敗北・・・
竜法秘伝・覚醒竜血を発動させ、その姿形が変わったしまったルーシャ。
そしてその姿を眼にし警戒の色を現しているマリアティアス。
お互いにお互いを見つめた後・・・不意にルーシャが目線を外す・・・
『なにそんなにジロジロ見てるんだよ・・・』
どうやらマリアティアスに見られて照れてしまったようであり、目線を外して露出している部分を手で隠す。
『あらごめんなさいね。とても可愛かったのでつい・・・』
『か、かわいい!?』
『えぇ、とっても可愛いですよルーシャ』
マリアティアスに褒められ声をあげることなく顔を赤め、ルーシャは照れ隠しからなのか妖精のような翼をパタパタさせ、尻尾が左右に揺れ始める。
『それで、それがルーシャの切り札なのですか?』
『そ、そうだよこれが僕の切り札・・・誰にも言っていない秘密の力だよ』
『なるほど・・・それで私の魔法を破壊する事が出来ますか?』
『無論・・・そのための切り札なんだからね!』
ルーシャが一気に加速してマリアティアスに斬りかかる。
暴風妖精となったルーシャの攻撃は、人智の反応できる速度を凌駕し、人間種よりも亜人種よりも更に強力な反応速度を持っている竜人でさえ遅れてしまう程の速さにまで到達する。
速さこそ強さ、圧倒的な速度での攻撃は剣先から見えない空気の刃を生み出し、刃を交えるよりも速く敵を斬り裂く・・・筈であった。
ルーシャの人間では反応不可能な攻撃に対してマリアティアスはその手に持っている杖によって防ぐ。
そして確かにルーシャのレイピアから放たれた空気の刃はマリアティアスを斬り裂いた筈なのだが・・・マリアティアスの衣服には傷一つ付いていない。
『・・・今の攻撃を防いだ?』
『流石に防御魔法を展開する余裕はありませんでしたので杖を使用させていただきましたよ』
『もしかしてその杖も?』
『えぇ、もちろん。ルーシャに渡したレイピアと同じように・・・少しこちらの方が強力に作り上げた物ですよ』
マリアティアスが優雅に杖を見せびらかす。
ルーシャの攻撃を受け止めた筈の杖は傷一つ付いてはいなく、凹みも見当たらない。
『金と銀の魔蝶杖!それがこの杖の名前です』
『別に名前はいいよ・・・だけどそれよりも僕の速度にどうやって反応出来たの?』
『それは秘密です・・・』
『教えてよ』
マリアティアスが内緒というように口に人差し指を付ける。
ルーシャはマリアティアスが攻撃を防いだことに機嫌を悪くしたのか、不機嫌そうにしているが・・・次第に考えるのを止めたのかレイピアを振るう。
軽く振るっただけなのだが、レイピアによって生じた斬撃が地面を斬り裂く。
『白金の刺妖・黒銀の斬妖・・・』
ルーシャがマリアティアスに向かって二本のレイピアを構える。
白金薔の刺妖・・・ルーシャがバルエラ竜王国、西側の浮遊大陸を支配するにあたり名のある竜人の鍛冶士に作られた刺殺に特化したレイピアだ。
白薔薇と金色の茨が描かれていて、刺殺・・・つまり突きのみを究極に追及した武器でありそれ以外は著しく他の武器よりも劣ってしまう。
普通の剣は斬撃や突き、そして受け流しをすることが可能だがこの武器では出来ない。
刺殺という貫通力に特化した武器はかわされる可能性が非常に高く、斬撃とは違い範囲での攻撃は不得意・・・つまり当たれば強力ではあるが、あたらなければそれほど脅威ではない武器だ。
そして刺殺特化武器、白金の刺妖を補う為にマリアティアスがルーシャの為だけに作り上げた武器、黒銀の斬妖。
この武器はマリアティアスの持っている技術・・・この世界ではありえない技術によって作られており、刺殺や斬撃が可能なレイピアだ。
ルーシャの風の属性竜力を増幅、強化する魔化と魔導石を組み込み、切れ味を上げるルーンが刻まれている。
その増幅、強化されたレイピアはルーシャが振るうと同時に風による斬撃を飛ばす事が可能なのだ。
『二刀流・・・』
『そうだよ・・・でもマリアティアスは知らないよね』
『知らない?』
『僕が暴竜妖精になって初めて・・・本気で戦う事を』
そう言い終えるよりも速くルーシャが白金の斬妖で斬りつける。
ただ剣を振るっただけなのだが、あまりにも速すぎるゆえに残像を生み出している。
そしてその高速の斬撃がマリアティアスを斬り裂く・・・筈であった。
『根源の守護盾!ルーシャただの斬撃・・・』
根源の守護盾とは風と水混合属性魔法による魔法であり、この魔法は盾を出現させる魔法だ。
五角形の分厚い盾を作り上げ、正面には女神セラフティアスが描かれている。
この盾はマリアティアスの思い通りに動かず事が可能で、三百六十度全てを防御することができる。
欠点としては先ほどの防御魔法、風流蓮盾・水輪花盾とは違い全方向を防げるわけではないので奇襲に弱いという欠点があるがマリアティアスにはそれを補う魔法を使っているので問題ない。
ルーシャの斬撃を防ぎ得意気に、そして油断してしまったマリアティアスに激痛が襲いかかる。
何事かと思い激痛がした方向を振り向くと・・・そこにはマリアティアスの脇腹に深々と突き刺さる白金の刺妖があった。
『何が・・・』
マリアティアスが激痛と共にルーシャから目線を外してしまう。
戦闘において余所見をする。つまり相手から注意をそらしてしまうとどうなるか・・・知らないマリアティアスではなかったが・・・
『余所見は禁物だよ』
マリアティアスが余所見してしまったばっかりにルーシャの竜法が炸裂する。
圧縮した風の弾丸はマリアティアスを吹き飛ばし地面に叩き付ける。
そしてルーシャは間髪入れずに地面に叩き付けられたマリアティアスに向かって竜法を複数浴びせ・・・土埃が舞い上がる。
『さて、マリアティアスは・・・』
土埃を払う為にルーシャがレイピアで斬りつけると・・・そこには根源の守護盾だけが存在し、マリアティアスの姿はなかった。
『む!?盾だけ・・・いや』
ルーシャは地面に残っている根源の守護盾に向かって白金の刺妖で突き刺す。
よほど硬度であったのか根源の守護盾と白金の刺妖が激突した瞬間、金属と金属がぶつかったような音が響きわたる。
しかし壊れない・・・数度白金の刺妖突き刺し、数度黒銀の斬妖で斬りつけるが皹一つ入らないマリアティアスの生み出した盾・根源の守護盾であったが何度目かの攻撃を使用とした瞬間、霞のように霧散してしまう。
ルーシャはこの現象を知っている。
この現象は魔法、竜法において効果が切れた、もしくは使用者が死んでしまったがためにその効果が強制的に切れてしまったかの二種だと考えられる。
実際ルーシャも複数の竜人を倒したてきたので理解している。
『うーん。一体何処に行ったのかなぁ・・・』
マリアティアスに根源の守護盾が解除された場所には穴が空いてあり、マリアティアスは何処にもいなかった。
『・・・まさか土竜になることになってしまうなんてねぇ』
マリアティアスが土から穴を開けて出てくると『ふぅ』っと一息つき、懐に持っていた治療液を飲み干す。
すると先ほどまでまで疲れていたマリアティアスの表情が晴れ晴れとした表情へと元に戻る。
脇腹に刺さっていた白金の刺妖はいつの間にか抜かれていて、血が出ていたはずの傷は無かったかのように塞がっている。
血のつき、穴の空いた聖職者の服はそのままだが。
『さて・・・ルーシャは何処でしょうか?』
マリアティアスが出てきた場所はまだ瓦礫が散乱する場所で、ルーシャ、マリアティアス両名からは直視出来ない位置にいる。
しかしマリアティアスは目視せずとも対象の位置を探る事が可能な魔法を会得しており、それを発動させようと魔力を込め発動する。
『見つめた・・・』
『みぃつけ・・・た!』
マリアティアスが魔法を発動させた瞬間、ルーシャもまたマリアティアスの位置を見抜いたのか風の属性竜法を発動させ、ルーシャとマリアティアスの間にある全ての瓦礫を吹き飛ばす。
それによって風のトンネルが出来上がり、ルーシャがマリアティアスに向かって斬りかかる。
突然の出来事に対応できかったマリアティアスが斬られ後方へと吹き飛ぶ。
『ちぃ!浅い!』
後方へと吹き飛ばされ・・・いや、自ら後方へと飛んだマリアティアスだが、息つく間もなくルーシャの竜法が飛んでくる。
飛んで来たのは風の竜力を槍のように細く、鋭くした濃密な風の槍であり、マリアティアスはガードを使用と魔法を展開させ・・・瞬時に回避行動に切り替える。
間一髪でかわすことに成功したマリアティアスだが、風の槍が瓦礫に直撃すると着弾と同時に激風が瓦礫を襲い、瓦礫が跡形もなくなってしまう。
(人間に放つ竜法じゃないですよ!私を奴隷にするんじゃないのですか!?)
一瞬にしては青ざめるマリアティアス。
一発しか放っていなかったから良かったが、あれが複数発飛んで来るのであれば流石のマリアティアスでも防ぎきれないと断言できるほど竜法だ。
そしてマリアティアスが見つめる先にいるのはもちろんルーシャなのだが・・・少し様子がおかしい。
汗が溢れだし、顔色は優れず、息が荒くしまっている。
明らかに異常であり、虚ろな目でマリアティアスを見つめている。
(・・・竜力を短期間に大量に消費した影響ですね。あれでは先ほどの竜法は使えないでしょうね)
マリアティアスが再び呼吸を安定させ、ルーシャを捕らえる為に結界魔法を発動しようと近づく。
『ま、マリアティアス・・・』
ルーシャが苦しそうにマリアティアスの名前を呟くが・・・それよりも速くマリアティアスが結界魔法を発動させる。
・・・よりも速くルーシャが竜法を放つ。
しかし放った竜法は、今まで放っていた強力な竜法とはまるで違った竜法だった。
その竜法はとても単純であり誰でも、竜人で無くても放つ事が可能な竜法の名は・・・風による浮遊。
風の属性魔導師が使えて当然の魔法であり、その基礎的な魔法でマリアティアスを動かす。
『捕まえた!』
風による浮遊によって動かされてしまったマリアティアス。
そしてマリアティアスは結界魔法を止める事は出来ずに放ってしまい、ルーシャを閉じ込めるはずの結界魔法の中にルーシャとマリアティアスの二人が閉じ込められてしまった。
『なっ!まさか演技・・・』
『まぁ・・・少し枯渇気味だけどね。卑怯だって言わないでねよね』
結界魔法を必要最低限に発動してしまったが為にルーシャとマリアティアスの距離はかなり近く、密着するような、抱き締めるような形になってしまっている。
ルーシャのレイピアは二つとも地面に突き刺さっていて場所的に、角度的にルーシャが取る事が出来ない位置にあるが・・・問題はそれではない。
『・・・ちょっとルーシャ』
『なにマリアティアス?』
『あの・・・胸を揉むのを止めてもらえませんか?』
『なんでぇ?』
『いや・・・そんな露骨に鷲掴みにしなくても』
ルーシャとマリアティアスが抱き締めるような状況になってしまっているが、身体が小さなルーシャは位置的にマリアティアスの胸元にいる。
ルーシャの両手はマリアティアスの胸を鷲掴みにしており、揉んでしまっている。
何故このような状況になってしまったのか?
そしてルーシャは何故マリアティアスの胸を揉んでいるのかはわからないが、とても気まずい状況ではあるがマリアティアスにとっては時間が過ぎてくれるので問題はない。
まぁ、ルーシャに胸を揉まれる事を考えなければ・・・
『うーん』
『あの、ルーシャ?』
『ねぇ、マリアティアス・・・この服の生地ってなんで出来ているの』
どうやらルーシャはマリアティアスの胸を揉む事が目的ではなく、マリアティアスの着ている服が気になっているようだ。
(胸を揉むのが目的ではなかったのか・・・)
マリアティアスが心の中で呟くが・・・
『この生地金属糸で出来ているの?これじゃ破けないじゃん』
(前言撤回・・・)
『マリアティアス?』
マリアティアスがルーシャの事を変な目で見ているのに気がついたのか、ルーシャもマリアティアスの事を見つめる。
上目遣いのルーシャ・・・とても魅力的だが、場所が場所なだけに考え深いものがある。
(さて・・・どうしましょうか?このままではルーシャに私の胸を揉まれてしまうだけですし、かと言ってこの結界魔法を解除してしまった場合、ルーシャに串刺しにされてしまいますね)
マリアティアスはルーシャと二つのレイピアの位置を把握し、ルーシャの先ほどの速度、そして反応速度を考えるとマリアティアスに串刺しにされる未来を予想する。
しかし決めなければならない・・・いつまでもルーシャに胸を揉まれているわけにはいかないからだ。
『結界解除!』
マリアティアスのかけ声と共にルーシャとマリアティアスを束縛していた結界魔法が解除され、マリアティアスは後方へと一気に距離を離す。
それに対してルーシャは瞬時に反応し、攻撃する・・・とマリアティアスは思っていたのだがどうやら違うようだ。
(何故攻撃しない・・・)
マリアティアスが考えているとルーシャはいつの間にか手に持っている瓶を開け、半透明な液体を飲む。
(な、しまっ・・・)
マリアティアスが気がついた時には既に遅く・・・半透明な液体を飲み干したルーシャの体力が回復してしまった。
そして再び襲いかかる激痛・・・
気がついた時にはマリアティアスの左肩を貫通する白金の刺妖があり、貫通した白金の刺妖によって瓦礫に縫われるようになってしまった。
『僕がマリアティアスの胸を揉むだけだと思ったぁ?』
いつの間に移動したのかルーシャがマリアティアスの両腕を掴み、そしてマリアティアスの左肩から白金の刺妖を抜き取ると、交わっている両手に突き刺し先ほどよりもマリアティアスの動きが封じれてしまう。
『ぐっ・・・』
両手が封じれてしまったマリアティアスに対してルーシャは更に竜法を発動させ身動きを完全に封じる。
風の竜力によって作られた鎖が瓦礫に、地面に突き刺さっている。
動こうとしても動けない。
仮に動こうとすると・・・
『動いちゃだーめー』
ルーシャが鎖を操り、より一層拘束を強くする。
『油断していましたよ・・・』
『そうだね』
そう言いながらルーシャは『暴風妖精』の状態を解除し、いつも通りのルーシャに戻る。
そしてマリアティアスに向かって黒銀の斬妖を喉元に突き立ている。
『まさかあの時、治療液を盗んでいたのですね』
『そうだよ。僕がマリアティアスの胸を揉んでいる時にね』
そうに言い終えるとルーシャは治療液の入っている瓶を地面に投げ捨てる。
この瓶は先ほどルーシャとマリアティアスが結界魔法に閉じ込められてしまった時、ルーシャがマリアティアスの胸を揉んでいる最中にこっそりと盗んだ物だ。
通常時ならば気がつく筈なのだが、ルーシャとマリアティアスが密室に近い状態で、マリアティアスは背丈の関係上抱き締めるようになってしまっている状況では中々気がつけなかった。
『さて、マリアティアス・・・これで僕の勝利かな?』
『・・・それはどうでしょうか?』
『まだこの状況で策があるとでも?』
喉元に黒銀の斬妖を突き立てられながらも、その瞳には諦めの色はなかった・・・何故なら
『私も切り札というものを持っていますのね』
『切り札?』
『祈呪魔導・女神の祝福水!』
マリアティアスが魔法を発動させる。
するとマリアティアスを周辺に水が溢れ出てくる。
とても透き通った・・・光の反射さえなければそこに水があるとはわからない程の透明度の水だ。
その水がルーシャに触れると・・・ルーシャは一瞬にして空中へと逃げ出す。
その姿は脱兎の如く速く、とてもルーシャの方が勝っているとは思えない速さでだ。
『い、今のは・・・』
『理解出来ないですか?』
額に脂汗を浮かべ、信じられないというような表情でマリアティアスを見つめているルーシャ。
何故そんなに驚いているのかその理由は・・・
『な、何なんだその水は!?』
『試着・祝福水の羽衣・・・』
透明度の高い水がマリアティアスを包み込み、天女が着ている羽衣のように変化する。
ふよふよと漂う羽衣。
周辺の水は全てなくなりマリアティアスを包み込み羽衣となってしまった。
『さてと・・・』
マリアティアスは両腕に力を込め・・・串刺しにされている白金の刺妖ごと瓦礫から両手を引き抜く。
無理に力を込めてしまったが為に、マリアティアスの両手は血だらけになっていて、更にマリアティアスは自分を拘束している鎖を・・・地面、瓦礫から引き抜く。
『ふぅ・・・流石ルーシャが作り出した鎖ですね』
そう言ってマリアティアスは服に付着している埃を払い、地面に突き刺さっている金と銀の魔蝶杖を手に取る。
『この鎖を立ち斬る事は出来なかったですが、鎖に繋がれている地面や瓦礫は脆いですからね・・・今度拘束するときはその事を考えた方がいいですね』
『化け物かよ・・・それにしても何だよその水は?』
『女神セラフティアス様から祝福された水ですよ・・・この世界の人間、生物にとっては呪いに等しい水でしょうが』
『だろうね・・・』
いつの間にか再生した両手の傷、そしてルーシャが意味嫌う羽衣を纏ったマリアティアスが金と銀の魔蝶杖を構える。
『さてルーシャそろそろ夕暮れ時です。再戦といきましょうか?』
『両手が再生した?』
『えぇ・・・この羽衣の力ですので』
『なにその羽衣?』
『だから言ったでしょ・・・切り札ですと』
『そんな魔法は聞いたことがないなぁ・・・なんで僕に教えてくれなかったの?』
『・・・流石に私の全て覚えている魔法を教えるわけにはいきませんよ』
『なるほど・・・流石マリアティアス!』
ルーシャが風の竜力で竜法を放つ。
荒らしく吹き荒れる竜法がマリアティアスに直撃する瞬時、マリアティアスも風の盾を出現させて防ぐ。
しかしその竜法はルーシャにしては珍しい・・・あまり威力のない竜法だ。
(あの羽衣を着たマリアティアス・・・何か違和感が)
違和感を覚えたルーシャが更に複数発竜法を叩き込む。
その竜法に対してマリアティアスは余裕で防ぐ。
速さも威力のない竜法を防ぐことなどマリアティアスにとっては造作もなく、竜法の方が魔法の上位互換だとしてもそれ以上の硬度で防げば問題ないのだ。
(なるほど、そういうことね・・・だったら!)
『竜法・逆鬼壊!』
ルーシャが風の属性魔法・風弾と同系統の竜法を放つ。
それに対してもマリアティアスは風の防御魔法で防いだ・・・瞬間ルーシャが微笑む。
その微笑むはマリアティアスが予想通り動いてくれたからであり・・・竜法を防いだ瞬間マリアティアスに対して巨大な撃風が生じる。
『何が・・・おき・・・』
目の前が突如として撃風に襲われてしまったマリアティアスに、襲いかかるルーシャ。
バランスを崩してしまったマリアティアスだが、間一髪ルーシャの黒銀の斬妖で斬られる瞬間に金と銀の魔蝶杖を滑らせるようにして受け流す。
(やっぱり・・・だったら)
先ほどのマリアティアスの動きによって何かを確信したルーシャが・・・再び竜法秘伝・覚醒竜血を発動しマリアティアスに向かって殴り付ける。
(避けき・・・)
ルーシャの左が炸裂したことによって吹き飛ばされるマリアティアスだが・・・ルーシャが追撃してくる気配はない。
何故なら、マリアティアスを殴り飛ばした筈なのルーシャが震え、恐怖してしまっているからだ。
『祝福されたこの水に触れてしまいましたね』
『そう・・・だね・・・殴ってみてわかったよ』
『祝福されていない者が触れればそれは恐怖でしかない・・・本来であればこの羽衣に触れた瞬間身動き出来なく、口も聞けなくなってしまうのですが流石ルーシャですね』
『ほ、誉めてくれて嬉しいよ。だけどマリアティアス・・・どうして水の属性魔法を使わないの?』
その言葉を聞き動きを一瞬、ほんの一瞬ではあるが止めてしまったマリアティアス。
しかしルーシャはその動きを見逃してはいなかった。
『わかったよ。その魔法・・・大きなデメリットがあるんだね』
『・・・だったらどうします?』
『どうもしないよ・・・ただ、僕はマリアティアスを倒す!ただそれだけだよ』
激闘につぐ激闘、ルーシャとマリアティアスによる攻防は月明かり照らす真夜中まで続きそして・・・夜明けと共に戦いは終わりへと向かってゆく。
ルーシャの自慢の速度も次第に衰え、マリアティアスもまた防御魔法の展開速度、硬度共に弱くなってきているのが目に見えてわかる。
そして・・・朝日と共に立っていたのはルーシャであり・・・マリアティアスは地面に伏せてしまっていた。
美しかった黒髪は土埃共に汚れ、顔も汚れてしまっている。
不思議なことにマリアティアスの着ている聖職者の衣装はあまり、目立った汚れは見当たらない。
祝福水の羽衣はその物がなかったかのように綺麗に無くなってしまっていて、それに対してルーシャは未だに嵐竜妖精を維持していた。
『・・・さて約束だよマリアティアス』
返事のないマリアティアスに向かってルーシャは言い放つ『バルエラ竜王国に連れていく』っと。




