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周辺諸国2

  エルピーラ王国・・・首都エル・べリアス近郊

 

  都市国で起きた事件から数日後、王国へと赴いたオーシェンは支援をしてもらうべく出向いていた。

  都市国から王国へは陸路では行けるが、その道にはよく野党が出ると噂されているので都市国から王国へと行く場合には大抵の人は護衛を付けて行くのが一般的だ。

  もちろんオーシェンも護衛を付けている。それも都市国で雇うことができる最高の人材だ。

  まぁ・・・都市国の護衛で離れることが出来ない者を除いてだが。

 

『ルクリスさんそろそろ王国首都エル・べリアスへと到着しますよ』

『あ・・・あぁ・・そうか』


  護衛の者に問いかけられ眠たそうに答えるオーシェン。

  実際にオーシェンは少しの間寝ていたのだ。

  馬車の揺れが心地よかったのか、それとも都市国での勤務に疲れてしまったのか?オーシェンは渡された水で喉を潤し目を覚ます。

  今回護衛に選んだのはオーシェンが個人的に契約をしている治療薬剤師一名、ザヴィードの警備兵団に所属する中でも優秀と言われる剣士三名、弓兵が一名、レンジャーの能力に長けた兵士一名である。

  残念ながらノロンとは今だにいざこざが残っており、ノロンの所属する組織の魔導師は雇えず、傭兵として魔導師をやっている者を雇うしかなかった。

  その魔導師は現在馬車の外におり、レンジャー、弓兵、そして剣士一名と外を警戒している。

 

『仕方ありません。オーシェン様はここのところ忙しかったのですから』

『すまないなじい。それで都市国を援助してくれる貴族とはいつ頃会えると言っていた』

『今日の内に王国へ行けるとすると・・・5日後ですね』

『以外に長いな・・・』

『確かにそうですが貴族とはそういう者なのです』


  そう言われて考え込むオーシェン。

  王国にコネがあると言ってもオーシェンのコネは魔導石を使う者、主に魔導師や商人と面識があるだけであり実際には貴族とのコネがあるわけではない。

  だが何故貴族とのコネがないオーシェンが王国貴族。それも王国首都の一等地に屋敷を構える一流貴族と会える約束を取りつけたかというと・・・オーシェンが今回運んでいる魔導石にある。

  今回オーシェンが都市国から運びこんだ物であり、一般には流通していない。

  その魔導石とは・・・魔導石と宝石が奇跡的に融合した賜物で、宝石を囲むように魔導石が付いている。

  オレンジ色の宝石に火の赤い魔導石が付いており、オーシェンの加工技術によって魔導石を花びらのように加工している。

  その姿は宝石の花であり、さらに魔導石の魔力を使うと燃えるようになり、より一層美しさを引き立てる。

  その他にも貴族への献上品が数個別の馬車に乗っている。

  宝石の花はオーシェンが持ってはいるが・・・

 

  馬車が予定地ではない場所で停止する。

  何事かと思ったオーシェンに外を警戒していた剣士が扉を開けるように要求してくる。

  オーシェンの指示を受けたじいと言われる老人。ルクリス家お抱えの執事であるグリウス・ラバード・サンベエルだ。

  長年ルクリス家に使えており、オーシェンを子供の頃によく面倒を見ていた人物でオーシェンからの信頼も厚い。


『じいすまないが外の者と話をしてきてくれ』

『了解いたしました』


  そう言うと馬車の外へと出て行くグリウス。

  そして1分も経たずにグリウスが扉を開ける。


『どうしたじい?』

『オーシェン様この先の都市にて火災が発生し、現在安全が確認出来るまで都市には入ることが出来ないそうです』

『なに?そうなのか』

『火事場泥棒等が出るのを考慮しての事だそうです』

『なるほ・・・』

『なんだこの騒ぎは!?』


  そう言いながらオーシェン達の馬車の横をすり抜けて行く女性達がオーシェンの目に止まる。

  整った身なりに、金色に靡く長髪に右の瞳が髪の色と同じ金色で、左の瞳が青い瞳の女性を筆頭に全員が同じ白銀の鎧と背中に靡く王国の紋章と白薔薇が描かれた真紅マントを着込み、その腰には薔薇の模様装飾が施された剣を帯刀している。

  彼女達の正体はエルピーラ王国・聖薔薇騎士団。

  エルピーラ王国第二王女ソイル・ネロクリリス・ラック・エルピーラによって組織された女性のみの騎士団であり、その活躍は都市国を含め周辺諸国ではよく知られている。

  王女でありながらも先導して市民を守る姿に憧れる者は多く、老若男女問わずに尊敬される存在だ。

  特に王女ソイル・ネロクリリス・ラック・エルピーラが身に付けている鎧には、特別な魔導石が組み込まれていると噂されている。

  剣術も見事なもので、天性の剣の才能に、並外れた反射神経を有している。

  男性程の筋力は無いもの剣速は並みの剣士より早く、剣速のみならば王国最強剣士ヴァーミリオンにも匹敵すると言われる。

  そんな王女が率いる聖薔薇騎士団が来たことによって集まっていた人々が割れるように左右に別れる。


『こ、これは第二王女様!』

『警備兵か・・・これの騒ぎはどういうことだ?』

『現在都市内の検問所付近で火災が発生しており、事態を収集するべく行動しております』

『そうか。私はてっきり疫病の狂天使が出現したと思ったぞ』

『いえ、今はそのようは報告は上がってはおりません』

『了解した。何かあったら知らせてくれ』

『はい。その時はよろしくお願いいたします』


  警備兵に別れを告げて帰ってくる聖薔薇騎士団の前にオーシェン達の馬車が目に入る。

  首都エル・べリアスに向かう馬車はいくつもあり、特段目立った馬車では無いのだが都市国内の馬車と王国内の馬車とでは形状が異なるので目を引いてしまうのだ。


『何か御用ですか?』

『失礼、王国では珍しい馬車だったので』

『確かにそうですね』

『何処の国ですか』


  そう言われて中にいるオーシェンと連絡を取る護衛の剣士。

  王国と都市国は表面上は騒ぎがないが、今だに都市国に怨みを持っている者もおり、特に王国連中や大貴族と言われている者の中には多いと言われている。

  一瞬迷ったオーシェンだが自身の出身国が都市国だと告げる。

  偽った場合、その偽りを見抜かれれば途端に怪しまれるからだ。

  この選択は掛けであり、今後の運命を左右する選択だが・・・オーシェン達が都市国から来たと第二王女に報告しても騒ぎになる事はなかった。



  エルピーラ王国・・・首都エル・べリアス王城内


  オーシェンが王国を訪れてから数日後、王城内では王族、大貴族と言われている数名貴族等限られた面々が会議場にて会議をしている。

  エルレド・ファングラッツ・ロメテウス・エルピーラ国王。

  エルピーラ王国の国王であり長い白髪に顎髭を蓄えた老人だ。

  代々国王のみに着ることを許された豪華な衣装を着ており、座る玉座も黄金に輝いている。


  カルナ・ライムリリス・ラペン・エルジューラ王妃。

  金髪金瞳の女性で、美しく巻かれた髪に美しい美貌の持ち主であり、数年前から老けていないと噂さている。

  その美貌の秘訣は多数に配合されたポーションや、異国の美容技術を取り入れたからでありその美貌を維持する為には努力を惜しまない。

  国王との間に三人の子宝に恵まれるが・・・第三王女が病にかかってしまい今はこの場にはいない。

  国王との関係は最近良好ではなく、特に国王と寵姫との間に子供ができてからは関係が悪化している。

 


  エックス・エヴァグラッツ・アウレウス・エルピーラ第一王子。

  まだ若く年齢的に20台前半の男性だ。金髪に青い瞳で細身で、その姿は若かりし国王に酷似しており誰が見ても美青年と言われる美貌を兼ね備えている。

  また優れた才能を有していて、数年前に訪れた王国の飢饉を少数の犠牲で乗り越えたことにより、農民からの支持も厚く、王族でありながも市民を大切にするその姿は有名だ。

  ただしその姿は王国の民にしか向けられていないものであり、周辺諸国の人々には冷たいらしい・・・


 ソイル・ネロクリリス・ラック・エルピーラ第二王女。

  凛とした表情が印象的な女性で、国王、貴族達が集まっている会議場でもその鎧は脱いではいない。

  その理由は彼女の今までの功績であり、国王、貴族からも武器の装備を認められているからだ


  そして三名から少し離れる位置に座っている貴族ハート・ウィルカルムス・ニガラス。

  この女性は貴族の中でもかなりの発言力のある女性だ。

  その理由は・・・彼女が国王の窮姫であり、貴族でありながらも王城内で暮らしていて、自由に王国内を歩くことが可能な人物であり、類い稀な美貌を持っているからだ。

  王妃カルナ・ライムリリス・ラペン・エルジューラと対を成すような美しさであり、王妃が黄金の太陽ならば彼女は白銀の月と称されている。


 その息子であるスペード・ワルビエルムス・ニガラス。

  第一王子とは対象的に此方は王族内でも珍しく鍛練が趣味の変わった貴族だ。

  一様国王とハートの間に産まれた子供なので王族なのだが・・・国王の発言により国王の姓は名乗らせてはもらえずにいる。

  第一王子と比べるとワイルドという印象の男性だ。

  残念ながら他の貴族からの印象は悪く過去に暗殺されそうになったという経験がある。


『それで・・・何か申し開きはあるかねツインドロス公?』


  現在会議場においては、この場に似つかわしくない貴族が王国や大貴族の面々に囲まれ質問を受けている。

  いや・・・質問と言うよりは尋問のようなものだ。

  何故この人物、ライスエン・リンゴ・ツインドロスが尋問にあっているのかというと・・・この貴族、ライスエン・リンゴ・ツインドロスが都市国と繋がっていると言う噂が流れているからだ。

  王国内では都市国との交流を禁止してはいない。

  しかしどの王族も貴族も都市国へはよい印象がないために交流をしていなかったのだ。


『わ、私は彼が信用できると思い融資しただけでして・・・』

『何が信用か!貴公はあの時にそれほど損害を受けていないからよいものだが、都市国の連中は我々に損害だけではなく泥を塗ったのだぞ』

 

  その通りだというように貴族側から罵声が飛んでくる。

  しかし、その罵声の中で一人手を上げる者がいた。

  誰もが目を疑いその者を見つめるが、手を上げた者を見て貴族達の罵声の声が止まる。


『父上発言をしてもよろしいでしょうか?』


  国王に発言の許可を求めたのはエルピーラ王国、第二王女ソイル・ネロクリリス・ラック・エルピーラだ。

  何故この貴族を庇うのか?誰もが疑問に思っていたが都市国で起きた事件を考えればソイルの意見は最もなものだった。


『都市国では数日前に疫病の狂天使の襲撃に遇い、都市国の4分の1が壊滅状態だと聞いております。なので王国からも支援をしてはよろしいのではないでしょうか?』


  その意見を聞いて一斉に顔を見合わせる貴族達。

  確かに人道支援は大切だが・・・何故に敵国へ人道支援をする必要があるのかということだ。

 

『人道支援だと!?笑わせてくれるな我が妹よ』

『お兄様、今困っている人々がいるのですよ我々も手を差し述べるべきではないのでしょうか?』

『はっきり言って、都市国の連中に我々の財を使う必要はないかと』


  確かにと言う意見が王族、貴族達から聞こえてくる。

  どうやらソイルの意見に賛同する者はいないようだ。


『我が娘よ・・・我が国、エルピーラ王国は都市国への支援は行わない』

『な、父上!?』

『ならば都市国へ支援を行ったツインドロス公への処罰は如何なさいましょうか?』

『待ってください父・・・』


  発言しようとしたソイルを硬質な音が割って入る。

  その音の正体はソイルの父、エルレド・ファングラッツ・ロメテウス・エルピーラ国王が杖で発した音だとわかると今まで話していた貴族、ソイルが話しを止めて一斉に静かになる。

  国王の瞳は怒りというよりは哀れみの瞳でソイルを見つめる。


『今後都市国との繋がり、支援等は禁止とする。そしてこの罪を犯した者はそれ相応の処罰を下す』

『異論はございません』


  各王族、貴族から同意の声が上がるが・・・ソイルは悔しそうに唇を噛み締めており、国王の決定に不服があるようだが発言しようとはしない。

  ソイルも王族なのだ、あの時に国王が杖を叩き音を発した理由は理解している。

  なのでいくらソイルが王国の発言の撤回を求めても無駄なのだ。


『ではツインドロス公への処罰はどういたしましょうか?』


  この場の全員の視線がライスエンへと集まる。

  その視線、プレッシャーに耐えられなかったのかライスエンの額からは汗が滲み出ていて顔色も優れていない。

 

『ふむ・・・ライスエン・リンゴ・ツインドロス貴公の貴族としての地位を剥奪する』

『あ・・・うぁ・・・』


  ライスエンを襲った衝撃により言葉を詰まらせる。

  誰も国王の判決に異議を唱える者はおらずライスエンの地位剥奪が決定する。

 

『父上発言をよろしいでしょうか?』


  ライスエンの地位の剥奪が決定した直後にスペード・ワルビエルムス・ニガラスが手を上げて発言を求める。

  王国からの発言許可がおり、スペードが話始める・・・そしてその話の内容はライスエンに更なる追い討ちをかけるものであった。

  内容はライスエンの地位剥奪だけではなく、彼の私財の没収だ。

  この行為は見せしめなのだ。王国を裏切ったらどうなるか、目に見えて示す必要があるのだ。


『そ、そんな・・・』


  絶望するライスエン。

  当然である。地位剥奪だけでもライスエンの評価は下がり、自身の領土での発言力の低下が予想されているのにも関わらずに、そのうえ自身の保有している財産まで没収されたのであればライスエンの家は最早没落したと同異議なのだから。

  しかし、その発言に異議を唱える者がいる。

  その者は誰よりも気高く、誰よりも高潔で、正義を重んじる第二王女。

  ソイル・エヴァグラッツ・アウレウス・エルピーラだ。


『スペードお義兄様。そこまでする必要があるのですか?』

『あるとも義妹よ。我が国を裏切ったのだ当然であろう』

『そ、そんな私は裏切るなど・・・』

『黙れよツインドロス公。貴公に裏切るつもりはなくともその行為は我が国への裏切り行為そのものなのだから』


  スペードの覇気に当てられらライスエンが黙ってしまう。

  スペードの言っている事は事実であり、本人にその気がなくともその行為が王国への裏切り行為に値するのだ。

  スペードとソイルが論戦を繰り広げていると再び国王が杖を響き渡らせこの場を静める。


『ライスエン・リンゴ・ツインドロス』

『は、はい!』

『貴公の行為を反逆行為と断定して貴公の地位剥奪と財産の半分を没収する・・・何か異論のあるものは?』

『ありません』

『ございません』


  国王、エルレド・ファングラッツ・ロメテウス・エルピーラの最終決定は、ライスエン・リンゴ・ツインドロスの都市国への支援行為を王国への裏切り行為と断定し、地位剥奪と財産の半分が没収を言い渡す。

  さすがに財産の全てを没収する分けにはいかなかったが、都市国への支援が王国への裏切り行為だと知らしめるには必要なことなのだ。

 

  判決が下され会議が終幕する。


  納得した者、納得しない者もいるが会議が終わり、解散してそれぞれが帰宅し始める。

  第一王子であるエックス・エヴァグラッツ・アウレウス・エルピーラと王妃、カルナ・ライムリリス・ラペン・エルジューラ、スペード・ワルビエルムス・ニガラスは王国に一礼してこの場から立ち去る。

  国王エルレド・ファングラッツ・ロメテウス・エルピーラと、その窮姫であるハート・ウィルカルムス・ニガラス、第二王女ソイル・ネロクリリス・ラック・エルピーラ達が国王と共に王城内を歩いていると、前方から駆け足で走ってくる子供と、それに付き従うように一歩離れるて走ってくる男性が一人。

  子供の方は薄紫色のドレスを身に纏い、所々の金と銀の細工を施されていてとても美しく、またそのドレスを身に纏っている少女も可憐であり、まだ幼い為かその表情にはあどけなさが残っているが。

  それに対して男性の方は立派なフルプレートの鎧を身に纏い、その鎧の色は朱色で胸に輝く王国の紋章、両肩には獅子を模様した装飾に、背中に羽織る真紅のマントにも王国の紋章が刻まれている。


  少女の名はダイヤ・ゴルディエムス・ニガラス。

  国王とハートの子供だ。その美貌、顔立ちは両者の血を色濃く受け継いでいるからなのか、この年齢でもかなりの美人であり、将来は多くの者から求愛を受けるだろうと容易に予想でいる存在だ。


  その彼女に付き従う男性の名はヴァーミリオン。

  王国最強戦力『朱星の導き』の隊長だ。

  元々はヴァーミリオンと言う名前ではなくちゃんとした名前があったのだが、『朱星の導き』の隊長になる際に名前を捨てている。

  『朱星の導き』の隊長の鎧は代々受け継がれてきた鎧であり、鎧を受け継ぐにあたり名前を受け継ぐため現在の隊長は初代から数えて十三代目になる。

  この継承は四年に一度行われ王国の前で現『朱星の導き』の隊長と王国で行われる大会を勝ち抜いた勝者との一騎討ちで勝った者に継承される。

  現ヴァーミリオンは六年前の試合の勝者で、二年前に行われた一騎討ちでも勝利している強者だ。


『お父様!お母様!お姉様!』

『おぉ。どうしたのかね』

『やっと会議が終わったのですね』

『今回は少し長引いてしまったのでな。それで何か私に話したいことでもあるのかね?』

『貴方や私ではなくソイルに用があるのでしょ?お母様は全て分かっているのですから』


  そう言われた は少しびっくりしたように、そして申し訳なさそうに国王から目線を外しソイルを見つめる。

  その瞳には輝きに満ちており、好奇心や興奮を抑えきれておらずキラキラと輝いている。

  その瞳が自分へと向けられていないのだとわかると国王は少し寂しそうにこの場を去り、それに付き従うようにハートとヴァーミリオンもこの場を去る。

 

『お帰りなさいソイルお姉様!』

『ただいまダイヤ』

『お姉様今回もお話を聞かせてくださいね』


  満面の笑みで笑いかける の姿はまさに天使のようであり、そして二人の姿は一枚の絵画のように美しかった。



  王城内・・・とある場所

 

 その場所は薄暗く、日の光が届いていないのか魔法の炎で周りを照らしてはいるが部屋の全貌を見ることはできていない。

  薄暗い部屋の中心に何が蠢いているが・・・灯りが届いていないらしくその姿は見えない。

  いや・・・故意に見えなくしているのかもしれないが。

  その薄暗い部屋の扉が開かれ、忍装束のようま黒衣に身を包んだ者が入ってくる。

  そして何か大きな袋を抱え・・・その袋の中身を開けて薄暗い部屋の中央へと放り込む。


『・・・これでもう五十近くになるのか。流石に気がつかれるしれないな』


  そう言い終えると扉を閉めてこの場を去る。

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