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静かなる一時

 大陸中央部に存在する巨大浮遊大陸であるバルエラ竜王国は慌ただしく動いていた。

 その理由は最強の竜王であるオール・ディストピア・バルフロン・マリッジが国に帰還したからだ。

 竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジの帰還によりバルエラ竜王国と戦争状態であった各国、バルエラ竜王国の北に領土を持つドワーフとダークエルフの連合国家エルメダ連合国、南に領土を持つエルフの王国ウルマイト王国、そして大小二十六の島々から構成されたアクモア海洋都市国家連合との戦争が劇的に変化してしまったのだ。

 今まで温存していた各都市を統べる竜人ドラグニルを派遣したことによって戦況が変わり・・・各国の首都付近に前線基地を作るまで進軍している状況だ。

 何故このような状況になってしまったのかというと、これも全て竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジの指示が原因なのだ。

 更に今まで出していた全て支配しろという命令を撤回し、全滅させるという命令に切り替えたことも戦闘を激化させている要因の一つだ。

 無論その決定に逆らう竜人ドラグニルなどいなかった。

 竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジの命令ということもあったのだが・・・それ以上に竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジのその身に纏う雰囲気、オーラが別格というまでに変わってしまっていたのだ。

 血を覚醒させたオールなのだが、それ以上に身に纏っているのは他者をも押し潰す圧倒的な、純粋なる竜力。

 そのため限られた者のみが現在オールと面会できる状況となっており、そしてそんな状況の中で今一体の竜人(ドラグニル)が面会をしようと扉の前立っている。

 竜人(ドラグニル)の名前はフィヘイン・ゲート・カルサ。

 バルエラ竜王国の西に存在する人間の国に偵察に行き、そしてその偵察内容をまとめてオールへと報告するために面会をしようとしている最中なのだ。

 竜王国と人間の国との間に存在する、女神セラフティアスが作り出したと言われている絶対に破壊することができない巨大な結界が破壊されたことは、今では竜王国全土に知れ渡っており無論オールも知っている。

 しかしながらオールは即座に人間の国を滅ぼそうとはしなかった。

 何故滅ぼそうとしなかったのかは不明なのだが・・・誰もオールに意見を言えるような状況ではなく、そして勝手に動く訳にも行かないのであれから誰も人間の国には行っていない。

 そんな中で人間の国へと行った竜人(ドラグニル)の偵察部隊のリーダーであるフィヘインが持ち帰った情報はかなり重要であり、その事を理解しているオールはフィヘインに近日中にまとめ、そして提出するように促したのだ。

 そして今フィヘインはオールのいる扉の前に立ち、深呼吸をする。


(き、緊張するなぁ・・・ハッカ様は大丈夫だと言っていましたけどやはり緊張しますよ)


 深呼吸をし終えて扉をノックするフィヘイン。

 すると直ぐ様に『入っていい』っという返事が返ってくる。

 それに従い扉を開け、中に入るフィヘイン。

 すると目の前には驚くべき光景が広がっていた。

 扉を開けた先は玉座の間なのだが、その間には玉座が存在していない。

 変わりに中央部には巨大な繭が存在している。

 しかもその繭は脈動するかのように動いており、大きさだけではなく、そのことがより一層不気味さを演出している。

 しかもこの空間は噎せ返るほどの竜力に満ちておりいるのだ。


(こ、これは・・・何が起きているのですか?)


 思わぬ光景に呆気にとられてしまっているフィヘイン。

 入った瞬間に一点を縫い付けられたように見つめ、そして動けずになってしまっていた。


『どうしたのですか?』


 不意に声をかけられたことに驚いたフィヘインであったが、扉から入って何も動いていないことに気がつき動き出す。

 異様な光景なので何も言葉が出ないフィヘインであったが・・・この玉座の間に竜王であるオールが居ないことに気がつく。

 自らに来ることを命令したのはオールなのだが、その肝心なオールがいないのだ。

 その変わりに繭を囲むようにしてオールお抱えの六体の侍女竜が控えていて、その中の一体の侍女竜がフィヘインに来るように促している。

 特徴としては長い腰まである赤黒い髪に赤い瞳。そして赤い瞳と同じように赤く太い尻尾。

  それに対して白い純白の角と、ボロボロの白い大きな翼の侍女竜であり、何故かメイド服の胸元を露出しており、その胸元には赤黒く濁った・・・溶岩を思わせるような宝石を埋め込んでいる。

 この竜人(ドラグニル)の名前は融解する惨刀(オロ・ヴォルカ・ジオ)

 フィヘインはこのオロが苛立ちのような感情を抱いていると感じ取ると、直ぐ様に謝罪の言葉を口にして早歩きで歩きだす。


『お、遅れて申し訳ございません!』


 オロの元までたどり着いたフィヘインは最敬礼をする。


『よく来ていた・・・早速で悪いがフィヘイン。君が人間の国に偵察に行き、そして得た情報を説明してくれたまえ』

『わかりました。あの・・・口頭での説明では不十分だと判断しまして、資料をお持ちしました』


 そう言うとフィヘインは資料を配布する。

 この場には六体の侍女竜がいるがフィヘインが持ってきた資料は合計で十冊以上なので余裕に間に合っている。


(本当なら他にもいてもよさそうなのですが・・・何故この面々しかいないのでしょうか)


 何故この玉座の間に六体の侍女竜しかいないのか疑問を持っていると、侍女竜の一体と目が合う。

 薄い水色の髪のショートヘアーの少女で、瞳は水晶のようであり、年齢的に考えると侍女竜の中では一番幼い竜人(ドラグニル)だ。

 水晶のような透き通る翼をしており、太陽の光を反射すると尚美しい翼を持っている。

 尻尾もまた水晶ようであり、角も同じような水晶だが・・・小さいので髪隠れて見えていない。

 水晶の瞳と目が合ったフィヘインは単純に美しいと思っていたが・・・どうやら目が合った竜人(ドラグニル)である美しき(クリティアス・)結晶刀(プリズミア)にはフィヘインの考えていた事がわかっていたようだ。


『この繭が気になるの?』


 突然クリティアスに話し掛けらけたことによって動揺してしまったフィヘイン。

 しかしながら資料を配布するその手が止まってしまったことによって、六体全員の視線が集まってしまった。


『まぁ・・・確かに気にならない方がおかしいよねぇ』


 気まずい雰囲気の中で言いはなった竜人(ドラグニル)の名前は見えざる(エア・)結刀(シャングリラ・キー)

 緑髪のショートヘアーの少女で金色の瞳をしており、頭部にはティアラを着けており、そのティアラには白く濁った宝石のような物が埋め込まれていて、その他にも多数の宝石が埋め込まれている。

  翼は合計四枚の緑色の翼なのだが・・・昆虫のように薄く、透けている。

  細くしなやかな、鞭のような尻尾は長く、エアの身長の二倍以上の長さがあり、その長く細くなっている尻尾の先端には銛のような形状をしており、かなり鋭利になっていてる。

  角は額に一本。ひび割れたようになっている角をしている竜人(ドラグニル)だ。


『エアお前は少し・・・』

『でもこの報告書見る限り実績は十分なんじゃないのぉ?』

『エアもう見ちゃたの?』

『流石に早くない?』

『まぁ、ざっと見た感じだけどね』


 そう言いながらエアと一緒に喋っているのは双子の竜人(ドラグニル)であり、名前は帯電する(ウェルニル・)右刀(エルディカ)帯電する(ウェルニル・)左刀(エルディア)

 その姿は鏡合わせのように似ていて、両名共に金髪金眼、ウェルニルは右側のみにサイドテール、それに対してウォルニルは左側のみにサイドテールをしている。

 ウェルニルは左右非対称の白い角に、同じ白い翼・・・どちらとも右側が大きく左側が右側に比べて小さくなっていて、ウォルニルはその反対で左側よりも右側が小さくなっている。

  ウェルニルは右側の角、翼のみに血管のように金色の模様があり、ウォルニルはその反対で左側の角、翼のみに金色の模様になっている。

 両名共に尻尾は地面につくほど長くそして白くなっているが、何故か尻尾の先端だけが金色になっている。


『確かにこれは・・・』

『ルーシャの変わりにはなると思う・・・第一にルーシャとは違い信用できる』


 ウェルニルとウォルニルに同調するように同意の意を表したのは、この中で一番小柄な竜人(ドラグニル)であり、名前を凍てつく(アイリット・)鋏刀(シュルコン)

 青く長い地面にまで着くほどの長い髪の少女で癖っ毛なのか、かなり髪が跳ねてしまっている。

 右目に眼帯をしていて眼帯をしていない方の瞳は暗いブルーをしている。

 かなり小さな・・・飛ぶことが不可能かと思わせるほど小さな翼をして、角、尻尾も小さく・・・子供の竜人(ドラグニル)と大差ない感じの竜人(ドラグニル)だ。

 しかしながらその身に纏う雰囲気は戦士そのものであり、戦闘能力としては自分以上ではないかと感じさせる。


『フィヘイン・ゲート・カルサ君に問う』

『はい!なんでございましょうか?』

『この報告書に書かれていることは全て事実かね?』

『勿論でございます!』

『一切の迷いの無い回答・・・なるほどお前には知らせてもよいかも知れないな』

『まぁ・・・だいたい、この場所に来れるとようになるには相当の実績がないと駄目だけどねぇ』

『だけどこの繭の正体を教えるかどうかは別』

『そうだよねぇ・・・』

『だが私はフィヘインに教えてもいいと思っている・・・お前達はどうだ?』


 オロの問いかけに対して残りの五体の侍女竜が同時に同意だと言う。


『ならば決定だ・・・フィヘイン。この繭が竜力の塊であることは理解していると思う』


 オロの問いかけに同意するように頷くフィヘイン。

 理解していると分かると、オロは一拍置いて答える。

 この繭の中にオール様がいるということを。


(やはりあの中にはオール様が・・・しかし何故このような状況に?)


 驚きよりも『やはり』っと思ったフィヘイン。

 状況から考えるにオールがいると予想はしていたが・・・何故このような状況になってしまっているのかはまだわかっていない。

 まるで羽化を待ちわびている蛹のようなのだが・・・


『あの・・・何故オール様がこのような状況になってしまったのですか?』

『残念ながらその事を教えることはできない。しかしながらオール様は必ず戻って来ると言っていた』

『戻って来る?』

『あぁ・・・更に強くなってな!』

『なっ!?まさかあの繭の中では・・・』

『言うなれば修行だよねぇ・・・まさか天性の戦闘センスを持っているオール様が更に強くなるなんてねぇ』


 エアが不適な笑みを浮かべて笑う。

 その不適な笑みに当てられてしまったフィヘインはたじろいでしまった。


『オール様が強くなるのは一向にかまわない・・・』

『確かにそれに、いちゃもんつける奴は竜人(ドラグニル)だったらいないよねぇ・・・』


 そう言いながら再びフィヘインを見るエア。

 どうやらエアはフィヘインがこの場、もしくはこの場から帰った後に何かしないか気になっているようだ。


『おい。お前達本来の議論からずれてしまっているぞ』


 オロが『パン』っと手を叩き、この場の雰囲気を変える。


『この報告書、そしてお前の実績に推薦したハッカとジェイロスとの話し合いによりフィヘイン・ゲート・カルサ。西の浮遊都市を君に任せる』

『なっ!?そ、そのような・・・』

『私は適任だと思う。他に意見がある者は?』


 オロが周囲にいる侍女竜に問いかけるが、全員異論はないようだ。

 本来であればオールや他の四方を統べる竜人(ドラグニル)と協議するはずなのだが・・・今は戦争状態。

 各四方を統べる竜人(ドラグニル)は部隊を指揮しなければならない立場にあり、戦場を空けることは避けるべきだ。

 よほどの緊急事態でなければ集まらないであろう。

 しかしながら、つい数ヶ月前まではこのような政治的な意見には一切口出ししてこなかった侍女竜達が、このようにして介入してきたことに疑問に思う。

 すると、やはりと言えば良いのだろう。クリティアスがフィヘインを思っていた疑問に対して答えを出してくれる。


『これは・・・』


 クリティアスがフィヘインに差し出したのは令状であり、その令状を出しのはオールだと判断できる。

 令状を内容を要約すると、こう書かれていた。


 竜王国と戦争中の国は各四方を統べる竜人(ドラグニル)が出向き戦争を終結させよ。

 西側の大陸に存在する人間の国についてはオール自らが攻めるので手出しは無用。

 翼無き者(ボロクロ)たちの殲滅も進めなければならないが、優先順位は低いということだ。

 ルーシャの裏切りにより西の浮遊都市を統べる竜人(ドラグニル)がいなくなってしまったので、それに見合う竜人(ドラグニル)を選任しろと書かれていた。

 そしてそれらの決定権は六体の侍女竜に任せると書かれていた。

 つまり彼女達は正当な理由でフィヘインを選任したのだ。


『なるほど・・・はっ!?』


 令状の内容を確認し終えたフィヘインであったが、まだオロ達に対して任命されたことに対して回答していなかったのだ。

 その事に気がついたフィヘインは最敬礼をして答える。


『フィヘイン・ゲート・カルサ命じられた任を果たすべく尽力させていただきます!』

『よい返事だ・・・期待しているぞ』

『期待してるよぉ・・・裏切らないでねぇ』


 激励の言葉・・・というには少しばかりプレッシャーが多い気がするが、フィヘインは一礼してこの場から出て行くのであった。



 西の浮遊都市・ウェストゲェル


 中央都市を離れたフィヘインはウェストゲェルの中央部にある城へと向かっていた。

 これから自らが統治することになるという事実に喜びを覚えながらも、前任の竜人(ドラグニル)がしたことの重大さを再確認していた。


(気になるのは何故ルーシャ様はオール様を裏切ったのでしょうか?)


 フィヘインはつい数ヶ月前まで西の浮遊都市を統治していた竜人(ドラグニル)の事を思い出していた。

 竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジに次ぐ実力者と言われていた竜人(ドラグニル)であり、最速の竜人(ドラグニル)としても有名だった。

 確かにオールには勝てないとしても、わざわざ反乱を起こして裏切る必要があるのかということだ。

 野心があったからと言っても相手は最強と言われている竜人(ドラグニル)であり、歴代の竜王で一番の強者であると古い竜人(ドラグニル)達が言っていたこともフィヘインは知っている。


(あの人間が来てからおかしくなった?あの人間がルーシャ様が裏切るように何かを仕込んだ?いや・・・あの話を聞く限りそうには思えませんね)


 フィヘインが何故ルーシャが裏切ったのかを考えている間に既に城へと到着してしまっていた。

 城を警備している竜人(ドラグニル)に一礼して、手に持っている令状を見せる。

 すると先ほどまでフィヘインの事を警戒して竜人(ドラグニル)が態度を改め、敬礼をする。


『失礼しましたフィヘイン・ゲート・カルサ様!』

『いえ、貴方達は貴方達の仕事をしただけです』


 フィヘインも一礼して門を潜り、そしてルーシャが座っていたであろう玉座にたどり着いた。


(さて・・・これからが大変ですね。オール様に忠義を示し、そして彼らを纏めなければ・・・)


 フィヘインは玉座を背にしてこの場を集まった竜人(ドラグニル)に令状を見せ、自らが正当な統治者であることを示す。

 突然、この地を統べるっと言われて同様しない人がいないのと同じように、西の浮遊都市に住んでいる竜人(ドラグニル)もまた同様していた。

 しかも前任の統治者は王に叛いた反逆者。

 その関係もあり、他の浮遊都市の竜人(ドラグニル)から白い目で見られていると話も聞いたことがある。

 だがしかし・・・フィヘインは確固たる意志を持って彼らを導かなければならないのだ。


『みんな聞いてくれ・・・今、竜王国は前任の統治者のせいで大変なことになってしまっている。みんなが他の浮遊都市の竜人(ドラグニル)から良い目で見られていない事を知っている。しかし・・・こんな時こそ忠義を示す時だ!』


 力強く力説するフィヘイン。

 その力強い言葉に、先ほどまでフィヘインの事をよく思っていなかった竜人(ドラグニル)が自然と耳を傾けているのをフィヘインは感じ取る。


『私はまだ為政者としては未熟かもしれない・・・しかしながら私は皆とならば必ずこの地を元に戻し、信頼を回復できると信じている!』


 全員の注目を集めるために一拍置くフィヘイン。

 そして全員が注目した事を確認し終えると・・・フィヘインは更に声を強め訴える。

 その気持ちは紛れもなく、純粋で・・・この場にいる竜人(ドラグニル)の心を動かした。

 フィヘインが演説し終えた後には全員が拍手し、そして称賛の言葉を送ったのであった。



 バルエラ竜王国・中央浮遊都市に存在する巨城。

 本来玉座に座るべき竜王は今、竜力で作られた繭の中で進化の時を待っている。

 幾重にも編まれた竜力の糸は強固であり、糸というよりも強度だけで考えればワイヤーと言ってもよい強度を持っている。

 そしてこの竜力で作り上げられた糸により、玉座の間を濃厚な竜力で満たしたいるのだ。

 通常の竜人(ドラグニル)であれば少しの間いるだけなら何も問題はないのだが・・・今は長時間滞在していれば気絶してしまいかねないほど濃厚になっていて、しかも未だに竜力の濃度は増している。


『さて、新たに西の浮遊都市を統べる者が決定したのだが・・・この報告書を見る限り人間どもは着々と我々と戦争の準備をしているようだ』

『確かにそうだねぇ・・・』

『オール様の言っていた通り』

『これもあの人間が原因なの?』


 ウェルニルとウォルニルが同時にオロに話しかける。

 その声色には隠しきれない殺意が混じっており・・・ウェルニルとウォルニル以外にもオロを含めたこの場の全員が殺意を露にし始める。

 ウェルニルとウォルニルの言った人間というのはマリアティアスであり、今このような状況を作り出した張本人だ。

 マリアティアスとオールは戦い、そして激戦と言える程の戦いをしたのちに・・・オールはマリアティアスに敗北した。

 まぁ、敗北と言ってもオールや戦いに参加したオロ達には一切の・・・かすり傷一つ付いていないのだが、マリアティアスの作り出した結界に閉じ込められ、そしてやっとの思いで破壊したが、肝心のマリアティアスが居なくなってしまっていのだ。

 マリアティアスの逃げ勝ちというような感じになってしまい、そのことが納得していないオールは今繭の中で新たな力を得ようとしている。

 実際オールは今まで敗北というものを知らなかった。

 しかしながらマリアティアスに負け・・・というには少し違うかも知れないが敗北してしまったのだ。


『確かにあの人間が原因だと考えるのが妥当だろうな』

『だけど元凶を殺ったとしても奴らの進軍は止まらない』

『そうだねぇ・・・全滅しないといけないよね』

『まぁ・・・奴らを全滅するってことは変わっていないけどね』

『こちらも戦力を整える必然がありますよ』


 クリティアスの言葉に、この場の全員がオールがいる繭を見つめる。

 生きているように脈動する繭からは高濃度の竜力が漏れだし、この場を徐々に汚染し始めていた。

 通常の竜人(ドラグニル)であれば体調を崩しかねない程の濃度なのだが、オールと共にするオロ達はこの場から離れることはしない。

 何故ならオロ達はオールの所有物。

 所有物であるオロ達はどんな時も常に一緒であり、オールと共に戦うと誓ったのだから。

 それにオロ達は特別・・・普通の竜人(ドラグニル)とは違うのだ。


『次の戦いは私達も全力を出す必然がある』

『あぁ・・・アイリットの言う通りだ。次の戦いは負けることができないからな』


 そう言いながらオロ達は全員胸元にある宝石を撫でるのであった。




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