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女神の神眼

 エルピーラ王国べリアス城内を優雅に散策するマリアティアス一行。

 王城内にいる王城警備兵、メイド、官僚やそして貴族も異様な雰囲気のマリアティアス一行を目にしても妨害するわけでも、質問をするわけでもなく・・・ただマリアティアス一行を見ていることしか出来ていない。

 勝手に、そして見知らぬ人物が我が物顔で悠々と王城を歩いている姿は疑問を抱くのには十分なのだが・・・それでもマリアティアス一行の醸し出している異様な雰囲気に圧され、言葉などかける事が出来ないのだ。

 マリアティアスを筆頭に、アリセス、エール、ヘルメス、それにクチルギ。そしてダイヤを抱いているライフル・・・何故国王の娘であるダイヤがこの一行にいるのか疑問に思っている面々もいるが、どのようにして言葉をかけたらよいのかわからないようだ。

 ちなみにソイルはこの場にはいない。

 その理由はマリアティアスから『今は自身の身体を労る事を最優先にすべき』っと言われたので療養している最中だ。


『・・・さっきから視線がウザいですね』

『確かにそうにですね。マリアティアス様殺っちゃってもいいですか』

『男どもから厭らしい視線を感じますね』

『まだですよ・・・まだこの国ではやることがありますからね』


 アリセス、エール、クチルギは血気盛んなようで周りから見ている人々を倒そうとしている。

 そんなアリセス、エール、クチルギに対して宥めるようにマリアティアスは落ち着かせる。

 マリアティアスがいなければ・・・特に貴族などに怨みを持っているクチルギは今にも斬りかかりそうな雰囲気だ。

 アリセス、エールは自身の仕える・・・神にも等しい存在であるマリアティアスに対して厭らしい視線や、影で話している事が気にくわないのであろう。

 言葉にはしていないがヘルメスもまたこの状況をよくは思っていないようだ。

 それに対してライフルは複雑な状況でマリアティアス達に着いて行っている状況だ。ダイヤを守る事を最優先にしているが・・・何故自身が今この場にいるのかわかっていない。ただマリアティアスの言う通りに着いて行っているだけなのだから。

 ライフルに抱かれているように宥められているダイヤは・・・まるで幼くなってしまったかのようにライフルに抱きついている。


『さて・・・これから私は地下へと向かいます。この後のことは頼みましたよ』

『わかりましたマリア様』

『了解です』

『任せてください』

『ねぇ・・・この連中暇潰しに殺ってもいいの?』

『貴女はこの連中に怨みでもある・・・』


 クチルギに対してライフルが不快な感情を露にした瞬間・・・王城内に爆発音が響きわたる。

 しかも一発や二発ではない・・・数十発の爆発音が立て続けに響き渡り、数十発目から王城が崩れ始めたのか『ガラガラ』と崩れる音も聞こえて来る。


『何が起き・・・』


 何が起きるのか理解するよりも早く、近くにある窓に目線を動かすとそこには崩れ落ちる王城、燃え上がる火柱が眼に写る。

 更にそれだけではない。別の場所からは滝のように流れ出る大量の水。

 更に違う場所からは吹き荒れる暴風によって瓦礫や、木々、そして人も吹き飛ばされてしまっている。

 そして終いには降り注ぐ大岩・・・明らかに異常気象という範疇にあらず、人工的に起きているとしか言い様のない現象が次々と周りで起き始める。

 降り注ぐ数多の異常気象・・・その正体は魔法だ。

 多数の空中に浮かぶ影・・・一人や二人では無く、十数人の魔導師がべリアス城に向けて魔法を放っているのだ。

 何が起きるのか理解出来ていないマリアティアス達なのだが・・・考えるよりも先に天井が崩れ降り注ぐ。


『風流蓮盾・水輪花盾・・・大輪!』


 瓦礫となった天井が崩れ落ち、降り注ぐ瞬間にマリアティアスが咄嗟に防御魔法を発動させる。

  風の盾が蓮の葉のようにして広がり、続いて水の盾が蓮の花を作り上げマリアティアス達を包み込む。

  かなり大きくマリアティアス達六人を余裕で包み込んだ蓮の花に瓦礫や、倒壊してきた柱が直撃してしまうが・・・何一つ、傷一つ付いていない。


『マリア様これは・・・』

『予想外の出来事ですね・・・いったい何処の組織が』


 マリアティアスは崩れ落ちる瓦礫を煩わしく思いながらこの魔法による攻撃が洗礼された、組織などの攻撃であると即座に理解する。

 何故ならほんの一瞬にして降り注ぐ魔法の雨は相反する属性魔法が同時に放たれることはなく、むしろその威力を増加させるようにして攻撃しているからだ。

 更に言うならば、木々に火を付けたりしているのにも関わらずに、燃え広がるのを抑える為に水の属性魔法を放ったりしている。

 つまり建物の破壊を優先しているようで、人を殺そうとしていないように魔法を放っている感じなのだ。


『マリアティアス様あれを!』


 異常事態に気がついたエールはマリアティアスに警告するように気がついた方を指を差す。

 そこには魔導師なのであろう人物が空中に浮いているのだが・・・その姿は異様としか言い様のない格好をしていた。

 魔導師特有のローブは着ておらず、変わりに胸元に赤々と輝く魔導石。

 そして全身を張り巡るようにして胸元の魔導石から各部位へと延びている管のような物、各部位には機械のような物を装備していて時々脈動しているかのように点滅を繰り返している。


『何者なので・・・』


 マリアティアスが言葉を話そうとした瞬間・・・眼と眼がその異様な姿の魔導師と合う。


(今の角度で私達の存在に気がついた!?いったい何故・・・)


 眼と眼が合ったことに違和感を覚えたマリアティアスなのだが・・・違和感は更に増大する。



 エレメンティア魔法国首都トゥルーマキナに存在する地下施設・・・

 其処には四大魔法機関の全ての技術が、今まで魔法国の人々が作り上げた魔法の数々が収められている大図書館に彼女はいた・・・・


『見つけた・・・』


 大図書館に一人佇む少女は楽しそうに笑う。

 異様な姿の魔導師が言葉を発した瞬間・・・一斉に魔法の雨が止み、そして空中にいる全ての異様な姿の魔導師達が一斉に、まるで息を合わせたようにマリアティアスの方を見る。


『全員に気がつかれ・・・』


 気がつかれた時には時既に遅く・・・マリアティアス達に向かって魔法が降り注ぐ。

 各種四属性魔法なのだが・・・魔法の威力が帝国、王国の魔導師に比べてかなり強力になっている。

 そして中には基本魔法の強化魔法を使う者・・・火炎弾ファイアーボール・ネオ岩石弾ロックボール・ネオによりマリアティアスの防御魔法・『風流蓮盾・水輪花盾・・・大輪』に皹が入る。


『まずい!?大輪とはいえ一輪では防御力が・・・』


 皹が入り始めた大輪に流石に焦り始めるマリアティアス。

 流石のマリアティアスでもこの物量で攻め込まれればひとたまりない。

 防御魔法を展開しようにも、次から次へと降り注ぐ魔法の雨・・・一瞬でも防御魔法が破られればたちまちマリアティアス達は倒されると確信できるほどに圧倒的な物量。

 何故か、先ほどの攻撃とは打って変わって威力重視の攻撃魔法に対してマリアティアスの心に疑問が生まれる。


(この物量・・・まさか、先ほどの異様な姿の魔導師が全員がこっちに攻撃を?)


 そんな疑問もマリアティアスが抱いていると・・・ヘルメスがある事に気がつきマリアティアスに報告する。

 その内容とは異様な姿をした魔導師に対してのことであり・・・この異様な姿の魔導師達に見覚えがあるということだ。


『なるほど・・・あの魔導師達はエレメンティア魔法国の魔導師だということですね』

『はい。確かにエレメンティア魔法国の魔導師なのですが・・・何故あのような見慣れぬ武装をしているのかはわかりません』

『確かにあの異様な姿は気になりますが・・・』

『まずは脱出ですね。マリアティアス様ここは私が』


 ヘルメスは魔力を練り上げ・・・強力な魔法の準備段階に入る。


『ヘルメス貴女の魔法は今使う時ではないです』


 ヘルメスが魔力を練り上げている最中なのだが・・・マリアティアスによって強く止められる。


『しかしマリアティアス様この状況では・・・』

『わかっていますよ。ですが・・・そろそろだと思うのですよね』


 そうマリアティアスが言い終えるよりも先に、空中にいた魔法国の魔導師達に向かって攻撃が開始される。

 マリアティアス達の攻撃では無い。

 この攻撃は・・・


『奴らを討ち取れ!』

『賊を一匹たりとも逃がすな!』

『全員撃ち取りなさい!』


 王城外壁、そして監視塔から魔法国の魔導師に向かって飛んで行く多数の魔導弾や、矢、そして四属性の魔法。

 この攻撃を放ったのは・・・


『今この場所はエルピーラ王国首都に存在する王城・・・つまりエルピーラ王国の最も重要な場所です。その王城を襲撃するということはどうなるのか・・・無論わかって襲撃したのですよね?』


 魔法国の魔導師に向かって問いかけるマリアティアスだが・・・その返事を聞く前にマリアティアスと眼が合った魔導師に向かって魔導弾が直撃する。


『流石ですマリアティアス様』

『しかしどうするのです・・・王国の兵も此方の味方ではないのでしょう』

『そうですね』


『風流蓮盾・水輪花盾・・・大輪』を解除したマリアティアスは周囲を伺う。

 マリアティアス達の周りには崩れ落ちた瓦礫が散乱し、山積みになっているのでまだ王国の兵には見つかっていない。

 しかし、見つかるのも時間の問題だ。

 あれほど魔法国の魔導師達が攻撃をしていたのだから。


『ダイヤ様を危険にさら・・・』

『今この場で一番安全なのは私の近くです・・・理解できていますか?』


 ライフルが睨むようにマリアティアスに噛みつくが・・・マリアティアスによって強制的に黙らせられる。

 確かに、今は魔法国の魔導師が襲撃している最中であり、つい先ほどまで王城警備兵と聖薔薇騎士団達が戦っていた。

 王城警備兵と聖薔薇騎士団達との戦い今は争ってはいないが、それでもまた直ぐに戦いが始まるであろうと容易に想像が出来る。

 ライフルが今直ぐにでもダイヤを連れてこの場を脱出したいようなのだが・・・どうやらマリアティアスにはまだこの王城でやることがあるらしいのだ。


『仕方ありません。私が祝福された者が通る道(ウエディング・ゲート)で貴女方二人・・・いえ、アリセスも一緒にヘルの元まで転移させて差し上げましょう』

『よろしいのですかマリアティアス様?』

『三人同時にあの距離を転移させるのはかなりの魔力を消費しますが・・・大丈夫でしょう』

『私はマリアティアス様が良いのでしたら問題ありませ・・・』


 マリアティアスが魔力を練り上げ祝福された者が通る道(ウエディング・ゲート)を発動させる準備をしていると何かに気がついたのか、いち早く反応したエールが行動に移す。


『・・・矢?何故こちら側を?』


 飛来してきた矢を撃ち落としたエール。

 しかし何故今、この状況でマリアティアス達に向かって飛んで来たのか理解出来ていないようだ。

 それはマリアティアスや他の面々も同じなようで首を傾げている。


『・・・なに?この数は・・・』

『どうしましたエール?』

『マリアティアス様此方に近づいてくる気配があります。それも複数・・・』

『クチルギが迎撃してこようか?』

『いえ、待ってください。何か・・・嫌な予感がしま・・・』


 マリアティアスが言い終えるよりも早く防御魔法を展開すると・・・ものの数秒で防御魔法に魔導弾、矢、そして各種四属性魔法が直撃する。


『何が・・・』


 マリアティアスの防御魔法によって間一髪で攻撃を防ぐ事には成功したが・・・この攻撃がほんの序章であったと気がつくのにはそんなに時間がかからなかった。


『攻撃開始・・・』


 何処から途もなく、呟くように聞こえたと思った瞬間・・・先ほどまで王国の兵を相手にしていた魔法国の魔導師も上空へと数名があがる。

 そしてマリアティアス達を見つけた瞬間に先ほどと同じように躊躇無く攻撃を開始してする。

 最初にマリアティアス達に奇襲して来たときよりは攻撃人数が減ってはいるが・・・厳選されたのか、どの魔導師も強力な魔法で攻め立てる。

 何故王国の兵までもが敵対するのか?何故先ほどまで敵対していた王国の兵と魔法国の魔導師が同時に攻撃してくるのか?そんな疑問を抱くよりも先に防御魔法に皹が入ってしまう。


『マリア様このままでは・・・』

『迎撃します。魔力を温存して戦えるほどの相手ではなさそうですが』

『私はダイヤ様を最優先にするぞ・・・貴様がダイヤ様を守ると言ったんだから責任は持てよ』

『貴様マリアティアス様に向かってその口の聞き方を・・・』


 マリアティアスが少し考えた後・・・アリセスとヘルメスに迎撃してくるように命じる。

 アリセスは地上で攻撃してくる王国の兵を。

 ヘルメスは空中にいる魔法国の魔導師の相手を。


『砕けます・・・アリセス、ヘルメスお願いしますね』

『任せてくださいマリア様』

『マリアティアス様のお心のままに・・・』


 防御魔法が攻撃に耐えきれず破壊された瞬間、アリセスとヘルメスは一斉に飛び出し、マリアティアスはいつの間にか手に持っていた杖・・・金と銀の(ゴルド・シルバ・)魔蝶杖(ティルフィムガント)を地面に突き刺す。

 すると瞬く間に地面に魔法陣が展開し、そして魔法陣はマリアティアス達を囲み・・・魔法陣から金と銀の薔薇が生み出される。

 金と銀の薔薇はかなり巨大であり、通常の薔薇に比べてもかなり大きく大人の男の人さえも包み込んでしまう程の大きさの花びらが花開く。

 そして金と銀の薔薇はまるで意識があるかのように飛んで来る魔導弾、矢、そして各種四属性魔法を防ぐ。


『金と銀の薔薇は楽園の象徴・・・邪なる物から守る盾となる』


 爆炎や巨大な岩、逆巻く激風に爆撃にも匹敵する水の塊を悠々と防ぐ金と銀の薔薇。

 金と銀の薔薇は防御もさることながら見た目も華やかであり、数々の魔法を防いでいるその姿はまるでおとぎの国にでもいるような感じだ。


『この美しさ・・・流石はマリアティアス様』

『これほどまでに美しい魔法が合ったのですね・・・』


 ヘルメスが空中へと飛び出し、どす黒い殺意を具現化させたような弓で空を飛んでいる魔法国の魔導師に向かって魔法の矢を放つ。

 圧縮された風・・・いや、嵐の矢は爆発的な加速と共に魔法国の魔導師の向かって行き、そして避ける事が出来なかったのか直撃する。

 直撃した瞬間、魔法国の魔導師はヘルメスの激風によって圧倒的な風力によりねじ斬られる。

 上半身が跡形もなく吹き飛んだ魔法国の魔導師は、残りの下半身が浮力を失い地面に激突してしまう。

 そんな無惨な死を目の当たりにしたのにも関わらずに魔法国の魔導師は微動だにしていない。

 驚きも、嘆きも、そして反応すらしない魔法国の魔導師。

 確かに今、この場は最早戦場となってしまっており、更に言うならば魔法国の魔導師は王国へと攻め込んでいる最中だ。

 目的は不明だが・・・

 しかしながらこの場が戦場だとしても何も反応が無いのは異常だ。

 人が、味方が、同じ国の人間の上半身が目の前で跡形もなく、吹き飛んだのだ反応しないということはこのような出来事に慣れているからなのか・・・


(・・・いや、ありえない。どんな人間でも目の前で仲間が殺されたのに無反応はありえない。してもこの場・・・十数名いるのに誰も反応が無いのはありえない!)


 魔法国の魔導師達が異常だと気がついたヘルメス。

 その事を金と銀の薔薇の間から除いていたマリアティアスも異常だという事に気がつく。


(こいつらはいったい何者な・・・何だあの・・・瞳は?)


 奇襲されてしまったが為に気がつくのに遅れてしまっていたが・・・魔法国の魔導師、そしてマリアティアス達に攻撃してきた王国の兵の瞳が異常だと気がつく。

 瞳には薄くではあるが魔法陣のような物が描かれていて、今マリアティアス達に攻撃してきている魔法国の魔導師、王国の兵全員がその瞳だ。

 何故あのような瞳をしているのか?何故攻撃してくる者達全員が同じ瞳をしているか?疑問が生まれるが・・・そんな疑問を解決するよりも先に事態は動き始める。


『貴様は!?』


 アリセスの驚きの声と共に現れたのは王国最強の騎士ヴァーミリオン。

 立派なフルプレートの鎧には多数の傷や凹みが出来ており、その鎧の色は朱色で染められていたのだが・・・胸に輝く王国の紋章、両肩には獅子を模様した装飾も血が付着してしまっており、背中に羽織る誇り高き真紅のマントはボロボロになってしまっている。

 そしてその瞳は魔法国の魔導師、王国の兵と同じようになっている。

 近くで戦っているアリセスに気がついたヴァーミリオンは一目散にアリセスに攻撃しようと特攻してくる。


『貴様もマリア様の邪魔をする存在・・・斬り伏せて差し上げますよ!』


 アリセスは手に持っていた奇妙な形をした杖を変化させ、大斧にしてヴァーミリオンを迎え撃とうとする。

 アリセスとヴァーミリオンとの戦闘は始めてだが・・・アリセスはヴァーミリオンの装備、武器の性能がどんな物か知っているのでどのようにして立ち回りをすればよいのか理解出来る。

 それに対してヴァーミリオンはアリセスの装備、そして四戦の血晶杖は一瞬にして武器の形状を四つに変形させる事が出来る武器であり、その一瞬にして形状の変化するこの武器の間合いを判断するのはかなり難しいはずだ。

 一つは奇妙な形の杖、二つ目は槍、三つ目は大斧、そして最後の四つ目が大鎌に変形させる事が出来る武器であり、間合いを自由自在に変化させる事が出来る。

 つまりヴァーミリオンは四つに変形する武器を持つアリセスに対して、どのように間合いを取ればよいのか判断出来ないはずだ。


『何か嫌な予感が・・・これは確かめる必要がありますね』


 マリアティアスが呟くと同時に、先ほどまでマリアティアスの位置にいた位置にアリセスがいつの間にかおり、そしてアリセスのいた位置にはマリアティアスがいる。


『な!?これは!』

『マリアティアス様とアリセスの位置が入れ替わった?』

『私がここにいるということは・・・マリア様!』


 自身の位置とアリセスとの位置を入れ替える魔法を使ったマリアティアス。

 この魔法の名前は『逆地逆転の(リバイブリバイバル・)次元転移(テレポーテーション)

次元転移(テレポーテーション)』の応用によって生み出されたマリアティアスのオリジナルの魔法であり、マリアティアスしか使う事が出来ない。

 なので基本的にマリアティアスと他の場所にいる人物とを入れ替える魔法だ。

 そしてこの魔法はマリアティアスが授けたアイテムを持った人物でなければ発動せず、更に言うなればマリアティアスが目視していなければ発動出来ないという魔法だ。

 この手順を踏まなければ発動させる事が出来ない・・・少々面倒な魔法だが、それでも相手に奇襲を成功させるにはもってこいの魔法なのだ。

 そして今はその魔法を使いマリアティアスとアリセスの位置を入れ替えたのであれば・・・ヴァーミリオンの目の前にいるのはアリセスではなくマリアティアスという事になる。


『この異常事態が何故起きているのか・・・調べさせてもらいましょうか』


 マリアティアスとアリセスの位置を入れ替えた。

 つまりいきなり目の前にた人物が他の人物に入れ替わったのにも関わらずに、ヴァーミリオンは驚きもせずに特攻を止めることはせず・・・目の前に現れたマリアティアスを斬りつける。


『ぐっ・・・躊躇無しですか。酷いで・・・』


 マリアティアスを斬りつけたヴァーミリオンだが・・・止まることはなくそのままマリアティアスを押し倒す。


『マリアティアス様!』


 ダイヤ、ライフルを除く全員が押し倒されたマリアティアスを助けようと行動しようとするが・・・マリアティアスによって制止させられる。

 何故そんな事をするのかと疑問に思ったアリセス達だが、その疑問は一瞬にして霧散する。

 その理由はマリアティアスが来なくてもよいというからだ。

 ダイヤとライフルはまだだが・・・アリセス、エール、ヘルメスにクチルギはマリアティアスに対して絶大なる信頼を寄せている。

 その信頼は絶大であり絶対。特に戦闘という分類ではマリアティアスの判断こそが最優先されるほどだ。


『お前も私のねが・・・』


 マリアティアスを押し倒たヴァーミリオンがマリアティアスの事を数秒間見つめた瞬間・・・


『見つ・・・け・・・た!』



 エレメンティア魔法国首都トゥルーマキナに存在する地下施設にて・・・


『見つかった!?』


 この戦場のような激戦区で一瞬、一瞬ではあるが全ての魔法国の魔導師が、王国の一部の兵が動きを止める。

 まるで時でも止まったかのように、ある者は魔法放とうとした瞬間、またある者は防御魔法を展開しようとした瞬間、そしてまたある者は刀を降り下ろす瞬間で止まってしまったのだ。

 ほんの一瞬ではあるが、何故その状況で止まったのか理解不可能な状態で止まってしまった面々。

 その一瞬を見逃さなかったヘルメスは魔法の矢によって瞬きする間に、五人の魔法国の魔導師を瞬殺する。

 そして止まっていた面々が息を吹き返したように行動を開始する。

 止まっていた面々中にはマリアティアスも含まれていたが・・・マリアティアスもまた息を吹き返したように動こうとするがヴァーミリオンに押し倒されてしまっているが為に身動き出来ずにいると・・・


『金の薔薇よ・・・』


 突如としてマリアティアスの地面が動き・・・金の薔薇が出現すると同時にマリアティアスの腹部を貫く。


『何をして・・・』


 自身の魔法を使って自らの腹部を貫いたマリアティアスの行動に理解出来ていないヴァーミリオン。

 それもそのはずだ。

 自ら操る魔法によって腹部を貫く・・・もとい攻撃するなど理解出来るはずがない。

 特殊な性癖を持っているのならば別なのだが・・・


『さようならヴァーミリオンさん・・・いえ、女神の(オラクリリス・) 神眼(ロードアイ)!』


 マリアティアスが別れを告げると、マリアティアスの腹部を貫通していた茨がマリアティアスに巻き付き強引にヴァーミリオンを振り切り地面へと引き摺り込む。


『しまっ・・・』


 ヴァーミリオンが気がついた時には時既に遅く・・・マリアティアスは既に地面の中に消えてしまった。

 そしてそのマリアティアスが何処に行ったのかと言うと・・・


『マリアティアス様!』

『お前その傷・・・重症じゃないか』

『マリア様何かわかりましたか?』

『あぁ・・・アリセス、理解したよ。そして撤退しますよ』


 マリアティアスが撤退をしようとすると・・・遠くからかなりの大群で押し寄せてくる影が近づいて来ている事に気がつく。

 全員が全員空を飛んでいる・・・つまり魔法国の魔導師だと想像出来る。


『大群ですね・・・しかも全員がこのレベ・・・』


 マリアティアス達が絶対絶命の状態になろうとしていると、とてつもない地響きが響き渡り・・・そして地面が引き裂かれる。


『こ、これは・・・』


 驚愕と同時に襲いかかる圧倒的な威圧感・・・それはこの世界全ての生物を震撼されるほどであった。

 そしてその圧倒的な威圧感と共に引き裂かれた地面の中にいたのは・・・驚愕すべき物がそこには存在していた・・・

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