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蔓延する疫病

 ジェイロス達が増援として駆けつけたことによって、フィヘイン達は何とか全員死亡することがなかった。

 流石に無傷という訳にはいかず、最初に交戦したリエス、ログズ、マルトトスは負傷してしまったが為に離脱してしまっている状況だ。

 フィヘインとジェイロスの判断により、負傷した竜人(ドラグニル)は即刻バルエラ竜王国に帰還させるということに決定してしまい、今はその帰還せざる終えなくなってしまった竜人(ドラグニル)の為に護衛の者を選抜している最中だ。


『ところでフィヘイン、あの不思議な木はなんなんだ?』


 護衛の竜人(ドラグニル)を選抜している最中のフィヘインに対してジェイロスは地面から生えている木を指差す。

 あの木はフィヘイン達がウル・ラキエスに来たときに見かけた木であり、やはりジェイロスもこの木の事が気になるようだ。

 不思議な神聖な雰囲気な木・・・その正体はやはり不明で、何故地面を引き裂いて生えているのか?

 いったい何の木なのか?そしてこの実っている真っ赤な果実はなんなのか?

 何もかもが不思議は木なのだがフィヘインがジェイロスに言えることはただ一つ・・・『その木は何か嫌な予感がするので触れない方がいい』っと。


『勘ねぇ・・・まぁ勘も重要か』

『そんなことよりも護衛のする竜人(ドラグニル)を選抜してくださいよ』

『あぁ!すまねぇ、もう護衛の竜人(ドラグニル)は選抜し終えたんだよ』

『あなた方という竜人(ドラグニル)は・・・まぁ、いいでしょう。なら無事竜王国へ帰還させてくださいね』

『あいつらなら大丈夫だ。任せろ!』


 負傷した竜人(ドラグニル)と護衛の竜人(ドラグニル)を見送ったフィヘインとジェイロスは部隊を一つにまとめ、更なる奥地へと進軍して行く。

 目的はエルピーラ王国の首都近郊だ。

 首都近郊に行けば人間がいると仮定しての進軍であり、あくまでも目的は人間達の今の文化、文明がどれ程までに発達しているかということを知るのが目的だからだ。

 流石に比較的大きな都市である、ウル・ラキエスが疫病の狂天使によって壊滅させられてしまったのはフィヘインにとっても予想外だったようだ。

 はっきり言って偵察部隊に被害が出るのはフィヘインにとって痛手であり、最早隠密行動が意味をなさないと思ったフィヘインはジェイロス率いる強行偵察部隊と合流するのが最善だと判断して今共に行動している。


『ジェイロス様!あれを!?』

『あれは・・・煙に・・・炎?』

『爆発しましたね・・・戦いが起きているようですね?』

『どうするフィヘイン?横槍を入れてみるか?』

『そうですね・・・一段階警戒を上げて偵察した方がいいですね』

『了解した。お前達聞いたな!全員武器を手に持っておけよ!』

『先ほどのような疫病の狂天使が出てきたら厄介ですからね』

『そうだな。流石に俺でも竜法・・・武器の一部を封じられたら戦い辛かったからな』


 仲間と談笑しながら爆発、火の手がある方向に進んで行くと・・・そこには疫病の狂天使と戦っている人間達が目に見えてくる。

 先ほどの都市ウル・ラキエスよりははるかに小さな・・・農村のような街で、辺りは開けていているので火の手がフィヘイン達にも見えたのであろう。


『ちらほら甲冑を来た連中も見えますが・・そうでない者も多いですね』

『あの街の生き残りか・・・それとも最初っからこの農村にいたのか?まぁ・・・とりあえず様子を見ていましょう。疫病の狂天使に見つからない距離で』

『私も同意見です。これは少なからず人間どもの戦いを見られるのですから』

『そうだといいのですがねぇ・・・』


 フィヘインを含めた隠密行動を主体にした竜人(ドラグニル)が手に持っている望遠鏡を取りだし覗いている。

 しかしながら望遠鏡で覗かなくても先ほどよりも火の手は増し、爆発の頻度も増えているのが目に見えてわかる。

 火の手が増し、爆発の頻度が増えているということはつまり被害が拡大していることの現れだ。

 流石に疫病の狂天使が攻め込んでいるとは言っても、自身達が暮らしている場所を破壊するのはありえないというものだからだ。

 たとえ疫病の狂天使を倒すことに成功したとしても、自分たちが暮らす場所が無くなってしまったのであれば意味は無い。


『・・・うーん。どうやら人間達が殺られるのも時間の内のようですね』

『そうか・・・ならどうする?不本意だが人間どもに加勢するか?』

『そうですね・・・あの数であればジェイロス達にかかれば問題はないでしょう。私も不本意ですが人間どもに加勢するとしましょうか』

『わかったかお前達!不本意だが人間どもに加勢するぞ!不本意だがな!』

『それと気をつけてくださいジェイロス。疫病の狂天使の中に爆発を扱う事が出来る奴がいるので』

『了解した』


 ジェイロス達が動けば状況は劇的に変化し、そして・・・ものの数分で疫病の狂天使を倒すこと成功する。

 フィヘインの言っていた爆発を扱う事が出来る疫病の狂天使も本気の、竜法が扱う事が出来るジェイロスであれば苦戦することな倒しことが出来る。


『さて・・・これでとりあえずは平和になったんだが』

『そうですねジェイロス。お見事でした』

『当然の事を誉められてもなぁ・・・まぁ、とりあえず俺は休むぜ。人間どもへの尋問は好きにどうぞ』


 そう言いながらジェイロスは近くにあるまだ無事な屋敷に入って行く。

 生き残りの村人は全員地面に座らせられ、その周りを数体の竜人(ドラグニル)が見張っている状況だ。

 疫病の狂天使に殺されはしなかったものの、今までその姿を見たこともない竜人ドラグニルに恐怖してしまっている村人も多く、特に幼い子は今にも泣きそうな子もいる。

 それもそのはずだ。

 自分たちでは倒す事が出来なかった疫病の狂天使を者・・・それも人間なら安心出来るが竜人ドラグニルとなれば話は別だ。

 しかもその竜人ドラグニルが武器を、人を殺す事が出来る武器を持っているのであれば尚更だ。


『ま、まさか・・・こんな事になるなんて』

『疫病の狂天使が攻撃して来たと思ったら今度はなんなんだ・・・』

竜人ドラグニルが来るなんて聞いてないぞ・・・ま、まさかあの出来事が原因なのか?』


 小声で口々に不安を漏らす村人達。

 しかし・・・人間では聞こえない小声でも人間よりも聴覚の優れている竜人ドラグニルであれば聞き取る事ができ・・・村人達の小声は竜人ドラグニル達に聞こえてしまっていた。


『おいお前・・・あの出来事とはなんなんだ?』

『ひ、あっ・・・あの・・・す、数日前に起きた出来事なのですが、地響きが起きたのです』

『なるほど・・・お前の他にもその地響きを聞いた者はいるのか?』

『は、はい!あ、あちらに・・・』


 そう言って他の村人を指差す。

 そして話を聞いていた竜人ドラグニルがその事を確認し、残りの部隊に指示を出していたフィヘインと入れ替わる。


『なるほど・・・ならばその事を確かめなければなりませんね』


 フィヘインは先程指を差された村人の頭部を掴むと・・・村人の頭部が爆発してしまう。

 爆発してしまった村人からは焼け焦げた臭いが漂う。

 皮膚は爛れ、目玉は飛び出したりしており、そして・・・脳みそが出てしまっていて、明らかに死んでいる。

 その衝撃的な出来事を目の当たりにしてしまった村人達。

 何が起きたのか?何故彼は死んでしまったのか?何もわからないが・・・恐怖がこの場を支配する。

 そしてその恐怖に耐えられなかった子供達が泣き出してしまった。


『嘘ついたら君も同じような目に会うからね』

『う、嘘などついていません。私はし、真実を言って・・・おりますよ』

『君の話が真実だと言う証拠はないでしょ?それに・・・』


 フィヘインは泣いている子供の方を見ると・・・火の属性竜法を放ち、泣いていた子供が爆炎に飲み込まれる。

 焼け焦げた臭いが周囲に漂い始め、苦しそうな呻き声が徐々に小さくなっていき・・・最後には聞こえなくなってしまった。

 その光景を目の前で見てしまった子供は恐怖に耐えきれずに気絶してしまい、周りの大人達は言葉を失ってしまう。


『見せしめは重要だからね。私に嘘をついたらこうなるって覚えておいてくださいね』


 まるで虫けらを見るような冷たい目で残りの人間達を見るフィヘイン。

 恐怖。圧倒的な恐怖に支配された人間達は思う・・・疫病の狂天使に殺されてしまった方が幸せだったのではないかと・・・


(こ、こいつらにとって俺達人間は虫けらと同じだって言うのかよ!)

(こ、子供だぞ!子供にも容赦ないのかこいつらは・・・)

(こ、殺される・・・わ、私も殺されてしまう)

(なんだ・・・なんなんだよ・・・なんで僕がこんな目に遭わなくちゃいけないんだよ。父さんも母さんも疫病の狂天使に殺さたんだぞ!)



 一人の子供がフィヘインのことを涙を流しながら睨みつけていると、一体の竜人ドラグニルに見つけられ・・・地面へと叩きつけられる。


『反抗的な餓鬼め・・・少しは分をわきまえろ』

『うーん・・・別に話を聞くだけなら瞳は必要ないかな?』

『まぁ・・・必要はないでしょうね。抉りますか?』

『そうだね。全員の瞳を抉ってください。騒ぐのでしたら死なない程度に痛めつけてくださいね』


 さも当然のように人間達の瞳を抉り取ろうとする竜人ドラグニル達。

 騒いだ女性が脚をへし折られるのを見て、恐怖を必死に抑え込む、

 そして人間達が次々と瞳を抉られてゆく。そんな恐怖絵図の最中一体の竜人ドラグニルが降り立つ。

 その竜人ドラグニルの脇には子供が抱えられている。

 しかしその子供の瞳は虚で、生気が感じられない子供なのだが・・・そんな子供を竜人ドラグニル無造作に放り投げる。


『それは?』

『村の外れにいたので連れて来ました。別にいらなかったですか』

『まぁ・・・別に・・・』

『リシェ!おいリシェ!大丈夫か?』


 突如として叫んだ子供。

 その子は先程反抗的な瞳をしていた子供で、連れて来られた子供の事を見るなり叫び始める。


『テメェ!俺の妹に何しやがったんだ!』

『妹・・・いや、別に俺は何もしてないぜ。俺が見つけた時には既にこんな感じだったぞ』

『嘘だ!妹は・・・リシェは・・・』


 子供が喋り出すよりも先に再び地面に叩きつけられる。

 先程よりも強く・・・


『俺は分をわきまえろと言ったはずだが?』


 地面へと叩きつけられてしまった子供が必死に抵抗するが、大人でも力では勝つ事が出来ない竜人ドラグニルに勝てる筈も無く、虚しくもがくだけであった。


『人間風情が私に怒鳴るのか・・・あの見せしめが意味をないとはなぁ。ストレイブを見習った方がいいのかな?』

『フィヘイン様別に子供は必要ないのでは?殺しても問題ないかと』

『確かにね・・・人間の子供にはいい思いでがないからなぁ・・・まぁ、あれは疫病の狂天使が化けていただけだと』


 そう言いながらフィヘインは少し前のウル・ラキエスでの出来事を思い出す。

 そしてフィヘインは無情にも生き残った村人の中から子供達を皆殺しにするように指示を出す。

 その理由としては、徹底的に反乱の芽を摘むためであり、あまり知識のない子供は必要ないと判断したからだ。


『私は他の人間から情報を引き出すから後はよろしく』


 フィヘインは生き残りの人間から情報を引き出す為に移動し、フィヘインの部下が子供達を殺して行き・・・残り二名、リシェと言われている少女とその子を知る男の子だけとなってしまった。


『さて・・・それじゃどっちの方から殺した方がいいかなぁ?』


 リシェと男の子を交互に見ている竜人(ドラグニル)の目線が男の子の前で止まり・・・


『お前から殺してやるか・・・あの正気がない餓鬼の目の前で』

『う・・・あぁ・・・』


 地面に叩きつけられ、そして暴行を受けた男の子は既にボロボロで、意識は虚ろになってしまっている。

 鼻は潰れ、節々には打撲傷が目立ち、血だらけになってしまった男の子。

 霞んだ瞳に写るのはただ一つ・・・目の前で倒れているリシェだけであった


『まだ動けるのか?人間の子供なのに大した精神力だな』


 ゆっくりと、傷だらけの身体を引き擦りながらリシェの元に向かって行く。

 人間の子供では到底動けない身体を引き擦りながら、虚ろな意識で手を伸ばす。

 そしてリシェの動かない手に触れ・・・た瞬間に竜人(ドラグニル)にき首を立ち斬られ絶命してしまう。

 自身の目の前で男の子の首が飛び・・・世界に絶望した瞳がリシェを捉え、リシェもまた男の子の瞳を見てしまう。


『お・・・にい・・・ちゃん?』


 男の子はリシェの兄であり、そしてもう二度と一緒に遊ぶ事も、食事をすることも出来なくなってしまった。

 一瞬の空白から世界に絶望した瞳がリシェを現実へと引き戻し、そして周囲に広がる血溜まりがリシェを理解させる。

『この世界には希望は無く、絶望しかない』っと。


 今まで平和に特段大きな病も怪我もすることなく、今まで無事に暮らしてきた。

 決して豊ではなかったがそれでもリシェは父と母、大好きな兄と一緒に今まで生きてきた。

 だが、現実は無情にもその日常を引き裂く・・・

 楽しかった時も、悲しかった時も、寂しかった時も何もかもが無くなってしまう。

 もうこの世界には逞しかった父も、優しかった母も、一緒に遊んでくれた兄も、もう誰もいない・・・この世界には誰もリシェを愛してくれない世界となってしまった。

『絶望』・・・この世界には絶望しかないという事実が恋も知らない幼い少女の壊れかけた心を支配して行き・・・そしてその心全てを支配してしまう。


『さて・・・それじゃ次はお前だ』


 竜人(ドラグニル)がリシェと元まで近づき・・・そして手に持っている大斧を高らかに掲げ・・・降り下ろす。

 降り下ろす速度は速く、ボロボロのリシェでは絶対に回避出来ない速度で大斧が近づき・・・そしてリシェに直撃する。

 はずであった・・・


『な、なんだ!?』


 リシェに直撃する直前に大斧は地面から突如として生えてきた木によって防がれ・・・そして急速に成長して行く。


『何が起きて・・・』


 驚いている竜人(ドラグニル)を他所に、リシェは木に実っている真っ赤な果実をいつの間にか手にしていた。

 そしてリシェはその果実を食べてしまう。

 竜人(ドラグニル)などお構い無しに、周りで囚われている大人達も気にせず・・・貪り食うように。


『貴様何を食べ・・・』


 リシェが真っ赤な果実を食べているのをみた竜人(ドラグニル)が何をしているのか問いただそうとした瞬間・・・爆発的な殺意が溢れだす。

 止めどなく溢れだす怒涛の殺意はまるで疫病の狂天使のようだ。


『な、なんだこの殺意は・・・』


 真っ赤な果実を食べ終えたリシェが咆哮を上げる・・・世界全てを怨むような絶望的な咆哮を・・・


『ぎぃぃぃぃがぁぁぁ!!』


 咆哮を上げてリシェの身体が不規則に動き出す。

 その動きは人としてありえない動きであり、そして・・・リシェの背中から脱皮するように『べきべき』っと嫌な音を立ててそれは産まれ落ちる・・・世界全てを怨む存在。疫病の狂天使として・・・


『なっ!?疫病の・・・』


 突如として出現した疫病の狂天使に驚いた瞬間に、産まれ落ちた疫病の狂天使は竜人(ドラグニル)の言葉を遮るように咆哮を上げる。

 その咆哮はまるで生物が仲間に危機を知らせるような、そんな咆哮だ。


『何が起きた!?』

『こいつは疫病の狂天使!?何故この場に・・・』


 咆哮を上げた疫病の狂天使を中心に複数の竜人(ドラグニル)が武器を持ち警戒していると、離れ家で休んでいたジェイロスと他の竜人(ドラグニル)と打ち合わせをしていたフィヘインが駆けつける。

 つい先ほどまで疫病の狂天使の姿形など何処にもいなかったのにも関わらずに、突如として出現した疫病の狂天使に驚くジェイロスとフィヘイン。


『そいつを殺せ!今すぐに!』


 ジェイロスが周囲の竜人(ドラグニル)に疫病の狂天使を殺すように指示を出すが・・・竜人(ドラグニル)が動くよりも速く疫病の狂天使が飛び立ってしまう。


『追え!』


 ジェイロスが叫ぶように命令を下すよりも速く、遠方から何かが近づいて来るのを感じ取った竜人(ドラグニル)達は一斉にその方を向く。

 するとそこには十数体の疫病の狂天使が此方に向かって来るのが視界に入る。


『あの疫病の狂天使が呼んだのか・・・全員戦闘準備!』

『それよりも先にあの疫病の狂天使を始末することが先決ですよ』


 向かって来る疫病の狂天使を迎え撃つ為に各々の得物を手に取る竜人(ドラグニル)

 フィヘインは先行して行動し、空に飛び立った疫病の狂天使を追って更に上昇して行く。

 ジェイロスもまた自身の大剣を抜刀し、そして疫病の狂天使を迎え撃つ為に竜力を溜める。


『意外に速い・・・だったら!』


 フィヘインは飛びながら竜力を両手に集中させ・・・


『爆陣轟竜!』


 両手を後ろにし、翼を羽ばたかせるのではなく真っ直ぐに、鳥が水中の得物を取るように変形させ竜法を放つ。

 両手から放たれるは爆発の竜法。

 爆発の推進力を使い、翼によって受ける抵抗を抑えてたその姿は、まるでロケットのようだ。

 器用にバランスを取ることによってフィヘインは、爆発の推進力によって上空へと逃げ出した疫病の狂天使に追いつき蹴り飛ばす。

 空中で蹴られたことによってバランスを崩した疫病の狂天使は、速度を維持することが出来ずに速度を緩めてしまう。

 崩れたバランスを持ち直そうとする疫病の狂天使に対してフィヘインはもう一撃。今度は右腕を疫病の狂天使に叩き込み、そして零距離で爆発の竜法を解き放つ。


『ぎぃ・・・がっ・・・が・・・』

『世界全てを怨んでいる存在というのは違ったのか?』


 そう呟き、フィヘインは疫病の狂天使に向かって七発の竜法を放つ。

 一瞬、ほんの一瞬で放たれた七発の竜法は疫病の狂天使の顔、両肩、心臓、腹部、両足に同時に直撃する。


『瞬爆七炎槍・・・瞬きする暇も、かわす暇も与えない』


 バランスを崩し、そして零距離での竜法。

 しかも一度に七発であり、その竜法は炎の槍のようになっていて直撃した箇所の皮膚を焼き、肉を溶かし、そして骨すらも焼き尽くす炎の槍。

 爆発力を推進力として放たれた炎の槍に焼かれ・・・疫病の狂天使は無惨にもこの世を去ってしまう。


『さて、次は・・・』


 疫病の狂天使を倒し終えたフィヘインが見たのは戦闘中の仲間達であり・・・戦況は優位に働いているようだ。


『連戦でも衰えることがないのは流石としか言い様がないですね』


 連戦をしているのにも関わらずに、十数体の疫病の狂天使との戦いを優位に戦えているジェイロスとその部下達を見て感心しているフィヘイン。

 いったい何処から現れたのかは不明だが、今は殲滅することに専念している様子だ。


『また人間風情を我々が守るのか・・・』

『仕方ないですよ。これも仕事ですからね』

『嫌になりますよー。まぁ、暴れられるので問題はないですが』

『だが、この疫病の狂天使はいったい何処から現れたんだ?』

『疫病の狂天使には常識が通じませんからねぇ・・・まさかとは思いますが地面から生えているのでしょうか?』


 口々に愚痴を溢しながらも戦い、徐々に疫病の狂天使を殲滅していく竜人(ドラグニル)

 捕虜である人間を殺さないように戦い為に少し離れた上空で戦っており、疫病の狂天使の数が徐々に減っ行き・・・残り三体になる。


『・・・それにしてもいったいあの疫病の狂天使は何処から』


 最早疫病の狂天使の殲滅も秒読みとなったのを見てフィヘインはふと思い出す。

 最初にフィヘインが倒した疫病の狂天使はいったい何処から現れたのかっと。

 フィヘインがそんな事を思っていると一体の竜人(ドラグニル)が飛んで来る。

 その竜人(ドラグニル)は先ほどフィヘインが人間の子供を皆殺しにするように指示を出した竜人(ドラグニル)だ。


『どうした?何かあったのか?』

『えぇ・・・もしかすれば疫病の狂天使の秘密を暴けるかもしれません』

『ほう・・・そんな事が。詳しい説明を』

『了解しました!』


 竜人(ドラグニル)は先ほど起きた出来事を説明する・・・疫病の狂天使がこの世に産まれた瞬間の目撃者として。


『そんな事が・・・だからあそこにはあの木が生えているのか』

『そうです。私の他にも複数の竜人(ドラグニル)が目撃しているので、その者達からも確認してもらえれば大丈夫かと』


 フィヘインと竜人(ドラグニル)は先ほど疫病の狂天使が出現した場所・・・神聖な木が生えているところを指差す。


『あの木にも名前を付けるか・・・崩魂狂木っとでも名付けおくか』

『崩魂狂木・・・確かに我々の仮説が正しければ、人間の魂を媒体として産まれる疫病の狂天使。それを産み出す木と考えれば的確な名前ですね』

『まぁ・・・魂を媒体にしているのか不明ではあるがな。それに話が正しければ問題なのは木ではなく果実だが』

『木がなければ果実は実りませんから・・・果実も含めてということでいいにではないでしょうか?』

『そうだなぁ・・・おや?残りの一体もどうやら倒したのか』

『流石ジェイロス様の部隊ですね。我々も戻りますか?』


 竜人(ドラグニル)問いかけに頷き、地上に降りようとしたその時・・・フィヘインの隣で話していた竜人(ドラグニル)が撃たれる。

 咄嗟に撃たれた方向を見るフィヘインが見たのは此方に向かっている複数の空を飛ぶ影があった。



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