表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/109

狂気の産声と共に・・・

  クチルギが産まれ初めて・・・本当に魂の底から願った事を実行しようとマリアティアスに願いその願いを聞き入れたマリアティアス。

  二度と自分と同じような悲劇を繰り返さないように・・・もう二度と自分と同じように孤児を人間兵器にさせない為にまず・・・根本的な問題である帝国、皇帝であるリプロを処刑すると宣言するクチルギ。

  しかし、その考えはマリアティアスによって却下されてしまう。


(良かったのか?とりあえず私は殺されないのか?)


  リプロを処刑をマリアティアスに止められ何故止めるのかと疑問の声を荒らげるクチルギだが・・・そんなクチルギに対してマリアティアスは優しく、優しく教える・・・ただリプロを殺してしまうのでは駄目だと。

  自分自身・・・魔導六刀・朽ちゆく(クチルギ・)奪刀(アークエイク)となった全ての人物の積もりに積もった怨みを晴らすべきだと。

  そしてその後に帝国を徐々に崩落させて行くべきと。


『狂ってる・・・お前は狂ってるぞ!』


  マリアティアスの狂言ともとれる帝国の崩落宣言を聞き、憤怒に駆られたリプロが吼える。

  マリアティアスの言っていることは理不尽しかなかったからだ。


『あら?私が狂っていると?』

『当然だ・・・私だけを怨むのであれば私だけを殺せばいい!しかし・・・何故だ。何故帝国までも貴様達は滅ぼそうとする!』


  マリアティアスに吼えるリプロだが、再び口を開こうとした時クチルギによって攻撃されてしまう。

  リプロの太ももは未だにクチルギの左腕が変化した槍によって突き刺さったままであり、動こうとしても深々と刺さった槍によって動けば激痛伴ってしまう。

  そしてもし下手に動こうとするとクチルギの・・・魔導六刀・朽ちゆく(クチルギ・)奪刀(アークエイク)の呪力によって殺されかねない。

  いや・・・クチルギがマリアティアス言う事を聞くのであれば死にたくなるような拷問を受ける可能性もあるが・・・


『耳障りなんだよ!貴様の言葉は聞くに耐えない・・・マリアティアス様こいつの喉を潰しても構わないですよね?』

『うーん・・・まだ待ってください。とりあえず貴方の質問に答えさせてもらいますね』

『な!なに・・・?』


  まさか自分の質問に答えてくれるとは思っていなかったリプロが動揺してしまう。

  クチルギもマリアティアスの言う事なら聞くのか黙ってしまう。

  まぁ・・・殺意の籠った瞳は未だに健在だが。


『とりあえず私が狂っていると貴方は思っているようですが・・・それは違います』

『違うとは?』

『私が狂って見えるのはこの世界が偽りに満ちているからです』

『い、偽りに満ちているだと!?』


  いったい何を言っているんだ?リプロがそんな雰囲気を醸し出していると、クチルギが舌打ちをしてリプロを睨む。

 

(そ、そう言えばクチルギの口調も変わっているな・・・何故だ?何故クチルギの口調がこうも急激に変わってしまった?やはり・・・この女クチルギが言うにはマリアティアスと言ったこの女が原因か?)


  リプロが考えた込んでいるとマリアティアスがクスクスと笑い出す。

  人を小馬鹿にしているような笑い方であり、好意を持てる感じはない。


『何も分かっていないようですね?まぁ・・・この世界の真実に気がついているのはほぼ存在しませんが』

『真実・・・?』

『この世界・・・何故脆弱な人間が未だに生きていけるのかということです』

『そ、それは・・・あの結界があるからだ!』

『それでは質問です・・・あの結界という物はどのようにして出来たのか理解していますか?』

『そ、それは・・・』


  分からない。何故あの結界・・・人間種と他種族とを阻む結界が作られたのかは誰にも分からず、そして誰にもその構造は理解出来ていないのだ。

  王国にも、魔法国にも、帝国にも・・・過去から現在に到るまで誰が作ったのか?どのようにして作ったのかは解明されていない。

  あの結界に対しては何も分かってはいない。

  何者かが意図的にあの結界に対しての記述や、文献が消去されたという見方も出てきているが・・・全ては謎のままなのだ。

  しかし・・・噂でしかないが結界を作れる人物が存在する。

  夢物語、おとぎ話の中に出てくる人物・・・女神セラフティアスだ。

  絶対なる力を宿し、人間を絶命から救ったと言われている存在であれば可能だ実際に・・・


『め、女神セラフティアスなのか』

『えぇ・・・そうですね。あの結界は女神セラフティアス様によって作られました』

『そ、そんなこと・・・』

『ありえない?そんなことは無いはずですよ』

『何を言って・・・』

女神(オラクリリス)呪怨骨鎧(ジルギルメイル)


  その言葉を聞き、一気に青ざめるリプロ。

  どうやら絶対に知られてはいけない秘密をマリアティアスは知っているようだ。


『何故知っているんだ?そんな顔をしていますね』


  クスクスとイタズラっぽく笑うマリアティアス。

  このような状況でなければ心が動いてしまいかねない小悪魔的な笑みだ。

  それに対してリプロは絶望の底にいるような顔をしているが・・・


『知っています!知っていますよ・・・王国、魔法国に存在する残りの魔導六刀も、そして残り2つの・・・』

『なん・・・だと!?』


  信じられない・・・そんな顔をするリプロとは対象に何を言っているのか分かっていないクチルギ。

  どうやらクチルギは理解していないようだ。


『何故知っているのかは教えてあげません・・・そして理解した、理解してしまいましたか?』


  舌を出してイタズラっぽく答えてリプロをからかうマリアティアス。

  そしてマリアティアスはリプロの耳元で囁く王国、魔法国に存在する残り2つの女神の・・・について。


(な、・・・何故帝国だけなく王国、魔法国の最重要秘密までこの女が知っているのだ?この女は何者だ!)


  マリアティアスを見つめるリプロ。

  その瞳には正体不明・・・底の見えない、何も理解出来ないという恐怖の瞳をしている。


『マリアティアス様その・・・女神(オラクリリス)呪怨骨鎧(ジルギルメイル)って何ですか?』

『それについては出会った時に教えて差し上げます。まぁ・・・クチルギは知らなくてもいいことですが』

『そうなのですか?』

『えぇ・・・女神(オラクリリス)呪怨骨鎧(ジルギルメイル)は・・・あのお方にとって必要な物なので』

『お、お前の言う偽りに満ちた世界って・・・』

『そうです!この世界には女神セラフティアス様がいない・・・つまりその事が偽りなのです』

『なら・・・』

『えぇ・・・私が願うのは女神セラフティアスの再降臨。まだ彼方にいる女神セラフティアスと彼らを此方に来させる為に私は行動しているのです』


  リプロは最初に出会った時にマリアティアスの事を狂っていると思った。

  帝国の秘密であるクチルギ・・・魔導六刀・朽ちゆく(クチルギ・)奪刀(アークエイク)にされてしまった孤児達を思って行動を開始したと思っていた。

  しかし違ったのだ。確かにクチルギの事も思っているようだが、それ以上にこの女・・・マリアティアスは女神セラフティアスの再降臨などという馬鹿げた理想を掲げ、それを実行しようとしているのだ。

  自身の目的を邪魔する者は全てを葬り去り、障害となる物全てを消し去る・・・そんな狂人の戯言のような実行不可能な事を初めようとしているのだ。


『私は私の目的を実行する為なら努力は厭わない・・・手段は選ばない・・・それがこの世界を救うと信じているからです』

『信じているだと?』

『えぇ・・・信じていますよ。この世界に救いはなく、この世界に希望がありませんので』

『ハハ・・・アハハハハ!』


  その言葉聞き、狂ったように笑い出すリプロ。

  いや・・・実際に狂ってしまったのかも知れない。

  あまりにも現実離れした出来事の連続によって頭がおかしくなってしまったのか、そんな姿を哀れむような瞳で見つめるクチルギ。

 

『言うじゃないか狂人者・・・この世界に救いはないと?』

『えぇ・・・そうですよ。実際にクチルギのような存在がいるのですから』


  マリアティアスは横目でクチルギの方を見る。

  クチルギもまた人ならざる自分の・・・リプロの刺さっている槍を見つめ思い出す。

  マリアティアスに言われた事を・・・

  自分のこの忌まわしき身体はマリアティアスの力をもってしてもその呪いは解くことが出来ないと。

  そしてその呪いを解くことが出来るのは女神セラフティアスしかいないと。

  そんな事を思い出していると、先ほどまで狂ったような顔をしていたリプロが悲しい顔をしている。

 

『だったら何故疫病の狂天使を操り帝国を滅ぼそうとする!あれらによってどれ程の被害が出たか・・・あれらによってどれ程の人間が殺されたのか分かっているのか』


  今にも泣き出しそうな顔のリプロ。

  今、このマリアティアスと話している最中でさえ帝国本土、確認は出来てはいないが帝国南部が疫病の狂天使によって襲われているのだ。

  その事実は変わりなく、そしてマリアティアスの言っている救いも、希望も根こそぎ奪っていると。

  しかし・・・リプロの魂の叫びに帰ってきた答えは意外な答えであった。


『なるほど・・・貴方は私が疫病の狂天使を操っていると、それは違います』

『何を言っているんだ貴様は?』

『私は疫病の狂天使を操ってはいません』


  マリアティアスから言われた衝撃の事実に言葉失ってしまうリプロ。

  しかしすぐさまその言葉が嘘だと言い放つ。


『嘘ではございませんよ?』

『そんなこと信じられるか!絶対嘘に決まっている』

『うーん・・・困りましたねぇ。嘘ではないのですが』

『だったら何故疫病の狂天使は今この瞬間帝国を襲っているんだ!?貴様が疫病の狂天使を操って帝国を襲わせたからじゃないのか?』

『違いますよ。私はただ・・・導いているだけです』

『導いているだと・・・?』

『えぇ・・・私が帝国に来る以前から疫病の狂天使は帝国で暴れていました』


  そう言われて思い出してみるリプロ。

  確かに疫病の狂天使の出現は数百年前から確認されている。

  それは帝国の歴史よりも古いとされていて目の前女性・・・マリアティアスの年齢はどう考えても30代前後であり、疫病の狂天使が出現した時期と考えても絶対にありえないと断言できる。

  しかし・・・過去の記録を調べても疫病の狂天使がこれほどまでに大量出現した記録はない。

  それにどう考えても意図的に帝国を襲っているとしか思えないこの状況。

  だが・・・どう考えてもありえないのだ。

  一度にこんなに大量の疫病の狂天使が出現し、帝国を襲っているというのは。


『信じらないな・・・』

『そうでしょうね・・・人間という者は自分達の都合のいいようにどうしても考えてもしまうものです』

『・・・この惨状がか?』

『えぇ、そうです。私はただ・・・きっかけを与えてあげてるだけに過ぎず・・・彼ら、彼女達が今この帝国を襲っているのは帝国が憎いからなのですよ』

『疫病の狂天使に感情があるとでも・・・?』

『感情はありますよ。いえ・・・正確にはその感情しかありませんが。そしてその感情というのは・・・』


  マリアティアスが一拍置き答える・・・その感情とは負の感情であると。

  その人物が元々持っている怨み、妬み、罪悪感や悲しみ等の感情が詰め込まれた存在であると。


『その人物だと?』

『えぇ・・・そうです。疫病の狂天使は元々は人間ですよ』

『うそ・・・だ・・・』

『受け入れがたい事実だと言いたいようですが、事実です。そして・・・疫病の狂天使が帝国を襲っている理由は帝国に対して怨みがあるからです』

『怨みだと・・・』

『えぇ・・・そうですね。一つ、悲しいお話をしましょうか』


  そう言ってマリアティアスは話し出す。一人の少女が疫病の狂天使になるまでを・・・

 

『そんな・・・事が・・・』

 

  マリアティアスの話を聞いて青ざめるリプロ。

  何故青ざめてしまったのかというと・・・リプロは今マリアティアスが話した事を知っているからだ。

  それはリプロの部下の子供の出来事であり、今その部下は既に死んでしまっている。

  そしてその部下が死んでしまった理由は・・・その部下の屋敷が疫病の狂天使に襲われたからと聞いている。

  何故その事をマリアティアスが知っているのか?そんなことよりも様々な感情がリプロを支配してゆく。

  罪悪感が、憤りが、そして・・・絶望が・・・


『じゃ・・・じゃ・・・教えてくれ。疫病の狂天使となってしまった者達はどうなるんだ?』


  掠れるような声でマリアティアスに問いかけるリプロ。

  先ほどからショックの連続であったのか既にリプロは満身創痍であり、とても皇帝としての威厳がなくなってしまっている。

  そして何故か急激に老け込んでしまったようにも思える。


『それはですね・・・』


  リプロの質問に答えようとしたマリアティアスが口を閉ざす。

  何故止めたのか・・・その理由はマリアティアスが開いている分厚い聖書を見ているからである。


『どうやらあの子達が来るようですので後のことは頼みますね』


  そう言ってこの場を去ろうとするマリアティアス。

 

『な!?ま、待って・・・グがぁぁ』


  マリアティアスを引き留めようとしたリプロが今まで黙っていたクチルギが蹴りを喰らわせたのだ。

 

『マリアティアス様お話を聞いて自身の罪を悔い改めると思ったのですが・・・まだ分かっていないようですね』

『わ、分かっていないだと・・・』

『マリアティアス様の行動を妨げることは許しません。マリアティアス様あとは私が』

『頼みますねクチルギ。あぁ・・・そうでした。帝国に存在するもう一つの魔導六刀もその内合わせてさしあげますよ』


  そう言いながらこの場を去ってゆくマリアティアス。


(もう一つの魔導六刀だと・・・まさか!?)


  リプロが何かに気がつく。

  しかし・・・時既に遅くリプロの脇腹を激痛が遅いかかる。

  何事かと思って脇腹を見てみるとそこには深々と突き刺さる短剣があった。

  リプロはこの短剣に見覚えがある。この短剣はリプロが近衛兵のみに支給した短剣であり、リプロに近衛兵として認められた証でもある短剣だ。


『ぐ・・・がぁぁ・・・』


  痛みを必死に耐えるリプロだが傷口からは血が出ていて、このままでは死んでしまいかねない。


『さて・・・貴方はもう既に瀕死、その身体じゃ反撃することも逃げることも出来ない。だからまずは・・・』

 

  そう言い終えるとリプロに突き刺している細長い槍を引き抜く。

  そしてクチルギは逆襲を始める・・・リプロと彼に仕える近衛兵に対して。



 帝国首都ダグマオーネ上空


  リプロ達のいる地下施設から抜け出してきたマリアティアスは災害級の疫病の狂天使が出現した場所へと来ていた。

  災害級の疫病の狂天使の遥か上空で待機しているマリアティアスを見つけるには、同じく同程度の高さまで上らなければ見つけることは出来ないと言っていい。

  さらに言うならば今は戦闘の真っ最中であり、そんな・・・遥か上空を確認する事が出来る人物は数名程度であろう。

  そして何故マリアティアスがあの地下施設を離れ、災害級の疫病の狂天使の出現した場所まで来たかと言うと・・・誕生の瞬間に立ち会う為だ。

 

『もうすぐ・・・もうすぐなのですね』


  炎に包まれてしまっている災害級の疫病の狂天使を見ているマリアティアスは頬が紅潮し、瞳は潤んでいる。

  今から行われるのは神秘の出来事・・・

  誰もが望む全てが優しさで満ちている永遠の理想郷から自らの意識で離れ、この理不尽な・・・残酷な現実へと戻って来る二人の少女。

  全てが優しく誰もが幸せに暮らしていける事を約束されている理想郷から何故彼女達は戻って来るのか?

  あの理想郷にいれば何も苦しいことはなく、何一つ不自由のない生活が約束されている。

  しかし彼女達は戻って来る。

  『何故?』と理想郷に住む天使が少女達に問いかける。

  『あんな残酷な世界に戻る必要はない』っと同じ年齢くらいの少年が叫ぶ。

  『ここが嫌なのですか?』っと絶世の美女・・・女神様が残念そうに見つめる。

  だが、どの言葉も少女達を引き留める事は出来なかった。

  何故彼女達がそんな・・・夢のような場所から出ていかなければならなかったのか?

  その理由は・・・


『始まった!』


  災害級の疫病の狂天使から突如として溢れ出す白い・・・真っ白な純白の炎。

  その炎は先ほどまで炎に包まれていた疫病の狂天使を包み込む。

  マリアティアスの見ている先には何事かと動揺している帝国魔導団がうろたえている様子が手に取るようにしてわかる。

  突然自身の放った炎の魔法で相手を燃やしている最中に、白い炎が溢れ出したのだ動揺してしまうのは仕方のないことなのかもしれない。

  それに・・・この真っ白な炎が何なのか知らないのであれば尚更だ。

  そしてほどなくして真っ白な炎が全身に回ってしまった災害級の疫病の狂天使。

  するとすぐさまに真っ白な炎が霧散する。

  焼け焦げてしまった災害級の疫病の狂天使。

  所々が炭化してしまっているのか朽ちてしまっている。


『さぁ・・・誕生の瞬間です』


  今起きた事が理解出来ない帝国魔導団の全員の動きが止まる。

  信じられない・・・そんな表情の帝国魔導団の目の前にあるのは災害級の疫病の狂天使のお腹であり、それが皹割れてしまったからだ。

  ただの皹割れなら何も帝国魔導団全員が動きを止める事はなかった。

  ・・・その皹割れたお腹から溢れでる黒い・・・どす黒い純黒の炎がなければ。

  そして突如として大気が震え、地鳴りのような音が聞こえて来る。

 

『ぴぃぃぃぎゃぁぁぁぁがぁぁぁぁ!!』


  狂気に満ちた叫びと共に災害級の疫病の狂天使のお腹が割れ、真っ黒な炎と共に現れる二人の人物。

  帝国魔導団全員が一目で理解する・・・あれはこの世の者ではないと。

  何故ならその二人には翼があり、そして天使の輪のような物があったからだ。

  二人の翼はかなり立派で、体格と同程度に大きく今は畳んでいるが拡げたらこの世界・・・もしかすれば成人した竜人(ドラグニル)よりも大きな翼かもしれないほどの翼だ。

  肩の部分から足元まで伸びた立派な翼だが、その翼は片方しかなかった。

  姉妹・・・とも言えるかもしれない少女達の姉には右肩に、そして妹には左肩にそれぞれ真っ白な純白の翼を持っている。

  そして二人の少女の片方二人の少女の翼の無い方・・・左側と右側には血で出来たような真っ赤な枯れ枝の翼ある。

  本来天使が一つしか持っていない天使の輪は、少女達には二つあり白と赤い二重の輪になっている。

  そして二人の少女の左右の瞳が背中の真っ赤な枯れ枝の翼のように 、瞳が真っ赤で人間の白目に当たる部分が黒くなっている。

  明らかにこの世界の者ではない・・・異常雰囲気の少女達だ。

  そしてマリアティアスはその少女達を抱き締める。

  母親が子供を抱き締めるように、優しくそして力強く・・・


『お母さん・・・戻ってきてしまいました』

『大丈夫ですよ・・・大丈夫です』

『お、お母さん・・・ひっく・・・うぁぁ』

『あらあら・・・』

 

  二人の少女の一人、妹の方が堪えきれず泣き出してしまう。

  その少女の涙を拭い去りマリアティアスはもう一度、今度は優しく、優しく抱き締める。


『お母さん私達・・・』

『そうですね・・・まずはこの言葉がふさわしいですね』


  そう言って一拍置き、二人の少女を見つめるマリアティアス。


『お帰りなさいエリカちゃん。アイカちゃん!』


  その言葉聞き、一気に泣き崩れてしまう二人の少女・・・エリカとアイカ。

  そしてそんな異様な光景を何もする事が出来ずにただ見守ることしか出来なかった帝国魔導団が動き始める。

  目の前で行われた奇妙な・・・意味不明な再会劇に向かって魔法を放つ。

  帝国魔導団の結論としてあの二人・・・三人はとても危険であり、帝国の脅威になってしまうと。

  しかし・・・帝国の精鋭達の放つ複数属性の魔法が防がれてしまう・・・真っ白な純白の炎によって。


『・・・お母さんには傷一つ付けさせない!』


  憎悪の宿った瞳で帝国魔導団を睨み付けるアイカ。

  その右手からは帝国魔導団の複数属性防いだ純白の炎が燃え上がってている。


『お母さんの邪魔する者は全て排除する!』


  次に行動したのはエリカで左手からは燃え盛る純黒の炎が、帝国魔導団に向かって攻撃する。

  帝国魔導団の連中も魔法によって防ごうと防御魔法を展開するが、アイカの純白の炎が帝国魔導団の防御魔法を焼き尽くす。

  その純白の炎は土の属性魔法であろうが、水の属性魔法であろうが・・・全ての魔法を燃やし尽くしてしまう。

  そして帝国魔導団に襲いかかる純黒の炎。

  間一髪でかわしたディズと水の属性魔導師が仲間の純黒の炎を消そうと水の魔法を放つ・・・しかし純黒の炎を鎮火させる事は出来なく燃え尽きてしまう。


『私達がこの世界を変える!』


  エリカとアイカが同時宣言する・・・この世界を変えると。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ