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集う連合軍

  帝国首都ダグマオーネが災害級の疫病の狂天使に強襲されてから数ヶ月後・・・最早疫病の狂天使の進行を止める事が不可能となってしまった帝国騎士団。

  一刻も休む事が出来ずに帝国騎士団団長ジュラ・レイジスト・ウルエイオは現在とある屋敷へと移動していた。

  あの悲惨な・・・地獄と言っても過言ではない状況から唯一脱出出来たジュラであったが、帝国南部に出現した疫病の狂天使を倒しきれる事は出来なかった。

  何よりも帝国の弟であるシエン・ユネルメンス・フェール・ゼナーガ王弟を目の前で拐われ、そして発見出来なかった事が最も心残りであった・・・ほんの数週間前までは。


『ジュラ様そろそろ着くようです』

『・・・?』

 

  寝ぼけ眼で周りを見渡すジュラ。

  そして数秒後に驚いたように目を見開き外の景色を見る。

  目の前には城壁都市として、そして三か国の商業の拠点として使われている国・・・スヴァ都市国が見えてきている。

  そう・・・ジュラは寝てしまっていたのだ。あまりにも疲労してしまい身体が無意識の内に眠りについてしまったようだ。


『・・・俺は寝てしまっていたのか』

『はいジュラ様』

『あの時から寝てしまっていたのか?』

『はい。あの・・・都市国の領土に入って数分後です』


  ジュラと共に帝国を脱出した野人(レンジャー)が答える。

  ジュラは思い出す。何故自分が今帝国を離れ都市国を目指しているのかを・・・

  シエン・ユネルメンス・フェール・ゼナーガ王弟を目の前で拐われ、苦戦しながらも刺客を斬り倒し後を追ったが時既に遅く何処にもいなかったのだ。

  数名の野人(レンジャー)に捜索を任せていたジュラだったが・・・その野人(レンジャー)すらも拠点に戻る事はなく、そして最早戦闘不可能と言うまでの損害を出してしまうことになり帝国南部から引き上げたのだが・・・帝国南部にジュラが赴いてしまったばかりに帝国首都があんな状況になっていようとは思わなかったのだ。


『首都ダグマオーネの崩壊・・・そして皇帝であるリプロ・デクリメンス・フォール・ゼナーガを含めた数百名の帝国の重鎮達が行方不明、もしは死んでしまった』


  ジュラの言葉に何も言えなくなってしまうこの場の面々。

  馬車の中にはジュラを含めて野人(レンジャー)、帝国騎士団の生き残りの参謀、そして南の優良貴族の女性が乗っている。

  今回この面々を含めて数名の騎士団、魔導師と共に都市国を目指している理由それは・・・


『本当に大丈夫なのでしょうか?』


  そう言ってこの場の紅一点である女性が消えそうな声で呟く。

  この女性の名前はイッカ・フルッシュジュレ・ティラミス。

  年齢的には五十代前半の女性ではあるが肌にはまだ艶があり、そして健康的な女性で近くによると和むような匂い・・・香水を身に付けている。

 

『ご婦人心配なのは理解しています。しかしながらこの手段が帝国を救う・・・疫病の狂天使を討伐するための最良の手段かと』


  そう言って答えのはジュラと同じく帝国南部の生き残りである参謀だ。

  剣よりもペンが似合いそうな顔立ちに、落ち着いた雰囲気の男性だ。

 

『帝国首都の崩壊の話は抑えようとして抑えきれる物ではないでしょう・・・ましてや皇帝陛下、王弟陛下が行方不明となっているのでは更に不可能でしょう』

『なんとも不甲斐ない話だ・・・帝国最強の騎士と名乗っているがこれではな』

『団長・・・お言葉ですが、あのような惨劇では』

『・・・私は騎士団団長。市民を王を守る盾であり剣でもある』


  弱々しく言葉を詰まらせるジュラ。

  そう・・・ジュラ達の帝国南部から撤退した部隊はまだ生き残っている。

  無事な北部、東部、西部の部隊を集結させて帝国首都を奪還する為に動いた部隊が、ジュラ達が首都の惨状を目撃し、報告をする前に行動してしてしまったが為に再び大惨事を招いてしまった。

  確かにジュラ達も帝国首都を去った時は北部、東部、西部の部隊を集結させれば勝てるとふんでいた為に報告を遅らせてしまった。

  野戦や、帝国の地理に詳しい野人(レンジャー)も人の子であることを理解し、帝国南部での活動で疲弊したため休ませていたのだ。

  あの時・・・功を急ぐばかりに即席の部隊での短期決戦、そして圧倒な情報不足のまま帝国首都に赴いてしまったが為に。


『あの数は我々でも予想外・・・』


  今まで黙っていた野人(レンジャー)が口を開く。

  野人(レンジャー)が言う予想外とは、ジュラ達が再度帝国首都に加戦に加わろうとした時には疫病の狂天使が最初に見に行った時の倍以上に増えてしまっていたのだ。

  そして疫病の狂天使によって帝国首都は地獄と化し、次第に北部、東部、西部へと進行して行っている。

  北部、東部、西部の人々は現在安全な都市へと移動して行っているが・・・

  しかし、それでも次第に安全ではなくなり疫病の狂天使に滅ぼされてしまう可能性がある。

  だから今回ジュラ達一行は都市国へと赴き、支援をしてもらえないのか頼みに行くのだ。

  なんとかイッカの信頼、そして人徳によって都市国の最高責任者と会う算段は整ったものの、正直これからどうなるのかは分からない。


『団長!』


  外でジュラを呼ぶ声が聞こえ、何事かと外の騎士団に問いかけると都市国の城壁都市が目の前であることを告げる。


『さて・・・全員気を引き締めよ』


  改まってジュラが全員に告げる。


 スヴァ都市国・・・中央部


  スヴァ都市国へと赴いたジュラ達が呼ばれたのはこの都市国の最高機関であり、そこには数名の人物達が集まっていた。

  その人物達を見て驚愕しているジュラだが・・・理解する。どれだけ帝国で起きている事件、災害にも匹敵するこの疫病の狂天使の大量発生が他国でどのように知らされているのかを。


『さぁ、席に座ってください。何がお好きなお飲み物は?』

『・・・紅茶を頂きたい』


  最初に話しかけてきたのは都市国の内政を司る人物。名をワルト・ルールズ・ドルイーター。

  この都市国ではその名を知らない人物がいないほどの有名人であり、他国へも顔が利く初老の男性だ。

  彼の後ろには都市国の紋章が掲げらた旗があり、そしてワルトの両脇にはこの都市国で各事業の最高責任者が集まっている。

  都市国における全ての魔導師を統括するは女性ノロン・ドラレイン・ノックオン。

  都市国が王国から独立するのに尽力した老人で、他国でも噂される名のある戦略家ザヴィード・シュミレート・サファイヤ。

  周辺諸国においては都市長よりも有名かも知れない人物エバニセルス・インディンゴ・スターライフを筆頭に数名が座っており、その後ろには都市国の旗が掲げられている。

  そしてこの面々の右隣にいるのは都市国の人間・・・ではなくその面々の後ろにはエルピーラ王国の旗が掲げられてている。

  旗の前に座っている人物達は皆女性であり、特に一番前に座っている女性は特にこの場で目を引く存在だ。

  その美貌もさることながら整った身なりに、金色に靡く長髪に右の瞳が髪の色と同じ金色、左の瞳は青い瞳の女性を筆頭に全員が同じ白銀の鎧と背中に靡く王国の紋章と白薔薇が描かれた真紅マントを着込み、その腰には薔薇の模様装飾が施された剣を帯刀している。

  彼女達の正体はエルピーラ王国・聖薔薇騎士団。

  エルピーラ王国第二王女ソイル・ネロクリリス・ラック・エルピーラによって組織された女性のみの騎士団であり、その活躍は都市国を含め周辺諸国ではよく知られている。

  そんな噂に名高い聖薔薇騎士団の表情は全員険しく、どうやら王国においても良くないことが起きている事は明白だ。


『随分浮かない顔してるなぁ!帝国最強の騎士様も流石に堪えたか?』


  そう言ってジュラを煽るように喋り出したのは都市国の面々がいる方向の左側・・・魔法国において物事を決める四大魔法機関に属する最高位魔導師の四名の内の一人。

  火の魔法局局長・ヴェルピルス

  まだ若くしてその地位に付き、魔法国において最強の攻撃魔導師と言われる火の魔導師だ。

  その赤い髪に赤い瞳と魔法国では珍しい茶褐色の肌をしている。別に帝国ないでは珍しくもないが。

  彼が使える魔法は火の魔法だけではなく土の魔法さえも操ることの出来る二重属性魔導師(デュアルエレメンティア)であり、好戦的な人物だと言われている。

  何故か上半身は裸でその上にコートを着ているが・・・

  壁にはエレメンティア魔法国の旗が掲げられて、数名の魔導師なのであろう全員が全員魔導師のローブを羽織り手には各属性、各面々にあった魔導石が埋め込まれた杖を持っている。

 

『ヴェルピルス言葉を慎みなさい・・・ここは魔法国ではないのですから』

『でもよぉ・・・事実だろ?』

『事実であったとしても、ここは都市国我々が住んでいる・・・実力至上主義の国とは違うのですから』


  クスクスとジュラを笑い者にしたのは、ヴェルピルスと同じくエレメンティア魔法国において物事を決める四大魔法機関に属する最高位魔導師の四名の内の一人。

  風の魔法局局長・ジルータ

  茶髪のオールバックの男性であり、戦略眼も鋭く、国が攻め込まれた場合の防衛の司令塔も勤めているような魔法国において防衛の要の人物が何故か今この国に赴いている。

  魔法国内では珍しく王国、帝国の貴族にコネクションがある人物で、そのためかその身を飾る衣服や宝石は豪華であり、帝国魔導団団長であるディズとも交流のあった人物だ。

  そしてその面々とは違い魔導石が埋め込まれた杖ではなく、背中にはどす黒い何かの動物を思わせるような骨格のような、血管のように数多にその弓に刻まれた緑の奇妙な文字が刻まれた弓を装備している人物が隣にいる。

  一目で超一級の弓であると理解できる。

  しかしながら雰囲気的に弓兵ではない感じがする女性だ。

  深緑色の髪に緑色の瞳、まだ幼いその顔立ちの少女とも大人とも区別する事が難しい女性であり、その緑色の瞳は水晶のようになっている。


『・・・私は無駄話をする気はありません。早く進めませんか?』


  そう言って話を催促したのは聖薔薇騎士団団長・エルピーラ王国第二王女ソイル・ネロクリリス・ラック・エルピーラだ。

  そしてその一言をかわきりに何故この場に都市国の面々だけでなく、王国、魔法国の重鎮達がいるのかを話始める。


『そ、そのようなことに・・・』

『王国と帝国は陸続きです。まだ都市国に出現していないのは運が良いからかと』


  話を聞いたジュラ達が驚き、頭を抱えそうになる。

  何故ならスペルオーネ帝国首都、そして帝国南部で出現した疫病の狂天使の数名がエルピーラ王国に侵略して来たと言う事実に。

  幸いなことに数体であったが為にこの場に集まる前に倒し終えたが、それでも脅威が消える事はなく襲われた王国市民が不安を感じているということ。

  そしてその事が巡り巡ってお魔法国、都市国へと伝わり、今回ジュラ達帝国でも地位の高い人物達が集まると連絡が伝わり集まったのがこの面々だということ。


『それでこの面々が集まってくれたのか』

『そうだ。それでお前達に聞きたいのだが・・・帝国で何があった?』

『帝国最強の騎士のお前がこの都市国に赴いた・・・つまりそうせざるおえない事情になってしまったと推測できるが』

『我々として正直に話してもらいたいのだが』


  そう言われて言葉を詰まらせるジュラ。

  確かに都市国へと赴き、支援をしてもらえないのかと頼むつもりであった。

  そして帝国と隣接する王国にもこの後を赴き、援助してもらえないかを頼むつもりでもあったのだ。

  口が裂けても帝国首都、帝国南部が疫病の狂天使に襲撃され壊滅状態であるとは言えず、更に帝国皇帝リプロ・デクリメンス・フォール・ゼナーガ、王弟シエン・ユネルメンス・フェール・ゼナーガが行方不明になっているこの状況など最早帝国が機能していないと言う事実にほかならない。

  無論帝国皇帝そして王の弟までもが行方不明というのであれば近隣諸国はどのような行動にでるのか・・・領土拡大の為に軍を派遣する。

  大義名分・・・皇帝とその弟を探す為に軍を派遣する。

  都市国、王国、魔法国、帝国・・・それぞれ人間が生存出来る狭き領土の中で生きている。

  しかしながら各国が互いに互いを尊重しながら暮らしているわけではなく・・・少なからずどの国にもわだかまりという物が存在するのが事実。

 

『・・・少し考えさせてくれ』

『いいのか?お前達そんな余裕があるとは思えないが・・・』


  ヴェルピルスが不快に笑いかける。

  そのことに対して深く深呼吸し、気持ちを落ち着かせジュラが語り始める・・・現在帝国で何が起きているのかを。

  そしてその事を聞いたこの場の全員・・・都市国、王国、魔法国の代表とも言える名のある人物達が言葉詰まらせる。

  それもその筈だ・・・ものの数ヶ月の間に国一つが壊滅状態になっているのだから。

  しかも今現在も疫病の狂天使の進軍は続いており、このままいけばいずれは帝国北部、東部、西部が壊滅してしまうかも知れないのだ。


『なるほど・・・だからお前が、皇帝の剣と言うべきお前がこの都市国に来たのか?』

『まさか都市国で暴れた四体の疫病の狂天使の傷が癒えない内にこのような事態になっていようとは・・・』

『・・・ジュラ・レイジスト・ウルエイオ正直に答えてください。疫病の狂天使は合計で何体ですか』


  口々に落胆の声や、信じられないと言う声が聞こえてくる。

  そんな中で、今まで黙っていた弓兵がジュラに質問してくる。

  質問に答えたいジュラだが・・・はっきり言って何体出現し、何体倒したのかが不明である為に答えられない。

 

『どうした?何故答えない?』

『おい!ヘルメスその口調は流石に不敬だぞ』


  ヘルメスと言われた弓兵はジルータを睨みながら答える。

  『自分は貴様の部下になったつもりはない』っと。

  そんな事を他所に、ジュラは考える・・・素直に話すべきか?それとも言わないべきか?

  素直話し、支援をしてくれるのであればそれでよい。

  しかしながら各国が各々の国の防備を固め、支援を拒否した場合・・・帝国の崩壊は秒読みと言っても過言ではない。

  支援がなければ帝国内の食料の受給に供給が追い付く事はない。

  相手は疲弊という概念があるのか分からない相手であり、それに食料を必要としているかは謎な存在だ。

  そして今現在の士気の状況では更なる被害が出てしまう可能性がある。

  同じ種族であったとしても考え方が違えば意味がない・・・対立するのであればそれは敵であり味方ではないのだから。

 

『・・・帝国に出現した疫病の狂天使の合計は不明だ。しかしながら私達南部に派遣した部隊は三十体倒したはずだ。それに帝国首都でも何体かの疫病の狂天使が倒しているのを目撃している』

『な!?三十ですと?そんな・・・我々の国に出現した疫病の狂天使よりも多いとは考えていましたがその数は・・・』

『残念ながらワルトさん帝国で暴れている疫病の狂天使はそれ以上かと』

『そうです・・・我々の国に暴れている疫病の狂天使はおおよそ百体・・・そして数よりも多いと予想出来ます』

『ひゃ・・・百体・・・だと?』


  ワルトの問いかけに答える気力すらないジュラの雰囲気が、事実だと告げているのを悟ったこの場の面々が一斉に静まりかえる。

  全員が静まりかえり、沈黙が場を支配する中ジュラは席を立ちそして頭を下げる。


『どうか・・・どうか!我々を援護していただけないでしょうか?』


  ジュラは懇願するように叫び、それに続くように同行して来たイッカ達も頭を下げる。


『帝国残された兵は残り僅かであり、今現在は帝国北部、東部、西部の砦を守っておりますが・・・それも疫病の狂天使が一気に攻め込めば帝国首都、帝国南部のようになるのは明らかです』


  ジュラが一拍置き気持ちを落ち着かせ、語る・・・『帝国が落とされれば次は王国、都市国であり、その次は魔法国』であると。

 

『・・・そうか。必要な情報は揃った。疫病の狂天使は帝国首都で暴れているのだな?』


  そう言ったのは魔法国の弓兵であり、ジュラが肯定するように頷く。


『おい!ヘルメス貴様また単独行動をするつもりか!?』


  明らかにヘルメスよりも地位が高そうなジルータの言葉を無視し、この場を去ろうとする。

 

『言った筈だ・・・私は貴様の部下になったつもりはない。私は一人でも疫病の狂天使を狩る』

『ヘルメス・・・あなた都市国を離れてから何があったの?都市国にいた時とはまるで別人・・・』


  ノロンが少し心配そうにヘルメスを見るが・・・ヘルメスから当てられた鬼気によって言葉を詰まらせてしまう。

  何がどうなっているのか分からないジュラを他所にヘルメスはこの場を去ってしまう。

 

『あ、あの・・・彼女は?』

『・・・彼女は嘗て都市国で暮らしており、私の組合の一人でした』


  ノロンが昔を懐かしがるようにヘルメスが都市国にいた頃の話をしてくれる。

 

『そうなのですか・・・しかしなぜそんな彼女は都市国を離れ魔法国に?』


  ジュラの問いかけに答えたのはジルータとヴェルピルスであった。

  話の内容を要約するとこうだ。

  都市国で起きた疫病の狂天使による大災害の最中、何処から途もなくあの弓を手に取り苦戦していた疫病の狂天使を次々に狩っていき、都市国を救った英雄に等しい存在なのだが・・・何を思ったのか都市国を飛び出して行き魔法国に入国したということ

  魔法国に入国してからは魔法の知識を貪欲に貪っていたらしとのこと。

  そして最も重要なのが・・・彼女、ヘルメス・T・アレイスティアの魔力、戦闘力が、魔法国において最強戦力である各魔法局局長の魔力に匹敵するほどの魔力を持っているいうことだ。


『あいつは疫病の狂天使の事を目の敵にしているらしいって噂は本当だったんだな』

『なるほど・・・であれば彼女・・・個人としは我々に協力してくれるのですか?』


  ジュラの少し嬉しそうな問いかけに対して帰った来た言葉は意外な答えだった。

 

『・・・残念ながらあいつに協力と言う言葉は存在しない。いや・・・嘗ては存在していたかも知れないが今のあいつは疫病の狂天使をどんな手段を使っても殲滅するだろうな。少ない時間だったがあいつに魔法を教えた時にそう感じたぞ』

『どんな手段を使ってもですか・・・』

『あぁそうだ・・・あいつはそんな奴さ』

『そんなことよりも・・・どうするのですか?皆さん、今この場で決めますか?』


  ワルトが都市国、王国、魔法国の面々に問いかける。

  ジュラ達、帝国騎士団を援助するのか?援助しないのか?


『俺は行くぜ!ちょうど暇してたしなぁ』

『おい!ヴェルピルス貴様!』


  ヴェルピルスが援助・・・ではなく自分自身が帝国に出向くと告げる。

  ジルータがヴェルピルスの事を抑制するも虚しく、気持ちは変わる事はなかった。


『私も国王に支援してもらえないか頼んでみます。それと・・・私達聖薔薇騎士団も帝国へと向かわせてもらいます』


  ソイル率いる聖薔薇騎士団の面々も増援に向かうと告げる。

  そしてワルト達都市国の面々も増援・・・とは行かないが帝国に対して援助してくれるとのことだ。


『すまない・・・我々には今支払える物はないが必ず・・・必ず・・・お返しする』


  ジュラを含むこの場に赴いた帝国の面々が一同に頭を下げる。



  帝国西部バルエラ竜王国との国境付近・・・


『へぇ・・・本当に結界がないんだなぁ』


  バルエラ竜王国から一人・・・結界を越えて竜人(ドラグニル)が帝国に侵入して来ていた。



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