憂鬱な一時
バルエラ竜王国・中央浮遊都市バルエラに存在す巨城ラ・ゼログニル城にて・・・
運悪く・・・いや、運良く竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジに気に入られてしまったマリアティアス。
ルーシャの計らいと、マリアティアスの実績によって極刑は免れたものの、マリアティアスが竜王国においてその身が不自由な事には何ら変わりなかった。
本来であればマリアティアスが結界を破壊し、ルーシャの手助けと共にバルエラ竜王国へと客人として向かうつもりだったのだ。
しかしマリアティアスの思惑とは裏腹にルーシャはマリアティアスのことを奴隷にするつもりであり、さらにはオールに気に入られたことによってこれからマリアティアスはどうなるのか?
今のマリアティアスにはわからないことだ。
何故なら今マリアティアスは・・・
『準備出来た行くぞ』
現在マリアティアスはラ・ゼログニル城の一室・・・竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジの住まう場所という選ばれた者の中でもさらに選ばれた者のみが入る事を許されている場所にいる。
いや・・・幽閉されていると言った方が正確かもしれない。
そして今竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジに仕えている侍女竜の一体がマリアティアスのいる部屋へと入ってくる。
無論ノックなどは無しであり、更にマリアティアスには行かないという選択肢は存在しない。
反抗などしようものならどうなるのか・・・知らないマリアティアスではない。
『もたもたするな!オール様を待たせるなど言語道断だぞ』
マリアティアスを殺気の込めた・・・瞳で睨みつける迎えの侍女竜。
この侍女竜は先ほどの会議の場においてマリアティアスに対して殺意を叩きつけた侍女竜であり、やはりマリアティアスに対しては良い印象を思っていないようだ。
長い腰まである赤黒い髪で、マリアティアスと同じような赤い瞳。そして赤い瞳と同じように赤く太い尻尾。
それに対して白い純白の角と、ボロボロの白い大きな翼の侍女竜だ。
何故かメイド服の胸元を露出しており、その胸元には赤黒く濁った・・・溶岩を思わせるような宝石を埋め込んでいる。
凛としたその表情は時に冷たく思える・・・そんな竜人だ。
『あの・・・お名前を聞いてもよろしいでしょうか?』
マリアティアスの問いかけに対して急にその歩みを止め振り向く。
そしてマリアティアスに向かって一撃・・・喰らわせる直前に寸止めする。
その一撃に反応が出来なかったマリアティアス。
寸止めにした拳には何故か真っ赤なガントレットをいつのまにか装備しており、一目で破壊力が増していると判断出来る。
もし拳を止めなかったらどうなるのか・・・
『気安く俺に話しかけるな・・・俺は貴様の事を認めていないんだからな』
俺・・・女性なのにもかかわらずに男勝りな口調らしくマリアティアスがこの城、この場所にいる事が不満なようだ。
『で、ですが名前を知らなければどう呼べばよろしいのか分かりませんので・・・』
マリアティアスが懇願するように、そして上目遣いで見つめる。
一瞬驚いた様子を見せたがマリアティアスに対しての態度が変わる事は無く、再び無言で歩いて行く。
(・・・うーん。この上目遣いでも教えてくれないのか。思っていた通りガードが硬いのか・・・まぁ、私が人間なのも大きいと思うけど)
上目遣いをやめたマリアティアスもまた無言でついて行き、数分歩き一つの扉の前に辿り着く。
『オール様オロです。連れて来ました』
扉をノックしてから直ぐに入室許可の返事が返ってくる。
扉が開けられ、マリアティアスが入室したその先に待っていたのは・・・
『お風呂?』
そう・・・扉を開けた先にはもくもくと湯気が立ち込めており、そして浴槽の中には悠々と湯槽に浸かっている竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジの他に彼女をマッサージしているのか五体の侍女竜達も一緒に浸かっている。
驚きのあまり呆けていると、急にマリアティアスの手が引っ張られる。
『何をしているオール様を待たせるつもりか?』
そう言いながらマリアティアスを引っ張り、脱衣場のような場所に案内する。
『あの・・・何を・・・』
マリアティアスが困惑していると、オロと呼ばれている侍女竜も脱ぎ始め・・・マリアティアスにも脱ぐように促す。
残念ながら今のマリアティアスには拒否権というものは存在していない為に、マリアティアスもその身に纏っている聖職者の衣装を脱ぎ始め、ちょうど全て脱ぎ終えたところに近づいて来る足音が聞こえ・・・マリアティアスの胸を後ろから鷲掴みにする。
突然の出来事に驚いていると『やわらかーい』っという少女の声が聞こえ振り向いた先には、先ほどオールと同じように湯槽に浸かってた侍女竜がいた。
『ちょ!?何するんですか?』
『え!?揉んでるんだよ?』
『それは分かります。しかし何故揉んでるのか聞きたいのです』
『おい人間。残念ながらエアには何を言っても無駄だぞ』
『・・・何故です?』
未だに胸を揉まれているマリアティアスに対してオロは『そいつの趣味だからな』っと呆れ顔で答える。
『そ、そうですか・・・』
『おい人間!オール様がお呼びださっさと歩け!』
もう一人の侍女竜がマリアティアスの胸を揉んでいる侍女竜から離すと、マリアティアスをオールの元まで案内する。
『うーん・・・やはりな』
マリアティアスの身体を隅々までじっくりと見つめるオール。
そしてどうやら何か納得しているように頷く。
『あのーどうかしましたか?』
何に対して頷いているのかはわからないが、とりあえずマリアティアスはオールに質問をしてみることにした。
『いや、見事な美しい身体だと思っての・・・まるでおとぎ話に出てくる女神様のような美しい身体、そしてその美貌・・・天が二物を与えたとはこの事なのかもしれないなぁ』
どうやらオールはマリアティアスの事を誉めているようであり、どう考えてもマリアティアスの事気に入っている様子だ。
『女神様など・・・ご冗談を』
『冗談ねぇ・・・』
オールが悪戯っぽく笑う。
ちなみにオールとマリアティアスが対等に話しているのはオールがマリアティアスに指示したからであり、周りに控える侍女竜に対してもそうするように指示したので侍女竜達もマリアティアスに対して何も指摘したりしていない。
さらにオールは先ほどマリアティアスが緊急招集の時に無言であったのを、マリアティアスが騒ぎを大きくしない為の策略だと見抜いていた。
なのでマリアティアスはこれ以上の嘘は得策では無いと判断して無言でいるのを止めることにしたのだ。
まぁ・・・中には納得していない者もいるようだ。
『まぁ、それよりも一緒に入ろう。これからお前は私の物になるのだからな』
その一言に対して周りにいる侍女竜達が一斉に声を上げる。
どの侍女竜・・・六体全員全てが驚きの声だ。
『オール様人間風情をこの地に迎え入れるなど・・・』
『そうですオール様何故ですか?』
『私達では不満なのですか?』
口々にオールに対しての不満を口にする侍女竜達。
誰一人としてオールの決定に納得してはいないとようだ。
『納得もしていない者もいるようだが・・・とりあえずまずは湯を楽しもうではないか?話はその後にでもしようじゃないか』
納得していない侍女竜達を無理矢理納得させ、とりあえずマリアティアスに対して浴槽に浸かるように促す。
浴槽の温度はちょうどいい温度で、芯から暖まるには最適な温度だ。
(・・・何故このような状況になってしまったのでしょうか?)
浴槽に浸かりながら何故このような状況になってしまったのか考えているマリアティアスだが、とりあえずゆっくりと浴槽を堪能することにした。
ラ・ゼログニル城最奥部・・・オールの私室にて
湯浴みを終えてたオールに侍女竜達とそしてマリアティアス。
そして今現在マリアティアスが何をしているのかというと・・・
『うーん・・・良く似合ってますよ』
そう言いながらマリアティアスの事を眺めているオール。
今マリアティアスはオールによって着せ替え人形のように何枚も衣装を変えさせられている。
最初は侍女竜と同じようなメイド服、次にスーツのような黒を基調とした服、チャイナ服や和服のような物も着せられてしまっている。
次から次へとマリアティアスは着替えさせられ・・・その数は20を超えてしまっていた。
(いくら魔法・・・いや竜王国だから竜法の加護が施された服だからといっても流石にこの数の着せ替えは)
一部の貴族、王族はその身に纏う服に魔法の加護が施されており、シワや埃等から守る事が出来る。
更に上位の魔法の加護かかけられた服には何年、何十年経ったとしても劣化しないと言われている。
そして更に上位・・・最上位と呼ばれている物には着る者に対して自動的にサイズが変化する魔法の加護が施されている。
無論、先ほどからマリアティアスが着せ替えられている服全ては、その最上位の物だ。
『さて、次は私のとっておきにしましょうか』
そう言いながらとても上機嫌なオールが自ら服を取りに行き、そして持ってきた服は・・・
『そ、その服は・・・』
『そう!私のとっておきの一着。素晴らしいでしょう』
『え、えぇ・・・とっても・・・』
オールが持っきた服それは・・・純白のシミ一つ存在しない真っ白なドレス。
そしてそれは女性であれば誰もが憧れ、夢に描く理想の服。
人生にして最高に、そして最も幸せな時に着るその服の名前は・・・ウエディングドレス。
どうやらオールが次にマリアティアスに着させようとしている服はウエディングドレスのようだ。
『オール様待ってください!』
『その服を人間風情に着させるなど・・・』
『その服は特別な・・・』
先ほどまでマリアティアスを着せ替えていた侍女竜達が一斉にオールの前に立ちはだかり、何としてもマリアティアスに対してその服・・・ウエディングドレスを着させないようにしている。
何故彼女達がそんなにも必死に、先ほどまでは嫌々ではあったがオールの言う事を聞いていた侍女竜たちが止めようとしているのか不思議に思っていると、一人の侍女竜・・・オロと呼ばれている侍女竜が吼える。
『何故この人間風情を我々と対等な存在にするのか』っというものだ。
(さっき貴方達と同じようなメイド服を着た時は何も言わなかったのになぜ急に?まさかあの衣装には特別な意味が・・・)
ウエディングドレスとは女性にとってはとても・・・かけがえのない服であり、意味だけで考えれば結婚するための服だ。
(つまりまさか・・・いやそんなことは)
嫌な考え・・・いや、一般的に竜王国内での考えではむしろとっても名誉な事なのかもしれないが・・・マリアティアスにとってはとても迷惑なことに変わりない。
『オール様!本当にあの人間を所有しようというのですか!?』
侍女竜達全員がオールに対して問いかける・・・マリアティアスを完全に自分の所有物にするのかと。
その問いかけるに対してオールの答えは『YES』っであった。
(嫌な勘というものは良く当たると言いますが・・・どうやら本当のようですね)
マリアティアスがどうしたらいいのか困惑し、そして呆れているとオールが侍女竜達を飛び越えマリアティアスの前に着地する。
そしてキラキラした瞳でマリアティアスにウエディングドレスを差し出す。
(すごいキラキラしているなぁ・・・私を所有物にしようということになるとこの先どうなるのか)
マリアティアスは自分がオールの所有物になってしまった未来を想像する。
どう考えても自分の目的から遠ざかる未来しか見えず、自分が自由に行動出来るとは到底思えないと確信する。
『さぁ着てみようか!絶対似合うと思うよ』
『えっ・・・とあの・・・』
マリアティアスが困惑していると不意にこの場に音が鳴り響く・・・その音はマリアティアスから鳴っておりどう考えてもお腹の音だ。
『す、すみません・・・』
『アハハ!可愛いね。そうだね、とりあえずこのドレスを着る前に食事しようか』
『よ、よろしいのでしょうか?』
『あぁ・・・大丈夫だよ。きっと君も気に入ると思うよ
にっこりと・・・不適に笑うオール。
何が可笑しいのか?そんな事を考えているマリアティアス。
『あの、私の着ていた服は何処に・・・』
『あぁ・・・あれ?もう君には必要ないから処分したよ』
『そんな・・・』
『大丈夫・・・もう君には必要ないんだよ。もう何も君に必要な物は何もない。私が用意する物があれば全て大丈夫』
『え・・・あぁ・・・』
『君に必要な物は全て私が用意してあげよう。なんたって君は私の所有物なんだから』
狂気・・・独占欲という狂気に駆られたオール。
それは万物を手にするだけの力を有しているからなのか?それともオールが竜王だからなのか・・・
呆気にとられているマリアティアスを他所にオールはマリアティアスの手を引き歩み始める。
マリアティアスに叩きつける殺気他所に・・・
ラ・ゼログニル城・・・オール私室食堂にて
オールが自分とそして侍女竜のみが、食事する為だけに作られた食堂は何とも言えない・・・言葉にする事が出来ないほどの美しさの食堂に案内される。
食堂の壁は純白に・・・傷一つ、埃すらない壁には様々な絵画や彫刻があり、その全てが竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジを題材にしている。
細部にまでこだわって作られた彫刻には目視で見る限りでは粗など見つけ出す事が出来ないほど巧妙に作られ、今にも動きだしそうなほどだ。
絵画は巧妙に描かれている物や、少し・・・凡人には理解出来ないようなセンスで描かれた物も存在している。
この部屋はまるで食堂というよりは芸術品を置いておく、展覧場のような場所と思えるほどにきらびやかに彩られているいる。
そしてそんな場所で出てくる食事は勿論一級品、いや・・・超一級品と言っても過言ではないほどの料理が運ばれて来る。
最初に運ばれて来たのは一口サイズのシュー生地に可愛らしく彩られた品物。
真っ白なジュレに金色の小さな卵をあしらった品物で、口にすると雪解けのような口溶けと共に、黄色の卵の濃厚な味が広がる料理。
次に運ばれて来たのは新鮮な野菜と同じく新鮮な魚介類を使用したであろう一品。
野菜と魚介類が絶妙にマッチした色彩、そして配置に拘った一品であり、添えられているソースと共に口に含めば魚介類のしなやかな弾力と、シャキシャキとした野菜の歯応えの両方を一度に楽しめる料理。
次もまた魚介類を利用しての一品だが、先ほどの料理とは違い温かな一品。
貝殻をそのまま食器にしており、その貝の貝柱と何やら紅白の色の魚介類にクリーミーな濃厚ソースがかけられた料理。
次に運び込まれたのは透き通った小麦色のスープとホカホカのパン。
スープの豊かな香りが鼻を擽り、ホカホカのパンからも豊かな香りが立ち込めている。
スープは喉越しが滑らか、ホカホカのパンと一緒に食べれば更に美味しさが引き立つ一品。
次に出てきたのは魚料理、焼き魚はポワレと言われている技法で調理された料理であり、表面をカリカリに焼きそして付けられているソースもまた焼いた魚に合うようにしている。
そして次は口直しであるシャーベット。
真っ赤な果実を使ったシャーベットは果実をそのまま・・・いや、果実を濃縮させた味が広がる一品で、口直しにしては贅沢な料理なのかもしれない。
そして今マリアティアスが口にしているのはメイン料理である肉料理だ。
口にすれば柔らかな食感と共に口の中に広がるソースと肉汁、噛まずとも呑み込むことが可能なほど柔らかな肉質はいつのまにか口の中で溶けて無くなってしまっているのも気がつかないほど自然に、当然のようになくなってしまっていた。
至高の料理とはまさにこのことであるのだが、今でマリアティアスが口にしていた物とは比べものにならないほどの料理であるために困惑すら覚えれるほどだ。
そして幸いなことに竜人と人間は同じ味覚感覚であったようで、今のところマリアティアスが食べることが出来ない料理が出てきたりはしていない。
『美味しいかね』
『は、はい!とっても』
『私の物になったお前にはこれからこのような美味しい食事が毎日出る。しかしだからと言って食べ過ぎてはいけないよ』
オールそして侍女竜達も一緒に食事しているが、マリアティアスのように一口一口ごとに噛み締めている様子はなく、あまり感動も無いように感じられる。
貧乏人が高級料理店で食事した時の美味しさと、常に同じレベルの料理を食べている人とでは食べた時の衝撃が違うようにどうやらこのように感動しているのはマリアティアスだけなようだ。
そしてその異常に感動しているマリアティアスを、オールもまたマリアティアスの反応を楽しんでいるように眺めている。
『さて・・・食事もそろそろ終盤なのだが、お前は何故は人間の国に存在する女神セラフティアスが創り上げたと言われている結界を破壊する事が出来るのじゃ?』
『そ、それは・・・』
『それに人間であるお前が何故結界を破壊する?自らが作り上げた平穏を何故破壊しようとしている?』
オールの問いかけに対して無言になってしまうマリアティアス。
それもその筈である。女神セラフティアスが創り上げた結界が破壊されればどうなるか・・・知らない人間などはいない。
生きとし生きる人間達が絶滅の危機に晒されてしまうのだから。
『貴様オール様の問いかけに無視とはいい度胸だな』
オロが食事している手を止め、マリアティアスに向かって手にしているナイフを突き立てる。
先端は鋭くなってはいないが、それでも鋭利である事には変わらず・・・そして先ほどからマリアティアスの事をよく思っていなかったからなのかオロはマリアティアスに向かってナイフを投げつける。
狙いはマリアティアスの手であり、確実に直撃コースだ。
しかし・・・オロの投げつけたナイフはマリアティアスの作り出した盾によって弾かれ、床に転がる。
その事を見て驚愕する侍女竜達。
侍女竜達が驚いている隙にマリアティアスは風の属性魔法を発動させてこの場から逃げようとする。
『人間にしては良い動きをする・・・ウェルニル、ウォルニル』
『任せてオール様』
二人の竜人が同時に返事をする。
二体とも同じような顔立ち・・・双子なのであろう竜人が即座にマリアティアスを捕まえようと翼を羽ばたかせ一気に距離を詰め同時に襲いかかる。
全くもって同時の左右からの攻撃をマリアティアスは水の属性魔法で作られた盾によって防ぐ。
柔らかな弾力に包まれた双方の拳・・・その拳にはいつの間にか金色に輝くガントレットが嵌められいる。
(このガントレットって・・・)
マリアティアスがガントレットに気を取られている間に双子の竜人が既に手を打っていた。
『解放!雷刻』
双子の竜人が能力・・・竜法を発動せる。
すると轟音と閃光が炸裂し、マリアティアスを襲いかかる。
『ぐっ・・・で、でん・・・』
雷鳴と共にマリアティアスを激痛が襲いかかる。
マリアティアスの身体は痺れ、所々に焼け焦げた後が出来てしまう。
(電気!?いや、雷の能力を持っているのか・・・)
雷にでも打たれたかのように身体が痺れ身動きが取れなくてなってしまうマリアティアス。
しかし・・・マリアティアスは身体を水の属性魔法によって強制的に動かし、次の一撃をかわす事に成功する。
『ほう・・・ウェルニルとウォルニルの攻撃を耐えるのか』
オールが関心そうにマリアティアスと双子の竜人の攻防を見ている。
双子からの息の合った攻撃を見事にさばいてみせるマリアティアス。
(防御が出来ないのは致命的ですね・・・それにルーシャほどではないですが速い攻撃)
『ウェルニル』
『そうだねウォルニル。ウェルもそう思う』
何やら双子の竜人が思うところがあるのか一旦距離を置くと・・・
『雷漠集底』
双子の竜人が雷で作られたような糸を創り出し、マリアティアスに向かって掌底を繰り出す。
繰り出された掌底は空気を伝わり、糸も一気に蜘蛛の巣状に広がる。
(これでは逃げ場が・・・)
蜘蛛の巣状に展開した雷の竜法をかわすにはただ一つ・・・
もう一人の竜人が待ち構えている場所しかなかった。
(やむ終えないか・・・)
マリアティアスは意を決し・・・雷の竜法で作り上げられた蜘蛛の巣に飛び込む。
予想外な動きに呆気にとられている双子の竜人を余所に、マリアティアスは脱出しようと食堂の窓を破壊する。
窓を破壊し、脱出しようとしたその時・・・一瞬世界が揺らぐ。
『な!?』
マリアティアスの身に起きた異常事態、何が起きているのか理解するよりも先にその身体に激痛が伝わる。
何事かと激痛がした先に見たのはマリアティアスの腹部に刺さる腕。
水色の半透明なガントレットをした腕からは身も凍える・・・極寒の冷気が全身をかけめぐる。
『れい・・・』
雷の竜法と、極寒の冷気の二重攻撃によって一気に体力が削られ、意識が朦朧とし始める。
そして 気を失わないように必死に耐えるマリアティアスに襲ってきたのは圧迫感。
その正体はマリアティアスの首を絞めるオロであり・・・マリアティアスは耐えきれず気絶してしまった。
『クリスティアス』
オロに名前を呼ばれた竜人が気絶しているマリアティアスの腕を後ろで組ませ触る・・・
するとマリアティアスの両腕に歪に水晶のような物が嵌め込まれる。
『デザートはお預けにしてお楽しみと行きましょうかね』
倒れているマリアティアスを他所にオールは楽しそうに声を弾ませる。




