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俺の指圧がチートすぎる  作者: 佐藤謙羊
第3章 クラスメイトをxxxします!
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13 最強最悪のワル

 『タワークエスト』2日目。

 俺は塔の2階、いつもの梁の上にあがってデコボコトリオが来るのを今や遅しと待ち構えていた。


 『イポモニ純真女学院』の女生徒たちは、日が昇る前から起き出して、かなりのやる気を見せていたんだが……やる事といえば公園の掃除や炊き出しの準備など、1ポイントにもならないことばかり。


 肝心のデコボコトリオも手伝っていたので、俺は先に塔に来て待ってたんだが……なかなか来やがらねぇ。


 他校の参加者はすでに押し寄せてきており、塔内の攻略をはじめている。

 これじゃ、差がつく一方だぞ……と俺がイライラしていると、下のほうから話し声が聞こえてきた。



「おい、聞いたか? 昨日の夕方、『皆殺しのジョニー』がフクロにされたってよ!」



「ああ、知ってる! 今そのウワサで持ちきりだからな! まさか『マル義』のアタマがやられちまうとは……! 相手はどいつなんだ? ついに『ジェノサイドキッカー』が動いたのか?」



「いや、それがよ……壺仮面ってヤツらしいんだ」



「壺仮面って、あの変な壺のマスクを被った……ステータスオープンのときに、F- - -(トリプルマイナス)だったヤツか!?」



「ああ、どうやらそうらしい。しかも壺仮面のヤツ、ジョニーを一方的にフクロにしたらしいぜ」



「マジかよっ!? ジョニーをフクロにできるヤツなんて、この世にいねぇだろ!? いるとしたら地獄の鬼くらいのモンじゃねぇのか!?」



「だよなぁ、にわかには信じられねぇよなぁ……。どこまで本当かわからねぇが、『マル義』のヤツらはこのウワサを否定しないらしいぜ。壺仮面にマジでビビッてんじゃねぇか、って話だ」



「しっかし……『マル義』とは俺たちも一触即発だったけど、小競り合いですませてきたのに……いきなり番長をヤッちまうとは……こりゃ、デカい戦争が始まるんじゃねぇのか?」



「ああ。ジョニーを先にボコられちまって、メンツを潰されたヤツらは必死だよ。『ダリバン鉄鋼』の『破壊王ロックガン』も、『精鋭高専』の『ジェノサイドキッカー』も、壺仮面を殺すって息巻いているらしいぜ」



「でもよぉ……壺仮面が相手なんだったら、俺たちにもチャンスがあるんじゃねぇーの?」



「ああ、俺たちみたいなワルみんな同じことを思ってるよ。『皆殺しのジョニー』を相手にする気にはならねぇけど、壺仮面なら俺でもやれるって」



「だよなぁ、壺仮面をヤッちまえば、『皆殺しのジョニー』をヤッたのと同じことだから……一気に顔が効くようになるんだよなぁ……!」



「じゃあ……俺らも壺狩りといくか!?」



「いいな! ワルとして成り上がれる絶好のチャンス! 『タワークエスト』なんてクソ食らえだ! 行こうぜ!」



 「野球行こうぜ!」みたいなノリで駆け出すワルども。

 目的の壺仮面はすぐ真上にいるとも知らず、まったくあさっての方角に向かっている。


 あーあ、まったく……また頭痛のタネが増えちまったよ。


 俺がかつていた世界でも、高校同士で理由(ワケ)もなく対立して、ケンカしてるヤツらはいた。

 平和主義者である俺は興味なかったんだが、しょっちゅう巻き込まれてたんだよな……。


 でもまさか異世界まで来て、ヤンキーどものケンカのターゲットになっちまうとは……。


 やれやれ……と思っていると、遠くのほうにチビッコ会長の姿が見えた。

 いかにもガラの悪そうなヤツらから、早速絡まれているようだ。


 いつの間に来てたんだ……!?

 それに、なんでひとりなんだ……!?


 俺はカンカンと鉄骨を踏み鳴らし、現場へと急いだ。



「……あの、壺仮面さんをご存知ありませんこと?」



 動物の頭蓋骨の兜に、クマやトラの敷き皮みたいなのをまとっている、高原族(ハイランド)のマッチョ野郎ども。

 山賊みたいなヤツらだったが、クリエル会長は物怖じせず話しかけている。


 動物の耳みたいな髪をぴょこぴょこさせて近づいていくその姿は、ハンターに無警戒な子鹿みたいで……下手するとあっというまに狩られちまいそうなくらいに危なっかしい。



「なんだぁ? ちびっこ、お前も壺仮面を探してんのか?」



「はい。昨晩、生徒会で話し合ったのですわ。手っ取り早く悪い子になるためには、いちばんの悪い子のまねっこをするべきだと……」



「はぁ? 何言ってんだお前?」



「壺仮面さんの冒険者ランクは全参加者中、最低のF- - -(トリプルマイナス)だと聞いておりますわ。きっと、手の付けられないほどの悪い子だと考え、探しているのですわ」



「あれ? ちょっと待て……お前の服装、よく見たらインポ女学校の制服じゃねぇか?」



「いいえ、インポ女学校ではありません。この制服は、『イポモニ純真女学院』のものですわ」



 平らな胸を、えっへんと張る生徒会長。



「ああーっ!? 思い出した! やっぱりコイツ、壺仮面の(スケ)のひとりだ!」



 騒ぎ出す山賊軍団。それで俺も思い出した。


 コイツらは、宝箱を開けて眠っているときに現れた……『ダリス・バンディ鉄鋼高校』のヤツらだと……!


 しかし、その時に寝ていた生徒会長は意味が理解できていないようで、ひとりキョトンとしている。



「壺仮面のすけ? なんですのそれは?」



「壺仮面の女って意味だよっ!」



「んまぁ、ということは……その『すけ』になれば、壺仮面さんと一緒にいられるということですわね? ではわたくしは、『すけ』になりますわ!」



 自分がどれだけとんでもないことを言っているのか、全くわかっていない生徒会長。

 無い胸をこれでもかと反らし、帆のように張っている。


 次に自分がどんな目に遭わされるのか、まったく気づいていない様子のチビッコめがけて……俺は梁からダイブした。



「やっぱり……! おい! コイツをさらっちまえ! コイツがいれば、人質にして壺仮面をおびき寄せられるぜっ!」



 予想どおり、小さな身体に掴みかかっていく山賊ども。


 俺は、鉄骨に絡ませたワイヤーでターザンのようにスイングし、ヤツらより早くクリエルの身体をかっさらう。



「んまぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!?」



 悲鳴とともに、空中ブランコのような軌道で宙を舞うクリエル。



「つ……壺仮面だ! 壺仮面が、ガキをさらいやがった!」



「やっぱり、あのガキは壺仮面のスケだったんだ!」



「逃がすなっ! 追えっ、追いかけろっ!」



 俺はロープスイングの勢いを利用して梁に戻ると、クリエルを抱えて走り出す。

 お姫様抱っこされているクリエルは、俺を見るなり顔をパッと明るくした。



「んまぁ、壺仮面さん、お探ししておりましたわ。ぜひわたくしを悪の道にエスコートしていただけませんこと?」



 眼下には、殺気をはらんだ蛮族どもが追いかけてきているというのに……会長はゆりかごであやされている赤ちゃんのように、屈託のない笑顔を浮かべていた。

次回、選択を迫られる会長…!


それと新作小説を掲載いたしました。

本作がお好きな方でしたら、同じく楽しんでいただけると思います。

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★新作小説
ゲーマーおっさん、ゴーレムに引きこもる…でもソレ、実はスーパーロボットですよ!?
本作が好きな方でしたら楽しんでいただけると思いますので、是非読んでみてください!


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