全面戦争3
北の浮遊都市・ロウェイノースを統べる竜人、ハッカ・ラフス・ノースルー・ライブエラの住まう場所であった城が破壊されたのを目の当たりにした竜人。
しかしながらその戦意が衰えることはなく、逆に竜人の感情を逆撫でしてしまったようだ。
まるで逆鱗にでも触れたかのように激昂する竜人もいれば、冷静に、静かに怒っている者など様々いるが・・・どの竜人も城を破壊した張本人である絶軍の四教天使を睨んでいた。
自らが仕える都市の最高権力者の城を破壊したのだ、殺意を向けられないのがおかしいと言える。
あの城はロウェイノースの象徴であり、そして芸術的価値もあの城は高い。
そんな貴重な城を破壊した絶軍の四教天使率いる天軍と対峙している竜人なのだが、迂闊に攻め込む事が出来ずにいた。
相手は未知の存在であり、どんな攻撃やどんな方法で戦うのかが不明だからだ。
更に絶軍の四教天使率いて天軍には、確実に後ろ盾がいるのは確定してしまっているのも攻め込めずにいるのも原因だ。
『・・・戦う気がないのであれば退けてくださいませんかねぇ』
そう言いながら絶軍の四教天使は魔力を練り上げ・・・無数の大岩を作り出す。
その数は約五十以上であり、一つ一つが家屋を倒壊させるには十分な大きさだ。
『天地雨降!』
絶軍の四教天使が軍刀を振り下ろすと同時に、一気に地上に向かって降り注ぐ。
速度はそれほど速くはないが、それは別に問題はないのだ。
絶軍の四教天使はこの魔法で竜人達が住まう拠点や、武器屋などを破壊して反撃の目を潰すのが目的なのだからだ。
しかしながら、そんなことを思っていた絶軍の四教天使の作り出した大岩が降り注いでいる矢先にそれは起こった。
降り注ぐ無数の大岩に対して、一体の竜人が突撃を開始したのだ。
そしてその竜人が大岩とぶつかると同時に、大岩が大爆発してしまい・・・大岩が無数の小さな岩となってしまった。
無論大岩に突撃していった竜人も大爆発に巻き込まれてしまったのだが・・・原因は何故大爆発したのかだ。
この大爆発なのだが・・・事前に絶軍の四教天使が準備していた訳ではない。
その証拠に絶軍の四教天使もまた大爆発が起こったことに眉をひそめたのだから。
『何故大爆発が・・・あの竜人が原因なのか?』
何故大爆発が起きてしまったのか未だに理解できていない絶軍の四教天使であったが、竜人は違っていた。
一体の竜人が突撃と同時起きた大爆発・・・それは自らの魔力を高速に、急激に圧縮したことによって己自身を爆弾に変えるということをあの竜人はしていたのだ。
爆弾となってしまった自らを大岩に激突させることによって、大岩を破壊するほどの大爆発を引き起こした竜人。
その行動は正しく身を呈して仲間を、この地を守るということの現れだ。
『あのばか野郎が・・・何で先にいっちまうんだよぉ』
『相変わらず無口でしたね・・・』
『少しでもあの大岩の数を減らそうとしたのでしょうが、どうやら一つしか壊せなかったようですね』
『無理もねぇさ・・・あんだけでけぇんだからな』
『あいつに先越されたのは癪だが仕方ねぇや・・・』
『こっちは覚悟出来ているぜ!』
『同じく』
『私もです』
『よし、てめぇ等覚悟決めな・・・あの大岩を破壊するぞ!』
一体の竜人が雄叫びを上げると・・・それに追従するように集まっていた竜人もまた咆哮を高らかに上げる。
どうやら此処に居る竜人全員があの大岩に向かって突撃をするようだ。
自らの命を爆弾へと変えて・・・
竜人達の行動に感づいた絶軍の四教天使は大天使、天使達に指示を出して大岩へと向かって行く竜人を迎撃させるように指示を出す。
だが、自らが死ぬとわかっているからなのか、竜人の動きは先ほどとはまるで違い俊敏となっている。
これは自らの竜力を最大限まで高めたから成せる技の一瞬であり、今の竜人はさながらゾーンに入ったスポーツ選手と同じなのだ。
極限にまで高められた竜力であるからこそできる芸当であり・・・死ぬ気でなければ発動することができない禁じ手。
莫大な集中力に、研ぎ澄まされた判断力。
ほんの数秒、数分程度ではあるが突撃して行った竜人に大天使、天使達の攻撃は一切当たることはなく・・・そして大岩と激突して行く。
残りの大岩全てが大爆発へと巻き込まれて、降り注ぐ無数小さな岩。
絶軍の四教天使の攻撃は失敗に終わってしまったのだ。
『なるほど、なるほど・・・こんな奥の手が。しかしながら自らの命も厭わないとは危険ですね』
自らの命を削ってまで大岩を破壊した竜人相手に、見下すように目線を送り・・・そして周囲に居る天使達に指示を出す。
その指示に従い、先ほどまで戦闘をしていた竜人と距離を取り、絶軍の四教天使の元へと集結する。
『頭を潰したのにも関わらずに戦意旺盛な竜人どもめ・・・蛆虫のように踏み潰してくれる!』
殺意を露にした絶軍の四教天使が天に向かって手に持っている軍刀を掲げる。
すると魔法陣が天に向かって作られ・・・そして魔法陣から無数の刀が出現する。
どの刀もきらびやかな装飾に、磨き抜かれた刀身。
それは一目で一級品だと分かるほどだ。
種類は日本刀に類似した物から大型の両手剣、大きくカーブした刀に刺殺に特化した細長い刀など様々な刀が集まっている。
『さて・・・お前達邪魔はするなよ』
『分かっています絶軍の四教天使様』
『だが、援護はしてもらうぞ私は断炎の四教天使ほど戦闘能力は高くは無いのだからな』
『ご冗談を・・・』
配下の大天使、天使達に指示を出し・・・今度は絶軍の四教天使が竜人に向かって突撃を開始し始める。
『ちぃ・・・休憩は終わりか』
『野郎ども敵大将が攻めてくるぞ!』
『接近部隊は隙を見逃すな!竜法がメインの連中は射程に入り次第放て!』
攻めてきたかっています絶軍の四教天使に対して、先ほどまで休憩していた竜人が一斉に動き出す。
相手の出方がわからないので攻め込むことを躊躇していた竜人であったが、攻め込んで来たのであれば話が別だ。
迎撃するように攻め込んできている絶軍の四教天使に狙いを定めている竜人であったが、絶軍の四教天使が攻め込んでくると同時に先ほど展開した魔法陣も同じように追従して来ていることに気がつく。
『なんだあれは?』
『刀も一緒に付いてきている?』
『別にそんなことは重要じゃねぇ・・・来るぞ!』
一体の竜人が竜法を放つと同時に他の竜人も絶軍の四教天使に向かって自慢の竜法を繰り出すが・・・その竜法は絶軍の四教天使の後方で待機している天使達の魔法によって打ち落とされてしまった。
『援護射撃か・・・だったらやっぱり奴を狩るしかなさそうだな』
絶軍の四教天使に竜法があまり通用しないと分かると、接近戦で倒すために竜力を溜める。
各人各々が得意とする得物を構え・・・そして絶軍の四教天使と激突する。
片手に持っていた軍刀の他にも、日本刀を手にした絶軍の四教天使が最初に目をつけたのは、他の竜人よりも体格が大きな竜人だ。
その竜人が持っているのは巨大な大剣であり、身の丈以上の大きさの武器だ。
先陣を切ったのは絶軍の四教天使であり、巧みに振り下ろされた大剣をかわして竜人の懐に入ると・・・軍刀で斬りつける。
想像以上に絶軍の四教天使の反応が早かったようであり、斬られてしまった竜人であったが、巧みに尻尾を使って絶軍の四教天使を吹き飛ばすことに成功した。
『そうでしたね。竜人には尻尾があるのでしたね』
尻尾の強打攻撃を喰らってしまったことによって吹き飛ばされてしまった絶軍の四教天使は、空中で大きく翼を広げ衝撃を和らげ停止する。
『今だお前達!』
絶軍の四教天使が竜人から離れたことによって、周囲を取り巻いていた竜人が一斉に絶軍の四教天使に向かって襲い掛かる。
四方八方からの一斉攻撃。
無論その攻撃には絶軍の四教天使の死角となる後方も含まれている。
『死角から・・・ですが無駄ですよ』
そう言い終えると絶軍の四教天使の後方から更に魔法陣が追加で上書きされてしまう。
そしてその魔法陣から無数の土で造り上げられた腕が出現し、大剣や刺殺武器を手に取る。
両手の武器の他には新たに作り出した六つの腕を使い武器を手にした絶軍の四教天使。
『腕が!?』
『増えた?』
『まずい・・・この手数は!?』
四方八方から絶軍の四教天使を倒すべく攻撃を仕掛けた竜人であったが、突如として手数が三倍に増えたことに驚いてしまった竜人。
動揺してしまったからなのか攻撃が一瞬緩んでしまった。
『一体、一体相手にするのは面倒なのでね』
どのような仕組みなのかは不明だが、死角であるはずの竜人の攻撃を防ぎ・・・そして受け流す。
『全部・・・』
『なっ!?俺の攻撃まで・・・』
攻撃を受け流されたことに対して更に驚いた竜人であったのだが・・・時既に遅く絶軍の四教天使に襲い掛かった竜人が全て斬り伏せられてしまった。
『脆い・・・この程度か竜人は?』
そう言いながら絶軍の四教天使はまだ残っている竜人を視界に捉え・・・得物を構える。
リーチの長さはそれぞれバラバラなのだが、その不揃いのリーチを巧みに扱い絶軍の四教天使の鮮やかな手並みに息を呑む竜人。
一流の剣士であるはずの竜人でさえも魅了する絶軍の四教天使の剣捌きなのだが・・・それに対して横槍を入れて来る者がいた。
『水の槍・・・』
『まさかこの槍は!?』
『増援なのか?』
飛んで来る槍を退き、槍の飛んで来た方向を見つめる絶軍の四教天使の先には、純白の竜人ハッカ・ラフス・ノースルー・ライブエラが近衛兵を率いて接近しているのが視界に入る。
そのハッカの周囲には、取り巻きの近衛兵が魔力を凝縮させた水の槍を持っており・・・そして絶軍の四教天使に向かって投げつける。
『増援に来ました!』
突如として出場した竜人・・・ハッカ・ラフス・ノースルー・ライブエラによって周囲の雰囲気が一気に塗り変わってしまった。
『さぁ・・・反撃と行きましょうか?』
周囲の竜人に聞こえるように話すハッカ。
その声を聞き、一気に士気が上がるのは必然であり・・・そして天使達もまた戦意が上がるのであった。
『反応がない・・・気づかれたのか?』
厳重に天使達に守られている衰癒の四教天使が不思議そうな表情を浮かべながら天を見ている。
『何かありましたか衰癒の四教天使様?』
『どうやら敵に私の魔法が気がつかれたようですね』
『それは・・・』
『敵にもやり手がいるようですが・・・まぁ、結構な数を殺れたので良かったですけどね』
衰癒の四教天使はそう言いながら手に持っている天秤を手放す。
すると何故か天秤は地面に落下することなく衰癒の四教天使の数秒程度周囲を漂い・・・そして空中で静止する。
『さて・・・次はどんな方法で倒して差し上げましょうかね』
そう言い終えると衰癒の四教天使の方にも光輝く魔法陣が描かれ・・・その中から衰癒の四教天使は巨大な鍵を取り出す。
衰癒の四教天使と同等の大きさの鍵は全てが金色で作られており、持ち手に当たる部分には巨大な真っ赤な宝石が嵌め込まれている。
しかも宝石だけではなく、その鍵には数多の植物が装飾されていて、一目で一級品だと判断できるほどの巨大な鍵だ。
『さて・・・皆さんにも協力してもらいますよ』
『もちろんです衰癒の四教天使様』
『喜んで協力させてもらいます!』
『わ、私の力がお役に立つのでしたら・・・』
『何をすればよいのです?』
巨大な鍵を取り出した衰癒の四教天使であったが、周囲にいる天使に協力を依頼し、そして協力を得ることに成功する。
すると衰癒の四教天使は水の属性魔法を発動させ・・・水で出来た鎖を作り出す。
鎖の先端は竜のようになっており、まるで生物のように滑らかに動き・・・そして天使達の心臓を貫く。
突如として天使達を襲い、そして尚且つ心臓を貫いたのにも関わらずに心臓を貫かれた天使の表情は穏やかで、何処か幸せそうな表情を浮かべている。
『衰癒の四教天使様・・・』
『これで準備は整いました。さぁ・・・解放と行きましょうか?』
自らの仲間あるはずの天使達を襲った衰癒の四教天使なのだが、実際には違う。
衰癒の四教天使の作り出したこの水の鎖はいわば魔力を伝う管のような役割を果たす魔法であり、貫かれているように見えるが実際にはダメージ等は皆無な魔法なのだ。
この鎖の魔法の名前は『共癒の鎖』と言って、この鎖だけではあまり意味を成さない魔法となっている。
この魔法の中央には魔法陣が描かれており、その真ん中には先ほど取り出した鍵と同じように大きな鍵穴が存在していて・・・衰癒の四教天使がその鍵穴に黄金の鍵を差し込む。
『呪法・旋律正邪・蝕癒』
鍵穴へと黄金の鍵を差し込み・・・そして呪法を発動する。
すると鎖で繋がれた天使達の背中に魔法陣が出現し、その鎖から天使達の上に浮かんでいる天使の輪に繋がる。
『さて・・・気分はどうですか?』
優しい微笑みと共に天使に語りかける衰癒の四教天使。
『最高の気分です衰癒の四教天使様』
『力が漲ってくる気がします!』
『これならあの憎き竜人も楽勝ですね』
衰癒の四教天使から呪法を受けた天使達は感激するように飛び回っている天使達。
心なしか顔色も優れているように感じられる。
『これによって貴女方には癒しの加護が施されました・・・さぁ旋律を奏でましょうか?』
そう言い終えると衰癒の四教天使は多数の魔法陣を展開する。
その他にも奇妙な六角形の柱が同時に出現する。
数にして十数に柱はそれぞれ衰癒の四教天使が作り出した魔法陣を通過し・・・先ほどまで何もなかった柱に数多の魔法陣と魔法で作られた溝が掘られる。
一瞬にして様変わりした柱は空中で旋回し・・・そして四方八方へと飛んで行ってしまった。
その飛んで行った柱に追従するように天使達も飛んで行く。
『なんだぁあれは?』
『奴らの攻撃か!』
何らかの方法で衰癒の四教天使の雷の誘導魔法を回避していた竜人が、突如として飛来してきた柱に警戒していると・・・その柱が地面へと突き刺さる。
しかしながらその柱で死ぬような間抜けな竜人はいなかったようだ。
『・・・外れた?』
『どうでしょうか・・・まさか出鱈目に攻撃してきたというには不自然な気がしますが』
『破壊しますか?』
『いや・・・待て・・・』
『どうした?』
『・・・来るぞ!』
竜人が話し合いをしていると、先ほど衰癒の四教天使から呪法を授かった大天使が柱の落下してきた場所に飛来してくるのを視界に捉える。
大天使の他にも護衛なのであろう四名の天使も飛んで来ている。
護衛の天使達の手には魔導石を嵌め込んだ杖を持っている。
先に動いたのは竜人であり、大天使を見るなり竜法繰り出した竜人なのだが・・・その竜法が大天使に当たることはなかった。
竜人が攻撃を仕掛けてきたと同時に護衛の天使達もまた、防御魔法を発動させて攻撃を防いだのだ。
『硬い・・・』
『まだまだ!畳み掛けるぞ!』
立て続けに攻撃を繰り出している竜人なのだが、竜人の抵抗虚しく大天使と護衛の天使達は目標である柱の上にたどり着き・・・そして歌い出す。
突如として歌い出した大天使の行動に疑問を思っていた竜人なのだが・・・そんな疑問よりも異変を感じる。
『なんだ・・・これ・・・は・・・』
『身体が・・・力が・・・』
『く・・・そ・・・が・・・』
大天使の透き通るような歌声が周囲に響きわたると同時に、空を飛んでいる竜人が徐々に地上へと降りてくる。
そして次々と力なく倒れてゆく竜人。
なぜ、何が起きているのか理解出来ていないが・・・大天使が歌い始めたのが原因であることには確かだ。
『くそ・・・力が・・・』
『でない・・・』
『あの歌が原因なのか・・・』
力なく地面に倒れ込む竜人であったが、数体の竜人が歌っている大天使に向かって竜法を放つ。
しかしながらその竜法は弱々しく護衛の天使達の防御魔法によってあっさりと防がれてしまった。
大天使達が歌うこの歌は女神セラフティアス作った物なのだが・・・歌自体には何の効果も、何の能力も無いただの歌だ。
だが、衰癒の四教天使の使った呪法により歌自体を呪法に変えるという仕組みとなっている。
歌自体が呪法に変わっているというのであれば、その歌声を聞いた者に効果を発するが・・・この呪法は天使達には全くもって効果の無いものとなっている。
何故かというと、この呪法は歌を歌う者に共感していない者の力を無力させるという呪法だからだ。
そして先ほど衰癒の四教天使が取り出した柱には、その歌声を共鳴させるといういわばアンプとスピーカーの役割を持たせ物となっており・・・大天使の歌声を広範囲に拡散させることが可能だ。
更に衰癒の四教天使に呪法を受けた大天使は複数おり、この場以外にも歌を歌っている。
つまりこの場所と同じような現象が複数起こっているということだ。
地面に倒れ込んでしまった竜人は最早『ピクリ』とも動く気配がない。
何も知らずに助けに来た竜人もまた大天使の歌声を聞いてしまい餌食となってしまっており、その被害は芋づる式に拡大してしまっていた。
『素晴らしい歌声ですね』
『とても癒されます』
『初めて聞きました・・・私も大天使様のように歌えるでしょうか?』
『きっと出来るはずです!』
大天使の歌声を聞き、興奮している者もいれば、静かに瞳を閉じて聞いている者など様々いるが・・・一概に言えることは誰一人として地面に倒れてしまっている竜人を気にしている様子は無い。
まるで眼中に無いと言わんばかりに自分達だけの世界を楽しんでいる天使達であったが、その幸せは突如として崩壊してしまった。
大きな地鳴りと共に地面が崩れ始めたのだ。
最初は何が起こっているのか理解出来なかった天使達であったが、地面が崩れ始めたのが自然現象で無いと即座に判断し、周囲の警戒にあたる。
何故自然現象ではないとわかったのかというと・・・崩壊した地面に柱が巻き込まれたからであり、周囲を見渡しても他の建物が少し崩れる程度で無事な建物もあったからだ。
つまり局所的に地面の崩壊が起こったのは言うまでもなく、このような不可解な崩壊は自然にはありえないのだ。
誰か・・・まぁ十中八九竜人の仕業であるのは間違いないはずだ。
『どうやら敵にもやり手がいるようですね・・・』
『ど、どうしますか大天使様?』
『仕方ありません・・・衰癒の四教天使様と合流し、指示を仰ぎましょうか』
『了解です!』
『わかりました』
アンプとスピーカーの役割を持っている柱が地面に呑み込まれてしまったこと天使達は、周囲を警戒しながら衰癒の四教天使の元に向かうのであった。
『よもやこれほど早く対処してくるとは・・・』
数体の護衛の竜人に守られているウルキードはため息混じりに呟く。
衰癒の四教天使の広範囲攻撃を見抜き反撃しようとした矢先に、出鼻を挫くようにして畳み掛けられてしまったウルキード。
しかしながら今度は確実反撃するという覚悟と共に、秘蔵の魔導石を埋め込んだ杖を取り出すのであった。




