双翼の狂信者VS冥水の魔導師
魔機国アルケメティアにあるとある区画にて・・・
その区画全域は周囲を高い壁に囲まれていて、その中には工場らしき物が転々としている区画だ。
そんな区画でエリカとアイカは水の最高位属性魔導師であるアクララと戦闘を繰り広げている。
この区画は魔機国アルケメティアにとって重要な区画なはずなのだが・・・エリカとアイカがこの区画に逃げ込んだ為に戦う事を余儀なくされてしまった。
しかしながらエリカとアイカはアクララと戦闘をするわけではなく・・・周囲に存在する建物を攻撃している。
まぁ・・・攻撃を繰り出しているのはエリカだけなのだが。
エリカとアイカは翼を持っていることによって空を自由に飛ぶことができ、上空から一方的に攻撃を繰り出している。
『くそ!?何なのです、この炎は!』
エリカの放った純黒の炎を消そうとしているアクララなのだが・・・いくら水の属性魔法を放っても消える気配がないことに苛立ちを覚えている。
通常の炎であれば消えるはずなのだが・・・エリカの純黒の炎は絶対に消えない。
いくら水の属性魔法を放とうとも、空気を遮断しようとも決して消えることはないのだ。
エリカの純黒の炎は対象を燃やし尽くし、そしてそれは灰となるまで消えることのない世界の理から外れた力。
そんな炎をアクララが消せる道理などなく・・・次々と区画にある建物が炎に呑まれてゆく。
まぁ、エリカの純黒の炎は燃え広がることはないが。
『結構魔力を消耗させたかな?』
『お姉ちゃんの魔力は大丈夫?』
『大丈夫だよアイカ。まだ余裕はあるよ』
純黒の炎に手を焼いているアクララに対してなんとも穏やかな口調で話をしているエリカとアイカ。
まるで高見の見物だと言わんばかりであり・・・正直その通りだ。
エリカの純黒の炎は相手にしてはならない。
その事実に気がつけるまでアクララは無意味に魔力を消耗してしまうだけだ。
『さて・・・そろそろ』
エリカは魔力を高め・・・そして先ほどよりも大きな純黒の炎を作り出す。
狙いはもちろんアクララだ。
『黒炎・大炎の穢れ!』
アクララに向かって純黒の炎を放つエリカ。
先ほどよりも広範囲を焼き尽くす純黒の炎によって、逃げ場を失ってしまったアクララが炎に呑まれる。
全てを焼き尽くす炎に抗う術がなかったアクララは、声をあげることなくこの世を去ってしまった。
『魔法国の最高位属性魔導師と言ってこの程度なんだ・・・』
『予想してたよりも全然弱いね』
『まぁ・・・お母さんよりは強くないと思ってなかったけどね』
『そうだねー。だけどさぁお姉ちゃん』
『なぁに?』
『お姉ちゃんの純黒の炎の特性理解できないのに、最高位魔導師名乗るなんてちょっと恥ずかしいね』
『確かにそうだね・・・私の炎は決して消すことができないのに、必死に消そうとしているのは滑稽だったね』
クスクスと楽しそうに笑うエリカとアイカ。
二人だけの会話なのだが・・・それを盗み聞きしている者が居るのを気づいてはいなかった。
『へぇ・・・あの炎はそのような特性があったのですね』
地面の中から大きな泡のが現れ・・・そしてその中からアクララが出てくる。
既に魔力を集めていたアクララは巨大な水の塊を作り出し・・・エリカとアイカに向かって放つ。
突然の不意討ちに反応できなかったエリカとアイカなのだが・・・エリカがアイカの前に立ち塞がり身代わりになるようにして直撃してしまった。
『お姉ちゃん!』
『悪い子にはお仕置きが必要ですからね・・・』
アクララの魔法が直撃してしまったエリカは『ぐったり』っとしてしまっている。
そんなエリカに対して更に追撃するようにアクララは魔法を放つ。
今度は速度を速め、広範囲に攻撃することができる魔法『飛沫矢雨』だ。
水飛沫のようにして放たれた魔法は、一発一発はたいした威力ではないが・・・今のエリカにとっては傷口に塩を塗る行為だ。
『白炎盾!』
アクララの放った飛沫矢雨なのだが・・・アイカの純白の炎で作り出した盾によって防がれてしまった。
それも全てだ・・・
『・・・白い炎?貴女も変わった炎を操ることができるのですね』
『よくもお姉ちゃんを・・・』
『姉妹揃ってどんな親から産まれたらこのような異質な炎を扱うことができるのでしょうねぇ・・・まぁ、それ以前にその翼と天使の輪はなんなんです?』
『別に・・・あんたなんかに説明する必要ありますか?』
『口の悪い子ですこと・・・』
アイカの手からメラメラと燃える純白の炎に警戒しているアクララ。
先ほどよりも距離を取り注意深く観察しているのだが・・・答えは出なかったようで攻撃をして確かめる。
しかしまたアイカの純白の炎によって焼かれてしまった。
(水の属性魔法が焼かれる・・・まさか威力が弱かったから?)
自らの放つ水の属性魔法の威力が弱いと判断し・・・今度は強力な魔法を放つ準備をする為に魔力を溜め始める。
(大きいのが来る・・・予想通り)
アクララが魔力を高め、強力な魔法を放とうとしているのを感じ取り不敵に笑う。
それは予想通りに事が進んでいる証拠だからだ。
『冥水弾!』
『予想通り・・・白炎盾!』
『その程度の威力で私の魔法に太刀打ちできるとでも思っているのですか?』
アクララの放った魔法冥水弾はより純度を高めた水の属性魔法で、大きさも大岩ほど巨大であり・・・何よりも圧倒的な質量。
大炎をバケツ程度の水で消せる事ができないのと同じように、巨大な水の塊である冥水弾をアイカの炎の盾程度では防げない・・・筈であった。
しかしながらそんな世界の法則を無視し・・・アイカの純白の炎はアクララの放った冥水弾を先ほどと同じように焼き尽くす。
『なっ!?あの質量を・・・』
自らの放った冥水弾が、先ほどと同じように燃やし尽くされてしまったことに驚いているアクララ。
そんなアクララが驚いているのを他所に、アイカはエリカを抱えて遥か上空へと旅立ってしまったいた。
アクララが気が付いた時には時既に遅く、アイカとエリカの姿はなかった。
『何故あの質量を燃やし尽くす事が・・・何かあの炎にも秘密が?確かに白い・・・純白の炎なんて見たこともないですが』
何故冥水弾が燃やし尽くすされたことに疑問を抱くアクララだが、一つの仮説にたどり着く。
その仮説とは・・・
『お姉ちゃん大丈夫?』
『ありがとうアイカ。大丈夫だよ。ごめんねお姉ちゃんが口を滑らしたばかりに』
『大丈夫だよ・・・だって彼奴を倒してしまえばいいんだから』
『そうだね。傷も癒えたし・・・復讐といこうかな』
アイカに治療液を飲ませてもらい、傷が癒えたエリカは殺意を露にする。
そしてエリカは純黒の炎を使い・・・雨を降らせる。
全てを焼き尽くす雨を。
突如として無差別に攻撃してきたことに驚くアクララ。
必死に純黒の炎かわしているアクララだが・・・先ほどとは比較にならないほどの熱量を感じ取り振り返る。
するとそこには天を覆い尽くすほどの純黒の炎が地上へと落下してゆく瞬間であった。
『なっ!?復活したのは先ほどの攻撃でわかっていましたが、なんなのですこの大きさは!?』
あまりにも大きな純黒の炎に驚いているアクララ。
それもその筈だ。
エリカの扱う純黒の炎は決して消すことができない炎であり・・・空を覆い尽くすほど純黒の炎であればどうなってしまうのか?
それは考えなくても直ぐにわかることなのだ。
『にげっ・・・いや!』
逃げようとこの場から離れようとしたアクララだが、自らの直感が逃げるべきではないと判断し・・・反撃に打って出る。
しかしながら、もう見える範囲まで純黒の炎が迫ってきているのでアクララは奥の手の魔導石を発動させる。
発動させた瞬間、まるで爆発でもしたかのように溢れでる大量の水。
この大量の水を,アクララは純黒の炎にぶつけて相殺するわけではなく自らに纏う。
それは衣服のように纏うのではなく・・・もっと別な感じでだ。
『冥水・王蛇!』
アクララの周囲を囲んでいた水が大蛇のように変化する。
水の大蛇の中にはアクララが入っており、起動させた魔導石も中に確認できる。
通常の蛇よりもかなり巨大で、まさに大蛇にふさわしいく水の鱗は光に照らされ眩い輝きを放ち、その鋭く尖った大牙は容易に人を貫く事ができると判断できる。
無論水の属性魔法で作り上げられているので毒という物は存在していないが・・・
そんな大蛇を操り、空を覆い尽くす純黒の炎に向かって突撃を開始し・・・直撃してしまった。
視界全てが純黒の炎に支配されるがアクララの作り出した大蛇は進む。
水の属性魔法で作り上げられた大蛇なので痛みを感じることはなく、移動スピードは衰えることはない。
大蛇の全身が純黒の炎で燃やされているが・・・まだ進み、そして純黒の炎を突き抜ける。
すると開けた空の上にはエリカとアイカがいるのが視界に入る。
いまだに大蛇の中に包まれているアクララなのだが・・・何故か最初に作り出した大蛇よりも小さくなってしまっている・・・
『まさかあの炎の中に特攻してくるなんて・・・』
『な、何で!?お姉ちゃんの炎は全てを燃やし尽くす事ができるんだよね?』
『落ち着いてアイカ』
『で、でも・・・』
『何か秘密があるはず・・・』
驚いているアイカを宥めているエリカは、何故アクララが純黒の炎に焼かれることなく突破してきたのか疑問に思っていると・・・
その疑問の答えが直ぐにわかってしまった。
エリカの純黒の炎に覆い尽くされていた大蛇はの鱗がボロボロと落ち始めたのだ。
落ちた鱗は下に広がる純黒の炎に次々と燃やし尽くされてしまう。
大蛇を覆う全ての鱗が落ち・・・そして鱗を焼いていた純黒の炎もまた全てなくなってしまった。
『何重にも鱗を重ねることによって私の炎を防いでいたんだ』
『なーんだ・・・じゃあ、お姉ちゃんの炎が効かない訳じゃないんだね』
『そうだねアイカ。そして見てあの水でできた蛇』
『うーん?どうかしたのお姉ちゃん?』
『あの蛇さっきよりも小さくなってるの』
『あっ!?本当だぁ・・・さっきより少し小さいね』
エリカが指摘したようにアクララの作り出した大蛇は先ほどよりも小さくなってしまっている。
これはこの魔法の特性なのだ。
アクララの放った魔法冥水・王蛇は、その幾重にもなっている鱗で敵の攻撃を防ぎ、大牙で相手を狩るという魔法なのだ。
魔導師自らがその中に入ることによって王蛇を自在に扱えるようになるだけではなく、相手の攻撃から身を守る手段であり、攻撃方法
謂わば移動できる攻撃基地なのだ。
欠点としてはこの魔法を扱っている間は他の魔法が使えないということなのだが、エリカはまだそのことに気づいてはいない。
『解除・・・ふぅ、やっと突破できました。さて・・・悪い子にはお仕置きをしないといけないですね!』
純黒の炎を突破したことが余程嬉しかったのか、思わず声に出てしまっているアクララ。
冥水・王蛇を解除して、腰に着けている乳白色の治療液を飲み干す。
純粋な水の属性魔導師のアクララだが・・・今空に浮かんでいられるのは女神の神眼が作り上げた魔導靴のお陰なのだ。
風の属性魔法を扱うことができない者でも、風の属性魔導石を埋め込んだ魔導靴によって空を飛ぶことができるようになるというものだ。
これは魔機国の標準装備であり、この戦っている最中でも生産している。
そしてそんな数々の魔法の武器を生産している魔機国の中でも、特に四大最高位属性魔導師である面々には特殊な魔導具が配られている。
その中でもアクララの持っているのは乳白色の治療液であり・・・その効果は自らの魔力を回復させるというものだ。
そしてその治療液をアクララは残り三つ持っている。
流石に一つの治療液で消費した魔力全てを回復することはできないが・・・それでも優位に立てることは間違いない。
もはや魔力切れだと思っていた相手がいきなり復活するのだ。
それは奇襲に最適なはずだ・・・見られていなければ。
『・・・さっきよりも顔色がよくなっているね。どうしたの?』
『ねぇ。お姉ちゃん・・・もしかしてさっき飲んだ治療液が原因じゃないのかなぁ?』
クスクスと笑うエリカとアイカ。
どうやら先ほどアクララが飲んでいたのを見ていたようだ。
『勘のいい子ですねぇ・・・ですが私には残り二つも持っていますよ?』
『飲ませる前に倒せばいいだけだよね?』
『なんで自分から喋っちゃうのかなぁ・・・それも大人の余裕ってやつなのかなぁ?』
戦意を露にするエリカに、嫌みな笑みを浮かべるアイカ。
それに対して余裕の笑みを浮かべるアクララ。
数秒睨み合いを続けた続けた後・・・最初に動いたのはアクララであった。
『冥水・八岐大蛇』
練り上げられた魔力を解き放ち、水が大蛇へと変化する。
先ほどアクララが作り上げた大蛇よりは小さいが、問題なのは大きさではない。
今度の大蛇は頭が八つ。
力ではなく手数で勝負するようだ。
『行け!』
アクララが先ほどと同じように八岐大蛇の中に入り、エリカとアイカに向かって突撃を開始する。
『アイカ・・・作戦通りに』
『任せてお姉ちゃん』
アクララに聞こえないように小声でやり取りするエリカとアイカ。
やり取りを終えたエリカは八岐大蛇に向かって純黒の炎を放つ。
しかしその純黒の炎を、八つある内の一つの頭が遮るようにして前に立ち純黒の炎に呑まれる。
純黒の炎が本体へと廻る前に、自らの燃えている頭を首から引き千切り・・・そして何事もなかったかのようにその突撃は止まることはなかった。
『正面で戦うは危険・・・』
エリカはそう呟くと、アイカにエリカの考えが通じたようで同時に更に上に飛び逃げてゆく。
『逃がさない!』
アクララが八岐大蛇を操り、エリカとアイカの後を追うようにして方向転換して追いかける。
先ほどの大蛇と同じようにこの八岐大蛇もまた、発動中は他の魔法を使うことができない。
その代わりに手数は八つ。
いつの間にか、自ら引き千切ったはずの頭は再生しているのだ。
『お姉ちゃんそろそろ・・・』
『そうだねアイカ。お願い!』
ある程度冥水・八岐大蛇の特性を理解したエリカとアイカは反撃に打って出る。
エリカが反転し、追いかけるアクララに迎え撃つようにして純黒の炎を放つ。
まるで水を溢したかのように広範囲に広がる純黒の炎。
アクララの視界全体に広がった純黒の炎なのだが、アクララは怯みことなく真っ向から突破しようと突撃し・・・アクララの纏っていた魔法冥水・八岐大蛇が燃え尽きる。
『なにが・・・ぐぎゃぁ!?』
自らの纏っていた魔法が燃え尽きてしまったことに驚き、戸惑っていたアクララだが・・・瞬きする間にアイカが視界に映り、そして腹部に強力な痛みを覚える。
その痛みの正体はアイカの拳であり、アクララは殴られていたのだ。
アイカはエリカの放った純黒の炎に対して自らの純白の炎で焼き、できた穴を開けて侵入してアクララを殴ったのだ。
そしてアイカは殴ったアクララに対して更に追加で純白の炎で焼き払う。
どんな魔法でも焼き尽くす純白の炎・・・それは魔法だけでなく魔法を扱うことができる武器もまた破壊できるのだ。
つまりアクララの武装を焼き払ったということは・・・空を飛ぶことができる魔導靴も焼き払ったということであり、浮力を失ったアクララは地面に向かって落ちてゆく。
雲より上空から落下してゆくアクララはそのまま見えなくなってしまった。
『死んだのかな?』
『うーん・・・死体を確認するまでわからないから見に行こうか?』
『わかった』
元気に返事したアイカと共にエリカ地上へと降りてゆく。
すると其処には地面に倒れ込んでいるアクララが横たわっていた。
まだ息はあるようでゆっくり、ゆっくりとではあるが何処かに行こうとしている。
『何処へ行こうとしているの?』
『さっきまでの戦意は何処に行ったのかなぁ?』
アクララを見つけ駆け寄ってくるエリカとアイカなのだが、何故アクララが何処かに行こうとしているのか不思議に思い声をかける。
女神の神眼によって支配されているアクララ達は、死ぬまで戦うという呪法がかけられている。
それなのにも関わらずに何故アクララが逃げようとしているのかというと・・・
それは先ほどアクララを焼いたアイカの純白の炎が原因だ。
アイカの純白の炎は魔法という存在自体を焼く。
つまりアクララにかけられた女神の神眼の呪法もまた、アイカの純白炎によって焼かれてしまったのだ。
今のアクララは女神の神眼の呪法から解放され・・・身体の自由を取り戻したことによって戦うのではなく、逃げるという選択肢を取った。
その事実を知らないエリカとアイカ。
支配されていた原因からなのかは不明だが・・・今のアクララは記憶の一部が欠落してしまっている。
そんな状態になってしまったアクララが、目の前に降り立ったエリカとアイカを見て最初に言い放った言葉はというと・・・
『て・・・てんし・・さ・・・ま?』
たどたどしく言葉を選びながら必死に喋るアクララ。
手を伸ばししているその様子はまさに救いを求めるかのような行動だ。
『天使さま?』
『さっきまで戦っていたのに?』
アクララの反応に困惑し、互いに顔を見合わせるエリカとアイカ。
それもその筈だ。
先ほどまで戦っていた相手が、いきなり救いを求めるように手を伸ばしてきたのだから。
『おね・・・が・・・い・・です・・・た、たすけて・・・くだ・・さい』
必死に、すがるように手を伸ばすアクララ。
そんなアクララに対してエリカは親近感を覚える。
かつて母であるマリアティアスに救われ・・・そしてアイカを救うことができなかった。
その結果力を手に入れたのだが・・・エリカは今でもあの時のことを思い出す。
自分に力がなかったからアイカを救うことができなかった。
ならば今はどうなのか?
『助かりたいですか?』
『お姉ちゃん?』
姉であるエリカの突然の問いに思わず驚き声をあげてしまったアイカ。
敵であるアクララを何故救うのか理解できていないようだ。
『アイカ・・・お姉ちゃんはアイカを救うことができなかった』
『それは仕方ないよ・・・あの時は何もできない無力な子供だったんだから』
『そうだね・・・でも今は違う』
そう言い終えるとエリカは懐から治療液を取りだしアクララに飲ませる。
すると傷ついたアクララの身体が癒え、傷が塞がり血も止まってしまう。
全快とまではいかないものの、体力も回復したアクララはその身体を動かし起き上がる。
『それでいいのお姉ちゃん?』
『うん・・・動ける?』
エリカの問いに頷きそしてお礼を言うアクララ。
女神の神眼に支配されてしまったからか記憶が欠落しているアクララは、エリカとアイカから今この状況を説明してもらうが・・・正直何がなんだか理解できていない。
そんな今自身がどのような状況に置かれているのか理解できていないアクララにとって、まさにエリカとアイカは救いの天使そのものなのだ。
『あ、あの・・・』
『どうするのかは貴女の自由です・・・この場から離れるのも、私達に付いて行くのか?』
迷いに迷った末にアクララはエリカとアイカに付いて行く事を選び・・・この場を後にするのであった。




