巡り行く幸せと裏の世界
スペルオーネ帝国・帝国首都ダグマオーネ・・・
ここはかつては帝国として名乗り、そして発展した都市なのだが・・・今はまるで違う光景が広がっていた。
周囲・・・見渡す限りに広がる瓦礫の海。
崩れていない建物を探す方が苦労しそうな、そんな瓦礫の海が広がっているなかで一角だけがまるで違う。
別世界となっている場所がある。
その場所は周囲から隔絶されたように華やかで、そして美しい光景。
息を呑むような絶景が広がっている。
青々と茂った芝生に美味しそうな果実が実った木々、色取り取りな花々。
何故かこの場所では四季を無視した花々が咲いており、赤、白、黄色や青や紫・・・そして紅葉や雪景色ま
で共存している。
まるで天国と言っても過言ではないこの場所の中心には白き・・・純白な城壁をした巨城が聳え立っている。
外壁には金と銀で彩られた豪華絢爛かつ、精妙巧緻な装飾。
一つの傷も、一点の汚れも感じさせない白き・・・純白な城壁はまるで何も汚れを知らない純粋無垢な少女のようで、その巨城には一体何が・・・誰が住んでいるのか想像など出来る筈もない。
そんな別世界から楽しそうな声が聞こえてくる。
子供や女性の声なのだが・・・明らかに人間ではない。
何故ならその声は空から聞こえ、子供や女性には天使の輪と純白の翼が背中から生えているからだ。
『あら・・・またお仲間が来たようですね』
その言葉に反応したように今まで遊んでいた子供達が遊ぶのを止めて一人の女性の元に集まる。
子供達は興奮しているのか翼をパタパタと動かし、女性の周囲をクルクル回る子供もいる。
『ねぇねぇ今度はどんな子かなぁ?』
『女の子かなぁ?男の子かなぁ?』
『何が好きなのかなー?』
『ねぇねぇ見に行ってもいいですか?』
『そうですね・・・皆さんも会いに行きたいですか?』
女性の問いかけにほぼ全員が同時に『行きたい』っと答える。
その表情はとても楽しそうで、新たに仲間・・・友達が増えるのを楽しみにしているという事が手に取るようにわかる。
『それなら私達もお迎えに行きましょうか?』
『はーい!』
『賛成です』
『ねぇねぇお菓子持っていってもいいですか?』
『早く行こうよぉ・・・』
子供達に手を引かれながら女性もまた翼を羽ばたかせ飛んで行き・・・新たなる仲間の元へと飛んで行く。
新たな仲間の場所は直ぐにわかった。
だいたいの場所は此方の世界に来たときに把握する事がこの世界に住まう者であれば出来るからだ。
例えば出入口が一つにしかない部屋で扉が開けられればわかるのと同じように、新たに仲間がこの世界に来れば気配で感じ取る事が出来る。
・・・というのもそうなのだが、その気配をいち早く感知した者達が集まっているので見つけることは容易だ。
『あらあら・・・もう既に集まっていたようですね』
『遅れちゃったの?』
『そうですね。少し遅かったようですね』
『だったら俺先に行っちゃうよ。ねぇいいよね?』
『あっ!?ちょっと待ってよ』
『ぼ、僕も行くよ』
『あぁ!?グロー達先に行っちゃた』
自分たちよりも先に行っていた者達に遅れを取らないようにしたいのか、三人の子供達が先行して飛んで行ってしまう。
そんな光景を微笑ましく見ている女性と、少し不機嫌そうにしている三人の子供達。
しかしながら子供達、そして女性も仕方ないというような表情をしている。
どうやらこの光景は日常茶飯事のようだ。
『おや!?グローにアニマ、ラッドロスが来ましたね』
『あの子達が来たということは・・・クリスも来ていますね』
『新しいお仲間の事が気になるようですね?』
『まぁ・・・ここにいる者あれば当然ですがね。こんにちはグローにアニマ、ラッドロス』
三人の女性が飛んで来た三人に挨拶をする。
三人の女性もまた先ほどの女性・・・クリスと同じように天使の輪とそして純白の翼が背中から生えている。
そんな三人に対してグローにアニマ、ラッドロスもまた三人を見かけるとグローは元気よく挨拶をして、アニマは挨拶とお辞儀を、ラッドロスは少し照れくさいのかグローの影に隠れて挨拶をする。
『ねぇねぇ新しい仲間来たの?来たんだよね?』
『ちょっ、ちょっとグローそんな急いで聞かなくても』
『そ、そうだよ。き、気になるのはわかるけど・・・』
『相変わらずグローは元気いっぱいですね』
『とりあえずご挨拶を・・・まだ名前は決まっていませんが』
そう言って三人の天使達がグロー達の為に道を開けると・・・そこにはグロー達と同じような年齢の少女が一人の女性に抱き着いていた。
他の天使・・・子供達や女性達の翼や二枚一対なのに対して、少女が抱き着いている女性には六枚の大きな翼。
六枚の翼全てが純白であり、何者にも、何人たりともその純白な翼を染め上げる事は出来ないと思えるほど白く、無垢な・・・純粋な美しく翼をしている。
そして何よりもその女性は絶世の美女であり、女神と言っても過言ではない美貌の持ち主だ。
金色の髪に金の瞳は吸い込まれそうなほどだ。
そして着ている衣服もまたとても綺麗で、女性としての色気を、母性を最大限に表しているような服装をしている。
その服装はまさしく物語に登場しそうな感じだ。
全身を包み込む薄い透き通った衣服に金色と銀色の糸で織り込まれた装飾、天女の羽衣のような布はどのような力が働いているのかは不明だが、空中に漂っている。
この絶世の美女・・・女神の名前はセラフティアス。
この世界・・・黄金世界の優夢都の創造主だ。
『こんにちは!俺はグロー』
『私はアニマよろしくね』
『ぼ、僕はラッドロス・・・よ、よろしく』
三人が挨拶するが・・・少女は未だに女神セラフティアスの影に隠れている。
照れくさいのか?それともまだ此処に慣れていないのか?
とりあえず影から出てくる気配はないが・・・セラフティアスが少女の髪をそっと撫でる。
『先ほどと同じようにすればいいだけなのですよ?さぁ・・・あの時と同じように』
髪を撫でられて落ち着いたのか少女はセラフティアスの影から少し顔を出す。
顔の半分が未だに隠れてはいるが、薄い金色の髪に青色の瞳をしている少女であり、少し・・・田舎娘のような雰囲気のある少女だ。
『こ、こんにち・・・は』
少女は一言挨拶をすると、またセラフティアスの影に隠れてしまう。
グローがもう一度挨拶をしようとした時、近くに降り立つ気配を感じ取り振り向く。
グローだけでなく、アニマとラッドロスもまた振り向き・・・振り向いた先にいたのはクリスであり、残りの三人も同時に降り立つ。
『挨拶は出来ましたかグロー、アニマ、ラッドロス?』
『もちろん!』
『出来ましたよ』
『ちょっ・・・ちょっと緊張したけど出来ました』
クリスの問いかけにそれぞれ答え、そしてクリスの元に駆け寄るグロー達。
その姿はまるで母親に駆け寄る子供達のようだ。
純粋無垢な笑顔と共にクリスもまた笑顔となり、駆け寄ってきたグロー達を頭を撫でる。
『あぁ・・・』
先ほど隠れた少女がセラフティアスの影から出てきて、クリス達の方を見ている。
何やら羨ましそうに指をくわえて見ているその姿は、欲しいものを目の当たりにした子供だ。
そしてその目線に気がついたクリスは、その目線の先にある物を指差す。
『あらあら・・・どうやらお菓子に興味があるようですね?』
『えっ・・・?これ?』
『そうですねスフレ。どうやらあの子はお腹が空いているようですね』
スフレと呼ばれた少女が手に持っていたのはカップケーキで、美味しそうな匂いが周囲に漂っている。
チョコレートのカップケーキなのでチョコレートの匂いと焼きたてのケーキの匂い・・・お腹が空いた子供には堪らないお菓子だ。
『・・・欲しいの?』
スフレがカップケーキを差し出すと少し緊張した様子で、セラフティアスの影から出てくる。
どうやら欲しい物がスフレの持っているカップケーキだとわかるとスフレは、クリスに手を引かれながらセラフティアスの元・・・少女の元までたどり着く。
『どうぞ?』
スフレは手に持っていたカップケーキを差し出すと女の子は恐る恐る手に取り、匂いを嗅ぎ、そして一口食べる。
すると歯止めが効かなくなかったのか残りを全てを口に入れる。
ぷっくりと少女の頬が膨らむその姿は、はまるで栗鼠のようであり微笑ましい光景だ。
モゴモゴと少女がカップケーキを食べているとセラフティアスがそっと少女に飲み物・・・ミルクを差し出す。
セラフティアスからのミルクを受け取ると少女は一気に飲み干す。
一気に飲んだからなのか少女の口元には白いミルクの後が出来ており、セラフティアスはその少女の口元に付いているミルクを拭きさる。
『美味しかった?』
スフレの問いかけに無言で頷く少女だが、セラフティアスがそっと少女の耳元で囁く。
『お、美味し・・・かった・・・』
少女がしどろもどろではあるがちゃんと答えた事が喜ばしかったようで、セラフティアスもまた笑顔になっていた。
『セラフティアス様。あの子は・・・』
『そうですね。まだ誰に預けるのか決めてはいなかったのですが・・・』
そう言いながらセラフティアスは少女を見る。
そして少女もまたセラフティアスを見上げ・・・理解したようにスフレとクリスの方を見る。
『どうやらこの子もそちらがいいようで・・・引き受けてくださいますかクリス?』
『もちろんですセラフティアス様』
『では決まりですね』
少女がクリスの元に行くのを祝福するように翼を広げると・・・周囲の天使もまた翼を広げ一斉に歓迎する。
『・・・おや?あの子も目が覚めたようですね』
『セラフティアス様?』
『申し訳ございませんクリス。どうやら予定が出来ましたのでこの子をお願いしますよ』
『わかりましたセラフティアス様』
『それでは皆さん少しお別れです』
セラフティアスがそう言い終え、そっと空中に手をやると・・・空中に皹のような物が作り上げられ、そして砕け散り空間に大穴が空く。
大穴の先には城内のようになっており、セラフティアスは迷い無くその大穴へと入って行く。
セラフティアスが入ってまもなく大穴が何事もなかったように塞がり、先ほどの事が夢物語のように霧散する。
『それでは行きましょうか?』
クリス、スフレ、天使達に導かれ少女は歩いて行く。
絶望に満ちた世界から総てが優しい夢のような世界へと。
セラフティアスが入って行った場合・・・それは城の中なのだが周囲は少し異様な雰囲気に包まれていた。
何故なら周りには出入するための扉が一つもなく、そして窓も一つもない。
周りから一切入る事が出来ないこの空間なのだが・・・その空間には八人の女性達が集まっていた。
しかしながら彼女達はこの世界には居てはいけない。存在してはいけない雰囲気が漂っている。
言うなれば何もし汚れを知らない純粋無垢な少年少女達の中に殺人鬼が混ざっているような、純白のタオルの墨が付着しているような明らかな違和感だ。
そしてそんな・・・存在してはいけない雰囲気を醸し出している八人とは・・・
天才的な武術、体術の才能を開花させた者。
奇跡と言ってもよい確率から産まれ、そして血を覚醒させた者。
不幸な出来事から救いを求め旅立ち幸運と不幸の狭間によって命を落とし、そして助けてくれた母の為に楽園から自ら離れた姉妹。
一度その身は朽ち果てたが、蘇生され再び生きる事を許された者。
狂気の果てに産み出され、外敵を排除する為だけに存在意義を見いだしていた者。
何も知らぬまま何も教えられるまま育てられ、そして道具として今まで使われていた者。
仕える者を裏切り、日の当たらぬ日常を過ごしてきた者。
彼女達は全員ある人物によって救われ、そしてその身を捧げると誓った者達だ。
アリセス、エール、エリカとアイカ、ヘルメス・T・アレイスティア。
魔導六刀が一振り、蠢く虐刀、朽ちゆく奪刀、名もなき偽刀の合計八名だ。
そしてその中央には巨大な、分厚い水晶が置かれてあり、その中には全裸の女性が閉じ込められている。
何故か首輪をしているが・・・
『目が覚めましたかマリアティアス?』
セラフティアスの問いかけにゆっくりと目を開けるマリアティアス。
目線を動かし周囲の状況を確認し、そしてセラフティアスを見つめる。
『目が覚めたのなら部屋を作り変えなければなりませんね・・・』
セラフティアスがそう呟き、手を振るうと・囲の空間全てに皹が入り・・・硝子のように砕け散る。
空間が砕け散りそして現れ出たのは光輝く水晶であり、それは周囲全体を覆い尽くしている。
壁から天井、床までもが水晶へと変わってしまったのだ。
しかも周囲を覆い尽くす水晶の中にはかなり巨大な、マリアティアスを覆っている水晶よりも巨大な水晶も存在している。
ところどころから水晶の塊が出てしまっているが為に、先ほどよりも若干部屋が狭くなってしまっているが・・・
しかもその水晶には様々な大きさや、色があり、中には自らが発光しているような水晶もある。
そして周囲がそんなありえない空間に変わってしまった瞬間、セラフティアス以外全員が床に伏せてしまっている。
だが、セラフティアスはそんなことは気にもせずに力・・・神力を使おうとすると、マリアティアスを覆っていた水晶に皹が入る。
『あら?どうしたのですマリアティアス?』
セラフティアスが疑問を口にして数秒後・・・けたたましい音を響かせマリアティアスを覆っていた水晶が砕け散る。
そして砕け散った水晶からマリアティアスが出てくるが、水晶から出た瞬間・・・マリアティアスの身体がどろどろに融解し始める。
『何故再生の途中で抜け出すのです?』
『わ、私の・・・私・・・自信に・・・手を出さないで・・・いただけます・・・か』
しどろもどろに口を動かし、そしてマリアティアスは魔法を発動させる。
すると周囲に倒れているアリセス達の地面に亀裂が入り・・・そして砕け散る。
砕け散り穴が空いた空間にアリセス達が落ちるようにして入ってから数秒後、再び地面が元に戻る。
その光景を何食わぬ顔で見ていたセラフティアス。
『あの子達がそれほど重要ですか?』
『はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・あ、あれら・・・は既に・・・私のいち・・・ぶ・・・だから・・・失うわけには・・・行かないの・・・です・・・よ』
『なるほど・・・そうでしたか。まぁ・・・私にはどうでもいいですが』
冷たくマリアティアスに言い放つセラフティアス。
マリアティアスの身体の融解は途中で止まり、下半身とそして右腕がどろどろになってしまっている。
『それにしても・・・まさか消し炭も残らないほどになってしまったのは驚きですね』
『・・・もうしわけ・・・ござい・・・ません』
『いいえ。別に私は貴女を攻めている訳ではございませんよ。何故なら貴女は一つ・・・既に回収してくださいましたからね』
そう言い終えるとセラフティアスはマリアティアスの身体を持ち上げ、子供を抱き抱えるようにして砕け散った水晶の元に歩いて行く。
『それでマリアティアス。貴女がこれほどまでに殺られてしまった原因というのは何なのですか?』
セラフティアスの問いかけに対して答えたくないのか目線を外すマリアティアス。
そして数秒の空白の後にマリアティアスに、今世界に何が起こっているのかゆっくりと説明し始める。
『そう・・・そんな事があったのですね』
『うた・・・がう・・・わけでは・・・ございません・・・が・・・なにか・・・こころ・・・あたりは・・・ありません・・・か?』
『ふむ・・・』
マリアティアスに指摘され考え込むセラフティアス。
考えながらも歩みは止めず・・・砕け散った水晶の元へとたどり着く。
そしてセラフティアスは神力を結集させ・・・水晶に力を加える。
すると水晶がまるで生きているように流動し始め・・・マリアティアスの身体を支えるように変形する。
しかしながら自分で立っているというよりは下半身が存在していないので、磔のようになってしまっているが・・・
『こころあたりはまぁ・・・無いわけではございませんが、まさか特異点が存在しているとはね』
『と・・・く・・・い・・・てん?』
『そうです。通常であれば私の力を扱う事が出来る者など到底存在しませんが・・・とある時代に存在していましたからね。数年・・・数百年に一度しか存在していませんでしたが、まさかこの時とは・・・』
『それ・・・なら・・・もしか・・・すれば、他にも・・・存在しま・・・すか?』
『どういう意味です?』
『とくい・・・てん・・・が、もう一つ・・・ある・・・かも・・・しれま・・・せん』
『特異点が二つも・・・なるほど、なるほど・・・ならば貴女がそのようになってしまうのも仕方ないのかもしれませんね』
下半身が存在せず、右腕もどろどろに融解してしまっているのにも関わらずに流血や、失神していないマリアティアス。
呼吸は苦しそうではあるが、通常であれば生きていけないはずだ。
しかし・・・この空間では違うのだ。
この世界・・・女神セラフティアスの造り上げた黄金世界の優夢都には神力が充ちており、特に水晶に囲まれたこの空間は高純度、高濃度の神力に充ちているからだ。
神力という物は願いの結晶であり、女神セラフティアスを信仰する者達によって造り上げられている。
純粋な、一途な感情は女神セラフティアスへと届き、それが力の源になっている。
その力は魔力とも、竜力とも、そして呪力とも全く別の力であり・・・特別な、この世界にしか存在していない物だ。
そしてこの世界・・・黄金世界の優夢都を形成している。
この黄金世界の優夢都にある物全ては女神セラフティアスの神力によって成り立っている。
巨城や、芝生、四季折々の花々から木々、そして天使達が着ている衣服から食べている食料まで、全てが神力によって成り立っているのだ。
だが・・・時として濃すぎても危険なように、神力が高純度、高濃度で充ちているこの空間は人間には害にしかならない。
酸素濃度が高くても人間が生きていけないのと同じだ。
だからアリセス達は一度に高純度、高濃度の神力を吸収してしまったが為に気を失ってしまい、倒れてしまった。
しかしながらマリアティアスはこの高純度、高濃度のこの空間でも生きていける。その理由は・・・
『ならば少し・・・私の力を貸しましょうか?』
『どう・・・いう・・・ことです・・・セラフティアス様?』
『不足の事態が起きたのでしたら、それに対応するのが望ましいでしょう・・・まぁ、本当は使いたくはないのでがね』
そう言い終えるとセラフティアスの右手に分厚い本が出現し、そしてその中から骸が出てくる。
その骸は骸なのにも関わらずに嫌悪感等は無く・・・むしろ何か神聖な、人間の人智を越えた感じの骸だ。
何故か右腕は存在していないが・・・
しかしながらマリアティアスはその骸を見た瞬間、表情が曇り、そして嫌な表情になる。
『そ・・・れは・・・まさ・・・か!?』
『えぇ、そうです・・・貴女が手に入れてくれた女神の呪怨骨鎧ですよ』
『ま・・・て・・・くだ・・・さ・・・』
『大丈夫ですよ・・・貴女ならば使いこなせるはずです』
セラフティアスは骸を操り、そしてマリアティアスに触れた瞬間・・・周囲の結晶がまるで木々がざわめくように動き出しマリアティアスへと向かって行く。
『貴女なら、私と同じ魂を持つ貴女ならね・・・』
『まっ・・・セラ・・・』
骸が嫌な音と共にマリアティアスと一つとなり・・・周囲の結晶がまるで粘液質な水のように動き出し始め、そして止めどなくマリアティアスへと向かって行く。
『まぁ・・・死ぬことありませんが、死ぬほどの苦痛を伴うかもしれませんね』
怒涛の結晶の濁流の中でセラフティアスは楽しそうに微笑むのであった。




