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四教天使

 天使と竜人(ドラグニル)との激戦が終わってから数分後・・・クリスとスフレもまたフィヘイン激闘を繰り広げていた。

 仲間の天使が全員倒されてしまったのにも関わらずに、未だに戦意が衰えていないのはどういう心境なのかは不明だが・・・クリスとスフレが攻撃の手を緩める様子は感じられていない。


『お前達の仲間は全滅したぞ』

『それはお互い様ではないでしょうか?』

『全滅はしていないだろ』

『瀕死ですよね?』


 フィヘインは他の竜人(ドラグニル)との同士討ちを避ける為に、遠くに離れて戦っている。

 そのため他の竜人(ドラグニル)を援護できなかったが・・・フィヘインは仕方のないことだと割り切る。

 フィヘインが扱う竜力は他の竜人(ドラグニル)と少し違い、爆炎を扱うことができる。

 必然的に広範囲と破壊力を重視している竜力なのでいつもフィヘインが戦う時は一人の時が多い。


『・・・試してみるか。炎爆燕』


 クリスとスフレに追われるようにして距離を取っていたフィヘインは、方向を変え・・・竜法を放つ。

 爆竹のような音が鳴り響き、その後に炎で形作られた燕が無数に存在する。

 数にして五十以上の燕なのだが・・・その腹部が怪しく脈動しており、不気味な雰囲気の燕達だ。


『あれは・・・』


 何かに気がついたクリスなのだが、行動するよりも早くフィヘインが攻撃を開始する。

 メラメラと燃える燕は全て一直線にクリスとスフレに襲い掛かる。


『泡崩れ・・・スフレ!』

『わかりました。風よ・・・舞風・扇華玲』


 クリスが水の属性魔法で無数の泡を作り出す。

 人間の顔程の巨大な泡であり・・・その泡をスフレは風の属性魔法を発動させ襲い掛かる炎爆燕にぶつける。

 すると炎爆燕とクリスの作り出した泡が激突し、そして爆発する。

 次々と爆発してゆく炎爆燕なのだが・・・クリスの作り出した泡によって防がれてしまう。

 さしずめ泡の壁とでもいうような物量のクリスの泡は、徐々に炎爆燕を呑み込んでいき・・・そして全ての炎爆燕を呑み込んでいってしまった。


『あの数を全て・・・やるじゃないですか』


 自らの繰り出した炎爆燕を全て防がれてしまった事に素直に称賛するフィヘイン。

 しかしながらその笑みには何か含みのある笑みだ・・・


『それはどうも・・・』

『!?クリス様上から何か来ます!』

『先ほどの攻撃は囮でしたか』


 そう言い終えるとスフレが指示した方向に水の属性魔法で魔法の盾を出現させ・・・数秒後に盾と激突する。

 爆発と同時に襲い掛かる炎であったが、その威力は弱くクリスの作り出した魔法によって防がれてしまった。


『あの不意打ちが効かないとは・・・少々驚きましたよ。ですが貴女方の戦い方は既に理解しました』


 クリスとスフレの戦い方というのはまず第一にスフレの風の属性魔法によってクリス、スフレの移動力の上昇。

 更にスフレの魔力をクリスとスフレの周囲に展開させることによって、四方から迫り来る危険の感知するようにしている。

 この技術はマリアティアスもやっていた技術であり、上位の風の属性魔法を扱う者であれば誰でもできる技術なのだが・・・常に魔力を流し続けなればならないのが欠点だ。

 しかしながらその事差し置いても全範囲感知というのは魅力的であり、特に空中戦であれば尚更だ。

 空中戦というのは自由自在に動けるき事も利点だが、それ以上に死角が多くなってしまうという欠点も存在する。

 地上であればあまり警戒しない地中からの攻撃や上空からの攻撃でも、空中戦であれば仕掛けてくるのも地上にいるときに比べて容易となる。

 なのでその死角からの攻撃をカバーできるスフレはフィヘインからしたら真っ先に倒したい相手になるはずだ。

 それに対して主に攻撃、防御はクリスの役割だ。

 周囲の警戒をスフレに任せているのでクリスは攻撃に集中することができ、またスフレが感知してくれる方向に対して防御魔法を展開すればよいので楽に防御することができる。

 その事を数回の攻撃で理解することができたフィヘインを流石だと言わざるおえないが・・・その事を指摘されてもクリスとスフレの表情は崩れていない。

 何故ならその事がフィヘインに知られたとしても突破する事ができなかったらなんの意味をないのだから。


『私達の戦い方を理解したとしても、それを突破することができないのであれば意味がないのですよ?』

『弱点がわかったのであれば突破することは容易ですよ!』


 そう言い終えるとフィヘインは両腕から爆発の竜法を放ち、クリスとスフレに向かって一気に距離を積める。

 爆発と轟音を鳴り響かせ近づいてきたフィヘインに対して迎え撃つべく水の属性魔法を放つクリス。

 大砲の弾程の大きさの塊を無数に飛ばし・・・フィヘインに激突するはずであった。

 水の属性魔法が直撃する瞬間にフィヘインは両腕の他にも翼に竜法陣を作り出し・・・急激に方向転換する。


『方向転換!』

『大丈夫ですよクリス様』


 フィヘインが急に方向転換してきたことに驚いたクリスなのであったが、スフレはいたって冷静であった。

 その理由は・・・


『そこは通行止めですよ』


 スフレがそう言い終えるとフィヘインが方向転換した先には眼に見えぬ圧縮した空気の塊が存在しており、それに勢いよくぶつかってしまったフィヘインは弾かれてしまった。

 しかしながら圧縮した空気の塊は何故か柔らかくフィヘインは無傷であった。


『スフレ今のは?』

『眼には見えませんが、私達の周囲には圧縮した空気が障壁として展開させています』

『なるほど・・・なかなかやりますね』

『まぁ、圧縮した空気なのですが・・・私の魔力量ではクッション程度の固さしか作れませんがね』


 スフレが魔力で練り上げた空気の塊をクリスに手渡す。

 するとスフレの言っていたように圧縮された空気の塊は柔らかく、速度的に考えてもフィヘインにあまりたいしたダメージを与えることができないと判断する。

 しかしながら眼に見えないという点においては十分に身動きを封じることができると言える。

 クッション程度の固さだとしても、眼に見えないということはぶつかる可能性が高く接近戦が難しくなるはずた。


『眼に見えない空気の塊とは・・・少々鬱陶しいですね』


 弾かれてしまったことによって苛立ちを覚えたフィヘインは殺意を露にしている。

 その証拠に手のひらから断続的に小規模な爆炎を繰り返しているのだから。


『・・・少々魔力は削れますが仕方ありませんね』


 フィヘインが大きく息を吸い込み・・・そして両腕を突き出す。


『爆炎竜の烈轟哮!』


 フィヘインの口から放たれたのは燃え盛る炎。

 そして両腕からは大規模な爆炎の竜法を放ち、一直線にクリス達に向かってゆく。

 その勢い、スピード共に速いが・・・クリスはその攻撃を予測していたように、クリスもまた最大魔力で防御魔法を発動させ迎え撃つ。


『天水の守護盾!』


 双方の竜法と魔法がぶつかり合い・・・周囲に熱気と水蒸気が支配する。

 どうやら軍配はフィヘインの方に上がったようなのだが、未だにクリスとスフレは傷を負ってはいなかった。

 通常であれば火傷しそうな程の熱量を持っているが、クリスとスフレの周りにはスフレの作り上げた風によって熱気と水蒸気は来てはいない。


『吹き飛ばします』


 スフレは更に風を強くして周囲に展開している水蒸気を霧散させる。

 するとそのと水蒸気が晴れた先には再び先ほどと同じように竜法を放とうとしているフィヘインがそこにはいた。


『二発!?』

『間に合い・・・』


 流石にもう一発は予想する事が出来なかったクリス。

 急いで魔力を練り上げ防御魔法を展開させる・・・よりも早くフィヘインの竜法が放たれた。

 先ほどとは違う竜法を・・・


『竜隠灰炎!』


 先ほどと同じ竜法を放つと思っていたクリスとスフレなのであったが、その予想はハズレてしまった。

 炎と爆炎が襲い掛かってくるはずが、襲い掛かってきたのはまさかの灰であり、フィヘインから夥しい数の灰がクリスとスフレを直撃する。

 竜隠灰炎によって視界を遮られてしまったクリスとスフレは、即座にスフレの風の属性魔法で周囲を漂う灰を吹き飛ばそうとしたが・・・時既に遅かったようだ。


(さて・・・この灰で見えない空気の壁の目星はつきました。反撃と行きましょうか!)


 スフレが風の属性魔法で竜隠灰炎を吹き飛ばそうとした瞬間、フィヘインは爆音を轟かせ・・・スフレに攻撃を仕掛ける。


『スフレ!?』

『もう既に手遅れだ!』


 見えない空気の壁を突破したフィヘインは至近距離でスフレに攻撃を喰らわせる。

 フィヘインの攻撃に反応することが出来なかったスフレなのだが・・・最後の力を振り絞り、フィヘインを風の属性魔法の結界に閉じ込める。


『結界・・・最後の悪あがきか?』


 スフレの最後の力を振り絞って作り上げた結界を破壊しようと拳に竜力を溜めるフィヘイン。

 しかしながら光の泡へとなりかけていたスフレなのだが、その表情は平然としており苦痛などは何も感じていない様子であった。


『後は頼みました・・・』


 そう言い終えるとスフレは泡のように消え・・・そしてフィヘインを覆っていた結界もまた消滅した。


『えぇ・・・後は任せてください』


 スフレの結界が消滅しそして自らの作り出した竜隠灰炎が晴れてゆく。

 するとその先には一本の剣を手にしたクリスがその場にいた。

 しかしながらその剣の刃の部分は水で作られているが・・・


『スフレ・・・貴女の思い受け取りましたよ』


 決意を新たにしたクリスの目付きが変わり、そしてフィヘインに対して斬りかかる。

 そんなクリスに対してフィヘインは爆炎の竜法を繰り出し迎撃する。

 しかしながらクリスに爆炎の竜法が当たる事はなく、水の属性魔法で防がれてしまった。


『まだそれだけの魔力があるのか・・・』


 まだ爆炎の竜法を防げるだけの魔力があることに驚いているフィヘイン。

 爆炎の竜法を喰らったことによって一度、歩みを止めたクリスは呼吸を整え・・・そして構える。


(この状況であの構え・・・まさかこの距離まで届くのか!?)


 クリスが剣が届かない距離にいるのにも関わらずに構えたことに疑問を抱いたフィヘインであったが、その疑問の答えは直ぐに出てくる。


『本当は至近距離で放ちたかったのですが仕方ありませんね・・・水剣・扇華一閃風薙!』


 クリスが水の属性魔法で作られた剣を振るうと剣は扇状に変化し、フィヘインへと襲い掛かる。


『間にあい・・・』


 急激に剣の間合いが変化したことに何とか反応したフィヘインであったが、水の属性魔法によって作り出された剣によって斬られそして地面へと落ちてゆく。

 死んでしまったのか?それとも気絶してしまっているだけなのかは不明なのだが、クリスは落ちて行っているフィヘインに追撃するように後を追う。


『確実にたおっ・・・』

『させねぇよ!』


 もう一度フィヘインに対して剣を振るおうとした瞬間、殺意と共に怒号を響かせ乱入してきた竜人(ドラグニル)がクリスに対して土の属性竜法で攻撃を仕掛ける。

 他の竜人(ドラグニル)が不意打ちする事を予想出来ていなかったクリスは、土の属性竜法が直撃してしまった。

 一瞬、気を失いかけてしまいそうになったクリスであったが、何とか持ち直し攻撃してきた竜人(ドラグニル)を視界に捉える。


『邪魔をしな・・・』


 標的をフィヘインから他の竜人ドラグニルに移したクリスなのだが・・・

 クリスの水の属性魔法で作り出された剣で倒されたはずのフィヘインが竜力を貯めていた事に気がつかず、フィヘインの爆炎の竜法が直撃してしまった。


『畳み掛ける!』


 フィヘインの攻撃を合図に上空からは土の属性竜法が降り注ぎ、地上からは爆炎の竜法の対空砲がクリスに襲いかかる。


(まず・・・い・・・このままじゃ・・・スフレ私に力を・・・)


 咄嗟の判断で結界魔法を展開させたクリス。

 しかしながら最早クリスの魔力は残り僅かであり、後数秒程度しか結界魔法を維持するのができない。

 このままではジリ貧となってしまい最後は倒されてしまうと悟ったクリスは、結界魔法を解除する。

 すると案の定次々と襲いかかる土の属性竜法に、爆炎の竜法を喰らうクリスなのだが、そんな中でもクリスは一矢報いるべく狙いを定め・・・そして渾身の一撃を解き放つ。

 水の属性魔法で作り上げられた剣はクリスの残り全魔力のほかに、スフレの残してくれた風の属性魔法を付与させての最速の一撃だ。


『ぐっ・・・があぁぁぁぁ!?』


 クリスの放った渾身の、最速の一撃は見事にフィヘインの身体を斬り裂く。

 しかしながらクリスはその一撃を放った瞬間に光輝く泡へとなっており、儚く消えてしまっていた。

 フィヘインの最後を見届ける事なく去って行ったクリス。

 怒りをぶつける相手がいなくなってしまったフィヘインの咆哮は虚しく空に響き渡るだけであった。



 光輝く世界・・・黄金世界の優夢都にて。


 純粋無垢な者達が住まう事を許された都には数多くの天使達や、大天使が慌ただしく集まっていた。

 集まっていた理由なのだが、女神セラフティアス率いる天軍本陣の部隊が集結したからであり、自分達がどの部隊に所属するのかを見に来たのが大多数だ。

 別に集まらなくても知らせはくるのだが、気になる者もいるというのも事実。

 そんな中、新しく天使となった双子・・・エクアリーゼとバーズもまた自分達がどの部隊に所属するのか気になっているようだ。


『兄さんあれ!』


 バーズが気がつくと同時に、一斉に割れんばかりの拍手が響き渡る。

 その理由は女神セラフティアスが降臨したからであり・・・女神セラフティアスの他にも四人の天使が両脇に控えている。

 この四人の天使は大天使よりも更に位の高い天使であり、四教天使と言われる存在。


 信導の四教天使(ラファ・カースエル)

 風の属性魔法を人間に教えたと言われている教天使であり、自身もまた風の属性魔法を扱うことができる。

 無論その力は最上位魔導師よりも上だ。

 薄緑色の四枚の大きな翼に二重の天使の輪。

 整った顔立ちに、薄緑色のショートヘアーの教天使で着物のような物を着ている。

 着物には桜の花びらに百合の花、鈴蘭などの花々が描かれており、その着物自体が一種の絵画を思わせるほど美しい。

 腰には複数の巻物に、美しい扇を持っていて、その扇のには緑の宝石が嵌め込まれている。


 断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)

 火の属性魔法を人間に教えたと言われている教天使であり、無論最上位の火の属性魔法を操ることができる。

 頭部以外の全身を甲冑で覆っており、背中には薄ピンク色の四枚の大きな翼を持っている。

 信導の四教天使(ラファ・カースエル)とは天使の輪が異なり、断炎の四教天使ウリ・ヒスラトエルの天使の輪は大きく、その天使の輪はには数多の魔法陣が描かれている。

 その手に持つ大鎌は鋭く鋭利に輝いており、まるで断罪者を刈りとるかのような大鎌だ。

 この大鎌の方にも宝石が埋め込まれていて、その色は真っ赤。

 鋭い眼光は対峙する者を萎縮させ、威厳のある立ち振舞いをしている。

 正に戦場に咲く一輪の花のようなイメージの四教天使だ。


 絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)

 人々に土の属性魔法を教えた四教天使であり、自らも土の属性魔法を操ることができる。

 長く艶やかな黒髪をしていて、背中からは純白の大きな四枚の翼が生えていて、純白の翼に似合うように白い軍服を着ており、白い制帽を身に纏っている。

 その制帽の後ろには光輝く天使の輪。

 凛としてた表情の四教天使であり、腰に挿している軍刀からは琥珀色の宝石が嵌め込まれている。

 断炎の四教天使(ウリ・ヒスラトエル)とはタイプが違うが、絶軍の四教天使(ミカ・ディエラエル)もまた並々ならぬ威厳を醸し出している。

 それは人を超越した存在だからなのであろう。


 衰癒の四教天使(ガウリ・ティファエル)

 人々に水の属性魔法を教えたと言われている四教天使であり、最上位の水の属性魔法を操ることができる。

 金色の長い髪の女性であり、背中からは薄水色の四枚の翼が生えている。

 頭部にある天使の輪は一つなのだが、背中の方にも同じような天使の輪があり、光輝く鎖によって繋がれていて、天女が着ているような羽衣を羽織り、薄い布を巻いている。

 優しそうな笑みを浮かべているが・・・その手にはなんとも奇妙な天秤が握られている。

 その天秤は左右で全く違う形をしていて、片方が疫病の狂天使を彷彿させるような造形をしており、その反対側には天使を思わせる造形をしている天秤だ。


『す、すげぇ・・・』

『そうだね兄さん・・・これから戦いが始まるんだね』

『そうだな・・・女神セラフティアス様の名の元に粛清をしないとな』


 女神マリアティアスを筆頭に、各四属性の魔法を作り出したと言われている四教天使の降臨。

 錚々たる面々を目の当たりにしたエクアリーゼとバーズは共に女神セラフティアスに忠誠を誓うのであった。

 誰もが幸せに暮らしていける世界を創造するために。


 黄金世界の優夢都にある巨城の一角にて・・・


 巨城の一角には天使達とは違う面々が集結していた。

 その面々とはマリアティアスを筆頭にアリセスにエール、アリカとエリカ、ソイル、ヘルメス。

 そして魔導六刀の六名に・・・裏切り者の竜人(ドラグニル)であるルーシャが集結している。


『さて・・・私の計画も最終段階になりました。残る最後の敵は最強の竜人(ドラグニル)、オール・ディストピア・バルフロン・マリッジだけとなりました。しかしながらオールを倒すには懐刀である竜導六刀を倒さなければならないのは確実です』

『倒さなければならないねぇ・・・正直僕はあの面々の実力はよく知らないんだよね』


 マリアティアスの隣で控えているルーシャがため息混じりにマリアティアス以外の面々を見つめる。

 相手はオールの懐刀である竜導六刀の侍女竜・・・どの竜人(ドラグニル)も特殊な能力を持っており、マリアティアスとルーシャは一度その力を味わっている。

 自らの身体を刀に変えることができ、オールの戦闘スタイルを劇的に変化させて戦うことができる。

 六体の侍女竜本体と戦ったわけではないのでその実力は未知数なのだが・・・少なくとも四方の浮遊都市を統治している竜人(ドラグニル)と同等と考えてもよい。

 流石にオールの次に強いと言われているルーシャ程ではないとは思うが・・・それでもルーシャの見立てではアリセス達に勝ち目はほぼ無いと断言しているようなものだ。

 しかしながらルーシャの持っている知識は、アリセス達がただの人間だと過程しての話だが。

 まぁ、どう考えても人間からかけ離れた存在もいるが・・・


『その点は問題ありませんよ・・・何故ならそのための彼女達ですから』


 そう言いながらマリアティアスは魔導六刀の面々に目線を向ける。

 確かに魔導六刀の面々はどれも特殊な力を持っている。

 竜導六刀の面々とは異なる力ではあるが、いずれにしろ人智を越えた力を持っていることには変わりはない。

 つまりマリアティアスが言いたいのは、オールの懐刀である侍女竜の六体はこの場にいる十二人で戦うということなのだ。


『・・・それで上手く行くのかい?』

『もちろんです』


 ルーシャの疑問に即答するマリアティアス。

 迷いは一切なく、自身に満ちている表情をしているマリアティアスを見て諦めたのか、ルーシャは呆れたように首を振るう。


『僕達の戦いの邪魔にならなければどうでもいいよ・・・』

『問題ありませんよルーシャさん。私達にはマリア様がお造りになられたコレがありますから』


 そう言いながらアリセス達の手には禍々しい拳程の玉が握られている。


『コレを使えば邪魔されることはないです・・・少なくとも時間稼ぎには使えますよ』

『侍女竜の六体はアリセス達が、四方を統べる竜人(ドラグニル)は四教天使に・・・』

『そして僕達は本丸を・・・でもさぁ、あの女神様は何かするの?』

『さぁ・・・それはわからないですね』


 そう言い終えるとマリアティアスは不適な笑みを浮かべるのであった。



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