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周辺諸国

  スヴァ都市国で疫病の狂天使出現し、討伐されてから数日・・・都市国で起きた出来事は各周辺諸国に伝わっていた。

  一度に四体の疫病の狂天使が出現し、都市国の4分の1が壊滅させたという情報は瞬く間に広がり、そしてその疫病の狂天使を二体、もしくは三体を倒したと言われる魔導師が都市国を去ったと言う噂も流れている。

  しかし、何故都市国を去ったのか?

  今その魔導師は何処にいるのかという情報は一切ない。周辺諸国だけではなく、都市国内でも復興と同時に捜査活動が行われているが進展は今のところないようだ。


  スヴァ都市国・・・中央区・中央機関


  現在都市国での情勢が安定しており、現状の報告、復興状況、各周辺国との取引状況等を確認する為に中央機関では各事業長が集まっているが・・・今は四名しか集まってはいない。

  空白の席は魔導石長、ザウロス・エロレイン・ノックオンの席であり今だに行方不明である。

  他にも多数の人物の安否が不明であり、生きているのかすら分かっていない状況だ。

  そして今回集まった四人の他にもう一人、魔導石長代理としてオーシェン・ウル・ルクリスが会議に参加している。


『それで、復興状況としては復興は二割程度しか進んでいない状態です』


  都市長の復興状況の報告を聞いていた商業長、エバニセルス・インディンゴ・スターライフは頭を抱えていた。

  その理由は都市国が疫病の狂天使によって受けた被害、失った物資や、これから復興するに対して他国からの支援を受けなければやっていけないと判断したからだ。

 

『やはりここは帝国か、魔法国から支援をしてもらうのがよいと思いますが・・・商業長どうでしょうか』


  ワルトの問いかけに対して少し考えたエバニセルスは、これから都市国に降りかかるであろう帝国、魔法国からの請求額についておおまかな値段を提示する。

  金額にして都市国の国家予算で二年分にであり、この金額はこれからも増える可能性があるとも告げる。


『なるほど・・・』

『都市長。発言をいいでしょうか?』

 

  そう言って手を上げたのは魔導石長代理のオーシェンであり、都市長は発言を許可する。

  オーシェンはもともと機関の中では魔導石流通を主に仕事していて帝国、魔法国、そして王国にもコネがある。


『王国からの支援も出来ないでしょうか?』


  オーシェンの発言で再び頭を抱える各機関の長たち、特に深刻そうに考えたのは戦略長のザヴィード・シュミレート・サファイヤだ。

  それも当然。都市国はもともと王国の貴族の土地であり、独立した時にザヴィードは王国に弓を引いているからだ。

 考え抜いた末にザヴィードは王国からの支援を承諾するが・・・机を叩く音が響き渡る。

  何事かと思い振り替える各長たち、そして机を叩いた者の正体が魔法長、ノロン・ドラレイン・ノックオンだと分かった。彼女は困惑する様子でオーシェンに話しかける。

 

『ルクリス・・・王国から支援をもらうのは理解出来る。しかし・・・どうやって王国から支援をして貰うつもりなの?』

『魔法長・・・いえ、ノックオンさん私は魔導石を一部を王国へと譲渡して支援を受けようかと思うのです』

『やっぱり・・・貴方、魔導石長が不在の間に魔導石を他国に渡していいと思っているの?』

『待ってください魔法長。今重要なのは都市国の復興では?ならば多少これからの生活が苦しくなるとしても、王国へと魔導石を渡して支援を貰う方が懸命では?』


  エバニセルスの発言に対して睨み付けるノロン。

  発言が気に入らなかったのか?それとも魔導石長代理のオーシェンが今だに安否が不明のザウロスの許可も受けずに、独断で勝手に魔導石を渡す事に反対なのかどちらか不明だが、ノロンは王国からの支援を拒否するようだ。


『それに私はこの都市国で起きた事件についても疑問があるのですよね』

『それはどういう事ですか?』

『私は先の事件で多くの魔導師を失ってしまいました。そして多くの警備兵も失いました。しかし・・・商業長を含む商業地へはあまりダメージがないようですが?』

『何が言いたいのです?まさか私が意図的に疫病の狂天使を操っているとでも?』

『そのような事はないですが・・・ただ私は疑問に思っただけです』

『言いがかりですか?』


  火花散る論戦の中で中央機関の扉がノックされる。

  ワルトの指示で使用人が扉を開けて要件を確認し、中にも入れる。

  中に入って来たのは一人の警備兵であり、行方不明者の捜査をしている部門の最高責任者だ。

  話を聞き終えたワルトは残念そうに告げる・・・魔導石長、ザウロス・エロレイン・ノックオンの死亡が確認されたと言うことだ。

  それを聞き頭を抱えてしまうノロン。

  親族を失ってしまったのだから当然なのだが、今は悲しんではいられない。

  都市国の復興を優先しなければならないのだから。


『それでは王国からも支援を受けると言うことでよろしいですか?』


  ワルトの問いかけに四名が挙手し、賛成多数で王国からも支援を受けることを承諾する。


『それでは次の議題は疫病の狂天使を倒した魔導師についてですが・・・』



  スペルオーネ帝国・帝国首都ダグマオーネにある帝国会議室


  都市国、王国の南に国土を有している国で国土の大半が平地と森林の国だ。

  現在帝国の中でも一握りの者しか入ることを許されてはいない帝国会議室において、議論がされている。

  その一握りの者たちとは帝国皇帝リプロ・デクリメンス・フォール・ゼナーガを筆頭に。

  帝国騎士団を纏めるジュラ・レイジスト・ウルエイオ。

  帝国魔導団の纏めるディズ・エンドルフィン・オーカルス。

  現皇帝の弟であるシエン・ユネルメンス・フェール・ゼナーガ。

  大貴族と言われるグレン・カツラズラ・ストレーツ公の五名が会議をしている。

  皇帝リプロ・デクリメンス・フォール・ゼナーガはまだ若いながらも皇帝の地位に即位し、国を導いて来たが・・・ここ数年前から病にかかってしまったらしく体調が優れない日々が続いていて、帝国有数の治療薬剤師に見てはもらっているが一向に病は良くなってはいない。

  一説には愛娘である皇女殿下を失ったからだと言われており、皇帝陛下の妃も公の場には現れてはいない。

  今回の会議の内容はスヴァ都市国で発生した四体同時出現した疫病の狂天使であり、帝国でも多発している疫病の狂天使に対して有効な手立てはないかというものだ。

 

『それで・・・都市国で起きた爆発、炎上事件は疫病の狂天使という線が濃厚なのか』

『はい。まだ確定ではないですが』


  帝国魔導団の団長であるディズの問いかけに対して答える報告官。

  ディズ・エンドルフィン・オーカルス。

  年齢的にも皇帝、帝国騎士団の団長であるジュラよりは若くまだ帝国魔導団団長の地位を継いで日が浅い。

  茶色の紙に茶色の瞳をした人物で伊達男と言う言葉が似合う男性だ。

  使える魔法は火と風の二重属性魔導師(デュアルエレメンティア)であり、その身を飾る魔導師のローブを金の刺繍が施さている。

  現在都市国で起きた事件の情報を集める為に行動しているが、都市国では混乱を避ける為に他国との取引を一時的に中止しており、都市国に潜り込ませる情報官からも大雑把な情報しか上がっていない。

  帝国ではここ数年から疫病の狂天使の被害が増す一方であり、いつこの帝国首都でも疫病の狂天使が出現するのかわからない状態が続いている。

  帝国の首都ダグマオーネはこれまで建国してから一度も疫病の狂天使が出現していないので安全とされていたが・・・都市国での疫病の狂天使の出現により軍備をこれまで以上に強化しようと言う意見が貴族内から出てきているのだ。

  しかし・・・現皇帝はその意見を却下している。

  もし軍備を強化するのであれば帝国首都を防衛する上級騎士や、上級魔導を地方へと送り出さなければならない。

  帝国は周辺諸国とは違い兵士いう職業軍人であり、もし増員するのであれば募集をして一から教育しなければならないので、どうしても首都を防衛している兵士を地方の機関へ送らなければならないのだ。

  帝国内での貴族は一部の貴族を除いては大抵がその地区を納めているだけであり、その地区で力を行使する事は出来ない。貴族は皇帝の下であり、直接意見を言えない存在なのだから。


『それでは次の議題ですが・・・』


  報告官が次の議題を読み上げようとした瞬間。何者かが咳き込む音が聞こえてくる。

  かなり苦しそうな雰囲気であり、その音の正体は皇帝、リプロ・デクリメンス・フォール・ゼナーガの咳き込む音であり、苦しいのか顔色が優れていない。


『皇帝陛下!』


  この場にいるすべての者が心配するようにリプロを見つめ、即座に控えていた治療薬剤師が薬を持って駆けつける。

  薬を飲んで落ち着いたのか咳きは収まったが今だに顔色は優れていない。

 

『兄上は体調が優れない様子・・・また再び悪化してもいけませんし、今回の会議はこれまでということで』


  皇帝の弟であるシエン・ユネルメンス・フェール・ゼナーガの指示の元でこの場を納め会議が終わる。

  彼は少し窶れてしまっている皇帝とは対象的にふくよかで、肌の色もよく健康的だ。

  皇帝が退室したのを確認するとグレンが気を見計らったように話始める。


『それにしても・・・皇帝陛下がこうも体調を崩し会議が進められないのであれば代役をたてなければなりませんね』

『不敬だぞストレーツ公』


  帝国の国防を守る両名から避難される。

  グレン・カツラズラ・ストレーツ公。

  古くから帝国に広大な領土を持つ貴族であり、貴族の力が弱い帝国内であってもこの会議に出れるだけの権力を有している大貴族とも言われている人物だ。

  そしてそのような高い権力と地位にいるのにも関わらずに意見を述べること出来る帝国騎士団と、帝国魔導団の団長はそれほど重要なのだ。

  それもその筈、帝国騎士団と帝国魔導団は国防の要であり、その中でも帝国騎士団の団長であるディズ・エンドルフィン・オーカルスはたった一人で百の兵士とも渡り合えると言われており、皇帝陛下から賜った魔導石を組み込まれた全身フルプレートを常に着用しており、その鎧はかの有名か魔法国の火の魔法局局長の攻撃さえも効かないと言われている。

  この両名は皇帝陛下に忠義を捧げた者であり、他の誰かには忠義を尽くすつもりは今のところないようだ。


『しかし、ストレーツ公の言うのも最もな事です・・・なので次回からは皇帝陛下には重要な案件のみにされてはどうでしょうか?』

『確かにそうですね・・・』

『だが皇帝陛下の意見も聞かずに話を進めるというのは・・・』

『問題は誰が重要案件以外の事に決定権を持つと言う事なのですが』

『それについては私がやりましょう。反対意見はありますか?』


  そう言いながら周りを見渡すシエン。

  反対意見を言う者はいないが・・・グレンが目線を反らし、舌打ちをする。

  どうやらシエンが決定権を持つことに不満があるようだ。


『では次の会議では私、シエン・ユネルメンス・フェール・ゼナーガが進めさせてもらいます』


  そう言い終えると会議が終了する。

 


 エレメンティア魔法国・首都トゥルーマキナ


  現在魔法国では各魔法局局長が集結して論戦している。

  魔法国は都市国から見て北部に領土を持つ国であり、都市国には鉱石や魔導石等を輸入している。

  魔法国は周辺諸国とは違い魔導師が多くの住む国であり、魔法の研究も盛んで魔法だけであれば周辺諸国トップとも言われている国だが・・・国内の貧困事情や内政、外政についてはあまりよろしくないのが現状だ。

  その理由は王国や帝国、都市国のような明確に国を纏める者がおらず、国内でも各魔法局局長の組織が対立している為である。

  そして魔法国において物事を決める四大魔法機関に属する最高位魔導師の四名。

 

  火の魔法局局長・ヴェルピルス

  まだ若くしてその地位に付き、この魔法国において最強の攻撃魔導師と言われる火の魔導師。

  その赤い髪に赤い瞳と魔法国では珍しい茶褐色の肌をしている。

  彼が使える魔法は火の魔法だけではなく土の魔法さえも操ることの出来る二重属性魔導師(デュエアルエレメンティア)だ。

  何故か上半身は裸でその上にコートを着ているが・・・


  水の魔法局局長・アクララ。

  見た目的には三十代後半で青く長い青髪に、青の瞳をした色白の女性だ。

  天女でも着ていそうな美しい羽衣を身に纏い、彼女を引き立てるような美しい衣装を着込んでいて、その腰には隠すように乳白色のポーションのような物をぶら下げている。

  彼女は数年前の河川の反乱の時に身を挺して、水を操り反乱を最小限に抑えた功績でこの地位に付いてはいるが、彼女の魔力量は並みの魔導師程度であり、魔力量だけでは考えれば彼女の部下の方が魔力は多いと言える。

 

  土の魔法局局長・ウルガン。

  四大魔法局局長の中でも最高齢の老人であり年齢的には70を過ぎていると言われている。

  土の魔導局局長でもありながらも魔法学院の講師も勤め、この魔法国の土属性を操る魔導師はウルガンの作った道を通って来たと言っても過言ではない。

  高齢のせいかその髪は白くなってしまっているが、その瞳は今だに魔法の探求を求めている。


  風の魔法局局長・ジルータ

  茶髪のオールバックの男性であり、分析能力が高く地形を利用して過去に亜人の襲撃から村を守った経験がある。

  戦略眼も鋭く、国が攻め込まれた場合の防衛の司令塔も勤めている。

  魔法国内では珍しく王国、帝国の貴族にコネクションがある人物で、そのためかその身を飾る衣服や宝石は豪華だ。

 

『それで・・・都市国の魔導石長であるザロウス・エロレイン・ノックオンが死亡したというのは確かなのですか?』

『間違いないじゃろう。あの事件以降ノックオン氏からの連絡が取れていない』

『よい迷惑ですね。彼とは事件のあった次の日に取引をする予定でしたのに』


  今論戦しているのは都市国で起きた事件で、特に魔法国で深刻なのは魔導石長であるザロウス・エロレイン・ノックオンが死亡したことだ。

  ザウロスは魔法国でも有名であり、四大魔導師とも交流がある人物なだけに死亡したのは痛手だ。

  信頼というのは一日や一週間程度では構築されず、ザウロスの後任と上手くやっていけるかが不安なのだ。

  これからも続けて貿易をするのか?それとも一度考えた方がよいのかということなのだが・・・結論としては一度関係を考え直すという結論に至る。

  会議が終わり撤収しようした時に・・・扉をノックする音が聞こえてきて扉が開けられる。

  扉を開けて入って来たのは水の魔法局局長の直轄組織である高位魔導師の一人だ。

  彼らは魔法局局長の元で行動しており、今はこの会議に来るということは滅多にない。


『何事です?』

『報告します。神眼より魔法国内に高位魔導師が入って来たいそうです』

『密入国か?』

『いえ普通に入国しようとしていますが・・・』

『目的は?観光?亡命?』

『大図書館の使用許可を求められております。亡命という事はわかりませんが彼女は都市国の出身です』

『どうしましょうか?』


  各魔法局局長達が考えて込むより先に一人の男性が声をあげる。

  声を上げたのは火の魔法局局長であるヴェルピルスだ。

 

『俺が行くぜ。どちらにしろそいつは高位魔導師なんだろう?もし暴れるのなら取り押さえる者がいた方がよいだろ』

『確かにそうじゃなぁ・・・それで、その高位魔導師はどれくらいの魔力量なのじゃ?』


  ウルガンの問いかけに黙り込む水の高位魔導師。

  この事情を各魔法局局長に報告してもよいか迷ったからだ。

  何故なら出来れば火の魔法局局長、ヴェルピルスには知られずにいたかったからなのだが・・・ヴェルピルスが会いに行くと上手く言った時点で手遅れである。



『か、彼女の魔力量は推定で我々と同等かそれ以上かと・・・』


  その言葉を聞きにやけるヴェルピルス。

  その理由は彼がどの魔導師よりも強さに拘っており、もしかすれば1対1の戦いであれば彼より強い者は魔法国ではいないとされていたからだ。

  そして強い魔導師がいると戦ってみたいという欲求があるからであり・・・伝説的なのが結界を突破しようとしていた竜人(ドラグニル)との戦闘で辺り一面の風景が変わり果ててしまったということがある。

  なのでもしヴェルピルスとその魔導師が争うのであれば再びあの光景になるのではと不安なのだ。


『ヴェルピルス分かっているとは思うがその魔導師との戦闘はしてはならんぞ』

『分かってるぜウルガンのじいさん』

『本当にでしょうか?』

『なんだよアクララの姉さん心配なのか?』

『貴方ではなく、周辺への被害の心配です』


  そう言いながらヴェルピルスを見るアクララの表情は浮かばれず、ウルガンや報告に来たが魔導師も不安な様子だ。

  確かにヴェルピルスは今では火の魔法局局長として職務を真っ当出来ているが、少し前までは喧嘩していた場所に乱入し、その喧嘩していた両名をボコボコにしてしまった経緯があるからだ。


『では私もヴェルピルスについて行きましょうか』

『珍しいなジルータ。お前が他の誰かに興味を持つなんて』

『そうですか?まぁ・・・私は他の魔導師なんてどうでもよいのですが抑止力は必要でしょう』

『確かにそうじゃな。ジルータがついて行くのであれば心配はあるまい』

『そうですね。ですがもし戦闘になるでしたら被害は最小限にしてくださいね』

『分かっているぜ。ところでその魔導師ってのはなんて名前だい?』

『彼女は自分のことをヘルメス・T・アレイスティアと名乗っていました』


  その名前を聞き各魔法局局長が顔を見合わせる。

  理由はその魔導師の名前を聞いたことがないということだ。

 

『聞いたことがないな』

『儂もじゃ』

『私もです』

『私もありませんね?しかし・・・彼女の魔力量は都市国では珍しいのでは?』


  各魔法局局長から確かにという意見が聞こえてくる。

  比較的他国より高位魔導師が集い、そして更なる高見を目指す者が多い魔法国ではあまり珍しいことではないが他国でこの魔力量は珍しい。

  そもそも何故今になって都市国を離れ魔法国へと来たのかということだ。

  もし彼女が話に聞く魔力量であるとすれば他国への流出は避けるべきであり、上手くいけば他国への抑止力となりうる存在だ。

  そんな存在が何故都市国を離れ魔法国の重要機関である大図書館へと行きたがるのか?

  考えてられるとすれば大図書館での情報収集という線が濃厚なのだが・・・会って話を聞かなければわからないであろう。


『で、どうする・・・最終的にその魔導師が暴れた場合は殺すということでいいのか?』

『市民を守る為です。止むを得ないでしょうね』

『私も賛成です』

『儂も特に反対する理由はないの』


  全員の意見が纏まるとヴェルピルスの目に輝きが宿る。

  純粋な・・・強さを求めた魔導師の瞳だ。


『了解だ。腕が鳴るぜ!』

『ヴェルピルスあくまでも彼女に敵対意思があり、魔法を行使してきたらということをお忘れなく』

『分かってるって』


  そう言いながらヴェルピルスは拳を自信の手のひらに打ち付ける。

  その右手には火の魔法により燃え、その左手は土の魔力によって固く形成されており、重なり合った部分が溶解しマグマのようになっていた。

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