたも同然であると同時に、ハッカがこの場に来なかった場合確実に殺られていたのだと再確認してしまう。


『で、では・・・何故あの天使達は攻撃して来ないのですか?』


 ハッカと合流できた竜人(ドラグニル)であったが、何故かハッカと合流してから絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)率いる天軍は攻撃を止めている。

 その事に疑問を抱いた竜人(ドラグニル)がハッカに質問し・・・その答えをハッカは導き出す。

 ハッカの予想では絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)もハッカと同じように、ハッカの事を強敵だと理解しており、そのハッカが率いる近衛兵の事を脅威だと考えているからだ。

 相手の出方・・・扱うことができる竜法の属性に、扱うことができる武器、戦術や戦略などを見極める為に敢えてこちらから攻撃することはなく、ハッカ達が動くのを待っているのだと仮定する。

 実際その通りであり、絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)はハッカが次にどのような事をしてくるのか待っているが・・・どうやらハッカが動くよりも先に絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)が仕掛けていたようだ。


『時間稼ぎをしてお仲間を回復させようとしているのでしょうが、残念ながらそうはいきません!』


 絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)がそう言い終えると地面に無数の魔法陣が浮かび上がる。

 魔法陣はどれもが先ほど絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)が放った魔法・天地雨降の崩れ落ちた破片からであり・・・そして魔法陣を中心に周囲の瓦礫が集まってゆく。

 絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)が放った魔法・天地雨降。

 それはただ単純に放てば大岩を降らせる魔法なのだが・・・絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)はある仕掛けを天地雨降に施していた。

 大岩の強化や、速度を上げるようなことではなく、一定時間が経過すると自動的に起動する魔法。

 その魔法の名前は『創誕・女神ガ造リシ魔工土偶』

 女神セラフティアスから授かった神力を基盤にして造り出されたものであり、土の属性魔法で土偶兵を作り出すというものだ。

 本来であれば天地雨降に使用した巨大な、家屋すらも一撃で倒壊させるほどの大岩を使うことによって、巨大な土偶兵を作り出すという算段だったのだが・・・その目論みは見事に竜人(ドラグニル)達の決死の突撃によって阻まれてしまった。

 しかしながら砕かれたとしても、その一部でも残っているのであれば創誕・女神ガ造リシ魔工土偶は起動することが可能。

 少々大きさは小さくなってしまうが、油断している竜人(ドラグニル)には十分な脅威となるはずだ。

 一度終わってしまった攻撃だと、仲間が身を挺して止めてくれたという事実があるのであれば尚更とも言える。


『な、なにぃぃぃぃ!?』

『ま、まずい・・・』

『こ、この距離は・・・』


 一斉に動き出した土偶兵を見て驚く竜人(ドラグニル)

 しかしながら驚いた時には時既に遅く、土偶兵は手に持っている杖を使い魔法を繰り出す。


『ハッカ様!』

『・・・仕方ありませんね』


 土偶兵の狙いは回復している最中の竜人(ドラグニル)であり・・・土の属性魔法で造り出された岩石の対空砲が竜人(ドラグニル)を襲う。

 土偶兵の攻撃に反応することができなかった竜人(ドラグニル)はそのまま岩石が直撃し・・・見るも無残な肉塊へと変貌していってしまう。

 逃げようとしても逃げ切れず、防御しようとしても間に合わなかった竜人(ドラグニル)がいる中で・・・ハッカ率いる数体の竜人(ドラグニル)は犠牲となった竜人(ドラグニル)を利用し、対空砲の雨から離脱して土偶兵へと反撃を試みる。

 無論土偶兵も飛び出してきた竜人(ドラグニル)を撃ち落とす為に魔法を繰り出し・・・双方ともに激しい撃ち合いが始まり・・・そして終わる


(・・・あの奇襲を最小の犠牲でやり過ごすとは、やはり油断できないか)


 ハッカ率いる近衛兵と絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)が産み出した土偶兵との戦闘は、ハッカ率いる近衛兵に軍配が上がる。

 全滅してしまった土偶兵だが、ハッカ率いる近衛兵にも負傷兵は複数おり、更には先ほど助けた竜人(ドラグニル)も全員が犠牲となってしまった。


(私の城を破壊しただけではななく、更には私の近衛兵まで・・・あの四教天使かなりの策士ですね)


 互いに互いの探り合いをしている絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)にハッカ。

 今のところは絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)が優勢だが・・・戦争というのはどういう引き金によって戦局が変わるのか不明であり、一瞬の油断によって全てが台無しになるのも珍しくはない。


『・・・ハッカ様、私が仕掛けます』


 そう言ってハッカに話しかけて来たのは双方に長さの違う槍を持つ槍兵。

 彼は類い稀な武の才を持って生まれた竜人(ドラグニル)であると同時に二種類、炎と風の属性竜法を扱うことができる竜人(ドラグニル)でもある。

 片方の槍には炎の属性竜法を、もう片方の槍には風の属性竜法を付与させてた槍を器用に操り戦うことができ、これまで多くの勝利を収めてきている歴戦の竜人(ドラグニル)は双槍を構え・・・そして仕掛ける。

 風の属性竜法により速度を上げ、一気に距離を詰める竜人(ドラグニル)に対して天使達は弾幕を展開して近づけさせないように魔法を放つが・・・その弾幕を最小限の動きでかわし近づく。

 そして直ぐ様双槍の射程圏内に一人の天使を捉え・・・貫く。

 よりも先に攻撃を仕掛けられた天使と別の天使が入れ替わり、双槍の一撃を防ぐ。


『下がってください・・・』

『任せましたよ』


 剣と盾を装備した天使によって攻撃が防がれ、そして動きの止まった瞬間に周囲の天使達が入れ替わっているのが視界に入る。

 先ほどまで弾幕を展開していた天使達とは違い、各々に武装した天使達であり、武装から考えるに主に接近戦を主軸にして戦う部隊であると想像できる。


(まずいな・・・一旦引きますか)


 周囲を取り囲まれつつあることに気がついた竜人(ドラグニル)は、この場で争えば確実に敗北すると確信し離脱を試みる。


『逃げるのか?威勢良く斬り込んで来たのにも関わらずに敗走とは・・・竜人(ドラグニル)もこの程度か』


 絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)が双槍の竜人(ドラグニル)、周囲にいる竜人(ドラグニル)に聞こえるように言い放つ。

 挑発・・・明らかに挑発なのであろうその発言なのだが、一流の戦士である竜人(ドラグニル)にとっては聞き捨てならない話となってしまった。


『貴様・・・』

『先ほどの竜人(ドラグニル)は見事に戦ったぞ・・・まぁ、私によって無残に殺されたがな』


 絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)の言葉に激昂した双槍の竜人(ドラグニル)は撤退することはなく、逆に絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)に向かって攻撃を仕掛ける。

 炎を纏う槍での一突き・・・なのだが、絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)に当たる事はなく、その目前で別の天使に向かって防がれてしまった。

 炎の纏う槍を防いだのは身の丈ほどのタワーシールドであり、明らかに過剰防御だと思えたのだが・・・その天使の勘は正しくタワーシールドに炎を纏う槍が直撃した瞬間、一瞬にして燃え盛る。


(タワーシールド・・・だったらこの槍で!)


 燃え盛る炎によって視界を塞がれてしまった竜人(ドラグニル)であったが、即座に風を纏った槍で下段より斬り込む。

 狙いはタワーシールドであり、タワーシールドに直撃した瞬間・・・突風が発生する。

 急に発生した突風により、バランスを崩してしまった天使。

 その隙を見逃さずに攻撃を仕掛け・・・


『もらった!』

『甘いですよ!』


 炎を纏う槍で攻撃した双槍の竜人(ドラグニル)であったが・・・タワーシールドを持った天使はタワーシールドに仕組まれている魔導石を起動させ、自らを岩石で包み込む。

 攻撃を防がれてしまった双槍の竜人(ドラグニル)は、今度は岩石を破壊するために攻撃する・・・よりも速く双槍の竜人(ドラグニル)に水で作り上げられた鎖が巻き付き、そして引き戻される。


『なっ!?こ、これは・・・』


 双槍の竜人(ドラグニル)を自陣に引き戻したのはハッカであり、何がどうなっているのか理解できていない様子だ。

 それもそのはず・・・双槍の竜人(ドラグニル)はあのまま攻撃を仕掛けていれば確実に岩石を破壊し、タワーシールドを持った天使を倒すことが出来たのだから。

 しかしながら双槍の竜人(ドラグニル)が発言するよりも早く、ハッカは冷淡な態度で冷たく言い放つ。


『少し頭を冷やしてください・・・』


 ハッカの殺意にも似た視線を向けられてしまった双槍の竜人(ドラグニル)からは冷や汗が流れ出る。

 自らよりも強者であるハッカの視線によって萎縮してしまったのだ。

 そんな双槍の竜人(ドラグニル)を他所に、ハッカは水の属性竜法を先ほどの岩石に向かって放つ。

 すると岩石とぶつかった瞬間に、岩石が凄まじい音と共に爆発し・・・勢い良く岩石が飛び散り、タワーシールドを持った天使が姿を表す。

 飛び散るった岩石は全て前方へと飛び散っており・・・あのまま攻撃していたのであれば、双槍の竜人(ドラグニル)は間違いなく直撃を喰らっていた。


『怒りは戦いに必要ですが、周りが見えなくなってしまっては意味がないのですよ』


 相手が攻撃して来ないとわかると、タワーシールドを持った天使はそのまま絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)の元に戻る。


『挑発は失敗だったか・・・』

『あのまま攻撃してくれていれば返り討ちにできたんですけどね・・・どうやら指揮官の竜人(ドラグニル)は冷静に周囲を見ることができるようで』

『あのまま倒されていれば、十分に牽制できたが・・・』

『そうですね・・・申し訳ございません絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)様』

『気にする必要はないぞ。別に次の手段は考えているからな!』


 タワーシールドを持った天使が、上手く誘導出来なかったことを絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)に謝罪するが・・・どうやら絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)にはまだ別の手段があるようであり、今度は絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)自身が攻撃を仕掛ける。

 そしてそれと同時に複数の天使もまた絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)に続き攻撃を仕掛ける。

 攻撃に参加した天使達は全員は同じ属性魔法・・・絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)と同じ土の属性魔法を扱うことができる天使達で、その手にはタワーシールドよりは小ぶりだが、大きな盾とそして利き手には何やら奇妙な武装を持っている。

 槍・・・というには短くなっており、刃に当たる部分はそれほどまで鋭くはなっていない。

 斬るというよりは刺すことを目的としているのだとわかる。

 しかしながらリーチはあまり長くないために、接近して戦うことを想定した武器なのであろうが・・・接近戦を仕掛けるのには些か大きすぎる武器を持っている天使達だ。


『泥操奇誘ノ触腕!』


 絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)が魔法を放ち、展開した魔方陣から無数の泥の触腕が出てくる。

 人の腕ほどの大きさの触腕を動かし、竜人(ドラグニル)の進路を妨害するように絡みつく。


『この程度!』

『邪魔だぁぁぁぁ』

『無意味だな・・・』


 絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)の作り出した泥の触腕は思いの外脆く、竜人(ドラグニル)を数秒程度しか拘束することは出来なかった。

 だが、拘束を解くと同時に飛び散った泥は直ぐ様に触腕に戻り、竜人(ドラグニル)を再び拘束しようと動きだす。


『また・・・』

『しつこいぜ!』

『泥が邪魔!』


 どうやら泥の触腕を物理的に破壊するのは難しく、接近して迎え撃とうとしていた竜人(ドラグニル)は苦戦し、逆に竜法で迎撃した竜人(ドラグニル)は意外と楽に対処出来ている。

 そんな苦戦している竜人(ドラグニル)を目標捉えた天使達が近づくと同時に土の属性魔法を発動させ、さらに竜人(ドラグニル)の行動範囲を狭める。


『畜生が・・・』

『来やがれ!返り討ちにしてやる』

『かかってこいや!』


 泥の触腕や土の属性魔法によって行動範囲を狭められてしまった竜人(ドラグニル)は、迫り来る天使達と正面から戦い捩じ伏せるように各々の武器を構え・・・天使達と激突する。

 ある者は大剣で天使の間合い外からの攻撃、またある者は手に持っている盾で防ぎカウンターを狙う。

 天使達もまた手に持っている盾で防ぎ・・・奇妙な形をした武器を竜人(ドラグニル)に叩きつけ、そして組み込まれた魔導石と仕掛けが起動する。

 すると攻撃を防いだ竜人(ドラグニル)の大剣や盾ごと破壊してしまった。

 何故そのようなことが出来るのかというと・・・この奇妙な形をした武器は鋼鉄の杭を、爆発と同時に前方へと打ち出す仕組みとなっている武器だ。

 急速に、爆発的に打ち出されたことによって伝わる衝撃は竜人(ドラグニル)や天使が繰り出す突きよりも遥かに速く、そして突如として飛び出たことによって竜人(ドラグニル)達の意表を突いたのは言うまでもなく・・・そして気がついた時には既に手遅れとなってしまった。

 爆発と同時に打ち出された鋼鉄の杭によって防御ごと破壊されてしまった竜人(ドラグニル)は貫かれ・・・絶命する。


(あのような武装が・・・一本とられましたね)


『は、ハッカ様・・・』

『前衛一部が崩壊しました!雪崩れ込んで来ますよ!?』

『し、指示を!』


 天使達の攻撃によって前衛の一部が崩壊してしまったハッカ軍。

 そのことに焦った竜人(ドラグニル)達が直ぐ様に穴埋めをしようと動き出すが・・・動き出す前にハッカが竜法を放つ。

 しかしながらその放たれた竜法が向けられたのは天使達ではなく、仲間である竜人(ドラグニル)であった。


『は、ハッカ様何を!?』

『このままでは奴ら・・・』

『落ち着きなさい・・・慌ててしまえば奴らの思う壺ですよ』


 冷静に、焦ることなく竜人(ドラグニル)を嗜めるハッカ。

 ハッカの言う通り、焦れば確かに天使達の思う壺なのは言うまでもないが・・・前衛の竜人(ドラグニル)が倒されてしまったのだ。

 いくら歴戦の竜人(ドラグニル)であっても、目の前で仲間が倒されてしまったのであれば焦ってしまうのは仕方ないのかもしれないが・・・後方援護の竜人(ドラグニル)やハッカは冷静に状況を判断できる位置にいるからなのか天使達の動きを冷静に見ることが出来ている。

 そしてハッカは天使達の動きや、指揮する絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)の性格を考え雪崩れ込んでくることはないとないと判断しての行動であり・・・実際絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)率いる天軍は攻め込んで来ることはなく、魔法を放つ準備をしていた。


『攻撃が来ます!』


 ハッカが言い終えるよりも早く魔法が放たれる。

 各種属性魔法で・・・狙いは先ほど崩壊した前衛の一部だ。

 しかしながらハッカと共に後方で援護していた竜人(ドラグニル)が防御竜法と共に迎撃するように竜法を放ち・・・天使達の魔法とぶつかり合う。

 あのまま、竜人(ドラグニル)が崩壊した前衛した部分を補うようにして展開していたのであれば、動こうとしていた竜人(ドラグニル)は確実に魔法の餌食になっていたはずだ。


『そう上手くはいかないか・・・』

『しかしながら数は減らせましたね』

『油断はできないでしょう・・・絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)様次の指示を』


 絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)率いる天軍とハッカ率いる近衛兵との戦いは、絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)率いる天軍に軍配が上がる。


『時間的にはまだでしょうか?』

『もう少しかと・・・』

『私の近衛兵まで被害が出てしまいました・・・なるべく早くしてくださいよ』

『も、申し訳ございません』


 ハッカが一体の竜人(ドラグニル)を呼び出し小声で何かを話始めている。

 現状の状況では、ハッカ率いる近衛兵は数の暴力によって絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)率いる天軍に押し潰されてしまいかねない状況となってしまう。

 最初っから絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)率いる天軍の方がハッカ率いる近衛兵の方が数は多い為に、竜人(ドラグニル)数が減れば減るほど不利になるのは言うまでもない。

 個人本人の力で挽回できる場合もあるが・・・しかしながら数が多いというのは、それだけで有利であることにはかわりないのだから。


(あの面々は間違いなく近衛兵・・・失ったのにも関わらずにうろたえないのは何か別の策が?)


 近衛兵を倒されたのにも関わらずに、あまり焦っていない様子のハッカに疑問を抱く絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)

 このまま畳み掛けたいところなのだが・・・不用意に近づけば四教天使である絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)であっても殺られかねない状況なのには変わりはない。

 最初の攻防で、ある程度のハッカ率いる近衛兵の力量は見抜けたがそれでも不足の事態は避けるべきなのだ。

 絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)は女神セラフティアスに仕える最上級の天使なのだから・・・


『仕掛けるか・・・それとも様子見か・・・』


 絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)が迷っていると・・・一体の大天使が近づき小声で何やら話を始める。

 そして間もなくして絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)率いる天軍の後方から、別の天使達が接近してくるのが竜人(ドラグニル)の視界に入ってくる。


『て、敵襲!敵襲です。別の天使達が急速で接近して来ています!』

『方角は?』

『我々の前方!正面です!』

『あの方角はルファーディアの・・・』

『や、殺られたのか・・・』

『ま、まずいですよ!?』

『・・・ハッカこの場は』


 側近の竜人(ドラグニル)が心配そうにハッカを見つめる。

 周囲を見渡し・・・そしてハッカはこの場で留まって戦うよりも撤退することを決定する。

 しかしながら撤退するには時間を稼ぐ必要があり・・・この面々を無傷で撤退させるのであれば相応の犠牲も出てしまう。


『これ以上の損害を出すわけにはいきませんね・・・撤退すると同時にアレを起動します!』

『了解です』


 ハッカがそう言い終えると同時に懐に忍ばせていた宝石を破壊する。

 すると同時にハッカが住んでいた、今はもう崩れてしまった城に竜法陣が描かれ・・・そして竜法で作られた線が周囲を駆け巡る。

 それは地面だけではなく、空中にも描かれ・・・ハッカ達を含めたこの場の全員が巨大な竜法陣の中に囚われてしまった。


『これは・・・』


 突然の出来事に絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)も思わず声が出てしまう。

 だが、驚いている絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)や天使達を他所に、ハッカを含めた一部の竜人(ドラグニル)はいつの間にか隙間から抜け出してしまっていた。

 そのことに気がつき、追いかけようとした天使達であったが、その行く手を阻むようにして巨大な竜法陣から大量の霧が出現し始める。


『やられた・・・』


 気がついた時には時既に遅く、絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)を包み込む大量の霧。

 これはハッカが事前に仕組んでいたもので、自らが住まう城を中心にして大量の霧を出現させるというものなのだ。

 これは撤退することを前提にして作り上げた仕組みであり、巨大に展開した竜法陣は相手を驚かせ動きを鈍らせるという算段で・・・絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)はまんまとその罠に嵌まってしまったのだ。

 霧を風の属性魔法で吹き飛ばし、視界を確保した時には既にハッカ達は撤退してしまっていた。


『やられました・・・だが、撤退したのであれば追撃しなくてはな』


 絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)もまた撤退したハッカを倒す為に動き出すのであった。



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