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俺の指圧がチートすぎる  作者: 佐藤謙羊
第3章 クラスメイトをxxxします!
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27 はじめての男

 ジェノサイドキッカーの最終奥義『真・メデューサキック』……!

 それは女に脚を押さえさせて逃げられないようにして、女ごと切り刻む技だった……!



「……シャアアーーーッ!!」



 蛇の威嚇音のような雄叫びとともに、再びうねるようなキックが襲い来る……!


 よけるのは別に問題ない。

 弾丸ですら死にかけの蚊のようにトロくさく見える、『バレットタイム』のツボを押しているからだ。


 正直、蛇というよりもナメクジだ。

 俺にとっては何の脅威も感じない。


 しかし……今はちょっとばかし事情が違う……!

 足元にすがる女がいるからだ……!


 振りほどいて逃げるのも、難しいことじゃない。

 身体が触れている以上、たとえ巨人に掴まれていても俺にとってはじゃれつく赤子のようなもんだ。


 俺を拘束するのがむさ苦しい巨人だったら、何のためらいもなくさっさと逃げていただろう。

 でも……今それをしちまうと……女だけが死ぬことになっちまう……!


 ……くそっ!


 俺は牙を剥くナメクジに背を向け、女の盾となることを決めた。


 わあっ! と待ちかねたような歓声が沸き起こる。



「……やった! 今度こそ、キマったぜっ!」



「最初のメデューサキックは偶然よけられたようだが、さすがに『真・メデューサキック』はよけられなかったようだな!」



「ああ! 間違いなく全弾ヒットしてる……! あたりに血しぶきが舞ってるぜ! これこれ! これだあっ! これがメデューサキックの恐ろしさだあっ!」



「食らったヤツは、原型がわからないほどズタズタにされる……! 顔なんて、もう人間かどうかもわからないほどにメチャクチャになるんだ……!」



「どうせマスクを被ってるようなヤツだ! ブ男に違いないぜ!」



「メデューサキックをくらったあとのほうが、見れる顔になるかもな! ギャーッハッハッハッハッハッ!」



 勝手なことぬかしやがって……!


 俺は歯を食いしばりながら、背中を抉る蹴りに耐えていた。

 まるで……頭のおかしいヤクザに滅多刺しにされてるみぇだ……!


 俺の血が、しぶきのようになってあたりに舞い散り、カーペットを濡らす。


 『アドレナリン・オーバードーズ』のツボを刺激しているおかげで、痛みはそれほどないんだが……切り裂かれる感覚だけがあるのが気持ち悪い。


 麻酔を受けて歯を抜かれている時みてぇに、ゴリゴリと削られている感触だけが、身体に響くんだ……!


 ふと、胸のあたりから声がした。



「ご……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさいっ……!」



 俺の脚を押さえていた女は、俺の腕の中で震えていた。

 罪の意識からなのか、涙で声を湿らせている。



「気にするな、今はじっとしてろ。怖いかもしれねぇが、俺が守ってやるからな」



 すると名も知らぬ女は、とてもではないが信じられないような表情で、俺を見上げた。



「ど……どうして……? どうして、かばってくれるの……? あなたの邪魔をした、わたしを……」



「……そんなにビックリすることか? 男が女を守るのは当たり前のことじゃねぇか」



 女は瞳から涙を溢れさせながら、首をふるふると左右に振る。



「い……いままで、わたしは『真・メデューサキック』の犠牲になった女の子たちを、何人も見てきました……。脚を掴まれた男の人は、切り刻まれながら女の子に罵声を浴びせ、足蹴にしました……。女の子はズタズタに切り裂かれ、踏みつけられ……ふたりの男にボロボロにされながら、死んでいくのです……! 例外はありません、みんな……みんなそうだったのに……!」



「心配するな。犠牲になった女どもの分も、俺が仕返ししてやる。それに、お前にはカスリ傷ひと負わせねぇからな」



「あなたみたいな男の人、初めてです……! わたしはこんな素晴らしい命を、奪う手伝いをしてしまった……!」



 なんだか僧侶(プリースト)みたいな考え方だな、と思っていたら……女は急に祈りのポーズを取りはじめる。



「おお……! 我が全智全能の神……! タクミ様……! どうか、どうか、この素晴らしきお方をお守りください……! どうか、どうか……!」



 俺のいないあさっての方角に向かって、俺への祈りを捧げはじめた。



「そして、このわたしのことを、お裁きください……! 決して許されることでないのはわかっております……! この命、タクミ様のお好きなように……!」



「……あー、俺はよくわかんねぇけど、そんなに悔いることはねぇんじゃねぇのか? お前だって、やりたくてやったわけじゃねぇんだろ?」



 すると祈りのポーズのまま、女は俺のほうに向き直る。



「はい……! 言うとおりにしなければ、妹を殺す、と脅されてしまいました……!」



「なんだ、妹もこの中にいるのか?」



「はい。わたしたちは去年、修学旅行で『タワークエスト』にやって来たのです……! ですが、見知らぬ男の人たちに捕まってしまって……こちらの男の人たちに、物のように引き渡されてしまったのです……! いまでは姉妹ともども……いいえ、クラスメイトともども、慰み者に……!」



「そうか……辛かったろうな。だが、それもあとちょっとだ。ここにいる女は全員、俺が自由にしてやるからな」



「で……でも……どうやって……!?」



 まだ絶望の淵にいるような女を残し、俺は立ち上がる。



「ああ……ようやく終わったか……! ナメクジみてぇなトロくさい蹴りだから、つい話しこんじまったよ……!」



 嵐のような絶叫が、俺と女、そしてナメクジキッカーの間を飛び交う。



「げぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?!?!?」



「し……! 『真・メデューサキック』……! たしかに、全弾ヒットしたはずなのに……!」



「たしかに、ヒットしてる……! ヤツの背中は、ズタボロで、血まみれだ……!」



「せ……背中でメデューサキックを受けて、生きてるだなんて……! アイツの背中には、鉄板でも入ってんのか!?」



「う、うそだ……! ありえねぇ……! 『真・メデューサキック』は全身鎧を着た衛兵ですら、血祭りにあげてきたのに……!」



 『真・メデューサキック』をまともにくらった俺は、たしかにズタボロだった。


 着ていたワイシャツなんて、もう見る影もなくボロボロになっている。

 背中と袖が切り裂かれ、前のほうの生地だけが残っていて……これじゃ前掛けだ。


 今は『アドレナリン・オーバードーズ』の効果があるからピンピンしてられるが……効果が切れたらヤバい。

 間違いなく、正気を失うほどの痛みに襲われるだろう。


 その前に、ボスをなんとかしなきゃな……と思っていたら、



「ばっ……ばかなっ……! ばかなばかなばかなばかなっ……ばかなあっ!! 俺の最終奥義をくらって、生きているヤツなんて、この世にはいないんだ!! いてたまるかあっ!! これはなにかの間違いだ!! おいてめえら! この間違いを始末しろっ!!」



 ボスはついにタイマンを放棄してしまった。


 「待ってました!」ばかりにイキリ立つ雑魚ども。


 ああ、一気に数が増えちまった……。

 ずっとタイマンにこだわってたから、ボスだけやればすむかと思ってたんだが……まさか最後の最後でなりふり構わず仲間に助けを求めるとは……。


 こりゃ、ちょっとヤベぇかもしれねぇな……。


 しかし、奮起したのは男だけではなかった。



「……みなさん! 今こそ、立ち上がるのです……! 自由のために……!」



 俺の背後で、勇ましい女の声が轟く。


 見ると、さっきまで俺に弱々しくかばわれていた女が、別人のように叫んでいたんだ。

次回、決着…!


それと新作小説を掲載いたしました。

本作がお好きな方でしたら、同じく楽しんでいただけると思います。

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