完全復活
女神の神眼を使いマリアティアスとオールとの戦闘を見ていたセラフティアスは歓喜に震えていた。
マリアティアスとオールとの戦闘により吹き飛ばされ地面に転がる女神の右腕。
自身の右腕であり・・・失われた身体の一部。
今までどれだけの月日が経ち、どれだけの年月が経とうとしても忘れることは出来なかった完全復活ということができるのだ・・・喜ばないわけないののだ。
正に幸福の絶頂。
そんな幸福の真っ只中にあるセラフティアスは、女神の右腕がオールの手から離れ、そしてオールが居なくなった瞬間に即座に周辺にいる天使の中で最も近い天使に持ってくるように指示を出す。
つまり今は女神の右腕を待っている状態だ。
『ついに・・・ついに・・・私の元に』
女神の右腕・・・自身の右腕が戻ってくるのを心待ちにしているその様子は、女神というよりは純粋無垢な少女を思わせるような感じのセラフティアス。
いつもと違う雰囲気のセラフティアスに周りにいる天使達は少々困惑しているようだ。
それもそのはず。
天使達にとって女神セラフティアスは母親のような存在。
そんな母親のような存在の者が、自分達と同じ少女のように振る舞うのはどうしても違和感があるのだ。
(セラフティアス様どうしたんだろう・・・)
(な、なんだか突然雰囲気が変わったよね)
(う、うん・・・で、でも何だか楽しそうだよ)
(そうだね。何だか知らないけど楽しそうだね)
(何か良いことでもあったんじゃないのかな?)
(そうだよ)
(きっと何か良いことがあったんだよ!)
セラフティアスに聞こえないようにコソコソ話をしている天使達。
しかしながらそのコソコソ話はセラフティアスにも聞こえており・・・自身が浮かれているのだと理解する。
(い、いけませんね・・・つい浮かれてしまっていたようです)
天使達の自分に対してのイメージが崩れてしまうのを恐れたセラフティアスは即座に気を引き締め直すが・・・時既に遅く、少々セラフティアスに対して天使達のイメージは変わってしまったようだ。
セラフティアスにとって、女神の右腕というのは身体の一部、当然取り戻すということは最優先。
何があっても取り戻さなければならないのだ。
何故ならば女神の右腕を取り戻すことによってセラフティアスは完全復活するからだ。
今のままでもセラフティアスは確かに強い。
だがしかし・・・完全復活したセラフティアスの力は今までに以上になるのは間違いなく、完全復活すれば何の心配もすることなく力を扱える。
今の状態・・・女神の右腕が戻っていない状況では、いくらセラフティアスだからと言っても、この世界全ての生物を殲滅することは不可能。
女神セラフティアスの描く世界は完全な世界・・・誰もが苦しみから解放され、幸福に満ちた世界を作り上げることが目的で、その世界には竜人はおろか他の種類は存在することすら許されない。
自らを慕い、共に共感することが出来る者のみ・・・天使達だけが存在すれば平和に、そして優しさで満ちた世界が完成される。
『もう直ぐ・・・もう直ぐで世界が・・・』
気を引き締め直したセラフティアスなのだが・・・その表情が一気に険しい表情へと変化する。
何故変わったのかというと・・・
『竜人・・・汚らわしき者が・・・』
女神の神眼を使い周囲を見ていたセラフティアスは、女神の右腕に数体の竜人が接近中であることに気がつく。
統一された武装に、上物の得物・・・そして身に纏うマントには竜王国の紋章。
この装備からセラフティアスは竜王国の中でも選ばれた者のみが所属している部隊だと即座に見抜く。
『このままでは天使達と鉢合わせか・・・』
このままでは回収に向かっている天使達と鉢合わせになってしまう。
回収に向かわせた天使ははっきり言ってそれほど強者ではなく・・・この部隊と衝突した場合確実に負けてしまう。
勝負など気にせず、女神の右腕のみを回収して撤退しようにも難しいであろう・・・
何故ならば女神の右腕は常にオールが持っていた物であり、記念の時や他国との戦いに勝利した時には必ずオールの手元にあった。
つまり、このバルエラ竜王国において女神の右腕はオールの所有物であることはほぼ全ての竜人が知っており・・・当然この部隊も知っているとうことになる。
そんなオール・・・自らの国の王が常に持っていた物が落ちているのだ。
何かあったと集まるのが当然であり・・・もしかすれば奪われる可能性もありうる。
『この絶好のタイミングで・・・』
即座に周辺にいる大天使に増援として行くように指示するセラフティアス。
セラフティアス自身が取りに行きたいのは山々なのだが・・・セラフティアスはまだこの黄金世界の優夢都から出ることが出来ない。
外の世界・・・黄金世界の優夢都以外の場所は、セラフティアスにとって有害な物質で溢れ返っており、息をするのも儘ならない世界となっている。
セラフティアス自身も何故このような状態になっているのかはわからなかったのだが、自身の作り出したこの世界・・・神力で充たされた黄金世界の優夢都であればなに不自由なく行動できている。
外の世界に干渉することはできるが・・・その干渉事態もあまり強く干渉できるわけではなく、長い時間干渉するのには相応の神力と魔力、そして気力も使う。
それにまだ数回程度しか干渉は行っていなく、干渉し続けることによってどのようなことが起こるのか未だに未知数なのも躊躇してしまう原因の一つだ。
『攻撃したとしても殲滅できるでしょうか・・・』
このままでは奪われ兼ねないと思ってセラフティアスは魔法陣を展開し・・・そして解き放つ。
『魔法陣!』
『上から来るぞ!』
移動している最中であった竜人達の上空に突如として現れ出る魔法陣。
突然の出来事であったが何とか攻撃をかわすことに成功する竜人もいれば、降り注ぐ魔法を防ぐ者もおり・・・大半の竜人がまだ健在。
『いったい何が・・・』
『わからねぇ・・・だけど気をつけた方がいいぞ!』
『気をつけるって・・・空にか?』
『空・・・というよりも更に上空のあれじゃないのかなぁ?』
そのことを指摘され上空・・・黄金世界の優夢都を見上げる竜人。
自身の住まう竜王国の上に覆い被さる大陸からの攻撃、正に目の上のたんこぶのを体現したような状況なのだが・・・どうすることも出来ないのはかわりない。
『どうする・・・』
『どうするって言っても・・・』
『逃げるしかないんじゃないの?』
『そうだな。俺達じゃどうしようも出来ないか・・・』
撤退しようとしていた竜人であったが・・・違和感を覚える。
その違和感とは・・・
『なぁ・・・今まで移動している最中に攻撃してきたことはあるか?』
『いや・・・ないぞ』
『ありませんね・・・』
『確かにそう言われてみれば・・・』
上空・・・黄金世界の優夢都から何故今になって攻撃が飛んできたのかを疑問に思っている竜人。
そんな疑問を思っていると遠方から此方に近づいて来る影を捉える。
『あれは・・・』
『天使だね』
『数はあっちの方が多いな』
『そうだが・・・』
そう言い終えるよりも先にまたしても上空から魔法陣が現れ・・・魔法が降り注ぐ。
『やっぱり!』
『あ、あぶねぇ!?』
『おい!知ってたなら教えてくれよ』
『言う前に攻撃してきたんだよ・・・それにどう考えてもこの攻撃は奴らのお仲間からだぜ』
『それは知って・・・まさか?』
『お前の考えは多分正解だ・・・こっちに近づいて来ている天使達は俺達より格下だ!』
『なるほど・・・だからこの攻撃で数を減らそうと』
『確かに理想・・・きゃぁぁぁぁ』
『しまっ・・・うぁぁぁぁぁ』
セラフティアスの放った魔法により倒される竜人。
被害が更に拡大していってしていき・・・天使達との数の差が更に広がる。
『これで少しは戦闘しやすくなりましたが・・・やはりここは犠牲を出してでも回収を優先させるのがいいでしょうね』
大いなる大義のために少数を切り捨てる。
本当はそのようなことをしたくはないセラフティアスだが・・・仕方ないと割り切り、天使達に指示を出す。
『了解しました・・・全てはセラフティアスさまのために』
セラフティアスからの指示を受け取った天使達は魔法を展開させる。
展開させた魔法はマリアティアスの使っていた魔法の劣化ではあるが・・・霞を生み出し、操る魔法の一種。
霞が広範囲に広がり・・・そして竜人達に襲い掛かる。
『霞・・・奇襲するつもりか?』
『だろうよ・・・だけどどうする撤退するか?』
『撤退して状況が変わるならな・・・』
『ならば選択肢は一つだな・・・それに乱戦状態なら魔法も飛んで来ないだろうよ!』
『き、決まりですね・・・い、一番槍は私が行きます!』
気の弱そうな女性の竜人が土の属性竜法を放ち、それに追従するように他の竜人も各種属性竜法を放つ。
しかしながら既に霞によって視界を遮られてしまっていた竜人達の竜法は、残念ながら直撃することはなかった。
『あ、危なかった・・・』
『どうやら彼方の方では此方の場所がわかっていないようですね』
『これで少しは時間を稼げるはずですね』
『貴方達は予定通り回収に向かってください!』
『了解です!』
霞が十分に行き渡ったのを確認した天使達。
女神の右腕を回収するために別部隊が霞に紛れ移動する。
そして回収部隊が移動してから数分後・・・霞の中に竜人が突撃し、戦闘が始まる。
『いたぞ!』
『これ以上進行を許すな!』
『一人も逃すなよ』
それぞれの得物を手にして攻撃を開始する竜人。
風の属性竜法を扱うことができる竜人を主軸に最低限度の視界の中で戦闘。
お互いにお互いをカバーしあい死角を埋めるように戦うが・・・残念ながら天使達は違う。
天使達の目的はあくまでも女神の右腕の回収であり、無理に戦闘する必要がない。
なので適度に攻撃を仕掛け、竜人をこの場に止めておけばよいだけなのだ。
(さて・・・早く回収してセラフティアスさまにお届けしないと)
(こっちです!)
(周囲に敵はいません・・・皆さんがうまく惹き付けてくれているようですね)
小声で喋りながら女神の右腕を回収する為に移動する天使達。
早く見つけて離脱したいのは山々なのだが・・・ことを急いで竜人に見つかっても意味はない。
そんなことを思って移動していると・・・天使達の前方から何かが動く音が聞こえてくる。
(何かいる)
(な、なんで・・・)
(ば、ばれたの!?)
何かが動く音を聞き身構える天使達。
そんな天使達が戦闘準備に入っている最中・・・突如として叫び声が聞こえてくる。
『な、何が・・・』
『叫び声?』
『これ・・・前から何か来ます!』
警戒する最中、突如として叫び声と共に何者かが現れ・・・そして攻撃がくる。
『ぎぃぃぃぃぎゃぁぁあぁぁぁ!』
叫び声と共に霞の中から現れ出たのは竜人なのだが・・・その姿は歪に、竜人とは思えないほどに歪んでいた。
顔の半分以上を多い尽くす異常発達した巨大な目玉。
片方の腕のみが尋常ならざる大きさになっており・・・全体的にアンバランスに発達ている様子で、竜人の象徴である翼はかなり大きく、地面に垂れ下がっていて尻尾の先が2つに割けてしまっている。
そんな歪な竜人の片手には天使達が回収するはずであった女神の右腕が握られている。
いや・・・握られているという表現よりは突き刺さっているという表現の方が正しい。
女神の右腕から何やら骨格を思わせるような・・・名状しがたき物質が腕に絡まり、その名状しがたき物質は竜人の心臓付近にまで到達してしまっている。
明らかに異常であり・・・不気味な異形の竜人だ。
『敵襲・・・』
天使目掛けて振り下ろされる女神の右腕。
咄嗟に防御魔法を展開した天使であったが・・・その防御魔法は紙切れのように切断され、天使もまた一刀両断されてしまった。
このままでは危険だと判断した天使達は即座に離脱しようと試みるが・・・
爆発的な加速をした異形の竜人によって距離を縮められ・・・そして呆気なく斬られ、光輝く泡へと変わってしまった。
(ま、まずい・・・まずいまずいまずい!?こ、このままじゃみんなが・・・)
目の前で仲間が倒されるのを目の当たりにしてしまって残り一人の天使。
焦り、不安、そして恐怖に支配されてしまいそうになるが・・・迷いは一瞬。手に持っている杖を起動させ、土の属性魔法を起動させる。
『ぐ・・・ヴァァァァァ』
土の属性魔法により異形の竜人を拘束しようと試みるが・・・案の定拘束は数秒程度しか意味がなく、簡単に破壊されてしまった。
だがしかし・・・ほんの数秒程度の拘束の合間に天使は持てる力の全てを使い、全速力でこの場から離脱していた。
逃げ出した天使を追うように追従する異形の竜人。
全速力の天使であったが・・・残念ながら異形の竜人の方が速く、徐々に距離を縮められ・・・そして霞を脱出するとほぼ同時に追いつかれ斬れてしまった。
他の天使達と同じように光輝く泡が溢れでるが・・・その行動は無駄ではなかった。
何故なら霞から抜け出したことによって今の状況をセラフティアスに教えることが出来たのだから・・・
黄金世界の優夢都・・・
女神の右腕が戻って来るのを待っていたセラフティアスは、あまりの出来事にその美貌が若干崩れてしまっていた。
『この状況・・・非常にまずいですね』
天使の命をかけた行動により、自身の右腕・・・女神の右腕が今どのような状態にあるのかを確認するセラフティアス。
『どのような理由かは知りませんが・・・この状況を打破する為には多少の犠牲も必要なようですね』
殺意と共に空中に魔法陣を描くセラフティアス。
そして女神の神眼を使用して未だに霞の中にいる天使達と連絡を取る。
『せ、セラフティアスさま?ど、どうしたのですか?』
突然女神の神眼の発動により困惑する天使達。
しかしながら困惑は一瞬にして収まってしまった。
何故一瞬にして収まってしまったのかというと・・・セラフティアスが女神の神眼の干渉能力を上げ、身体の支配権を完全に天使達から奪ったからだ。
つまり先ほどまで女神の右腕を回収する為に行動していた天使達は全員セラフティアスとなってしまった。
天使達・・・セラフティアスは周囲に拡散していた霞の魔法に対して解除し、霞が霧散し視界は徐々に露になり始める。
『霞が・・・』
『いったい何が起きて・・・』
『誰か術者を倒したのか?』
『ぼ、ぼくじゃないです』
『俺もちが・・・』
霞が晴れ始めると同時に、叫び声が周囲に響き渡り・・・怒涛の殺意が竜人に叩きつける。
『こ、これは!?』
異常な雰囲気を感じ取った竜人が振り向いた先に居たのは・・・異形の姿へと変貌してしまった竜人。
嘗ての面影は残っているが、その姿は自分達が知っている竜人とかけ離れてしまっている。
突然の出現に唖然となり、困惑している竜人なのだが・・・そんなことはお構い無しに異形の竜人は同胞へと突撃する。
『来たぞ!』
突撃し、攻撃を繰り出してきた異形の竜人を受け流そうと武器を構えるが・・・
『まさかあれは・・・受け流すな!よけ・・・』
異形の竜人の手に持っている武器の名を、女神の右腕だと気がついた竜人が避けるように指示を出すが・・・時既に遅く、受け流そうとしていた竜人は刀ごと斬り伏せられてしまった。
当然即死。
バルエラ竜王国最高峰の切れ味である女神の右腕であれば、刀だとうと鎧であろうと何のお構い無しに両断することが可能なのだ。
『なんなんだ・・・何が起こってるんだよ!?』
『知らねぇよ!』
『だけど確実に言えることは一つ・・・厄介な状況になってしまったということだ』
『ど、どうします・・・て、撤退しますか?』
『撤退してどうする・・・あの異形をほったらかしにするのか?』
『撤退したとしてもあれに暴れられるのは危険過ぎる』
『なら答えは一つか・・・』
『一つだが・・・殺れるのか?』
そう言いながら周囲を見渡す竜人。
そう・・・敵は異形の竜人の他にもまだ天使達が残っているのだ。
『攻撃し・・・来るぞ!』
『くそ・・・作戦もろくに練れねぇ!』
『各自散開!接近戦ではまず勝てないぞ』
作戦を考える合間にも攻撃を繰り出す異形の竜人。
異常発達した翼を羽ばたかせながら攻撃に対して距離を取り、竜法を繰り出す竜人。
しかしながら竜法が直撃したのにも関わらずに怯む様子もなく、距離を縮め・・・また一体の竜人が斬られる。
『怯みもしない・・・』
『だ、だけど、傷は負ってますよ』
『痛覚が存在してい・・・』
距離を取った竜人なのだが・・・セラフティアスに意識を乗っ取られた天使が魔法放つ。
各種属性魔法が飛び交い、直撃してしまった竜人。
油断はしていなかったが、それでも手数や相性の問題により傷を負ってしまった。
そんな恰好の獲物を異形の竜人が逃がすはずもなく・・・次々と餌食となってしまう。
『安全圏から・・・』
『このままでは不利です!』
『一か八か・・・あいつの注意を変えるしか方法はないらしいな』
何度か竜法を直撃させている竜人であったが・・・このままでは確実に全滅してしまう。
ならば一か八か・・・異形の竜人の注意を天使達に向け、三つ巴にしてしまう方が勝てる確率は上がる。
『判断が遅いですねぇ・・・まぁ、やらないよりはましですが』
セラフティアスに操られている天使もまた魔法放ち、武器を構える。
魔法を回避しながら天使達に近づき攻撃を繰り出す竜人。
そして遅れながらも異形の竜人もまた追いつき・・・三つ巴の戦いが開始される。
『ぎゃぁぁあぁぁぁ!』
悲痛な・・・世界全てを怨むような叫び声を上げながら次々に襲いかかってゆく異形の竜人。
応戦する竜人、天使もまた異形の竜人の攻撃の回避を最優先にしながらの戦闘。
魔法が、竜法飛び交い、剣劇が咲き乱れる。
『そろそろ・・・頃合いですね』
セラフティアスが空中に手をかざし・・・魔法陣が展開する。
そしてその魔法陣はバルエラ竜王国上空・・・三つ巴をしている場所に展開される。
『魔法陣!?』
『しかもこの大きさって・・・』
『ま、まさか・・・仲間ごと!?』
『回避し・・・』
『させませよ!』
『残念ですが既に手遅れです!』
突如魔法陣が展開したことに驚きを隠せない竜人。
逃げようとするが・・・天使達の魔法により進路を妨害されてしまう。
そして魔法陣が展開してから数分後、天に掲げた魔法陣から魔法が炸裂し・・・竜人、天使、そして女神の右腕を持った異形の竜人が魔法に焼かれてしまう。
その光景はまさかに神の裁き。
圧倒的な破滅の光によって全てを排除したのだが・・・セラフティアスの力の結晶である女神の右腕は無事であり・・・持ち主を失った女神の右腕が落下し地面に突き刺さる。
『殲滅完了・・・まぁ、犠牲は出てしまいましたが仕方ありませんね』
破滅の光が放たれた場所より、少し離れた場所で待機していた天使が女神の右腕の回収の為に動き出し・・・無事回収することに成功する。
何故、女神の右腕を持った竜人が暴れたのかはわからないので、風の属性魔法を使って触れないようにしての回収だが。
黄金世界の優夢都に存在する巨城にて・・・
無事女神の右腕を回収し終えたセラフティアス。
元々の原型が僅かに残る程度の女神の右腕に手をかざすと・・・光輝く泡へと変化する。
『やっと・・・やっと・・・私の元に!』
光輝く泡がセラフティアスに集まり・・・そして無くなっていた右腕が元に戻る。
完全復活したセラフティアスは翼を羽ばたかせバルエラ竜王国に舞い降りるのであった。