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全ては果てなき絶望の底で

 マリアティアス・V・ヘリエテレス。スヴァ都市国、セラフィア教会のシスターをしている女性なのだが・・・その正体はこの世界とは違う別世界の住人である。

 本来交わることはありえない・・・行こうとしても行くことができない世界。

 もしもあの時、別の行動をしていたら結果が変わっていた・・・そんな無数に広がる世界の一つにマリアティアスは住んでいた。

 いや・・・正確にはマリアティアス・V・ヘリエテレスという名前ではなかったのかも知れないが、今となってはどうでもよい。

 問題なのは、何故別世界にいる筈のマリアティアスがこの世界にいるのかが問題なのだ。

 マリアティアス自身が何がをした訳ではない・・・女神セラフティアス、彼女が原因なのだ。

 別世界とはもしもの世界。

 それはつまり裏を返せばこの世界と変わらない物や、人物もいたりする。

 姿形は変わっているが名称は同じであったり、同じような見た目の人物であっても性格が変わっていたり、差ほど変化していない場合も存在する。

 そしてマリアティアスの正体はと言うと・・・別世界の住人であり、別世界の女神セラフティアスだった。

 しかしながらこの世界のセラフティアスとは違いマリアティアスには、女神としての能力も、力も何もなかった。

 特別な力も持たない少女であったのだ。


『・・・あの時を境に世界は一転した』


 ある日突如としてマリアティアスの住んでいた世界は崩壊した・・・なんの前触れもなく。

 崩壊した原因は天変地異でも、人々が何かをしたわけでもない。

 決して交わることのない世界からの接触。

 それによってマリアティアスの住んでいた世界は崩壊してしまったのだ。

 別世界からの接触・・・世界の理を無視した行動をできるのは女神セラフティアスだけ。


『何故崩壊したのかは、もう調べることも困難・・・だって世界がないのですから』


 崩壊してしまった原因は不明・・・

 しかしながら本来死ぬ筈であったマリアティアスはその姿を変え、この世界にいる。

 セラフティアスの目的は別世界の自分自身であるマリアティアスの魂の回収。

 本来であればその肉体も持って来たかったらしいのだが、残念ながら別世界から移動する時の負荷に耐えきれず崩壊してしまった。

 なぜなら肉体は平凡な少女なのだ。

 当然とも言える。

 だがしかし・・・その魂はこの世界で女神と言われる理を無視した力を宿した魂であったが故に耐えきることが出来た。

 魂だけとなってしまったマリアティアスに、セラフティアスは自らの力を使い魂の器を作り、そして無理矢理マリアティアスの魂を入れた。


『あのまま死んでしまった方がよかった・・・』


 人造人間(ホムンクルス)としてこの世界に送り出されたマリアティアスには、セラフティアスからある呪いが付与されてしまった。

 その呪いとは不老不死。

 マリアティアスは死ぬことも、老いることもなくなってしまったのだ。

 呪いを解くにはセラフティアスからの使命を遂行しなければなく、その使命とは現世に存在する全てのセラフティアスの力が付与された物の回収。

 女神(オラクリリス)右腕(ディスカリバー)女神の(オラクリリス・)神眼(ロード・アイ)等であり・・・そして今、この場に全てが揃い女神セラフティアスは完全復活した。

 完全復活したことによってマリアティアスに付与されていた呪いは完全に解け、自由となった。


『だけどそれじゃ報われない・・・報われないよねぇ!』


 セラフティアスからの呪縛から解き放たれたマリアティアス。

 魔力とは違う力を使い魔法陣を展開させる。

 禍々しい色の魔法陣であり・・・言うなれば地獄のような、禍々しき魔法陣だ。

 しかしながらこの魔法陣を構成するのは魔力ではない。

 呪い・・・世界全てを怨むほどの強い呪いによって構成されているのだ。

 魔法陣としては小さいながらも、膨大な量の呪力。

 何故これ程まで膨大な量の呪力が込められているのかというと・・・この世界とは違う世界。

 かつてマリアティアスが住んでいた・・・崩壊した世界の全ての人々願いがこの魔法陣へと注がれている。


『復讐・・・とは違うかな?』


 そう言い終えると魔法陣に注がれていた呪力が解放し、マリアティアスへと注がれる。


『女神セラフティアス・・・貴女は世界にいてはいけない存在です。そして私も・・・』


 解放した呪力を吸収したマリアティアスの周辺に皹が出現し始める。

 空中なのにも関わらずに出現した皹はそのままマリアティアスを囲む。


『時間稼ぎのつもりか・・・』


 皹に囲まれたマリアティアスは、そのまま皹に呑み込まれてしまい・・・この世界からいなくなってしまった。



 黄金世界の優夢都・・・

 女神セラフティアスが作りだした世界であり、全てが完成された世界。

 なのだがその完成された世界に招かざる客が二体・・・竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジと最速の竜人(ドラグニル)ルーシャ・ルビー・イエウエスト・アリードライブが暴れている。

 しかしながらそんな二体よりもセラフティアスはマリアティアスの変化をどうかしなければならなかった。


『流石の私もあの二体と、あの状態のマリアティアスでは分が悪いですからね・・・』


 マリアティアスを別空間へと封じ込めることに成功したセラフティアス。

 完全復活したセラフティアスと言えども三対一では少々分が悪い。


『今のマリアティアスは私と・・・どうやら悠長にしている暇はないようですね』


 黄金世界の優夢都にて更に爆発が発生し、業火が拡大し始める。

 このままでは危険だと判断したセラフティアスは魔法陣を展開し、爆発があった場所へと転移する。

 するとその先にはオールとルーシャが暴れているのが視界に入る。


『・・・哀れですね。怨みに支配された者とは』


 セラフティアスの目の前にいるはオールとルーシャなのだが、その姿は少々変わっていた。

 竜人(ドラグニル)特有の翼、翼、尻尾に変化はないのだが、本来ある筈のない天使の輪が頭上に存在している。

 しかしながらその天使の輪は赤く、真っ赤に染まってしまっているが・・・


『セラフティアス・・・』

『殺す・・・』


 殺意に支配されてしまったオールとルーシャ。

 その瞳は殺意にまみれてしまっていて・・・とても正気とは思えないほどの殺意と、覇気を放っている。

 これはマリアティアスによって付与された呪いの影響で、今のオールとルーシャにはセラフティアスがこの世界で最も憎い存在へと変えられてしまっている。

 そう・・・自らの命が潰えたとしても倒すべき存在へと。


『剣よ、盾よ我が手に』


 セラフティアスの呼び掛けに答えるように右腕に剣が、左腕に盾が出現する。

 身構えるセラフティアスに対してルーシャの姿が視界から消える。


(速い!?)


 一瞬にしてセラフティアスとの距離を縮めたルーシャはそのまま黒銀の斬妖で斬りつける。

 今のルーシャはマリアティアスと融合した時とは違い速度、力、竜力は低下してしまっているが・・・それでも最速の竜人(ドラグニル)の名に恥じない速さは未だに健在なようだ。

 だがしかし・・・相手は完全覚醒したセラフティアス。

 黒銀の斬妖に当たる直前に盾で防ぐ。


『しかしながら反応できないほどでもないですね!』


 攻撃を防いだセラフティアス。

 しかしながら相手はルーシャだけではない・・・オールもまたセラフティアスに対して攻撃を放つ。


『竜気・刻拳弾!』


 オールが身に纏う竜力を拳に集中させ突き出す。

 するとまるで弾丸のように、圧縮した竜力が放たれる。


『理性を失っているはずなのですがねぇ・・・』


 オールの攻撃が放たれた瞬間即座に移動して攻撃範囲外に逃げ出すルーシャ。

 だがしかし、逃げ出すと同時に風の属性竜法を放つことによってセラフティアスをその場に拘束していた。

 身動きを封じられてしまったセラフティア。迫り来る竜気・刻拳弾が直撃するよりも速く次元転移(テレポーテーション)を発動させる。

 次元転移(テレポーテーション)とは自身を今いる場所から別の場所へと瞬時に移動させる魔法。

 つまり回避することも、相手との距離を縮めることも自由自在であり・・・セラフティアスはルーシャの後方へと移動していた。


(終わり・・・)


 ルーシャの後ろ、死角へと回り込んだセラフティアスはそのまま剣を振り下ろす。


『なに!?』


 そのまま直撃するかと思われたセラフティアスの攻撃なのだが・・・ルーシャのその長い尻尾によって防がれる。

 振り下ろそうとした剣を持っていた腕を尻尾ごと絡み取られ、身動きを封じられてしまったのだ。


『じゃま・・・だ!』


 身動きを封じられたとしても、まだ動かせる部分である脚を動かし蹴りを喰らわす。

 蹴られたことによって衝撃に耐えきれなかったルーシャはそのまま吹き飛ばされてしまい、セラフティアスが拘束から解放される。


『鎧よ・・・変化しろ!』


 オールの鎧が変化し、背中の鎧から竜力をジョット噴射の如く放出させ距離を一気に縮める。

 しかしながらルーシャほどの速さではないオールの動きはセラフティアスにとってかわすのは容易であり、次元転移(テレポーテレポート)を発動させて攻撃をかわす。

 セラフティアスの狙いはルーシャ。

 この中で最も素早いルーシャから倒すべきだという算段なのだ。


『斬波・神風!』


 神力を剣に集中させ・・・風の属性魔法を付与した斬撃を飛ばす。

 しかもたった一振りで数十発の斬撃を・・・


『無駄・・・』


 飛んで来る斬撃を難なくかわして見せたルーシャ。

 今度はこちらの番とでもいうように反撃しようとしたルーシャなのだが・・・その時既にセラフティアスは視界から消えていた。

 もちろんセラフティアスが使用した魔法は次元転移(テレポーテーション)

 なのだが今度は不意打ちではなく、真っ正面に出現する。

 振り下ろされるセラフティアスの剣・・・一瞬、反応が遅れたルーシャはそのまま斬らてしまった。

 だがしかし・・・そこは最速の竜人(ドラグニル)

 致命傷となる部分を上手く避けることに成功する。


『ぐっ・・・あぁ・・・』


 セラフティアスに斬られてしまったルーシャだが、まだ意識は健在。

 何とかセラフティアスを引き離そうと竜力を爆発的に解放する。

 ルーシャを中心に圧倒的な暴風が吹き荒れ、セラフティアスを直撃し・・・吹き飛ばされそうになる。


『この程度・・・』


 大きな、純白の翼を広げ空中に魔法を放つことによって暴風に抗う。

 一瞬、身動きを止めてしまったセラフティアスを見逃さなかったオールは鎧を変化させ特攻する。

 そして特攻すると同時にオールもまた竜力を解放し・・・周囲に結界が張り巡らされる。


『これは・・・』


 周囲に展開した結界を見た瞬間顔色が変化するセラフティアス。

 次元転移(テレポーテーション)を発動させ、別の場所へと移動しようとするが・・・


『封じられたか・・・』


 発動しない次元転移(テレポーテーション)

 オールの発動した結界によって先ほどまで使っていた次元転移(テレポーテーション)が封じられてしまったのだ。


『私が支配する世界で・・・いいでしょう。真っ正面から捩じ伏せて差し上げましょうか!』


 咆哮と共にセラフティアスの周辺に神力で作りあげられた無数の剣が出現する。

 本物の剣・・・というよりは刀身から柄まで全てが光輝いており、刃先が存在していない。

 しかしながらこの神力で作りあげられた剣の斬れ味は強力。

 今のルーシャでは防ぐことは不可能であった・・・

 そんなことを知らなかったルーシャは迫り来る無数の剣の餌食となってしまった。


『格が違うことを思い知れ!』


 無数の剣によりその自慢の機動力が奪わる。

 そして逃げることが出来なかったルーシャはそのまま串刺しにされてしまう。

 致命傷・・・串刺しにされたルーシャからは滝のように血が溢れだすが・・・ルーシャの瞳はまだ死んではいなかった。

 マリアティアスにかけられた呪いにより、セラフティアスを自らの命を擲ってでも倒すべき存在へと変えられてしまったルーシャは、自らの命と引き変えに竜法を解き放つ。


『風・・滅・・・万・・・・・・化・・・』


 ルーシャを中心に超高濃度に圧縮した暴風が出現する。

 その暴風は全てを呑み込むが如く、逆巻く風となりセラフティアスに襲い掛かる。


『この程度・・・この程度でこの私が殺られるものかぁぁぁぁぁ!』


 吸い込まれそうなるのを必死に抗うセラフティアス。

 風の属性魔法を最大限し、そして魔力で作り上げられた鎖を出現させ空中に楔を打ち込む。

 だがしかし・・・セラフティアスが戦っていたのはルーシャだけでなくオールもいる。

 セラフティアスよりも離れた位置にいたオールは、風滅万化の影響をセラフティアスより受けていなかったが為にその鎧を変化させ攻撃を放つ。

 狙いはセラフティアスではなく、セラフティアスが風滅万化に抗う為に作りだした楔であり、弾丸のように変化した竜力が直撃し楔が破壊される。


『き・・さま・・・』


 楔を破壊されてしまったことによってセラフティアスはそのまま風滅万化へと吸い込まれてしまった。

 吹き荒れる圧倒的は暴風はセラフティアスの身体を斬り刻み、吹き飛ばすが・・・


『思い上がるなよ・・・私の名は女神セラフティアス!この程度で死ぬつもりは毛頭ない』


 人よりも強靭な肉体を持っている筈の竜人(ドラグニル)でさえも抗うことが出来ない風滅万化に抗うセラフティアス。

 斬り刻まれ、吹き飛ばされた矢先に治癒の魔法によって再生することによって耐えている。

 しかしながらただ耐えているだけではない。

 セラフティアスは神力を一点に集中させ、この風滅万化を破壊しようとしているのだ。


『させ・・・ない・・・』


 セラフティアスが神力を集中している最中、オールもまた竜力を圧縮し閃光として放つ。

 風滅万化にオールの攻撃が加わり更にダメージを追うセラフティアス。

 数分、数十分の攻撃に耐えて切ったセラフティアスは神力を解放し・・・風滅万化を破壊する。


『消え・・・』


 風滅万化が破壊されると同時にセラフティアスの姿が消える。

 何処に行ったのか周囲を見渡すオールであったが・・・セラフティアスの姿は見当たらない。


『何処に行っ・・・これは!?』


 風滅万化が破壊され、セラフティアスがいなくなってしまったことに気を取られてしまったオールは気がつくのが遅れてしまっていた。

 先ほど展開した結界が破壊されてしまっていることに・・・


『いったいどう・・・まさか!?』


 結界が破壊されてしまったことに気がついたオールは、そのまま飛び立とうとしたが・・・残念ながら飛び立つことは出来なかった。


『結界・・・しかもこれは・・・』


 オールが飛び立てなかった原因は、セラフティアスがいつの間にか発動していた結界であり・・・その名は『女神が(セラフティアス・)造り出した(エヴォルズ・)結界の片鱗(エルドゥワン)』だ。

 つまりこの世界で最も強固な結界であり、今のオールでは撃ち破ることは不可能。

 だがしかし・・・セラフティアスにとってこの結界はただの時間稼ぎ。

 本命は・・・


『聖なる光によって滅せよ』


 オールの更に上空へと展開された魔法陣から魔法が降り注ぐ。

 結界に当たる直前に結界を解除、逃げることが出来なかったオールはそのまま魔法に焼かれ地に落ちて行ってしまった。


『はぁ・・・はぁ・・・こ、これで・・・』


 額に汗を浮かべ、苦痛で表情を歪ませるセラフティアス。

 その美しき美貌が少し歪んでしまったが・・・そんなことを気にしている様子はなかった。

 何故ならオールがまだ生きていたからだ。


『死に・・損ないが・・・』


 まだ生きているオール。

 しかしながらその鎧は砕け、皮膚は焼かれ、ところどころから血が流れてしまっている。

 自身の攻撃を耐えたことに、驚きを隠しきれていないセラフティアス。

 致命傷であり・・・最早動くことも儘ならないような状態なのだが、これもまた呪いの影響なのであろう。

 動けない身体を無理矢理鎧の力で動かし・・・咆哮が放たれる。

 鎧を変化させ、反動に耐えるようにアンカーを打ち込み、身体を固定しての咆哮はオールにとっての最後の一撃。

 自らの命を擲ってでの攻撃なのだが・・・かわされてしまった。


『決死の攻撃もこの程度・・・』


 既にセラフティアスの攻撃によって致命傷を負ってしまっていたオール。

 その攻撃をかわすのは容易であり・・・再び破滅の光が放たれる。


『魔力を使いすぎてしまいましたね・・・』


 オールとルーシャを葬ったセラフティアスは周囲を見渡す。

 戦闘の傷痕が生々しく残っており・・・バルエラ竜王国よりは被害が出ていないが、それでも先ほどの美しい光景は一転してしまった。

 木々は焼かれ、地は裂け、所々に戦闘の傷痕がみられる。

 この黄金世界の優夢都はセラフティアスが作りだした世界。

 なのでセラフティアスならばこの惨状、オールとルーシャとの戦闘が起こる前・・・何も破壊されていない状態に直すことも可能だ。

 現在セラフティアスの放った救ワレシ英雄ノ魂によって戦況は優勢なので問題はないが、この惨状をセラフティアスだけで立て直すのは少々時間、魔力と神力を使いすぎてしまう可能性が出てきてしまった。


『天使達に頼るしかないのでしょうね・・・』


 ため息を溢し女神の(オラクリリス・)神眼(ロード・アイ)を発動するセラフティアス。

 天使達にとって、女神セラフティアスとは何でも叶えることが出来る・・・文字通り神のような存在だ。

 そしてセラフティアス自身もこの黄金世界の優夢都であれば全てが思い通りになると確信していた・・・のだがそうも言っていられなくなってしまった。


『計画という物は予定通り進まないものですねぇ・・・まさかあの竜王を操るなんて』


 セラフティアスにとってマリアティアスが反逆することは薄々気がつていた。

 しかしながらマリアティアスの全てを監視できる訳ではなく、更にセラフティアス自身が黄金世界の優夢都と共に降臨してからは少し疎かになってしまっていた。

 完全復活ということに固執し過ぎたのが原因なのだが・・・今となっては後の祭り。

 仕方ないと割り切ったセラフティアスは女神の(オラクリリス・)神眼(ロード・アイ)を通して、天使達に黄金世界の優夢都を守るように指示を出している最中・・・不意に突如として世界が揺れ動く。


『この気配は!?』


 天使達に指示を出し終えたセラフティアスは即座に次元転移(テレポーテーション)を発動し、気配がした方向へと移動する。

 そして移動した先にいたのは別世界の自分・・・マリアティアスがそこにはいた。

 しかしながらその姿は変わってしまっている。

 頭には血を思わせるような真っ赤な天使の輪。

 背中からも同じような真っ赤・・・疫病の狂天使を彷彿させる六枚の翼。

 明らかに人外の存在であり・・・身に纏う雰囲気も格段に違っていて、その力はセラフティアスと同等だと言える。


『その力・・・呪力ですね?』

『えぇ、そうです。この力の源は魔力と呪力・・・貴女によって理不尽に崩壊させられてしまった。私がいた世界の人々の願いですよ!』


 魔力と神力を合わせ持った存在のセラフティアス。

 魔力と呪力を合わせ持った存在のマリアティアス。

 超常の力・・・世界の理を無視した力を持った二人の神の戦いが始まろうとしていた。

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