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俺の指圧がチートすぎる  作者: 佐藤謙羊
第3章 クラスメイトをxxxします!
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19 クリスタル・ガーディアン・クラブ

『さあっ! タワークエスト4階のボスは例年、一位を譲り合うチキンレースが恒例となっていましたが、今回はぶっちりぎりで一位を取った参加者が現れました! たったの三名で、しかも全員違う学校という異例の事態です!』



 ボス部屋に転送された俺たちを迎えてくれたのは、能天気なアナウンスと……水色の壁。


 水晶の原石のような壁面の向こうには、いくつもの眼がびっしりとあって、そのどれもが俺たちを凝視している。



『今回の一位ボスは、クリスタル・ガーディアン・クラブ! 身体から出したカルシウムで己を装甲しているモンスターです! 水晶のような鎧をまとっていることから、水晶の番人とも呼ばれています!』



 壁だと思っていたのは、クジラのように巨大な蟹の甲羅だった。

 しかも目玉が無数にある、気持ちの悪ぃ甲羅……!


 水晶のレガースを穿いたような八脚をガシャガシャと動かし、素早く振り向くクリスタル・ガーディアン・クラブ。


 振り向いた勢いを利用するように、上空から巨大なハサミが降り注いだ。



「……危ねえっ!?」



 挨拶がわりの一撃にしちゃ、強力すぎる……!

 俺は、呆然としていた仲間たちをかっさらいつつ、横っ飛びをしてかわした。



「きゃあっ!?」「んまあっ!?」



 俺の腕のなかで、悲鳴をあげるシャラールとクリエル。



 ……ズズンッ!!



 サーフボードくらいあるハサミが、直前まで俺たちがいた床に大穴を開ける。



『高校生……いや、熟練の冒険者にとってもクリスタル・ガーディアン・クラブは強敵です! ハサミの一撃は鉄の鎧を着た者ですら紙のようにちょん切り、強固な水晶の装甲はあらゆる攻撃をハネ返します! 大砲か大魔法がないと仕留められないといわれているのです!』



 たしかに、あのハサミはヤバすぎる……!

 俺もシャラールもクリエルも鎧すら着てねぇから、かすっただけで終わりだ……!


 俺は少しでも敵に関する情報を得ようとアナウンスに聞き耳を立てながら、蟹のオバケの側面に回り込もうとする。


 蟹であるなら、背後に回り込めば攻撃手段はないはず……!


 しかしそれは当人もよくわかっていたようで、まるで俺たちをロックオンしているかのように常に正面に捉えようと追尾してくる。


 そして絶え間なく飛んでくる、ギロチンの刃のような蟹バサミ。

 飛び上がったりしゃがんだりして、なんとかかわす。


 反撃してやりたいところなんだが……いまの俺は両手に花状態なので、ツボ押しができねぇ……!


 防戦一方。反撃の糸口すら掴めずにいると、



『やはり、クリスタル・ガーディアン・クラブは手強いようです! 命の泉学園の壺仮面選手、リンドール学園のシャラール選手とイポモニ純真女学院のクリエル選手を連れて逃げ回っています! ふたりも抱えているとは思えない見事なフットワーク! でも、このままではスタミナ切れは明白です! このボスフロアの外壁には一時退避用の穴がありますので、有効活用するのも手でしょう!』



 アナウンスの言葉に俺はボスから一瞬だけ視線を外し、壁をチラ見する。

 たしかにしゃがめば入れそうな小さな穴が、穴蜂の巣みたいにところどころにあいていた。



「ちょっと! いつまでくっついてんのよ!? 離しなさいよ、ツボ夫!」



 突如、癇癪を起こしたように暴れだすシャラール。



「ちょ、暴れるなっ! 走りにくいだろうが! クリエルを見習って、ちょっと大人しくしてろっ!」



 クリエルは実に大人しく、シャラールの長い耳が揺れているのをジャラシを振られた猫みたいに凝視していた。



「んまぁ、長いお耳……! あなた、森林族(フォレスタ)さんですのね! その素敵なお耳、ちょっと触らせていただけませんこと?」



「ちょっと!? 気安く触んじゃないわよっ!? ボスモンスターがいるってのに、なんなのよアンタっ!?」



「まぁまぁ、こういう時こそお耳を触って気持ちを落ち着けるのですわ。どうぞ、わたくしのお耳も触ってよいのですわ」



 状況を顧みず、グイグイくるちびっ子にさすがのシャラールも面食らっていた。

 でもそれで暴れるのが止まったので、俺はチャンスとばかりに壁際まで走る。


 適当な穴めがけて、まずはふたりのお姫様を押し込めた。



「なっ、なによっ!? こんな所、入りたくないわよっ!?」



「いーから、とりあえず入れっ! 作戦を練るんだ!」



「なんだか、かまくらいみたいで楽しいですわ!」



 足蹴にしてくるシャラールと、声を弾ませながら入ってくれるクリエル。


 俺は背後から迫りくる、空を切る轟音を聞いた。



「……やべっ!」



 振り向きざまに、身体を挟み込もうとしていたハサミを左手で受け止める。

 直後、『ええっ!?』と驚きの声が部屋中に響き渡った。



『クリスタル・ガーディアン・クラブの攻撃を、壺仮面選手が受け止めました

……? しかも、片手で……? ……いや、何かの間違いでしょう。クリスタル・ガーディアン・クラブの一撃は、岩をも粉々にします。最初の一撃で床に大穴を開けたことにより明らかなのですが……それを片手で受け止めることなど、人間ではありえません。えーっと、そう……! きっと、クリスタル・ガーディアン・クラブが寸止めをしたのでしょう! 壺仮面選手、ラッキーです! 一撃死を免れました!』



 半信半疑だったアナウンスは、手加減攻撃だということで結論づけた。


 しかし、手抜きの一撃でないのは蟹野郎の表情からも明らかだ。

 ヤツはまさか片手で受け止められるとは思わなかったのか、触覚のように飛び出させた眼を驚いたように剥いている。


 俺は、我が目を疑うようにつぶらな瞳をギョロギョロさせている蟹野郎に言ってやった。



「まぁ、そう慌てんなって……そんなにカッカしていると茹でガニになっちまうぞ? それに、怒りは判断力を狂わせる……まずは自分の耳でも触って落ち着け」



 その言葉を受け、バカでかいハサミで自らの頭をさすりはじめる蟹野郎。


 どうやら、耳を探しているようだ。

 そのスキに、俺は穴へともぐりこむ。


 シャラールとクリエルは身体が小さいのでスムーズに入れたのだが、俺にとってはちょっと窮屈だ。

 そのうえ中は、わぁわぁと賑やかだった。



「その素敵なお耳、もっともっと触らせていただけませんこと?」



「もっ……もうじゅうぶん触ったでしょうが!? それに何なの!? アンタらの学校にも森林族(フォレスタ)くらいいるでしょうが!? ソイツの耳を触りなさいよっ!?」



「はい、もちろん我がイポモニ純真女学院にも森林族(フォレスタ)さんはいるのですわ。でも、こんなに美しいお耳は見たことがないのですわ。興味を持つなというのが無理なほどの、芸術的なお耳……ぜひとももう一度だけ、触らせていただきたいのですわ」



「……しょっ、しょうがないわねぇ……あとちょっとだけよ」



「シャラールさんのお心遣い、感謝感謝ですわ!」



 シャラールの顔から横に飛び出たほっそりとした耳、そこに指を這わせるクリエル。

 愛撫されるようにするり、するりと撫でられるたび、シャラールは身体をピクンと震わせていた。


 俺はその様子を、こんな時だというのに感心しつつ眺めてしまう。


 ……あの跳ねっ返りのシャラール相手に、会ったばかりでスキンシップまで持ち込むとは……。

 うーん、クリエルって案外すごいヤツなのかもしれねぇな……。



「お耳は触るのもよいですが、触られるのも気持ちよいでしょう? もっと触ってさしあげますわ。ほら、このような所も……」



「あっ……ちょ、そこは、大事なところ……! 指を入れちゃ、ダメ……!」



 背徳感すら感じさせる少女たちの、ゆっくりと流れていた時間は……背後からの震動で中断させられる。



 ……ドガンッ!!



 小さな身体を飛び上がらせる少女たち。

 ハサミによって削られた石ツブテが、節分の豆のようにバラバラと身体に当たった。



「よし……仲良しタイムは終わりだ。そろそろ反撃の手を考えるとするか。でなきゃ、ヤドカリみたいに引きずり出されちまう」



 ガリガリと削られ、広げられていく壁穴。

 ようやく現実を目の当たりにしたのか、ふたりの少女は居住まいを正していた。

次回、反撃開始!


それと新作小説を掲載いたしました。

本作がお好きな方でしたら、同じく楽しんでいただけると思います。

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★新作小説
ゲーマーおっさん、ゴーレムに引きこもる…でもソレ、実はスーパーロボットですよ!?
本作が好きな方でしたら楽しんでいただけると思いますので、是非読んでみてください!


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