帝国首都崩壊
災害級の疫病の狂天使が活動を停止したのはいいが・・・それ以上にまずい事態になってしまっている帝国。
現在帝国の状況を簡潔にまとめると・・・
帝国南部では帝国騎士団団長率いる大隊が未だに数十体の疫病の狂天使と戦闘をしている最中で、帝国首都も疫病の狂天使に襲われている真っ最中だ。
帝国南部へと赴いたシエン・ユネルメンス・フェール・ゼナーガ王弟は行方不明であり、未だに見つかってはいない。
帝国首都では参謀本部が最早機能しておらず、そして皇帝であるリプロ・デクリメンス・フォール・ゼナーガはクチルギによって襲われてしまっている状況だ。
マリアティアス達と対峙している帝国魔導団の先鋭部隊もエリカとアイカの炎によって仲間の半数以上を失ってしまっておりかなりまずい状態だ。
そして何よりも問題なのは・・・この状態を理解している者がマリアティアスしかいないのが大問題だ。
『く、くそがぁぁぁ!』
ディズが吼える。
突如として現れた二人の狂天使・・・今まで疫病の狂天使は明らかに違いそして、ディズの直感がヤバいと警報を鳴らしている。
様子見として放った魔法は純白の炎によって燃やし尽くされ、純黒の炎は水の属性魔法では鎮火させる事が出来なかった。
『何故攻撃魔法が燃えや尽くされてしまったのか?何故純黒の炎は水の属性魔法で鎮火出来なかったのか?』そんな疑問が浮かぶがそんな事を考えている場合ではなく、そしてそんな疑問を考えさせてくれる余裕も与えてはくれないようだ。
叫んだところでこの事態が収まるとは思えないが、それでも叫んでしまいたくなる時もある。
(くそ!?こいつはまずい・・・非常にまずいぞ!なんなんだあの炎は!?魔法が燃やされた?そんな魔法が存在するのか・・・)
少しだけ考えていたディズなのだが・・・エリカとアイカ、そしてマリアティアスは既に次の手を打っていたのだ。
マリアティアスが魔法を放つ。残り帝国魔導団の身動きを封じる為に風の魔力に乗せて放つ結界魔法。
水の属性魔法と風の属性魔法の融合魔法であり、マリアティアスオリジナルの魔法・・・『風花水園・睡果ノ縛木』この魔法は周囲を風の結界で覆い、さらに内側から水の結界を張る結界魔法だ。
さらにこの魔法は広範囲・・・『大海の如き水球牢獄』よりは広範囲ではないが複数人を捕らえるのにはもってこいの魔法だ。
何故なら・・・
『まずい!?何か仕掛けて来たぞ!皆散れ!』
マリアティアスの魔法が展開されるよりも早く逃げようとした帝国魔導団の面々。
右に左に、上下に、蜘蛛の子を散らすように逃げる帝国魔導団の面々だが・・・マリアティアスの放った魔法・『風花水園・睡果ノ縛木』はそれを許さない。
マリアティアスを中心に風の属性魔法が生き物のように帝国魔導団の面々を追いかけ・・・そして逃げ切れなくなった帝国魔導団の一人を捕らえる。
この魔法は決して人を傷つけるような魔法ではない、ただ捕まえる為に特化した魔法だ。
そして捕まってしまった人物がどうなるのかと言うと・・・風と水の結界魔法によって閉じ込められてしまった人物は配管を通るようにして魔法の中心・・・マリアティアス達のいる方へと流されてしまう。
次々とマリアティアスの魔法『風花水園・睡果ノ縛木』によってマリアティアスの元に戻ってしまう帝国魔導団。
無論、二重結界魔法によって閉じ込められてしまっており、結界を破壊しようと数名の魔導師が魔法を放つが・・・魔力を消耗してしまっている帝国魔導団では破壊する事が出来なかった。
『と、閉じ込め・・・られた・・・のか?』
災害級の疫病の狂天使を倒す為に一度に大量の魔力を失ってしまったディズ。
疲れ果ててしまったディズの顔には疲れだけではなく、絶望の色が浮かんでしまっていた。
必死に平然を装うとするが、それでもあまりの驚愕の出来事の連続によって精神が磨り減ってしまったのだ。
帝国魔導団団長という地位にいる上立つ者が不安がっていては部下が動揺してしまい、本来の力が発揮出来ないとう事はよくある話だ。
『さて・・・これで全員ですね』
最後の一人が戻って来たのを確認したマリアティアス。
各々の武器や杖を構える帝国魔導団だが・・・全員例外なく、顔色は優れてはいない。
自分達の魔法ではどうすることも出来ない。それでも戦う意識があるのは自身の誇りからなんのか?それとも絶対に退けない理由があるからのか・・・
『さて・・・エリカちゃんアイカちゃん』
『はい。お母さん』
元気よくまるで母親の言う事を聞く娘のように返事をするエリカとアイカ。
二人事を愛でるその姿こそは普通・・・母親のようではある。
その二人が異形な姿をしていなければ誰もが微笑ましく思っていたであろう。
『私はこれから少し用事がありますのでこの場を任せますよ』
『お、お母さん・・・』
不安そうにマリアティアスを見ているアイカ。
こんな姿になってしまっているが・・・これでもエリカとアイカはまだ子供なのだ。
それにまだ十分にこの力を扱えていない。
この場で最も力を持っているマリアティアスがこの場からいなくなってしまうのが不安なのだ。
そんなアイカ、そしてエリカを優しく抱き締め、必ず戻って来ると伝える。
そして・・・エリカとアイカであればこの場の面々を殲滅出来ると・・・
『わかったお母さん・・・アイカここは私がお母さんの役に立つよ』
『お姉ちゃん・・・』
『大丈夫・・・心配しないでお姉ちゃんがついているから』
『エリカ・・・アイカ・・・貴女達が不安な気持ちはよく理解出来ます。しかし・・・自信をもってください』
『私はあの頃の何も出来なかった子供じゃない・・・アイカこの力を世界を救う為に使おうよ』
そう言われて頷くアイカ。
そしてマリアティアスが魔法を解くと・・・帝国魔導団の面々を覆っていた結界が砕け散る。
つまりこれで帝国魔導団が自由になってしまったということだ。
『それではこの場任せますよ・・・』
そう言い終えるとマリアティアスが手を振るうと空間が皹割れ空間が裂ける、そしてマリアティアスがその中に消えてゆく。
マリアティアスが消えたと同時に皹割れ、裂けた空間が何事もなかったかのように元に戻る。
『あの女が消えた?それに俺たちを覆っていた結界が消えたのか?』
何が起きたのか理解出来ない帝国魔導団の面々。
しかしながら理解出来なくても自身の勘が警報を鳴らしている事がわかる。
自身が理解出来ない事は不安であり、そして理解出来ない出来事が起きたのであればより不安になってしまう。
帝国魔導団の面々は自分達の腕に絶対の自身をもっていた。
誰も彼もがなることは出来ない帝国魔導団。そしてその中でも中央に所属する者は一握りであり、まさにエリートと言われている存在だ。
努力だけでは届くことの出来ない地位にいるのにも関わらず、今日一日でありえない体験を大量に、一生分経験をしてしまった帝国魔導団の面々。
それによって心が磨り減り気力という気力が削ぎ落とされてしまった帝国魔導団の面々、それに対して向けられているのは叩きつけるような鬼気を放つ二人の天使のような存在。
彼女達が何者なのか理解出来ない。
何故さっきの防御魔法が意味をなさなかったのか理解出来ない。
そして何よりも・・・彼女達がどんな攻撃をしてくるのか理解出来ない帝国魔導団の面々。
その事が堪らなく不安であり・・・帝国魔導団の面々の恐怖を増大させる。
恐怖という物は戦いの場において重要であり、自身の身を守る手段の一つだ。
恐怖を感じる・・・つまり自分自身では勝てないと即座に理解出来る者であればその場から逃げるという手段を取る事が可能だ。
しかし・・・その恐怖も絶対に逃げる事が出来ない結界の中にいるのであれば話は別だ。
逃げる事の出来ない恐怖・・・その恐怖に帝国魔導団の面々が押し潰されてしまうのも仕方ないことなのかもしれない。
一つの銃声が鳴り響き一人の魔導師が魔力を失い落下し・・・地面に激突してしまう。
何事かと見た近くにいた帝国魔導師が地面に激突した魔導師を見ると・・・自身に銃口を突き付けた後が見えてしまう。
つまりこの魔導師は自殺してしまったのだ。
あまりにも絶対なる恐怖から逃げるために・・・
『お前達!』
ディズが最後の力を振り絞るようにして吼える。
仲間を鼓舞させる為に、自身を奮い立たせる為に。
『自殺なんて下らない事を考えるなよ!俺たちは生きる!あの化け者を倒してな!』
ディズの叫びに答える者はいない・・・しかし答えというようにエリカとアイカに向かって魔法が放たれる。
残り少ない魔力を使っての攻撃魔法。
しかし・・・その魔法ですらアイカの純白の炎が焼き尽くす。
そして帝国魔導団に襲いかかるのはエリカの消えることのない純黒の炎。
相手を燃やし尽くすまで燃え尽きることのないその炎はエリカの手足のように自在に動き姿を変え襲いかかる。
一人・・・かわしきれなかった帝国魔導団が炎の餌食となってしまう。
確実に・・・じわりじわりと削られていく帝国魔導団。
そしてその光景を見ているのは帝国参謀本部を強襲したアリセスとエール、そしてマリアティアスだ。
『マリアティアス様あの子達が我々の仲間となる者達ですか?』
まだ動きはぎこちないながらも帝国魔導団を相手に善戦しているエリカとアイカ。
その戦いを見ているエールが少し不安そうに問いかける。
エールの不安というのはエリカとアイカがまだ子供だということだけではなく、もっと他の・・・違う理由もある。
『えぇ・・・そうですよエール。あの子達は私達と同じ志をもっています』
『そしてあの子達はマリア様の為に命かけてくれる・・・だからマリア様はあの子達を仲間にしたのですね』
『その通りですアリセス。しかし・・・アリセスにもエールにもいつも言っていますが貴女達の命は絶対にこの私が守ります。絶対に・・・』
そう言ってアリセスとエールの方を見つめるマリアティアス。
そんなマリアティアスを相手にアリセスとエールもまた深いお辞儀をして答える。
『さて・・・アリセス、エール貴女方に命じます。あの子達エリカとアイカの戦いを見守っていてください』
『了解しましたマリアティアス様』
『あの子達であれば問題はないと思いますが・・・危険だと判断したら直ぐ様援護してください』
マリアティアスはアリセスとエールに向かって風の属性魔法・風による浮遊を発動させ、そしてエールに向かってナイフを投げる。
このナイフは全身が透き通るような澄んだ赤色をしているナイフで、魔法を斬る事が出来る。
しかしながら回数制限があり数回しか斬ることが出来ないが・・・
『それでは行ってきますね』
『行ってらっしゃいませマリアティアス様』
アリセスとエールに別れを告げてマリアティアスが飛んで行く。
帝国首都ダグマオーネに存在するとある地下室
この地下室を知っている者は帝国内において約10名程度・・・帝国皇帝リプロ・デクリメンス・フォール・ゼナーガとそして今この地下室にいる者しか知らない秘密の、地下室があるという事実すらなかったことにされた地下室であり、そしてこの場を守護する面々もまたその存在を無かった者にされた者達だ。
『・・・やけに騒がしいな』
そう呟いたのは一人のローブを着た人物であり、声がこもってはいるが男だと判断できる。
その顔には帝国の紋章が書かれた仮面を着けていて、表情を伺うことは出来ないが。
『あれが出たのだから時期に帝国内に出てきた疫病の狂天使は倒される』
『気にする必要な・・・』
ローブの男達が話していると、地下室を降りて来る足音が聞こえて来る。
足音に気がついた面々は即座に武器を取りだし臨戦態勢に入る。
足音が地下室と地上を繋ぐ為の階段の前で止まり・・・扉が開けられる。
その事に驚いているローブの男達。
それもその筈だ、この扉はかなり分厚く作られており数名の大人がいなければ開ける事が出来ないはずなのだが・・・その扉から入って来た人物は女性であった。
聖職者の衣装に身を包んだ女性であり、薄暗い地下室であっても美人だと容易に判断出来るほどだ。
一瞬の空白が生まれてしまうが・・・ローブの男達は直ぐ様に行動を開始する。
扉の近くにいた五名が女性に向かって手に持っているナイフで攻撃する。
ナイフにはぬらりと輝く紫色の液体が塗られていて、何か良くないものであるのは確かだ。
そして攻撃した五名に当たらないようにして後方からナイフが飛んで来るが・・・
『邪魔ですね』
聖職者の衣装に身を包んだ女性・・・マリアティアスが魔法を放ち飛んで来るナイフを打ち落とすと、攻撃して来たローブの男達を結界魔法で封じる。
何が起きたのか理解出来ていないローブの男達だが、マリアティアスの目的だけは理解してしまった。
マリアティアスが地下室の・・・厳重に、幾重にも防御魔法、結界魔法によって魔化された扉に触れたのだ。
特定の手順、そして特定の人物でなければ開ける事が出来ない扉。
その先にある者は世界のバランスを崩壊させる程の者であり・・・来るべき時に開けなければならない扉なのだが。
マリアティアスがその扉に触れ・・・そしてその分厚い聖書を開き無数の光輝く文字が出現する。
その文字はこの世界では見たことのない文字であり、その文字が扉に触れると・・・扉に付与されていた全ての魔法が砕け散る。
何が起きたのか全く理解出来ていないローブの男達。
マリアティアスの結界魔法によって身動きを封じられていて何もする事が出来ないが、それでも非常事態である事だけは理解し、ローブの男達は奥の手を使わざるおえなかった。
ローブの男達は懐から対魔術用抵抗魔導弾を使用してマリアティアスの結界魔法を破壊する・・・はずであった。
対魔術用抵抗魔導弾は確かに結界魔法に着弾した。しかし結界は壊れていないのだ。
もう一度撃つが、なにも変化はない。確かに撃っているので撃った後に出る消炎や、空の薬莢が地面に転がる。
『対魔術用抵抗魔術弾・・・確かにその弾丸は魔法を使う者にとっては天敵であり、脅威です。しかし・・・その弾丸で破壊できる結界魔法は一枚。多重に張られたこの結界魔法を破壊することは出来ませんよ』
マリアティアスがローブの男達ににこやかに笑いながら答える。
そして破壊された扉を開け放ち中に入って行く。
その中には壁から無数の鎖で拘束されている人物がいた。
無数の鎖で繋がれていながら祈るように手を組んでいる。
その人物は一言で言うと異形であった。
その人物は骨・・・で作られた鎧のような物を着ていて、純白で傷一つない奇妙な格好だ。
なぜかその骨の鎧には右腕がなくなってしまっているが・・・
鎧を着ている人物は女性なのであろう・・・鎧以外の服と言える物は着ていなく、痩せ干そってしまっていて明らかに不健康そうな感じだ。
『やっと見つけましたよ・・・』
そう言い終えると骨の鎖を着た女性を拘束している鎖を風の属性魔法で断ち斬る。
すると同時にその女性は物凄い速さ・・・普通の一般人では確認出来ない速さでマリアティアスの元までたどり着くと左の拳で正拳を放つ。
異常な振動を感じ取ったローブの男達が扉と反対方向、後ろを振り向いた先にいたのは吹き飛ばされたマリアティアスがいて、そして気がついた時には既に遅く、ローブの男達全員物言わぬ肉かいになってしまっていた。
『さすがに速い・・・』
そう言い終えると同時に地下室の天井をぶち破り、マリアティアスが地上へと出てくる。
そしてそれに釣られるようにして鎧の女性も地下室から出てくる。
『空中に逃げたのですが・・・まさか空中浮遊も使えるのですね』
マリアティアスが見ている先にいる鎧の女性。
骨の鎖の背中からは骨の翼が合計で六枚あり、それによって浮遊できるのかも知れない。
羽毛も、翼膜もない・・・骨しかないのも関わらずに何故浮遊できるのかは謎だが。
『さすがは女神の呪怨骨鎧・・・力では圧倒されますね』
鎧の女性・・・女神の呪怨骨鎧が声にならない咆哮をあげてマリアティアスへと一気に近づき渾身の一撃をお見舞いする。
圧倒な攻撃力によってマリアティアスの防御魔法に皹が入る。
今までどんな攻撃も、魔法も防いでいたマリアティアスの防御魔法に皹が入るということは・・・この攻撃がいかに異常なまでの攻撃力を持っているのか理解出来る。
事実・・・次の攻撃をかわしたマリアティアスの後ろにある砦の屋根が巨人にでも攻撃されたように破壊されたのだから。
『少し様子見・・・女神の呪怨骨鎧の威力を確かめようと思ったのですがこれでは私の身がもちませんね』
そう言いながら攻撃をかわし、その手に持っている分厚い聖書を開く。
すると聖書からは先ほど開いた時の光輝く文字とは違う、真っ黒な・・・光すら拒絶し反射しない文字が出てくる。
溢れでた真っ黒な文字は意識を持っているかのように動きだし、左右上下にマリアティアスを守るように展開する。
その光景を目の当たりにした鎧の女性・・・女神の呪怨骨鎧の動きが止まる。
今まで攻撃の手を緩める事がなかったが、何故か時でも止まったかのように止まってしまったのだ。
『・・・わかりますか?この力』
動きの止まった鎧の女性・女神の呪怨骨鎧に問いかけるマリアティアスであったが、その問に答える雰囲気は感じられない。
ただの一点、縫い付けられたようにマリアティアス・・・ではなくその手に持っている聖書を見つめている。
『貴女・・・いえ、元々一つだったのですから求めるのも当然ですね』
そう言いながら鎧の女性・女神の呪怨骨鎧に近づくマリアティアス。
先ほどとは逆に逃げる雰囲気は感じられない。
そして・・・目と鼻の先。
非常に近い距離にまでたどり着いたマリアティアス。
それでもなお離れようとしない鎧の女性・女神の呪怨骨鎧に真っ黒な文字が巻き付く。
鎖のように巻き付いた文字は次第に鎧を染め上げ真っ黒にしていく。
『さぁ・・・今こそ一つに』
マリアティアスが聖書を掲げる。
掲げられ、開かれた聖書からはこの世の物とは思えない・・・夢のような世界が広がっている。
本の中にもう一つの世界が存在するような・・・異質な聖書に引きずり込まれるように鎧の女性・女神の呪怨骨鎧が動きだし・・・
『神法・全ては女神元に』
鎧の女性・女神の呪怨骨鎧が聖書の中へと引きずり込まれる。
『これで残り3つ・・・先はまだ長いですね』
そう言いながら聖書を閉じるマリアティアス。
そして数分後・・・マリアティアスの前には戦闘を終えた面々が集結していた。
集結した面々を見て安堵、もしくは興奮している様子のマリアティアス。
帝国参謀本部より帰還してアリセスとエール。
帝国魔導団の先鋭部隊を壊滅させてきたエリカとアイカ。
そして・・・帝国皇帝をどのようにしたのかは不明だがクリルギもこの場に推参している。
『マリアティアス様』
『お母さん』
二組、四名が互いにお互いを見つめる。
マリアティアスからエリカとアイカの話は聞いていたアリセスとエールだが、その容姿が全くもって似つかわしくなかったからである。
マリアティアスからは何も知らされていなかったエリカとアイカが少し、敵意を露にしているからだ。
雰囲気、そしてその容姿や着ている服装からマリアティアスの関係者とはわかるが・・・説明されていないので警戒しているのであろう。
そしてこの二組、四名から距離をおくようにして四名を見ているクリルギ。
『さて・・・皆さん募る話もありますがまず先に行うべきことがあります』
そう言いながらマリアティアスが地面に手をつき、聖書を広げ無数の光輝く文字が地面に拡がり始める。
水が網目に沿うような感じに一瞬にして拡がった光輝く文字から一本の木が生えてくる。
その木は煉瓦や、石、木材からも生えてくる。
そしてその木からは真っ赤な果実が実っていた。
『これでこの地、帝国首都壊滅は秒読み・・・』
マリアティアスは優雅にそして不適に微笑む。




