仕組まれた反逆
慌ただしい一日が過ぎ、竜王国に日が昇り始める。
竜王国に数多く存在する宿の中で最高の宿と言われている宿屋も完全に崩壊してしまい、既に原型を留めているのは僅かになってしまっている。
それもこれもルーシャ、そして断罪者ジャンジェル・・・の成れの果てとの激闘によってこの辺り一面が更地となってしまっている。
激昂したルーシャの攻撃・・・風の属性竜法によって軒並み建物が壊れてしまい、ルーシャも建物などの被害などは考えずに思いっきり攻撃してしまったが為に更地になってしまったのだ。
無論ルーシャの勝利で収めたが・・・ルーシャと激闘を繰り広げた断罪者ジャンジェルがかなり、異常といえるほどの耐久力、タフさであったが故に被害も拡大させた原因だ。
幸いな事にルーシャ以外の四方の浮遊都市を治めている、ジェイロス、ウルキード、ハッカ達が尽力してくれた為に、竜人達への被害は最小限で済んでいる。
残念な事にジェイロス、ウルキード、ハッカが行動する前に被害に合ってしまった竜人はいるが・・・
『それにしてもすげぇな・・・』
一体の瓦礫を片付けていた竜人変わり果てた屋敷を見て呟く。
それと同じように瓦礫を片付けていた竜人も手を止め、空を見上げる。
晴れ晴れとした日差しが竜人達を祝福するように降り注ぐが・・・この惨状が変わることはない。
そしてそんな竜人が関心する程の激闘を終えた後に舞い降り一体の影。
全身が雪のように白く、髪や角、翼から尻尾の先端にいたるまで真っ白な女性。
北の浮遊都市・ロウェイノースを統べる竜人。ハッカ・ラフス・ノースルー・ライブエラが舞い降りる。
竜王国でも一二を争う美貌の持ち主の出現により、全員、思わずその動きを止めてしまう竜人達。
思わず見惚れてしまう程の美貌と、そしてその身を着飾る見事な衣装。
今回は和服・・・天女の羽衣を思わせるような透き通った羽衣を身に付けている。
『皆さまごきげんよう』
舞い降りたハッカが、復旧作業をしている竜人達に向かって微笑む。
美女の微笑みにより思わず頬が緩んでしまう竜人達。それは性別を越えて、女性の竜人さえも頬が緩んでしまう。
そんなハッカと共に彼女の親衛隊の竜人も共に舞い降りる。
親衛隊の竜人達は全員同じ衣装を身に纏って全員同じ武装をしているのだが・・・今回は何故か数名しか武装しておらずその代わりに女性の親衛隊の竜人達は竹で編まれた手荷物を持っている。
『朝食をお持ちしました。皆さまのお口に合うとよろしいのですが・・・』
そう言いながらハッカと共に女性の親衛隊の侍女竜が復旧作業をしている竜人に近づき、竹で編まれた手荷物からサンドイッチとドリンクを差し出す。
それを受け取る復旧作業をしている竜人達は受け取ると直ぐ様に口に含む。
サンドイッチの種類は多種多様で、濃厚クリーミーな口当たりの卵のサンドイッチ。
新鮮な野菜と熟成されたハムが絶妙にマッチしたサンドイッチ。
甘辛く焼いた鶏肉と鼻を擽る香ばしい香りが漂うソースのかかったサンドイッチ。
分厚く切った肉を豪快に衣を付けてあげ、それをサンドしたガツンと響くサンドイッチ。
そしてデザート用なのであろうかホイップクリームと、フルーティーなフルーツのサンドイッチ等様々な種類のサンドイッチが・・・の数秒で全て空になってしまう。
そして口々にそのサンドイッチを頬張り込む竜人達。
『うめぇ!?なんて濃厚な美味しさだ!』
『こっちはガツンと胃に響くぜ!』
『うん・・・旨い』
『朝からこんな食べ物が食えるなんて幸せだぜ』
『ドリンクもありがてぇぜ』
口々にハッカが差し出したサンドイッチを誉め称え、一心不乱に食べている竜人達。
一様朝食的な食べ物はこの屋敷の主人から貰ってはいるが・・・有り合わせの物であり、更には手の込んだ料理でなかったが為に、より一層ハッカが持ってきたサンドイッチは美味しかったのであろう。
彼らもこの中央浮遊大陸に住む竜人だが・・・ハッカやルーシャとは明らかに身分が違う。
そして身分が違うのであれば食べる食べ物が違うのは当然であり、今まで食べていたサンドイッチの中でも格別だったはずだ。
『やぁ・・・なかなか美味しそうな物を食べているね』
そう言いながら竜人達の前に舞い降りたのはこの悲惨な状況を作り出した張本人・・・ルーシャ・ルビー・イエウエスト・アリードライブだ。
あの激闘があったのにも関わらずに平然と、なに食わぬ顔で現れたルーシャに対して不快感に思う竜人も多数いる。
しかし、決して顔には出さない。
もし出そうものならば即刻ルーシャに斬られる未来が容易に予想出来るからだ。
ルーシャ以外、ジェイロス、ウルキード、ハッカが竜人に対しての被害を最小限に抑えてくれたからいいが、それでも少なからず被害が出てしまっている。
『こ、これはアーリードライブ様いかがなされたのですか?』
『ちょっと通りかかっただけだよ・・・』
『そうなの・・・ですか』
『それより・・・』
ルーシャと竜人が会話をしていると・・・ルーシャ達の下、地下から轟音が響き渡る。
驚いている竜人達を他所に、即座に警備している竜人達が武器を構え警戒体制に入る。
『ルーシャ!』
『・・・空には敵機影はいないよ』
敵がいないかルーシャは上空へと飛び立ち確認するが、敵機影を発見することは出来なかった。
それを聞き、警備体制を緩める竜人達。
『これはまさか・・・』
ハッカが考え込んでいると再びルーシャ達の下、地下から爆音が響き渡る。
『やっぱり・・・ルーシャ私は地下に向かいます』
『よろしくハッカ。僕の予想だと結構大事だと思うよ』
『用心はしますよ。それよりも上空を警戒していてくださいね』
『了解・・・気をつけてね』
『皆さま行きますよ』
ハッカと共に親衛隊の竜人達もそれぞれの得物を手にして、この爆発音の正体を探るべく地下へと通じる門へと向うとしていると、叫び声と共に門から数百、数千の翼なき者がぞろぞろと出てくる。
『な!?何故奴等が!?』
『なんなんだこの数・・・どっから湧いて出てきたんだ!?』
『おいおい・・・数千体はいるぞ』
門から出てきた翼なき者の種族は多種多様で・・・どうやら竜王国の下で細々と暮らしている全種族が出てきているようだ。
そして門を潜り抜け、竜王国内へと侵入してきた翼なき者は一斉に、蜘蛛の子を散らすようにしてばらけて行く。
すると翼なき者は所構わず、目につく竜人に向かって攻撃してくる。
見境無く、攻撃をしてくる翼なき者に対して返り討ちにする者もいれば、若い女性や、子供の竜人は翼を広げ空へと逃げる者もいる。
『親衛隊の皆さん。各自にばらけて翼なき者の制圧を・・・数名を残してその場で斬り伏せてしまってもかまいません』
『了解です』
『それでは各自散会!』
ハッカの指示の元に親衛隊も翼なき者の制圧へと向かう。
(あ、あれはなんだ・・・全員同じ服装に、あの統率がとれた動き・・・手練れか!?)
我先へと門を潜り、一体の竜人を斬り倒した蜥蜴人のリザイ。
即座に竜人の持っていたナイフを手にすると・・・物陰で怯えている子供の竜人が視界に入る。
子供の竜人はかなり怯えているのか、身体を小刻みに震わせており・・・その表情は恐怖で引き攣ってしまっている。
(子供・・・いや、今はそんな場合じゃないか)
リザイはナイフを手に物陰に隠れ、一体の親衛隊に奇襲をしようとする。
『お、お父さん・・・』
先ほど恐怖で怯えていた子供の竜人が消えるような、小さな声で呟く。
その瞳からは大粒の涙が今にも溢れ落ちそうになっており、恐怖に抗うようにゆっくりと歩んで行き・・・リザイが殺した竜人の元までたどり着く。
そしてもう既に自分の父親が息をしていないと確認すると・・・理性の堤防が決壊し、泣きじゃくる。
(俺たちだって本当はしたくないんだ。でも・・・でも・・・でも、そうしなきゃ俺たちの種族全員が殺されちまうんだよ!)
リザイは自身の感情を圧し殺し、子供の竜人を他所に親衛隊に奇襲をしようと飛び出そうとしたその時・・・リザイは背中に焼けつけるような激痛に襲われ倒れ込んでしまう。
激痛の最中リザイが振り向くと、そこには先ほどの父親をリザイに殺された子供の竜人がリザイに向かって火の属性竜法を放とうとする瞬間であった。
『ぎやぁぁぁぁあぁぁ』
激痛に耐えきれずに思わず叫んでしまうリザイ。
そして残念な事に親衛隊への奇襲は失敗し、親衛隊に気がつかれてしまう。
リザイは戦う事に必死で忘れてしまっていたのだ・・・子供であっても竜人。
つまり竜法を使う事が出来るのだと・・・
リザイは激痛の中で再度焼かれる・・・そう、何度も、何度も、皮膚を焼き、肉を焼き、そして骨まで焼き尽くし灰になるまで焼き尽くされる。
『気が済んだかい?』
リザイを焼き尽くした子供の竜人に向かって語りかけるルーシャ。
子供の竜人は泣きながらルーシャに抱きつき更に泣き叫ぶ。
『ストレイブ・・・政導竜は一体何処にいるのですか!?』
『未だに確認出来ていません・・・本来であれば真っ先にこの暴動を止めようと動く筈ですが』
『ハッカ様どうしますか?』
『我々が捜索しま・・・』
ハッカと親衛隊が話をしていると、地下へと通じる門から一体の竜人が這い出てくる。
バルエラ竜王国の下、竜人達が見捨てた都市の管理を任されている竜人・・・ストレイブ・ネザー・ポリティキアであった。
しかしその姿はいつもと違い、いつも着ている燕尾服と、トレードマークのモノクロのシルクハットに多数の・・・全身を覆うようにして奇妙な文字が書かれたお札が貼られている。
笑っているような不気味にな二色の仮面にもお札が貼られており・・・目が見ているのか不明だ。
『ハッカさまあれは・・・』
『ストレイブ・・・一体何があったのです!?』
『・・・どうやら答えるつもりは無いようですね』
ハッカの問いかけに対して一言も答える様子のないストレイブに対して、親衛隊、ハッカも自身の所持武器である水鎖竜鞭と言われる武器を構える。
この水鎖竜鞭とはハッカの為に作られたハッカ専用の鞭であり、圧倒的な竜力を持っている竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジやルーシャに比べて比較的低い竜力であるハッカに態様した作りになっている。
自身の竜力を鞭の一点・・・水鎖竜鞭の先端に集中させ破壊力を爆発的に上げる事が可能な武器だ。
まぁ・・・今回は重要なのは破壊力ではなく、ストレイブを拘束することが目的だが・・・
『魂溺束縛・・・ストレイブ貴方に話が・・・』
ハッカが水鎖竜鞭を操り、ストレイブを拘束した瞬間・・・ストレイブの身体が爆発・・・いや、内部から破裂してしまう。
『な、なんだ政導竜殿が風船が破裂するように破裂したぞ!?』
『ライブエア様が殺ったのか?』
周りでハッカとストレイブの戦闘を見守っていた一般の竜人達が口々に困惑の声を口にする。
当然である。ストレイブは、この翼なき者達が起こしている暴動の原因を知っているかも知れない重要人物かも知れず・・・もしかしたらこの暴動の主導者かも知れないのだ。
そんな重要人物を殺してしまったのだ、困惑の声も上がってしまうのは仕方のないことなのかも知れない。
『ハッカ様今のは・・・』
『私にも理解出来ません・・・私の水鎖竜鞭がストレイブに触れた瞬間、ストレイブが破裂したように思えたのですが』
ストレイブを破裂させた張本人のハッカでさえも困惑し、周りに散らばっているストレイブの肉片を見ている。
肉片には爆発したような後はなく、そして焼け焦げたような匂いをしていない。
そんな肉片となってしまったストレイブを見ている一体の親衛隊がある異変に気が付く。
破裂したストレイブは肉片となってしまい、着ている服も仮面もシルクハットも四散してしまっているが・・・何故かストレイブに貼り付いていた奇妙な文字の書かれたお札は傷一つ付いていなく、破けたりもしていない。
それも全てのお札がだ。
『ハット様あれを・・・』
『あれは先ほどのストレイブに貼り付いていた物・・・どうかし』
ハッカ親衛隊達話ていると急にストレイブに貼られてお札が動きだし、意思を持っているかのようにハッカ達の方へと向かって来る。
一体の親衛隊が前に出て、飛んで来るお札を掴もうとした時、お札はまるで生き物のように親衛隊の腕をすり抜け親衛隊の額に張り付く。
すると次の瞬間、親衛隊の動きが一時停止したように急激に止まってしまう。
『動きを止めた?』
動きを止めた親衛隊の竜人に近づこうとするハッカ達。
動きを止めた竜人に向かって急速に近づいてくる音が聞こえ・・・動きを止めた竜人の首が飛んでしまう。
いくら生命力の強い竜人だとしても首が飛んでしまっては生きて行くことは不可能・・・つまり絶命してしまったのだ。
そしてその竜人を絶命させた人物・・・ルーシャに向かってハッカは水鎖竜鞭を使い即座に束縛する。
『ルーシャ今貴女が何をしたのか・・・理解出来ていますか?』
自身の親衛隊を殺されたルーシャに対して殺意を叩きつける。
それもそうである。
何もしていない者が殺されてしまったのだ、激昂してルーシャを串刺しにしないだけまだましであると言える。
『理解しているよ・・でも僕はハッカ達の危機を救ったんだよ』
『救った?何を言って・・・』
ルーシャが親衛隊の竜人の首を飛ばしてから数秒後に、突如として壁が破壊され竜人が飛び出てくる。
すると壁を破壊した竜人はハッカを視界に入れた瞬間、土の属性竜法で攻撃してくる。
その攻撃を周りで控えていた親衛隊の一体が手に持っている盾を使って防ぐ。
すかさず攻撃してきた竜人に向かって手に持っている剣で攻撃し、倒すことに成功する。
『一体何が起こって・・・』
ハッカがルーシャに問いかけるよりも先に、各地で悲鳴と、爆発音、そして各属性の竜法が炸裂する。
『これは!?』
『だから言ったじゃん。僕はハッカを助けただけだって』
『ルーシャ何か知っているのですか?』
『残念だけど僕が知っているのは、あの変な紙が額に貼ってある竜人が暴動を起こしているってことだけだよ。ハッカは何か知っている?』
そう言われ考え込むハッカ。
(まさかさっきのが・・・しかし一体誰が?)
『それについてなのですが、アリードライブ様』
『なぁに?』
ハッカとその親衛隊、ストレイブとのやり取りを目撃していた竜人がルーシャに何が起きたのか、何故そのような状況・・・竜人達が暴れている状況になっているのかを説明する。
推測ではあるが・・・
『なるほどねぇ・・・つまりこの暴動の原因はハッカにあるってことなの?』
ルーシャが少し小首を傾げ・・・不思議そうにハッカを見つめる。
その事に対して何も言い表せなくなってしまうハッカ。
事実・・・不慮の事故とはいえ今、竜王国を混乱に貶めているのは客観的に考えればハッカなのだ。
『すみませんルーシャ。貴女を疑うような事をして・・・』
『大丈夫だよハッカ。それよりも周りの暴動を止める方が先じゃない』
『この暴動は私が引き金となってしまったかもしれないのですよ・・・疑わないのですか?』
ハッカにそう聞かれたルーシャは笑いながら答える・・・『今はこの暴動を抑える方が先でしょ』っと。
そしてルーシャは有言実行するように上空から地上に向かって、今まさに竜法を放とうとしていた竜人を切り伏せる。
『ハッカ様我々は信じております。ハッカ様がこの暴動を自らの手によってお治めになられれば民からの疑いも晴れるかと・・・』
一体の竜人が小さな、周りには聞こえないようにハッカに話しかけ、ハッカも納得したのかルーシャと同じように上空へと飛び立つ。
『ルーシャ!』
『なぁにハッカ?』
ルーシャとハッカがお互いの背中を合わせ、お互いの死角をカバーする。
『疑いはこの私自身が晴させてもらいます!よろしいですね!』
『やる気満々だねぇ・・・』
『この暴動は私が治めるます。よろしいですね』
『残念だけどハッカ。それは出来そうにないかなぁ・・・』
『譲って頂けないのですか?』
『僕は別にいいけど・・・』
そう言いながらルーシャは反転してハッカの両肩に手を当て、更にハッカと一緒に反転して元の位置に戻る。
何故このような事をするのか戸惑ったハッカだが、直ぐに先ほどルーシャの言っていた事を理解する。
ルーシャの見ていた方向・・・竜王国の位置から考えると東と南側に位置する方角から接近してくる影が見えてくる。
影の正体はジェイロス、ウルキードの両名でありこの暴動を見たからなのだろう、かなりの速度で此方へと向かって来ている。
『そういうことですか・・・』
『そういうこと。でも今回は僕は竜人の暴動の方には手を出さないかなぁ・・・』
『何故?』っと言いそうになったハッカだが、再び地下へと通じる門から先ほどよりも倍以上の翼なき者が出てくる。
翼なき者の中には既に怪我をしているのか、それとも返り血からなのかは血塗れの翼なき者いる。
『先ほどよりも倍以上数・・・まさか!?』
『多分だけど地下で仕事していた竜人達は全滅しちゃたのかな・・・』
『・・・そうでしょうね。あの数から察するに』
『もしかしたら、今暴動起こしている翼なき者は先陣なだけでまだ本陣があるかも知れないね』
『まだ奴らが来ると・・・?』
『用心はしておいた方がいいんじゃない』
『そうですね。奴らがどのようにして乗り込んで来たのかはさておき、まずはこの暴動を治める事が先決』
『悠長に話している間にもまた出て来たね・・・それじゃ僕は翼なき者の方に向かうよ』
空から暴動を起こしている竜人、翼なき者に対して竜法を放っているルーシャとハッカだが、空、地上の暴動はジェイロス、ウルキード、ハッカに任せてルーシャは地下へと通じる門へと向かって行く。
(彼方は頼みましたよルーシャ・・・)
『ハッカこれはどうなっている?』
『私にも分かりません・・・とりあえずはこの暴動を止めるようにしましょう』
『ルーシャは何処に行ったんだ?』
『達の暴動を止める為に地下に向かいました』
『彼奴・・・翼なき者は地下から来ているのか?』
『そのようで・・・』
ジェイロス、ウルキード、ハッカが合流し、話し合いをしていると火と水の属性竜法が飛んで来る。
飛んで来た竜法を余裕でかわすジェイロス、ウルキード、ハッカだが、話を中断せざるを得なくなってしまった。
『話はこの暴動を治めてからにしましょう・・・よろしいですね』
『確かにこの暴動を治めるほうが先決じゃのぉ』
『しっかし此奴らも馬鹿だよなぁ・・・俺達が首都にいる時に暴動を起こすなんて』
ジェイロスがその背中に背負っている大剣を手に取り構える。
ウルキードも火の属性竜法を放とうとしているのか、その拳が荒々しい炎に包まれている。
そしてもちろんハッカも水鎖竜鞭を構え、次に討ち取るべく獲物を物色する。
『それではこの暴動を鎮圧した後にまた再びこの場所で・・・』
ハッカがそう言い終えるとジェイロス、ウルキード、ハッカはそれぞれ暴動を鎮圧する為に行動を開始する。
バルエラ竜王国ラ・ゼログニル城最深部・・・
何人たりとも、竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジと、その付き人である侍女竜以外が立ち入る事が不可能な堅牢なる扉の奥・・・その中にマリアティアスはいた。
この堅牢なる扉は竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジの竜力でなければ開けることの出来ない扉であり、その結果事実上オールが認めた者以外は立ち入る事が不可能な扉だ。
『どうやら外が騒がしいようですね・・・何かあったのでしょうか?』
オールの問い掛けにこの場の全員が・・・ある一人を除いて全員が不思議そうに首を傾げる。
当然である。
半日前程からオールと侍女竜達はこの扉の中にいたのだ、当然外で今どの様な事が起きているかなど知るすべが無いオールと侍女竜達には分からないのだ。
『まぁ・・・初陣にはちょうどいいのかもしれませんね』
オールが楽しそうに語りかける・・・もう既に竜人となってしまったマリアティアスに。




