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女神に届く純粋なる願い

  マリアティアスと別れたエリカとアイカは必死に走る。

  月明かりと自身の小さな魔法の火を頼りに森の中を必死に走ってはいるが、何分何も知らない森の中なので感覚が狂ってしまったのか立ち止まってしまう。


『ここは・・・』

『お、お姉ちゃん』


  不安そうにエリカの事を見つめるアイカ。

  その瞳はマリアティアスと別れたからのか、それとも見知らぬ森にいるからなのかは分からないが、涙を浮かべて不安そうな顔をしている。

  エリカはしゃがみ、アイカと目線が会うようにして話す。同じ目線になることで少しでもアイカの気持ちを落ち着かせるためだ。


『大丈夫・・・一緒にお母さんを助けよう』

『うん』


  アイカは泣きそうになる気持ちを押さえて頷く。

  既にエリカとアイカの体力は限界に近づいて、さらに見知らぬ森ということもあり不安で仕方ないはずだ。

  それに早く街に行かなければならないという気持ちが先走ってしまい、先ほどはただ必死に走っているだけであったようだ。


『大丈夫?少し休む?』


  エリカはアイカに休むかどうか聞くが、アイカ答えはNo。休まず街へ走ると答えを出す。

  エリカよりも幼いアイカはエリカよりも体力は少なく、そして多く体力を消費しているはずだが、アイカの瞳には落ち着いたからなのか再び強い光が宿る。

 

『それじゃ行こう・・・』


  エリカとアイカが少しの休憩を終えて再び走りだそうとした瞬間、物音が聞こえてくる。

  物音がした方を振り向くと其処には一匹の狼がエリカとアイカを睨み付けている。

  この狼の縄張りなのだろうか、エリカとアイカに出て行けと言わんばかりに喉を鳴らし威嚇している。

  襲って来ないのはエリカの手にある火を警戒しているからなのであろう。


『お、狼・・・』

『アイカ静かに・・・』


  エリカは右手の火で威嚇しながら立ち去ろうとすると狼の方に注意が散漫していた為に、足元の木の根に引っ掛かり転んでしまう。


『お姉ちゃん!』

『しまっ・・・』


  転んでしまったエリカを助けるようとしたアイカに悲劇が襲いかかる・・・


『きぃぃぃやぁぁぁ!?』


  突如アイカの魂を裂くような悲鳴が辺りに響きわたる。

  急いで起き上がるエリカの目の前には先ほどの狼に襲われたアイカがおり、狼はアイカに馬乗りになるようにして襲っている。


『アイカ!?』


  エリカは狼に向かって手に灯している火を近づける。

  それに怯んだのか狼は離れてゆくが・・・その口にはアイカから噛み千切ったのか血が滴っている。

  そしてアイカを見ると・・・狼によって噛み千切られてしまった右肩の肉が抉れてしまっていた。


『ぎやぁぁあやぁあぁ・・・痛い!痛い!痛い!?』


  抉られてしまった痛みに耐えきれずアイカが悲鳴をあげてのたうちまわる。

  エリカはアイカを食べようとしていた狼を撃退し終えると、急いでアイカの元までたどり着く。


『アイカ!?そんな・・・どうし・・・』


  未だに血が止まらずにのたうちまわっているアイカにそうすれば良いのか考えていると、エリカは母であるマリアティアスに言われた事を思いだす。

  『怪我をした時はこれを使いなさい。使い方は飲むだけでだから』っとマリアティアスかた言われていた物・・・ポーションを取り出す。

  このポーションはマリアティアスがエリカとアイカに再開した時に渡した物で、血のような赤い色をしている液体だ。

 

『待っててアイカ・・・これを飲んで』


  悲鳴をあげているアイカに落ち着かせるように促し、ポーションを飲ませると・・・直ぐ様に効果が現れる。

  狼よって噛み千切られたアイカの右肩が再生し血が止まる。

  抉れた筈の肉や噛み千切られた皮膚が再生したのに驚いているエリカに、痛みが引いたのかアイカが抱きついてくる。

  余程怖かったのか涙が止まらず、必死にエリカに抱きつくアイカ。

  エリカもまた泣き続けるアイカを抱き締め落ち着かせる。


『あ、ありがとう・・・お姉ちゃん』


  まだ泣き止んではいないが気持ちが落ち着いたようでエリカにお礼を言う。

  エリカもまたアイカのことを気にかけながら周りを確認しているが・・・アイカを襲った狼が再び襲ってくる気配はなく、周りからは物音が聞こえてこない。


『大丈夫アイカ?』

『うん!痛みは引いたよ・・・さっき飲んだのって』

『お母さんから貰ったポーションって言う物』

『ポーション・・・?』

 

  ポーションと聞いてピンと来ないアイカ。

  それもその筈である。今まで生きてきてエリカとアイカはポーションと言う物には一切縁がなかったからである。

  エリカは話では聞いたことがあったが実物を見たことはなかったが。


『あの瓶に入った液体のこと』


  そう言われてようやく思いだすアイカ。

  そしてアイカもまたポケットを探ると・・・紙に包まれた飴を取り出す。


『これもお母さんから貰ったの』


  そう言ってエリカに飴を差し出すアイカ。

  少しでも感謝の気持ちを現したかったのであろう。エリカはその飴を笑顔で受け取る。


  『ありがとうアイカ。それじゃこれを食べながら街に向かおうか』


  その飴を食べるエリカとアイカだが・・・その飴はただの飴ではなかったようだ。

  飴を舐めてから数秒後、先ほどまで疲れていたエリカとアイカから疲れが取れてゆく。

  顔色の悪かったアイカも元に戻り、その表情からは疲れが感じられない程に元気になっている。


『お姉ちゃん何だが私元気になかったよ!』

『私も・・・アイカ動ける?』

『うん。なんともないよ』


  そう言ってその場でジャンプしてみせるアイカ。

  先ほどとはまるで違い、いつも通りの元気いっぱいのアイカなっているようだ。

 

『お姉ちゃん・・・街に行こう』

『そうだね・・・お母さんを助けてもらおう』


  体力が回復したエリカとアイカはマリアティアスを助けてもらう為に街へと向かって走り出す。



『お姉ちゃん・・・あれ!?』

『灯り・・・でも?』


  街へと向かっているエリカとアイカの目の前に灯りが見えてくる。

  その灯りは複数存在し、どうやら向かっている方向はエリカとアイカが向かおうとしていた方向と同じ・・・街へと向かっているようだ。

  今は完全なる夜中で、上を見上げれば月明かりと星空の光が輝く夜である。

  そしてそんな夜中に、複数の灯りが移動しているのはかなり怪しいのだ。


『彼奴らの仲間・・・でも・・・』

 

  その灯りの連中が死刀の黒狼の仲間ではないか警戒するエリカ。

  当然である。今のエリカとアイカは死刀の黒狼から追われる存在であり、エリカとアイカでは死刀の黒狼には相手にならないのも理解している。

  そもそもこの場で捕まってしまったのであれば、今までの苦労が全て水の泡になってしまう。


『お姉ちゃん・・・どうするの?』


  そう言って不安そうにエリカに話しかけるアイカ。

  いくら傷が癒え体力が戻ったからといっても、その魂・・・精神の疲労は取れていないのだから。


(あれは誰!?もしあの連中だったら・・・だけどもしかしたら遠征から帰って来た騎士団かも)


  エリカは街に居たときに聞いた話を思いだす。

  街を巡回警備していた警備兵からの立ち話によると、この南部地方の街や村に遠征に出ていた騎士団の到着が予定より遅くなるという話だ。

  流石に少しだけしか聞くことが出来なかったので、詳しい話や、騎士団の人数は分からないが。

 

『・・・あの連中に助けを求めてみる』


  そう言いながら決意の瞳をしているエリカ。

  アイカもまた決意したらしくエリカと一緒に向かってゆく。

  先にいる連中も迫ってくるエリカとアイカに気がついたのか、その歩みを止めている。


『すみませ・・・』


  先にいる連中に追い付いたエリカが声をかけようとしたその時・・・エリカとアイカの歩みが止まってしまう。

  先にいる連中が誰か気がついたからだ。


『お前達は・・・エリカとアイカか!?』


  先にいる連中の中からエリカとアイカを呼ぶ声が聞こえ、その姿が露になる。


『村長・・・!?アイカ逃げるよ!』


  その姿を確認したエリカはアイカの手を引いて急いでこの場から立ち去ろうとする。

  先にいた連中・・・それはエリカとアイカが暮らしていた村の連中にであり、村長を筆頭に数名の男達が街に向かって移動していたのだ。

  そしてその中にはアイカの友達であるリアエの父もいる。


『逃がすな!あのガキ共を捕まえるんだ!』


  その言葉を合図に一斉にエリカとアイカに向かって駆け出す大人達。

  大人と子供では歩幅も、体力も、瞬発力も違うのであっという間に逃げていたアイカの腕を掴む男。

  その瞳は憎悪に燃えており、乱暴にエリカからアイカを引き離そうとする。


『アイカ!』


  エリカは引き離そうとする男に向かって行くと・・・その右手の火の属性魔法を男の腹に向かって殴り付ける。

  火の属性魔法によって右手が炎に包まれたエリカの右腕は威力を増しており、アイカを掴んでいた男が堪らずに手を離してしまう。

 

『近づくな!』


  燃え上がる右腕を突き出し、迫ってくる男達を牽制するエリカ。

  火の属性魔法としてはまだまだ未熟だが、火事場の馬鹿力と言うべきなのか、今までは蝋燭程度の火しか生み出すことの出来なかったエリカだが今は燃え盛る程に燃えている。

  堪らずに手が出せずに引く男達だが・・・その中で一人弓を構える男がいた。

  エリカがその男に気がついた時には既に遅く、男から矢が放たれる。


『ぎぃ・・・しまっ・・・』


  咄嗟に反応しようとしたがそれよりも早く放たれた矢がエリカの右肩を貫く。

  その衝撃によってよろけてしまうエリカに駆け寄ろうとしているアイカだが、先ほどまで怯んでいた男がアイカを掴み、拘束されてしまう。


『アイカ!』


  刺さった矢を気にもせずにアイカに駆け寄ろうとしたエリカだが、その足を止めてしまう。

  何故なら拘束さているアイカの首もとに剣が当てられたからだ。


『その火の属性魔法を止めろ!さもなくば・・・』


  そう言いながら剣を当てられているアイカの首もとから血が流れ出る。

  それに堪らずに怯えてしまうアイカ。


『分かった止めてくれ』


  アイカの為にその火の属性魔法を抑えるエリカ。

 

『大丈夫か?』

『い、痛てぇ・・・畜生よくもやりやがったな』


  そう言って起き上がる男。その男はアイカを捕らえようとしてエリカから攻撃を喰らった男であり、エリカの魔法が直撃した腹に火傷の後が見られている。

  男が起き上がりエリカを視界に捕らえると・・・エリカの腹部をおもいっきりぶん殴る。


『ぐぁぁぁ・・・う、うっヴぁ』


  吹き飛ばされ、堪らずに吐いてしまうエリカ。

  びちゃびちゃと音を立て腹部を押さえて踞り苦しむエリカに対して、男が今度は蹴りをエリカに喰らわせる。

  再び吹き飛ばされ木に激突してしまうエリカ。


『お姉ちゃ・・・』


  叫ぼうとしたアイカもまた男達によって暴行を受けてしまう。

  まだ幼いアイカに対しても容赦なく殴るその姿を見ていたエリカは歯を食い縛り、立ち上がり男手からアイカを解放しようと駆け出そうとするが男達が行く手を遮る。


『妹には手を出さないで!』


  痛みに耐えて必死に叫ぶエリカ。

  しかし・・・その願いが通じることはなかった。

  何故なら・・・


『お前達が逃げたから俺の妻は・・・』


  そう言いながらエリカ対して殴り付けるリアエの父親からは憎悪が感じられ、エリカに対して躊躇なく殴りつける。


『がっ・・・!?』

『お前達があの夜に逃げたから俺の妻は伯爵に売られたんだぞ!』


  地面に踞ってしまったエリカに対してその髪を引っ張り、顔を上げさせるリアエの父親。

  どうやらエリカとアイカがあの夜に逃げ出してしまった事によって、リアエの母親がエリカとアイカの代わりに伯爵へと売り渡されたのであろう。

  その腹いせにエリカをここぞとばかりに再び殴ろうとするが、村長によって止められてしまう。


『ウエルスキーよ。お主の怒りは分かるがこれ以上は流石に駄目じゃ』

『・・・村長』


  止められた事に苛立ったのか、リアエの父親が村長を睨む。

  エリカは村長にはまだ良心が残っており、自分達を助けてくれると思っていると・・・その期待を裏切るような一言が言い放たれる。


『この娘達には伯爵様へ売るのじゃからの』


  そう言いながらエリカに近づくと、品物を見定めるようにエリカを見ている。


『・・・えっ?』


  堪らずに声を上げてしまうエリカ。

  そんなエリカに対して村長はエリカとアイカが村を離れてから数日間の事を話始める。

  エリカとアイカが村を離れてから直ぐに捜索班を結成して周囲を探索するも結果は得られずに、そればかりか探索に赴いた一人の男性が腹を空かせた狼達によって殺害され、翌朝に無惨な死体となって発見されたこと。

  そして先ほどリアエの父親が言ったようにリアエの母親が、エリカとアイカの身代わりとして伯爵に売られてしまったことを。

  とても理不尽であり、エリカとアイカには全く非がないのに関わらずにこの仕打ちにエリカが、堪らずに泣きながら問いかける。

  何故自分達がこんな目に合うのかを。


『それがお前達の運命じゃ』

『う、運命・・・?』


  その問いかけに対して思わず聞き返してしまうエリカ。

  そして頷く村長。周りの男達も頷き賛同している。

 

『お前達はこうなるようにして生まれてきたのじゃよ』

『そんな・・・理不尽な・・・』

『この世界は理不尽で溢れておるのじゃ。そして大勢を生かすには仕方のないことなのじゃ』

『仕方ない・・・』

『そうじゃ・・・怨むのであればこの理不尽な世界を怨むことじゃな』

『どうして・・・どうして私達がこんな目に合わないと行けないの!?』


  怒りに身を任せて泣きながら吼えるエリカ。

  憎悪に身を支配され、全てを破壊する為に自らの魔法を発動させようとするが、エリカの目に前にアイカが投げ出される。

  投げ出されたアイカは気を失っているのか虚ろな瞳をしている。


『あ・・・アイカ?』


  思わずアイカに駆け寄るエリカ。

  息はしているがその全身はアザだらけであり、辛うじて生きているような状態だ。


(どうして・・・どうして私達がこんな目に。ただ私はお母さんと一緒に平和に暮らしただけだったのに・・・)


  エリカの瞳から涙が溢れてくる。

  この理不尽な世界での唯一の希望、自分達を最も愛しくれる存在であるマリアティアスの言葉を思いだす。 『純粋無垢な願いこそが成就されるべき願いであり、どんなに世界が理不尽でも、どんなに不幸が降りかかろうとも祈りを忘れてはならない』という言葉を・・・

  そしてエリカは願う・・・純粋無垢な願い『エリカ、アイカ、そして母親であるマリアティアスと一緒に平和に、平穏に暮らしている日常を』


『さて、このガキ共を運ぶ・・・』


  一人の男がエリカを掴もうとしたその時・・・理解不可能な出来事が起きる。


『え・・・あぁ・・・』


  エリカを掴もうとしていた男が崩れ落ちたのだ。

  何が起きたのか?それを理解するより早くそれは動き出す・・・


『な、何だ・・・これは木の枝!?』

『こっちに向かっ・・・』

『何が起きた・・・』


  突如として地面から噴水のように出てくる木の枝。しかしその木の枝はかなり太く人間の腕ほどの大きさになっている。

  その木の枝は意思を持っているかのように男達に襲い掛かり・・・男達を次々に突き刺してゆく。

  致命傷にはならないながらもある者は肩を、またある者は腹部を貫かれてしまう。


『理不尽な世界を変える・・・お母さんの為に!』


  エリカの叫びと共に無数の木の枝が矢のようにして一人の男を貫く。

  その男はエリカを痛めつけていた男で、無数の木の枝は余程の硬度なのか男の皮膚を貫通し、肉を抉り、骨を粉砕してしまう。

  壮絶な痛みを味わって男はこの世を去る。

  その姿を見ていた男達の顔が一瞬にして青ざめる。

  当然である。今まで一緒にいた人物が蜂の巣のように穴だらけになってしまったのだから。


『あ、彼奴が、彼奴が操っているのか!?』


  ただ一人、木の枝に貫かれていない村長が震えながらエリカを指差す。

 

『怨むならこの理不尽な世界を怨んでくださいね・・・』


  そう言い終えるとエリカとアイカの下から大量の木の枝が溢れだし二人を包み込む。

  それはまるで不気味な人間のように変形して、全長にして8メートル程度の巨人になる。

  ただしその巨人は全てが木によって出来ており、そして下半身らしき物は無く、木の幹のようにしてなっているが。


(ごめんねアイカ・・・でもこれで良かったんだよねお母さん)


『ば、化け物!?』

『な、何なんだよ一体?』

『ぎゃぁぁl・・・痛い!痛い!助け・・・』


  巨大な大木の化け物となったエリカとアイカは男達を殺し始める。

  エリカとアイカを理不尽に痛めつけ、そして売ろうとした男達は巨大な大木の化け物によって惨たらしく、そして残虐に殺されてしまった。

  ある者はその四肢を全て引き千切られ、またある者は極細の枝を全身の血管に入れられ、またある者は鋼鉄の強度をもっている枝によって圧死されてしまう。

  自分達の為に・・・村の為にと街に水の属性魔導師を探しに行った十人の男達全員はこうして全員死んでしまったのだ。



 帝国南部・・・死刀の黒狼アジトにて


  マリアティアス達によって心を折られ、最早戦う気力も潰えてしまった死刀の黒狼の面々は、アリセスとエールによって四肢の腱を斬られ身動きを封じられてしまっていた。

  マグザスの放った狂戦士(バーサーク)咆哮(グラスバイス)はマリアティアスの魔法によって解除されている。

  そして死刀の黒狼の面々は両足の腱を斬られているので立つことは出来ず、そして立ち上がろうとしても両腕の腱を斬られているので何も出来ない状況だ。

  ただ・・・五感は正常であるので今死刀の黒狼の面々が何をされているのかは分かるが。

  今まで散々悪さをしてきた死刀の黒狼は、その罪を悔いる程の仕打ちをうけている。

  つい先日まではそんな事は想像だにしていなかった死刀の黒狼の面々。

  誰が想像しただろうか・・・自分達が殺してくれと願うことなど・・・


『た、助けてくれ・・・』

『すまない。俺が悪かっただらかもう止め・・・ぎゃぁぁぁあぁぁ』

『ひっ・・・もう・・・うヴぁぁぁ』


  死刀の黒狼の面々による阿鼻叫喚。

  ある者は爪剥がされ、歯を抜かれ、そしてまたある者は全身の皮を剥がされ、そしてまたある者は刀によってぶつ切り状に斬られてしまっている。

  死刀の黒狼は言うのも憚られるような異常な、残虐という言葉では収まりきらない程の仕打ちを女性達から受けている。


『許す!?どの口がそんな事を言うの?』

『自分達が今までやった事を考えろ!よくも私の幸せを・・・よくも家族を!』

『死なんて生ぬるい・・・苦しんで苦しんで、生まれて来たことを後悔させて殺してやる!』

『絶対に許さない・・・』


  死刀の黒狼によって、人としての幸せを奪われた女性達はその溢れでる怒りをぶつける。

  死ぬことも許されない・・・女性達による拷問はまだ続くと思われていたが・・・突如として終わりを告げる。

  何故終わってしまったのか・・・その理由は死刀の黒狼のアジトに突如として現れた巨大な木の化け物にあった。

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