女神の力
崩れ行く魔機国。
既にマリアティアスは魔機国を覆っていた結界を解き、その崩壊するさまを観察していた。
崩れ行く魔機国の中からは、女神の神眼に操られているであろう人々が落下しているが・・・マリアティアスは助けようとはしない。
助けたとしても何の利益にもならないからだ。
人助けは利益で行うべきではないという人間もいることはマリアティアスもよく理解している。
しかしながらマリアティアスは親しき者や、自らの利益になる者しか助けようとはしない。
そもそも女神の神眼に支配されてしまっている人間を助けるのには、それ相応の魔力を消費するし、助けたところでこの崩れ行く魔機国をどうにかできるのかわからないからだ。
しかしながら不思議なことに女神の神眼が支配しているであろう魔導兵が、忽然と姿を消したのだ。
それも全員・・・マリアティアスが目視できる範囲には見えていない。
この混乱に乗じて奇襲してくる気配や、マリアティアスを監視している様子もない。
崩れ落ちる魔機国からは人だけでなく、無論建物を崩れ落ちて行っている。
その中には貴重な資料や、実験所、実験体などがあるはずなのだが・・・誰も何もしようとはしていない。
『あれは・・・』
崩れ落ちる魔機国の中でようやく動く物を見つけたマリアティアス。
その動く物というのは世界全てを怨む存在・・・疫病の狂天使だと直ぐ様にわかった。
遠目からでもわかる独特なシュルト・・・血のような真っ赤な天使の輪に同じように枯れ枝のような真っ赤な翼は紛れもなく、疫病の狂天使であり、その疫病の狂天使は魔機国の中心部へと向かって行っている。
『疫病の狂天使・・・私の方に来ないのは女神の神眼に操られていない証拠でしょうか?』
マリアティアスは首を傾げ、疑問を口にする。
もし操られているのであれば当然マリアティアスを攻撃してくるのが妥当だからだ。
まぁ・・・破壊衝動しか無いと言われている疫病の狂天使が、言うことを聞いてくれるのかというのははっきり言って微妙なところだ。
疫病の狂天使は人智を越えた存在なのだから・・・
『な!?い、今のは・・・』
そんな疫病の狂天使のことを観察していたマリアティアスの目の前で、一体の疫病の狂天使が消し炭となる。
そしてその一体の疫病の狂天使をかわきりに次々と倒される疫病の狂天使。
疫病の狂天使を倒しているのは、魔機国の中心から放たれる閃光のようなものなのだが・・・それを閃光をマリアティアスは知っている。
あの閃光は、嘗て王国においてマリアティアスを消し炭にした閃光に非常によく似ているのだ。
しかしながらあの閃光とは違い威力も、そして攻撃範囲も弱くなっているようにマリアティアスは感じた。
威力は喰らわなければわからないかもしれないが、攻撃範囲に関しては狭くなっていると判断できる。
『・・・全て消し炭になった?』
餌に群がるようにして集まっていた疫病の狂天使全てがいなくなったのを確認したマリアティアス。
そして疫病の狂天使が全滅してから数秒後・・・魔機国が完全に崩壊してしまった。
しかし、崩壊した魔機国の中からは異様な・・・名状しがたい物質が出現する。
それは形としては八角柱、大きさは魔機国よりは小さいのだが・・・それが魔機国の中から現れ出たというのが問題だ。
血管のように八角柱全体を覆っている異様な、不気味に脈動する光。
空中に浮いているという事実もさることながら、何故という疑問しか出てこないマリアティアスの前にその八角柱の物質は起動してしまった。
八角柱が線でも引いたように縦に割れ、傘が開くように展開する。
『何が起きて・・・』
マリアティアスが困惑しているのを他所に動き始めた八角柱。
そして展開した八角柱の中から現れ出たのは・・・超巨大な魔導石であった。
マリアティアスが所持していたよりもかなり巨大であり・・・ビルほどの大きさは誰だって驚くはずだ。
『なぁ!?ま、魔導石?しかもあの大きさ・・・この短期間でどうやって』
あまりの大きさの魔導石の塊に驚いているマリアティアスであったが・・・まだ驚きは続くのであった。
魔導石が怪しく発光し、空に巨大な魔法陣を描く。
魔法陣は幾重にも重なり・・・そして発動する。
膨大な量の魔力なのだが、それは攻撃や防御ではない。
言うなればそれは人・・・膨大な魔力と圧倒的な質量から造り出された魔力で出来た巨人だ。
何故か女性の姿をしているて、何故か下半身という物は存在していない。
展開した八角柱は背中に移動し、更に巨人の頭には天使の輪のように魔力が集結している。
天使の輪のような物が巨人に必要かと言われればそれは不明なのだが・・・
『魔力の巨人。こんな芸当ができるのは今の魔機国では女神の神眼ただ一人なのですが、まさか・・・女神の心臓も彼方に』
そう言ってマリアティアスの目線の先の魔力の巨人・・・というよりは魔導石の中心に脈動する大きな肉塊と一人の少女を見つめる。
この世界から逸脱した二つの存在を・・・
『不完全ですが・・・女神降臨とでも言った方がよろしいでしょうかねぇ』
人に声・・・というよりは無機質な機械音のような声がこだまする。
その声の発生源は勿論あの魔力の巨人からであり・・・状況から考えるに女神の神眼が喋っているのであろうが、マリアティアスにとってはそんなことはどうでもよいのだ。
問題は女神の神眼ともう一人の女神の力の保有者女神の心臓が同時にいることが大問題なのだ。
女神セラフティアスの力というのはこの世界に五つ存在している。
スペルオーネ帝国に一つ、エルピーラ王国に一つ、エレメンティア魔法国に一つ、そしてバルエラ竜王国に一つ存在していた。
この力によって人間の国の三國は戦争するということはなく、表向きは平和を保っていた。
その力は世界の常識を覆す力を持っており、その存在自体が抑止力となっているのだが・・・そんな世界の常識を覆す力を持っていたとしても竜王国は女神セラフティアスの造り出したと言われている結界を破壊することは出来なかった。
そしてマリアティアスはその四國とは別に・・・個人的に女神の力を持っている。
この事実を知っているのは極限られた、マリアティアスと共に歩みを進める者だけだ。
何故、どのようにして、このような世界の常識を覆す力ができたのかはただ一人を除いて誰も知らない・・・そうマリアティアス以外誰も知らないのだ。
『女神ねぇ・・・残念ですが女神セラフティアス様とは程遠いと思うのですが?』
『それは仕方ないですよ・・・実際にはお会いしたことはないのですからね』
無機質な機械音で笑う女神の神眼。
眼というべき物は存在してはいるが・・・人間に比べてあまりにもかけ離れ過ぎている為に本当に見えているか疑いたくなる気になっているマリアティアスなのだが、とりあえず相手が意志疎通のできる存在であると確定する。
今のところは攻撃してくる様子はないのだが・・・先ほど疫病の狂天使を攻撃したのは間違いなく、女神の神眼の仕業なのだから。
『ところで貴女・・・その後ろに存在しているのは女神の・・・』
『えぇ・・・そうですよ』
マリアティアスの言葉を遮るようにして女神の神眼が言葉を発し、もう一つの女神の力の名前を叫ぶ。
それはマリアティアスの予想通り女神の心臓であった。
つまりこの場に四つの女神の力が集結しているということになり・・・マリアティアス、そして女神の神眼にとっても予想外な出来事だ。
(この場に女神セラフティアスの力が四つ・・・予想外ではありますが出会ってしまったからには仕方ありませんね)
心の中で覚悟を決めるマリアティアス。
だが女神の神眼もまた覚悟を決めていた。
(あの女性・・・あの時はまだこの力に慣れていなかったので理解できなかったのですが、まさか私と同じ存在だなんて思いもしなかったですよ。まさか私と同じ特異点だなんて・・・)
覚悟を決めた女神の神眼だが、その口から笑みが溢れる。
その理由は自分がマリアティアスに勝てるということの現れだからだ。
女神の神眼は女神の力を最大限に発揮できるほど、この力のことを熟知している。
そしてまだ未確認なことは多いが、取り込んだ女神の心臓のこともある程度はしている。
女神の神眼の女神としての力は視界を合わせた相手との視界共有。
これは女神の神眼の瞳を直接見なければ発動しない能力なのだが・・・特異点である彼女により異質に変化する。
女神の神眼の瞳を直接見なくても、女神の神眼の瞳を一度見て操り人形となってしまった人間の瞳を見ても操られてしまうということに変化してしまった。
更に視界共有だけでなく、五感すらも共有できるように変化してしまったのが今の女神の神眼だ。
そして女神の神眼に操られているのか?それとも自らの意志で女神の神眼に協力しているのかは不明だ。
この女神の心臓というのは数十年、数百年間人間の血を啜ってきた肉塊・・・というよりは人間の心臓のような物なのだがこの女神の心臓には明確な適合者という者は数百年間存在していなかった。
しかしダイヤによって状況は変わったのだが・・・その肝心のダイヤは行方不明。
女神の心臓が何かというのであればそれは超高密度の魔力炉であり数十年間、数百年間貯めた魔力を使用することが出来るという物だ。
その威力は凄まじく発射される閃光はどんな物でも灰塵となり、そして女神セラフティアスが造り出したと言われている結界も破壊するほどだ。
そのような常識はずれな力が二つ・・・
『厄介ですね・・・』
女神の神眼、そして女神の心臓という世界の常識から逸脱した力を目の当たりにし、思わず言葉を漏らしてしまったマリアティアス。
しかしながらこのような状況になってしまったのであれば、マリアティアスもまた力を温存して戦う訳にはいかないと覚悟する。
マリアティアスが所持している女神の力は二つ。
一つはマリアティアスが最初っから所持していた物と、もう一つは帝国が所持していた物の二つ・・・
マリアティアスが最初っから持っていた女神の力の名前は女神の白聖書。
腰に着けている何も書かれていない聖書がその一つだ。
この女神の白聖書を使い女神セラフティアス意志疎通が、やり取りができるようになるという物だ。
この聖書を開くと、自らの思っていることが文章となりそして聖書に書かれる。
聖書に書かれた文章はそのまま数秒で消え・・・そしてどういう原因なのかは不明だが、女神セラフティアスの方から文章が聖書に書かれるという仕組みになっている。
しかしそれだけではない。
マリアティアスはこの女神の白聖書を媒体にすることによって治癒の魔法を扱うことができ、そして数日程度であれば、女神の白聖書を媒体にしなくてもして扱うこともできる。
それともう一つ、女神の力を収集することができるが・・・これはある一定の条件が整っていなければ使うことができない。
『厄介ねぇ・・・それは此方の台詞ですよ。不死身な者ほど厄介なものはないとおもうのですが!』
そういい終えると女神の神眼が魔法陣を展開して・・・閃光の魔法をマリアティアスに向けて発射する。
しかも一発ではない・・・
複数発の閃光の魔法がマリアティアス目掛けて向かってくるのだ。
『ショットガンのように拡散させ、逃げ道を封じる算段ですか・・・』
閃光の魔法を防ぐ為に複数の防御魔法を発動させ、そしてマリアティアスは後方へと避難する。
流石のマリアティアスであっても、得体の知れない魔法を真っ正面から受けるのは愚策だと判断したのだが・・・女神の神眼はその一歩上を行っていた。
『あまいねぇ・・・』
女神の神眼がそう呟くと、ショットガンのように拡散した閃光の魔法が防御魔法に当たる直前に軌道を変える。
その動きは直線では無く、まるで生物のようにして自在に動き・・・そして防御魔法の間をすり抜ける。
『なっ!?この動きは!?』
突如として軌道を変えた閃光の魔法に対してマリアティアスは何とか反応できたが・・・完璧にかわすことはできなく閃光がマリアティアスの左肩、左太もも、そして腹部を貫く。
一瞬にして皮膚を焼き、肉を融解させる灼熱の閃光。
痛いという概念の話ではない痛みがマリアティアスに襲いかかる。
『ぐっ・・・あぁ・・・』
その痛みに思わず言葉が漏れるマリアティアス。
あまりの痛みに涙を流すことも忘れ、気絶しそうになる。
常人であればあまりの痛みによってショック死・・・もしくは気絶しかねないほどの痛みなのだマリアティアスは違った。
常識からかけ離れた力の影響なのか?それとも呪いか・・・マリアティアスは気絶することはなかった。
そんな状況を目にしていた女神の神眼なのだが・・・追撃することを無く、マリアティアスを注意深く観察している。
その理由は魔機国全ての知識を得た女神の神眼であっても、マリアティアスの今の状況が理解できないからだ。
『その骨・・・まさか?』
無機質な機械音のような女神の神眼の声なのだが・・・その声色からは驚いているようにマリアティアスは感じ取った。
そしてその声色から判断するに、マリアティアスの持っているもう一つの女神の力を知られてしまったと判断し、マリアティアスは覚悟を決める・・・
もう一つの女神の力・・・女神の呪怨骨鎧を使うことを。
女神の呪怨骨鎧
嘗ては帝国にあった女神の力なのだが・・・今はマリアティアスが所持している。
この女神の呪怨骨鎧は女神セラフティアスの怨念が呪いとなって出来上がった骨の鎧。
恐るべし強度を持っていて、女神の呪怨骨鎧を破壊することは不可能。
どんな刀を使っても、どんな魔法、竜法を放ったとしても破壊するできないと言われている。
現に今日まで破壊できていない。
まぁ・・・破壊しようと思うのは数名だろうが。
世界の常識を逸脱した最高最硬度の鎧なのだが・・・この鎧には女神セラフティアスの怨念とも言っていい呪いのような物が産まれてしまった。
それは着用者の自我を封じ込め命尽きるまで祈りを捧げる・・・言うなれば廃人となってしまうというものなのだ。
故に着用者は皆短命になってしまっている。
そして当然、マリアティアスもまた自らの命尽きるまで祈りを捧げる廃人になってしまうはずのだが・・・もう一つの女神の力によって相殺しているので廃人にはなっていない。
特異点であればもしくは廃人にならないのかも知れないが・・・それは今となってはわからなく、そしてそんなことを考えている余裕も女神の神眼は与えてはくれなかった。
マリアティアスがもう一つの女神の力を所有しているとわかると、物理的・・・魔力で作り上げられた拳を振り下ろし攻撃を仕掛ける。
巨体なので動きは鈍いはずなのだが・・・まるでジェットエンジンを起動させるが如く肘の部分から大量の魔力を放出させ、拳を加速させる。
(間に合い・・・)
巨城すらも一撃で崩壊させるほどの威力を持つ拳の一撃は無情にも直撃し、マリアティアスを吹き飛ばす。
圧倒的スピードとパワーから放たれる重い拳。
最早マリアティアスの生命は一瞬にして終わる・・・はずであった。
間一髪で女神の呪怨骨鎧を発動することができたマリアティアスは、吹き飛ばされながらも体勢を変え、止まることに成功した。
女神の呪怨骨鎧を装備したマリアティアス。
薄紫色の骨の鎧で包み込んでいるのだが、何故か右腕には鎧を纏ってはおらず、胸元の心臓付近には真っ赤な魔導石が嵌め込まれて、鎧の後ろ・・・背中部分からは骨の六枚の翼が生えている。
『無事発動できましたが・・・うーんこれはあまり美しくないですね』
自らに姿が変貌したマリアティアスなのだが、その姿形が納得しなかったのかため息を溢し・・・金と銀の魔蝶杖を取り出す。
すると金と銀の魔蝶杖がマリアティアスに纏わりつき・・・女神の呪怨骨鎧が変化する。
右肩に金の薔薇の装飾が施され、左肩には銀色の薔薇。
六枚の骨の翼の後ろには大きな巨大な蝶々翼を更に展開する。
女神の呪怨骨鎧を装備していない右腕の部分には、金と銀色の茨が幾重にも重なり合っている。
『さて、これで少しは美しくなったでしょうかね?』
女神の呪怨骨鎧を魔改造したマリアティアスは、吹き飛ばした相手である女神の神眼と決着をつける為に向かって行く。
『その姿、そしてその力・・・やはり貴女は化け者ですね』
『その言葉、そっくりそのまま貴女にお返ししますよ』
『・・・どうです?一度争いは止めて竜王国に攻め込んでみませんか?私と貴女の力が合わさればあの竜王ですら足元にも及ばないでしょう』
自信満々に言い放つ女神の神眼。
マリアティアスとの戦いを一時止め、お互いの力で竜王国を落とそうという誘いなようなのだが・・・それに対してマリアティアスの答えはNo。
一緒に戦うのはありえないと言い放った。
『何故です?この世界の常識から逸脱した力を持っている私達が組めば例え竜王国であったとしても落とせないはずはないはずですが?』
『やって見なければわかならいということもあると思いますが・・・私は無理だと判断させていただきますよ。理由としましては貴女のことが信用できないからです』
『信用ねぇ・・・確かに貴女に私は攻撃を加えました。しかしそのことを水に流してはくださいませんか?竜王国を落とすのは貴女にとっても得策だと思うのですが?』
『確かに竜王国を楽に落とせるのであれば越したことはありませんが・・・貴女の力を使わなくても私には竜王国を落とすだけの手段がありますので』
『へぇ・・・貴女は確かに強いです。この世界に類を見ないほどに・・・ですが絶対ではないのでしょう?』
『問題はありません。私には絶対に裏切らない者達がいますので』
『大した自信ですね・・・交渉は無理なのですか?』
『無理ですね。第一に銃口を向けたままの相手と交渉できるとでも』
マリアティアスがそういい終えると、崩れ去った魔機国の中から生き残りの魔導兵が一斉に飛び出し発砲する。
その中には傷つき出血、もしくは骨が折れている魔導兵も見られるが、そんなことはお構い無しとう感じだ。
まぁ・・・女神の神眼に支配されてしまっているので実際に、お構い無しなのだが。
『一言忠告しておきましょう。圧倒的に実力がある相手には不意討ちは無意味です』
マリアティアスは出てきた魔導兵に意図も簡単に対応して見せる。
『なるほど・・・参考にさせてもらいますよ。そして理解しました』
『何がです?』
『いくら数を揃えても無意味なのですね』
女神の神眼がそう言い終えると、マリアティアスに向かって攻撃していた魔導兵は一斉に方向を変え、女神の神眼に向かって飛んで行く。
何故自らの元に戻したのか理解できなかったマリアティアスであったが、その疑問の答えは直ぐに出る。
女神の神眼の元へと戻った魔導兵なのだが魔力の巨人の胸が開き、その中から名状しがたき触手が現れ、魔導兵を次々と串刺しにして中に取り込む。
一体なにが起きているのか考えていたマリアティアスであったが、女神の神眼の元へと向かって行った魔導兵が全員餌食となり・・・そして魔力の巨人が少しばかり大きくなる。
『吸収した・・・』
『えぇそうです。そして時間切れです』
『時間切れ・・・何を?』
そう呟くよりも早く、マリアティアスが此方に近づいてくる者の気配を感じ取る。
それも数百や、数千ではない。
『この数は!?』
魔機国へと向かってくる数万の軍勢、それは各方面に出払っていた魔導兵であり・・・各方面で仲間を引き連れて帰って来のだ。
『さぁ・・・全てを私の元に!』




