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断炎の四教天使VS堅流の金剛竜・終幕

 断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)の進撃を止める為に数々の攻撃を仕掛ける竜人(ドラグニル)

 火の弾や水で作り上げられた鎖、高速で回転する風の刃に岩石で作り上げられた牙など、自らが放つことができる竜法の中でも最大威力の竜法を繰り出す竜人(ドラグニル)

 しかしながらほとんどの攻撃が断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)に触れた瞬間に融解してしまっている。


『くそがぁぁぁぁ!?』

『なんなんだ!なんなんだよぉぉぉぉ!?』

『こ、攻撃が・・・』

『まるで意味をなしていない・・・』

『化け物がぁぁぁぁ!?』


 目の前で起きたている現象に理解出来ていない竜人(ドラグニル)が、半狂乱になりながらも攻撃を繰り出す様子は滑稽ではあるが・・・それも仕方のないことなのだ。

 目の前にいる断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)は人知を越えた存在なのだから。


『本当に鬱陶しい・・・だけど私にだけ攻撃を集中してしまっていいのかなぁ?』


 断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)の言葉に思い出したかのように周囲を見渡す竜人(ドラグニル)

 しかしながら周囲を見渡しても、断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)と共に攻め込んで来ていたはずの天使達は何処にも見当たらなかった。


『ど、何処に・・・』


 小さく呟いた竜人(ドラグニル)なのだが・・・急に風を切る音が聞こえてくる。

 その音の出所が何処かというと・・・

 答えは竜人(ドラグニル)達の真上にあった。


『な!?』

『いんせ・・・いや・・・違う!』

『ま、不味いぞ』

『うそ・・・でしょう・・・』


 竜人(ドラグニル)の真上・・・はるか上空へと移動していた天使達は魔力を共有して大魔法を発動していた。

 その魔法の名前は『四教・無情ナル(カタストロフィネス・)厄災ノ雨レイン・ザ・ディザスター

 複数の属性を融合させて作り出した魔法であり・・・それぞれが自然の理念をねじ曲げかねないほどの威力となってしまっている。

 雨・・・という名前の通り空から降って来るのだが、その大きさは多種多様。

 大きい物は城壁させも崩壊させるほどの物から、拳程度の物などなのだが・・・複数の属性を組み合わせているので、その威力は小さいからと言って侮ることができない物となっている。

 水のように流動する炎や、炎のように揺らめく岩石に、逆巻く風の中に閉じ込められた炎と水、融解する岩石などが・・・一斉に降り注ぐ。


『やればできるじゃないですか・・・流石ですよ』


 竜人(ドラグニル)に降り注ぐ四教・無情ナル(カタストロフィネス・)厄災ノ雨レイン・ザ・ディザスターを感心するように眺めている断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)

 しかしながら断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)は更に竜人(ドラグニル)に追い討ちをする為に一度、無情ノ炎鎧を解除して魔法の槍を出現させる。

 銀色に光輝くその槍は、炎であるのにも関わらずに鋭利になっていて、太陽の輝きを反射している。


『私も援護させていただきましょうか・・・銀炎の鋭槍!』


 断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)の・・・女性の肩力からは想像もつかない程の速度で放たれる。

 勿論狙いは竜力を練り上げているジェイロス。

 轟音を轟かせジェイロスに迫り来る銀炎の鋭槍であったが・・・その攻撃がジェイロスに当たることはなかった。

 何故なら数体の竜人(ドラグニル)がその身を挺して、銀炎の鋭槍の軌道を変えることに成功したからだ。

 それによってジェイロスに当たることはなかったが・・・銀炎に呑まれた数名の竜人(ドラグニル)は既に事切れてしまっていた。

 炎であるのにも関わらずに焼かれるわけでは無く、斬り刻まれてしまった竜人(ドラグニル)

 断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)の放った銀炎の鋭槍は言うなれば斬れる炎。

 炎だと思いその攻撃を防いだとしても焼かれるのではなく、斬られてしまうという変わり種な炎なのだが、この銀炎の鋭槍は炎に耐性のある炎の属性魔導師、竜人(ドラグニル)にも有効なのだ。

 ネタが割れてしまえば対処することもできるが・・・やはり初見であるのであれば対処することが難しい魔法だ。


『身を挺しての犠牲か・・・だが攻撃はまだ続いているのだがな』


 断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)がそう言い終えるよりも先に降り注ぐ四教・無情ナル(カタストロフィネス・)厄災ノ雨レイン・ザ・ディザスター

 地上に落下してしまえば天変地異を引き起こしかねない魔法に、そうはさせまいと竜法を放つ竜人(ドラグニル)であったが・・・既に大半の竜力を

 断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)を倒す為に消費してしまっている竜人(ドラグニル)の竜力程度では全てを撃ち落とすことは出来なかった。

 その事を理解した一部の竜人(ドラグニル)が特攻を仕掛け、自らの身を挺して攻撃を止めようと試みるが・・・残念なことに 断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)の放つ魔法によって妨害されてしまい・・・四教・無情ナル(カタストロフィネス・)厄災ノ雨レイン・ザ・ディザスターはグラスサウスへと落下してしまった。

 落下すると同時に天変地異・・・とまではいかないが数々のありえない現象がグラスサウスに襲い掛かる。

 水のように流動する炎は地面に落下すると同時に瞬く間に周囲に広がり、炎のように揺らめく岩石は延焼するように周囲に拡散してゆく。

 逆巻く風の中に閉じ込められた炎と水は、触れた箇所を抉り取られ・・・融解する岩石は地面を融解させながら進んで行くその様は、正に無情。

 ものの数秒でグラスサウスの光景が様変わりしてしまった。


『お、俺達のグラスサウスが・・・』

『なんて力なんだ・・・』

『絶対に許さねぇぞぉぉぉ!』


 激昂する竜人(ドラグニル)であったが・・・彼らの竜力は最早枯渇寸前。

 生命維持に必要な竜力は保っているが、中には後一、二発の竜法を放つのが限界な竜人(ドラグニル)もいる状況だ。

 天使達もまた自らの大半の魔力を使用してしまっているが為に、竜人(ドラグニル)と同じような・・・風前の灯火のような状態になってしまっている。

 満身創痍の天使と竜人(ドラグニル)なのであったが・・・その状況を打破する為に竜力を練っていたジェイロスが動き出す。

 自らの統治するグラスサウスがめちゃくちゃにされてしまったのにも関わらずに、何も行動しなかったジェイロスであったが・・・それは仕方のないことなのだ。

 無闇に竜力を消費したとしても、圧倒的な力を持っている断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)には勝てないと感じたジェイロスは冷静、自らの感情を圧し殺して竜力を溜めていたのだ。

 自らが使える最強の竜法を放つ為に・・・


『やっと・・・やっと・・・やっと貴様を殺せるぞぉぉぉぉぉ!』


 溜まりに溜まった怒りが限界に達してしまったジェイロス。

 その怒りと共にジェイロスの身体が変化し・・・身体がまるで水風船のように膨張し始める。

 人体が『ボコボコ』っと膨張していくその様は異様と言う他はなく、ジェイロスを見つめている天使、竜人(ドラグニル)断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)は呆気にとられてしまっている。

 しかしながらジェイロスは膨張する身体に呑まれながら不気味に笑う。

 背負っていた大剣が砕け・・・更には隠し持っていた『強欲』の呪術石と魔導銃(エンチャントガン)も砕け散る。


『何を考えているんだ・・・あの竜人(ドラグニル)は?』


 断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)が哀れみの目線で見つめていると・・・ジェイロスの笑い声が止み、そして膨張も止まる。

 数秒、数分の沈黙がこの場を支配し・・・ジェイロスの膨張した身体が『ボロボロ』と崩壊し始める。


『不安要素は全て消す・・・翠炎・腐炎ノ葬転』


 ボロボロと崩壊するジェイロスをよそに、今度は翡翠のような美しい炎を出現させる断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)

 その炎は弧を描き、輪を作るとジェイロス目掛けて飛んで行き・・・そしてジェイロスに直撃する。

 すると燃焼・・・というよりはその形を維持したまま徐々に徐々にジェイロスの身体を腐食するように抉ってゆく。

 翠炎・腐炎ノ葬転は、炎の輪という形をした腐食性の炎であり、この炎は主に城壁などの破壊を目的にした炎なのだ。

 回避や迎撃すれば何も問題はないが・・・翠炎・腐炎ノ葬転は障害物腐食させながら進んで行くという性質があり、防御が悪手な魔法となっている。

 その性質がわかっているのであれば対処することもできるが、何もわかっていない状態で触れてしまえば腐食され・・・生物であれば腐食した箇所を切り落とさなければいずれ朽ち果て死んでしまう。

 そんな魔法を喰らってしまったジェイロスなのだが、依然として崩壊は進み・・・そして数分後、翠炎・腐炎ノ葬転に腐食されてしまったジェイロスが姿を現す。


『ジェイロス様?』

『無事なのか・・・』

『だ、大丈夫でしょうか?』


 姿を現したジェイロスであったが・・・既にその身体は腐食されてしまっていて、正直に言って助かりそうな雰囲気ではない。


(何か妙ですね・・・)


 腐食してゆくジェイロス。

 しかしながら断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)のまだ油断できないと直感する。

 ただの勘なのかもしれないが、時にその勘は経験をも凌駕する時もあるのだから・・・


『少し様子を見に行ってくる・・・』

『だ、大丈夫なのかよ。あの天使今はまだ動いていないが、きっと俺達を殺れるだけの力は残っているはずだぜ』

『ここは時間を稼いで増援が来るのを待った方がいいんじゃないのか?』

『確かにそうかも知れねぇが・・・俺は確かめたいんだ』


 そう言いながらジェイロスに近づく一体の竜人(ドラグニル)

 生きているのか?それとも死んでしまったのか?腐食してしまっているジェイロスに触ろうとしたその時・・・ジェイロスの身体の異変に気が付く。

 その異変とはジェイロスの皮膚の下・・・本来であれば肉がある筈の場所の色が明らかに違うのだ。

 人間であろうと竜人(ドラグニル)であろうと、亜人であろうと皮膚や鱗、毛並みは違えども筋肉の色までは変わらない・・・変わらない筈なのだが、ジェイロスの皮膚の下から現れ出たのは鋼色をした物であった。


『なんだ・・・これ・・・』


 目の前で起きていることが理解出来ていない竜人(ドラグニル)が言い終えるよりも速く、ジェイロスが動いた・・・

 蛹から蝶が羽化するようにジェイロスの背中が割れ・・・そして中からそれは現れた。

 身体の至るところが鋼色の鱗のようなものに変化し、両角、背中の翼から尻尾までもが鋼色な竜人(ドラグニル)

 通常の竜人(ドラグニル)は人間に角と翼と尻尾が追加されたような姿をしているが・・・皮膚が鱗のように変化している竜人(ドラグニル)は今まで確認されていない。

 しかし、その常識を変えるようにして現れた一体の竜人(ドラグニル)・・・

 ジェイロスなのか?それとも全く別の竜人(ドラグニル)なのかはわからないが、ただひとつ言えることはある。

 それは・・・


『危険だな・・・動く前に潰す!』


 奇妙な姿の竜人(ドラグニル)が動くよりも速く、潰そうと考えた断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)は紅蓮の炎を身に纏い・・・灼熱に燃え盛る巨大な火の玉を出現させる。


『原灼の炎!消え去れぇぇぇぇぇ!』


 まるで太陽のような灼熱の炎の塊は、周囲一帯の水分を奪い水溜まりを干からびさせ、木々を枯れさせるほどの熱量を作り出す。

 一目で危険だと理解できる炎の塊を断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)はジェイロス向かって解き放つ。


『ま、まず・・・い?』


 ジェイロスの近くにいた竜人(ドラグニル)が迫り来る原灼の炎に驚いていると、先ほどまで反応していなかったジェイロスが急に動き・・・そして竜人(ドラグニル)を鷲掴みすると原灼の炎に向かって放り投げる。

 急に放り投げられてしまった竜人(ドラグニル)は空中で翼を広げて静止しようと試みるが・・・残念ながら勢いを消すことはできなく原灼の炎に呑まれてしまった。


『盾にもならないか。それともあの炎が強すぎるのか?』


 原灼の炎を止めることができないとわかると、ジェイロスは大きく翼を羽ばたかせ原灼の炎の射程圏外に脱出する。

 死んでしまった竜人(ドラグニル)の事を何一つ気にかけている様子がないジェイロス。

 昔の・・・変化する前のジェイロスであれば仲間である竜人(ドラグニル)を盾にするようなことは一切しなく、更には実験動物のように試すようなことは元の性格から考えるとありえないの一言なのだが・・・変わってしまったジェイロスは外道とも言える事を躊躇なく実行したのだ。

 ジェイロスの行動に呆気にとられていた竜人(ドラグニル)達であったが・・・

 そんなことはお構い無しにジェイロスは次の手を打つ。


『さて、少しは働いてもらうとするか・・・呪法・強欲森羅の呪咆!』


 ジェイロスの胸元に赤紫色に脈動する呪術石が出現し・・・ジェイロスが雄叫びにも似た咆哮を上げる。

 すると先ほどまで呆気にとられていた竜人(ドラグニル)の眼の色が変わる・・・

 全てを欲する強欲の眼・・・止めどなく溢れ出る欲望を満たす為に動き始める。

 各々の手に獲物を取り断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)に向かって特攻を仕掛けて来るのだ。


断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)さま!』

『問題ない!お前達は魔力の回復に専念していろ』


 特攻を仕掛けて来る竜人(ドラグニル)の攻撃をかわしながら断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)は魔力を練り上げ・・・再び無情の鎧炎を発動させる。

 先ほど放った原灼の炎よりも熱量が無いように思える無情の鎧炎なのだが・・・

 手刀で大剣を斬り伏せ、正拳で盾を融解させ、蹴りによって身に纏う鎧を融解させ竜人(ドラグニル)を滅する。

 瞬く間に周囲を取り囲んでいた竜人(ドラグニル)を次々と倒していくその様は正に一騎当千。


『全く役に立たない・・・まぁ、別にいいか』


 ため息混じりに、部下である竜人(ドラグニル)が倒されているのを眺めているジェイロス。

 そんなジェイロスに一切の不満を抱くことがない竜人(ドラグニル)

 それは呪法によって欲望という感情に支配されてしまったからであり、自らが欲する物を奪うというだけの操り人形のとなってしまったからだ。

 どんな感情よりも優先し、どんなに傷を負っても動きを止めることなく攻め込んで行く竜人(ドラグニル)は哀れであり・・・そして救いようがない存在となってしまった。


『常識を超越した炎か・・・全く持って厄介だな!』


 残り数体となってしまった竜人(ドラグニル)に加勢する・・・よりは断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)を倒す為に動き出すジェイロス。


『ついに動いて来たか!』


 周囲の竜人(ドラグニル)をその美しき翼で弾き飛ばし、此方に攻撃を仕掛けて来るジェイロスに向かって逆に突撃する。


『金剛不崩の怪腕!』


 ジェイロスが竜力を一点、拳に集中させる。

 すると、先ほどまで所々が鋼色になっていた両腕が全て鋼色に変化し、そして一気に膨れ上がる。

 水風船のように膨れ上がった時とは違い、明らかに筋肉が増えて・・・上半身と下半身のバランスが全くとれていない状態となってしまう。

 しかしながらそんなことを気にするよりも速く、断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)の拳とジェイロスの拳がぶつかり合う。

 拳と拳がぶつかり合いったのにも関わらずに、まるで爆発音のような、天地を裂く爆音が響き渡る。


『融解しな・・・いや・・・』


 断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)の、全てを融解させていた拳と触れたのにも関わらずに融解しないジェイロスの拳。

 融解すると思っていた断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)は衝撃に耐えきれず吹き飛ばされてしまった。


(融解しなかった訳ではない・・・だが、なんなんだあの拳は?)


 自らの拳を見つめる断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)

 ジェイロスの拳と激突してしまったからなのか、ぶつかった拳は痺れたようになってしまっている。

 それに対してジェイロスの拳はというと・・・少しばかり融解した程度であり、原型は留めたままだ。


『少し溶けたか・・・まぁ、問題ねぇな』


 ジェイロスが竜力を込めると・・・『ドロドロ』っと鋼色をした液体が溢れだし、融解していた拳を包み込むと何事もなかったかのように元に戻る。


『なんなんだその拳・・・いやその液体か?』

『魔力と呪力と竜力を使って作り出した新時代の力さ・・・これならお前の炎でも溶かすことなんてできないぜ!』

『世迷い言を・・・一度融解しているでしょうに』

『元に戻るのなら問題はねぇだろうが』

『それにその力を永遠に使える訳ではないのであろう?』

『まぁ・・・永遠には使えねぇな。だが俺が力尽きる前にお前を倒してしまえば問題ないはずだが?』

『できますか?』


 そう言い終えると断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)はジェイロスに対して攻撃を仕掛け・・・ジェイロスもまた迎え撃つ為に拳を激突する。


(真っ正直からの攻撃では力負けしてしまう・・・ならば、速度で勝負!)


 拳が激突すると同時に断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)は即座に拳を引き戻し・・・ラッシュの速度で勝負する。

 一呼吸の間に繰り出される無数の連撃。

 人知を越えた速度からの連撃なのだが・・・ジェイロスの身体から先ほどと同じように鋼色をしたドロドロの液体が溢れだし断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)の拳を防ぐように展開する。

 その展開した液体とぶつけると同時に、『ジュー』っという冷水に熱した鉄を入れたような音が聞こえ・・・数秒程度断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)のラッシュを防ぐ。


『まずい!?』


 展開している液体がラッシュによって四方に飛び散り、ジェイロスを守っていた壁・・・というよりは液体が無くなり断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)の拳が迫り来る。

 直撃・・・するより先にジェイロスは自らの腕を使いガードを試みるが、断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)のラッシュが無情にも襲い掛かり、爆撃でもしているかのような音が周囲に響き渡る。


『砕け散れぇぇぇぇぇ!』


 断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)のラッシュがより一層激しくなり・・・ジェイロスのガード砕ける。


『終わりだ・・・』


 ガードが砕け、バランスを崩してしまったジェイロス。

 そんなジェイロスに止めを刺す為に渾身の力を込める断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)

 勝利を確信した断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)であったが・・・追い詰められている筈のジェイロスが不適に微笑む。


『油断したな!喰らいやがれ』


 先ほどの攻撃によって断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)に飛ばされた鋼色をした液体が鋭利に変化し・・・断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)に向かって飛んでゆく。

 ジェイロスの竜力によって作り出された鋼色の液体はジェイロス自身が竜力によって自由自在に姿を変え、そして操ることが可能なのだ。

 それによりジェイロスはの攻撃を防ぐと同時に、断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)の死角へと鋼色の液体を移動させていたのだ。

 勝利を確信した時こそ油断というものは生まれる・・・その心理を利用したジェイロスの奇襲攻撃。

 鋼色の液体が断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)を串刺しにする・・・よりも速くそれらは動いていた。

 後方で待機し、魔力を回復していた天使達が断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)が鋼色の液体に串刺しされる前に防御魔法を発動させ妨害する。

 ほんの数秒程度ではあるが、鋼色の液体が防御魔法に阻まれたてしまったことによって断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)が串刺しにされる事はなく・・・串刺しにされる前にジェイロスに断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)の渾身の拳が叩き込まれる。


『ぐっ・・・がぁぁぁ!?』

『残念だったな・・・私の方が一枚上手だったようだ』

『くそ・・・が・・・離れろぉぉぉぉ!』



 断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)の渾身の拳が直撃したことによってジェイロスの身に纏っていた鎧が融解し、そして皮膚が、肉さえもが融解してしまう。

 激痛に耐えながらも火事場の馬鹿力なのか、断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)の拳を振りほどき距離を取る。

 しかしながらジェイロスが逃げた先に降り注ぐ天使達の魔弾。

 回避しようとしようとも身体は動かず、防御しようとしても時既に遅く・・・魔弾の雨が直撃するジェイロス。


『お前は部下を使い私の実力を測った・・・しかし、天使達の実力を見誤っていたようだな』


 天使達の魔弾が直撃したことによってボロボロになってしまったジェイロス。

 僅に意識はあるが、最早虫の息同然のジェイロスが聞いているのかは不明だが・・・断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)は止めを差すために魔力を溜め、無情の炎鎧を一点に集めると炎の剣を作り出す。

 淡い色をした炎の剣は儚くも美しく・・・そして無情なる輝きを放っている。


『終わりだ・・・』


 一瞬にして羽ばたき、そしてジェイロスに近づくと・・・その命を断ち切る。


『絶対なる安心を・・・』


 ジェイロスを殺し終えた断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)は周囲にいる天使達を集め進軍して行くのであった。





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