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全面戦争2

 信導の四教天使(ラファ・カースエル)率いる本陣は、呪法・憤怒の道標によって憎悪に支配されてしまった竜人(ドラグニル)と戦う為に動いている。

 各種武装した天使、大天使だけではなく、新たに入手することができた各種魔導石を用いて作り出された強力な杖を所有している天使、大天使もまた集合していた。

 天使、大天使達は全員魔法を使うことができるのだが・・・人間の国々から集められた魔導石を使うことによって更に魔法を強化することができるのだ。

 この部隊は魔導大隊と言われている部隊で、選りすぐりの面々が揃っている。

 その部隊の中に仲良さそうにしている大天使と天使・・・クリスとスフレもまた出撃する為に準備していた。


『クリス様どうしたのですか?』


 何故か一点を見つめているクリス。

 その先にあるのは人間の住まう国なのだが・・・スフレには何故クリスが見つめているのか理解できないようだ。


『・・・いえ。何もありませんよスフレ』

『そうなのですか?』

『何故か彼方の方に行ったことがあるような気がしただけです』

『あの方向にクリス様が?』

『ただの気のせいでしょうね・・・』

『何か思う事があるのでしたら信導の四教天使(ラファ・カースエル)様や、女神セラフティアスが言った方がよろしいのではないでしょうか?』

『うーん・・・別に問題ないでしょう。実際に彼方の方向には行ったことがないのですからね』


 そう言い終えるとクリスは水色の魔導石が埋め込まれた杖を構える。

 クリスに習うようにスフレもまた杖を構える。

 どちらも堂に入っており、周囲にいる天使、大天使よりも熟練している雰囲気を醸し出しているクリスとスフレ。

 お互いの身だしなみを整えるとフィヘイン率いる軍に攻め込む為に飛んで行き・・・ほどなくして信導の四教天使(ラファ・カースエル)の放った呪法に支配されてしまった竜人(ドラグニル)と対峙する。

 どの竜人(ドラグニル)も一心不乱に突撃しかしてきていない。

 本来、竜人(ドラグニル)であれば全員が使うことができるであろう竜法などは一切使う様子が見られないのは呪法の効力の現れだと判断できる。


 呪法とは人々の願いが長い年月の末に魔法となった物あり、魔法や竜法とはまるで異なる性質を持っている。

 魔法、竜法が各種四属性とそれを構成する魔力でできているの違い、呪法はその元になった願いが対象者に作用するという仕組みになっている。

 例えば眠りたいという願いを集めて作られた呪法を使えば対象者は直ぐ様に、脳が眠りを欲するようになりそして眠りについてしまう。

 悲しいという感情を集めれば、悲しくなくても悲しいという感情になってしまい、怒りの感情を集めれば我を忘れたように怒り狂うようになってしまうというのが呪法だ。

 しかしながら人間一人程度の願いで人の感情を左右することなど到底不可能。

 人間が一生かかって願い続けたとしても、一時的にその呪いを付与させる程度しかない。

 だが、何らかの手段を用いて人々の願いを集め続けて作り出した呪法であれば話は別だ。

 先ほど信導の四教天使(ラファ・カースエル)が隠れている竜人(ドラグニル)に憤怒の呪法を使って誘きだしたのと同じように、生物であれば必ずと言っていいほど操られてしまう。

 中には例外的な者も存在するが・・・大抵の者であれば抗うことができないというのが呪法だ。

 そして憤怒に支配されてしまった竜人(ドラグニル)は直線的な攻撃しかしてこなく・・・倒すことが容易となってしまった。


『突進しかしてこないのが、これ程楽とは思ってもいませんでしたね』

『そうですね。ですがスフレ油断しないでくださいね』

『もちろんですよクリス様』


 迫り来る怒り狂った竜人(ドラグニル)を次々と倒して行っているクリスとスフレ。

 怒り狂ってしまっているからなのか、時々味方である竜人(ドラグニル)ごと攻撃を仕掛ける竜人(ドラグニル)もおり戦場は天使達の圧倒的優位な状況へと変わってしまった。

 そんな矢先に一体の傷ついた竜人(ドラグニル)が空を見上げていた。

 既に身体はボロボロで、元は立派であった角は折れてしまい、翼の翼膜には無数の穴が空いてしまっている。

 なんとか動けてはいるが最早空も飛ぶことはできず、ただ空いる天使達を憎悪の瞳で見ているしかなかった。

 何故この竜人(ドラグニル)だけが呪法・憤怒の道標に支配されることなく動けているのかというと・・・それはこの竜人(ドラグニル)が持っている呪術石にある。

 濁った真珠のような呪術石であり、その能力は一言で言うなれば自由。

 何者にも縛られることなく自由に生きたいという者達の思いが作り出した呪術石であり、この呪術石を持っているだけで所有者はどんなことをされようと自由に動くことができる。

 しかしながら自由と言っても物理的な拘束に関しては無意味なのだが、魔法、竜法等であれば無効化することができる。

 無論呪法に対しても有効だ。

 そんな貴重な呪術石も持っているにも関わらずに、この竜人(ドラグニル)は奇襲してきた天使達にやられてしまったが故に皆を助けることも出来なくなってしまった。

 何度悔やんでも悔やみきれない思いの竜人(ドラグニル)であったが・・・少し冷静になって周囲を見渡すと周りに武器屋があることに気がつき入って行く。


『・・・くそ!あの天使どもにやられて武器もメチャクチャになってやがる』


 武器屋に入った竜人(ドラグニル)であったが、武器屋の内部は既に天使達の攻撃によってメチャクチャにされてしまっており、武器や防具等が散乱してしまっている状況だ。

 そんな中でも竜人(ドラグニル)は散乱していた武器、防具の中から目当ての物を取り出すことに成功する。

 それは大型の弩であり、装填に必要な矢も見つけることができた。


『これならいける・・・だけど問題はこの呪術石を誰に渡すかだな』


 ため息混じりに呟く竜人(ドラグニル)

 どうやらこの竜人(ドラグニル)は、飛ぶことができない自分に変わって大型の弩を使うことによって上空にいる竜人(ドラグニル)に自分の持っている呪術石を届けようというのだ。

 しかしながら届けようとしている相手は一心不乱に天使達に向かって行ってしまっており、大型の弩を用いても当てれるかと言えば微妙なところだ。

 健全な状態であるのであれば可能なのかもしれないが、今は最早空を飛ぶことが困難となってしまった。

 どうすればよいのものかと考えていると、外から大規模な爆発音と共に衝撃が襲い掛かる。

 何事かと思い武器屋の外へ飛び出してみると、天使達が爆炎の餌食となっている光景に出くわしてしまった。


『この爆炎はまさか・・・』


 この爆炎の正体がなんなのか理解した竜人(ドラグニル)は爆炎が飛んで来る方向へと向かうのであった。



 迫り来る竜人(ドラグニル)を次々と倒していた天使達であったが、突如として竜人(ドラグニル)と戦っていた天使達が爆炎の餌食となってしまう。

 いったい何が起きたのか理解できていなかった天使達であったが、クリスとスフレは違った。

 本能なのか?それとも次の攻撃を予測していたからのかは不明だが、クリスとスフレは息を合わせたように動き・・・そして防御魔法を展開する。


『もう一度来ます!』


 スフレの警戒と同時にクリスとスフレ達を襲い掛かる爆炎。

 しかしながら先に展開していた防御魔法によって襲い掛かる爆炎を防ぐことに成功したクリスとスフレ。

 どうやらこの爆炎はかなり遠方から放たれた竜法であったようであり、遥か遠方から爆炎を放った時の煙が上がっているのが見てとれる。


『かなり遠方からの攻撃なようですね・・・』

『まずいですよクリス様』

『確かにそうですね。あの距離を積めるのは至難ですね』


 クリスとスフレが爆炎を防いだことによって被害はなかったが、遥か遠方から攻撃してくる竜人(ドラグニル)は脅威であり、早急に倒すべき相手だと判断する。

 そんなことを思っていたクリスとスフレであったが、意外な人物から声がかかる。

 その人物とは四教天使信導の四教天使(ラファ・カースエル)であり、内容は共に遠方から攻撃してきた竜人(ドラグニル)を倒そうという提案だ。

 無論その提案に乗ったクリスとスフレは、四教天使信導の四教天使(ラファ・カースエル)と共に爆炎の竜法を放った竜人(ドラグニル)・・・フィヘイン・ゲート・カルサを倒しに行くのであった。


 断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)率いる天軍と、断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)の作り出した炎の壁を突破してきた竜人(ドラグニル)との戦いが始まろうとしていた。

 前線にいるのは勿論断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)なのだが・・・護衛をしているであろう大天使は周囲にいる気配はない。

 と言うよりも実際に誰もいないのだ。

 何故護衛の大天使がいないのかというと・・・断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)自らが必要無いと判断したからだ。

 無論女神セラフティアスに一度は護衛をつけるように言われたが、残念ながら断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)が護衛をつけることはなかった。

 その代わりに断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)を護衛する筈である大天使は、各部隊に合流して戦力増強という名目で活躍している。

 そんな自らに絶対の自信を持っている断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)の炎の壁を、突破してきたということはこの竜人(ドラグニル)もまたかなりの実力を持っていると判断できる。


『・・・護衛の天使がいないようだが四教天使様よぉ?』

『別に必要ないからだ・・・私一人いれば全て解決するからですよ』

『へぇ・・・大したことを言う』

『お前らこそ覚悟するんだな・・・女神セラフティアス様の名の元に貴様等を粛清させてもらう』

『やってみろよ!』


 コートを着ている竜人(ドラグニル)が吼えると同時に風の属性竜法を放つ。

 暴風が断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)に襲い掛かるが・・・断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)は防御魔法を展開させて防ぐ。

 魔力を凝縮して作り出された防御魔法の強度は並大抵の魔法・・・竜法で突破することは出来なく、そしてこの程度の竜法で破壊することはできない。

 だが、そんなことは竜人(ドラグニル)もわかっていたようであり、コートを着ている竜人(ドラグニル)は風の属性竜法を放つと同時に更に強力な竜法を放つ為の準備をしていた。


(やはりこの竜法は囮か・・・)


 断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)もまた、コートを着ている竜人(ドラグニル)の竜力が上がっていることに気が付き武器を構える。

 大鎌を構え、そしてその大鎌に嵌め込まれている魔導石を優しく撫でる。

 すると魔導石が断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)の魔力に反応して光だし・・・そして大鎌が真っ赤に変化する。

 熱を帯びているように変化した大鎌を一振りする断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)

 すると断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)の動きを阻害していた風の属性竜法が一太刀でかき消える。


『さて・・・灼風・鎌威断!』


 断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)が大鎌を振るうと鎌鼬が出現し、竜人(ドラグニル)に襲い掛かる。

 本来鎌鼬は眼に見えない筈なのだが・・・何故か断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)の放った鎌鼬は赤色に色づき、眼に見える形にあるのだ。

 そんな異様な鎌鼬を繰り出してきた断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)に対して竜人(ドラグニル)の反応も早かった。

 断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)の狙いであるコートを着ている竜人(ドラグニル)を守る為に竜法を繰り出し、そして見事に直撃する。


『迎撃して来ますか・・・ならば!』


 自らの放った鎌鼬が竜法で撃墜されたのを目の当たりにした断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)は大鎌を上段に構える。


『炎羅・喰狼斬!』


 天高らかに掲げた大鎌を全体重を使っておもいっきり振り下ろした断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)

 それによって先ほどとは違い大きな弧を描き・・・炎の狼が出現する。

 その狼は姿形は何故か丸まった姿をしていて、何故か回転してしている。

 渦巻く炎の狼はその回転速度を速め・・・そしてコートを着ている竜人(ドラグニル)に向かって襲い掛かる。


『先ほどよりも速いぞ!』

『大丈夫だ!まだ迎撃できる』


 迫り来る渦巻く炎の狼に対して迎撃するように繰り出された竜法は見事に直撃する。

 しかしながら渦巻く炎の狼は無事・・・というよりも先ほどよりも大きくなってしまっていた。


『な、何が起こって』

『お、大きくなりました・・・』

『ま、まずいぞ。このままじゃ・・・』


(くそ・・・なんなんだあの魔法は!?あと少し、あと少しで放たれるのに)


 後少しで練り上げた竜法を放てるという矢先に迫り来る渦巻く炎の狼。

 止める為に竜法を放ったのにも関わらずに、何故か渦巻く炎の狼は大きくなり威力を高めながら竜人(ドラグニル)に向かって行く。


『仕方ねぇか・・・』


 そう呟くコートを着ている竜人(ドラグニル)は更に竜力を高める。


『な!?隊長何をしているのですか?』

『速く逃げてください。あの渦巻く炎の狼はどういう理由なのかはわかりませんが、こちらの竜法を吸収して威力を高めているのですよ!』

『ちぃ!防御魔法を・・・』


 コートを着ている竜人(ドラグニル)を守る為に周囲にいる竜人(ドラグニル)が防御魔法を発動させようとするが・・・コートを着ている竜人(ドラグニル)はそれを抑止させる。

 何故止めたのか理解できていない竜人(ドラグニル)であったが、既に渦巻く炎の狐とコートを着ている竜人(ドラグニル)との距離は目と鼻の距離へと縮まってしまい・・・そしてコートを着ている竜人(ドラグニル)は渦巻く炎の狐に呑まれる。

 自らが溜めた竜法を放つ前に、渦巻く炎の狼に呑まれてしまったコートを着ている竜人(ドラグニル)

 しかしながら悲痛な叫びも、断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)を怨むような叫びをすることはなかった。

 その代わりにコートを着ている竜人(ドラグニル)は高らかに笑っていた。

 燃え盛る炎に包まれながら・・・


『四教天使断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)さまよぉ・・・俺は倒されるが貴様も道連れだぜ!』


 高らかに笑いながら炎に呑まれて・・・そして朽ち果てた竜人(ドラグニル)

 しかしながらコートを着た竜人(ドラグニル)が朽ちてしまったのにも関わらずに、その持っている竜を象った杖は健在であった。


『杖が・・・』


 竜を象った杖がまだ残っていることに気がついた断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)

 本来持ち主を失った杖であれば重力で地面に向かって落ちて行く筈なのだが、何故かその杖は重力に逆らい浮遊している。


『何故杖が・・・』


 竜を象った杖が何故浮いているのか疑問に思っていると・・・竜を象った杖の魔導石が眩く輝き出す。

 何が起きているのか理解できていなかった断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)であったが、先ほどのコートを着ている竜人(ドラグニル)の言っていたことを思い出す。


(先ほど道連れにしてやると言いながら、何もしてこなかったのはこの竜法を放つ準備をしていたからなのか・・・)


『自らが死に絶えてもまだ戦意が衰えないとは・・・流石は罪深き竜人(ドラグニル)。やはり根絶やしにするしかありませんね!』


 竜を象った杖が輝くのを止めたと同時に大気を震わせる。

 火山噴火にも似たような音を響かせ・・・そして竜を象った杖から竜法が解き放たれる。

 竜を象った杖を中心に濃厚な魔力が溢れだし、竜の姿へと変化する。

 それはさながら魔力で作り出された竜。

 大きく巨体を支える為に発達した両足に、長く太い尻尾。

 両腕にあたる部分には巨体よりも大きな翼膜を持っている翼に、全身を覆い尽くす鱗。

 口元から見えている牙は殺意の現れというように断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)を威嚇している。

 風の属性竜法で作られたからなのか、黄緑色に淡く輝いる風の竜は高らかに咆哮を上げる。


『風を纏う竜・・・』

『隊長が全竜力を使って産み出したのか?』


 突如として出現した風の竜に戸惑う竜人(ドラグニル)

 そんな疑念や、疑問等は一切関係ないとでも言うように風の竜は竜力を溜め・・・そしてそれは咆哮と共に解き放たれる。

 圧縮した空気の塊を回転させた竜法は周囲に存在する空気を巻き込み、断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)へと向かって行く。


(速い!?)


 放たれた竜法に辛うじて反応することができた断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)は大鎌でガードするが・・・吹き荒れる風によって周囲の気流が乱れ上へと押し上げられてしまった。


『これは少々誤算ですね・・・』


 吹き飛ばされながらも何とか体勢を維持することができた断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)は、今度はこちらから攻撃を仕掛けようと大鎌を構えるが・・・周囲を見渡すと風の竜はいなくなっていることに気がつく。


『何処に行った?』

断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)様上です!』


 居なくなった風の竜を探そうとしていた矢先に、悲鳴のように響き渡る天使の声。

 既に風の竜は断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)の上空へと移動しており・・・攻撃の準備を整えていた。


『くそ、間にあい・・・』


 風の竜は、上空から竜力を纏った風の属性竜法を放ち・・・そして断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)に直撃する。

 圧倒的な風量と竜力により地面に叩きつけられてしまった断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)

 自分達よりも更に格上の四教天使が攻撃を喰らってしまい、そして地面へと突き落とされてしまった断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)を見て絶句してしまった天使達。

 それとは反対に歓喜する竜人(ドラグニル)

 断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)を倒し終えた風の竜は、今度は天使達に狙いを定める。


『何処を見ている!』


 風の竜が天使達に狙いを定め、攻撃しようとした矢先に風の竜が紅蓮の炎に包まれる。

 この攻撃と先ほどの声の正体は、地面に叩き落とされたはずであった断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)が放った炎だったようだ。

 予想外の展開に今度は天使達が歓喜し、逆に竜人(ドラグニル)には動揺の色が広がっている。


『少しはやるようだな・・・』


 今までとはまるで雰囲気がガラッと変わった断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)

 身に纏っている鎧から紅蓮の炎がメラメラと吹き出し、風の竜を威嚇するようにも見える。


『出てくるか・・・だがもう既に手遅れだ!』


 紅蓮の炎を纏った断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)は翼を大きく羽ばたかせ、風の竜に急接近してくる。

 風の竜も断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)の尋常ならざる雰囲気に気圧されたのか一瞬怯んだようにも見えたが、断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)に向かってその大きな牙を剥き出しにして襲い掛かる。

 お互いに接近戦で決着をつけようと一気に距離を積める両者を止める者はいなく、天使達も竜人(ドラグニル)もこの戦いを見届け・・・そして決着が訪れる。

 断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)を喰い殺そうとした風の竜の牙は折られ、そして無防備となった口に大量の紅蓮の炎が襲い掛かる。

 身体の内部から膨張していくように風の竜の腹部が大きくなり・・・大爆発と共に風の竜は核となっていた竜を象った杖ごと木っ端微塵に吹き飛んでしまった。

 その様子を見ていた竜人(ドラグニル)は一目散に、一心不乱にこの場から離脱しようと試みたが時既に遅く、増援に駆けつけてきた大天使や天使達に既に周囲を包囲されてしまっていた。


『さて・・・断罪の時間だ!』


 紅蓮の炎を身に纏った断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)がその手に大鎌を持ち竜人(ドラグニル)に断罪するために動き出すのであった。



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