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俺の指圧がチートすぎる  作者: 佐藤謙羊
第3章 クラスメイトをxxxします!
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04 ファーストアタックはくのいち

 体育館を去った俺は、『天空族(スカイエン)の塔』へと取って返す。


 塔の入口にいる門番に、もらったばかりの身分証を見せると……今度ばかりは止められなかったんだが、



「俺ぁ長いことこの塔の門番をやってるが、F- - -(トリプルマイナス)の冒険者なんて初めて見たよ。きっとゴブリン1匹にもなぶり殺しにされるだろうから、一階で大人しくしておいたほうがいいぞ」



「あー、最初は一階だけで済ませるのもいいかなと思ってたんだが……ちょっとヤボ用ができちまってな。ちょっと上のほうまで邪魔させてもらうよ」



「そうか……弱いんだから、あんまり無茶をするんじゃないぞ」



 門番は哀れみに満ちた視線で、俺の背中をポンポンと叩いて送り出してくれた。


 俺は入口にある案内板からパンフレットを取って、アーチ状の入口から、いよいよ塔の中へと足を踏み入れる。


 塔の中は、ドーム球場みたいにだだっ広かった。


 野球ができそうなくらいに高い天井。

 ところどころにブースができてるんだが、場所を示すためにアドバルーンみたいな巨大な物体が浮いている。


 アドバルーンには、『塔の歴史コーナー』『おみやげ売り場』『レストラン』『冒険体験コーナー』『キッズスペース』『ブライダルスペース』などが書かれていて、完全に観光客相手のフロアだというのがわかる。


 行き交う観光客はみんな笑顔だ。


 山のようにお土産を抱えて歩くカップルに、おもちゃの剣を振り回しながら大興奮で走り回る子供たち。

 人力車みたいなのに乗って、仲睦まじく巡る老夫婦。


 どうやらこの塔の観光スペースは、老若男女が楽しめるようになっているらしい。


 俺もちょっと寄り道してみたくなったんだが、のんびりもしてられない。

 誘惑を断ち切って、『入塔者用入口』へのアドバルーンに向かって歩きだす。


 『入塔者用入口』は、塔の探索に出発する冒険者のためのもの。

 間違って一般の客が入らないように、またモンスターを外に出さないように、飛行場の入国審査場みたいにものものしい。


 俺が近づいていくと、門番から「一般客はあっちだよ」と追い返されそうになってしまう。

 それでもめげずにそばまで行って、冒険者証を見せると、



「君、そんな観光客みたいな格好で塔に入るつもりか!? 武器も防具もなしで!? やめておきなさい、武闘家でももっと装備がちゃんとしてるぞ!」



 またしても止められてしまった。

 俺は押し問答同然に門番を説き伏せ、なんとか中に入れてもらう。


 はぁ……塔に入るだけだってのに、こんなに苦労するとは……。

 いや、塔は2階からだから、まだ入ったことにはならねぇ……これ以上門番に止められるようだったら、心が折れちまうよ……。


 俺は、やれやれと溜息をつきながら進んでいく。


 あたりを行き交うヤツらが、平和そのものだった観光客から、物騒な武器をぶらさげた冒険者たちに変わる。

 いよいよか……と思ったところで、大きなホールみたいな所に出た。


 中央には大階段、まわりには蜂の巣みたいにいくつもエレベーターがある。

 大階段をずっとあがっていけば2階に着き、2階より上に行きたければエレベーターを使うようになっているらしい。


 この塔は、100階建てというウワサだ。

 なぜウワサなのかというと、50階より上に登ったヤツがいないからだ。


 エレベーターがあるなら一気に100階まで行けるじゃねぇか、と思うが、そうはいかない。


 どの階も初回は階段であがらなくてはならず、各階にある『真実の口』みたいなのに冒険者証を突っ込むと、その階に到達したと認められ、以降はエレベーターで一気にあがれるようになるんだ。


 ステータスオープンの会場で、たしか学生の踏破記録は10階だというヤジを聞いた。

 でもプロの冒険者は10階なんぞとっくの昔に突破しているのか、エレベーターを眺めていても誰も10階で降りていない。


 ってことは……2階から10階までは、『タワークエスト』で貸し切りってわけか。

 現に、いま俺が1段1段踏みしめるようにして上っている大階段にも、人っ子ひとりいない。


 でももうじき、ステータスオープンを終えたヤツらが体育館を飛び出し、この階段に殺到することだろう。


 ふと遠くから歓声が響いてきたので、階段の途中で振り返ってみる。

 すると、軍隊アリのような人の波が迫ってきているのが見えた。


 やべぇ……! もうステータスオープンが終わったのかよ……!

 門番に止められたのが、だいぶロスタイムになっちまった……!


 俺はあわてて二段飛ばしで、階段を駆け上がった。



  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



 二階の踊り場にはまたしても門番たちがいて、モンスターよけの結界があった。

 どうやらここから先は、モンスターが出現するようだ。


 重装備の門番たちに止められるかと思ったが、特になにも言われなかった。

 「死ぬぞアイツ……」みたいな呆れた視線で、黙って見送ってくれる。


 踊り場の結界を通り過ぎた先には、アーチ状のゲートがあった。

 くぐると、幅の広い通路みたいな所に出る。


 二階からはいくぶん天井が低くなっていて、通路や部屋によって細かく区切られている構成のようだ。


 一階の華やかさとは雲泥の差。

 ブースのかわりに、打ちっぱなしのコンクリートみたいな壁があり……天井はアドバルーンどころか、梁のような鉄骨が張り巡らされているだけだ。


 通路には、緑色の身体にボロ布をまとった、餓鬼みたいなのがうろついている。

 あれは……ゴブリンか……!


 向こうも俺のことに気づき、ギャーギャー騒ぎたててきた。


 ゴブリンは仲間を呼んでいたようで、あちこちの通路から新手のゴブリンたちが飛び出してくる。


 あっという間に押し寄せる群れとなり、俺に向かってきた。


 血走った目に、手には刃こぼれしたナイフ。

 舌を振り乱す口からは、黄色い牙が覗いている。


 のっけから、なかなかの歓迎っぷりだ……!


 俺は全寮制の『リンドール学園』に通ってるんだが、まわりは治安がいいのかモンスターが全然いねぇんだ。


 だから、こうして野生のモンスターに襲われるのも初めてで……なかなか新鮮な感覚なんだ……!

 なにせ今まで、むさくるしい野郎どもに襲われてばっかりだったからな……!


 記念すべき、モンスターとの初遭遇……!

 せっかくだから、一匹や二匹は相手してやりてぇところなんだが……今はその思いを遂げてる場合じゃないんだよなぁ……!


 俺は後ろ髪をひかれる思いで、天井の梁に向かってワイヤーを伸ばす。



「あー、悪ぃな、ゴブリンくん。俺はシャイなんだ。フレンドになりたいんだったら、まずはツイッターのフォローから始めてくれるか?」



 蜘蛛の糸にすがりつこうとする、亡者のようなゴブリンたちを尻目に……ワイヤーを巻き取って梁の上にあがる。

 そして、駆け上がってくる喧騒に気づいた。



「お……! おい、ゴブリンくん! 友達になりたいってヤツらが来てるぞ! 歓迎してやれ!」



 指さして教えてやると、2階の入口に向かって「ギャーッ!」と走り去っていくゴブリン軍団。

 すると、まるで副男選びみたいになだれ込んできた学生軍団と鉢合わせ、さっそく戦闘になっていた。


 学生軍団とゴブリン軍団との争いは、のっけから一方的だった。


 やはり『タワークエスト』に参加する学生は、腕に自信のあるヤツらばかりのようだ。

 まるで一騎当千と呼ぶにふさわしい活躍で、ゴブリンどもを次々となぎ倒している。


 俺は、高みの見物としゃれこむ。



「おー、いいぞー、やれやれー」



 と他人事みたいに応援してたんだが……いきなり真横から何かが飛んできて、俺の頬をかすめていった。



「うおっ!?」



 不意打ちをくらった俺は、バランスを崩し……危うく鉄骨から落ちそうになってしまう。


 続けざまに、影が躍った。


 俺はとっさに『バレットタイム』のツボを刺激し、影の正体を見破りにかかる。


 すると……地上の獲物を狙うハヤブサのような勢いで、忍装束のヤツが迫ってきているのが見えた。


 ギラリと輝く短刀を振りかざし、俺の首をかっ切ろうとしている……!


 一片の容赦も感じさせない刀身を、俺は余裕をもって左手で受け止める。



「……!!」



 まさか防がれるとは……!? とハッと息を呑む忍装束。


 俺はその吐息で、相手が女というのを察した。

 くのいち、ってヤツか……!


 くのいちは一瞬動きが固まったが、すぐさまあいているほうの手で、腰の短刀を抜こうとする。



「まあ、そうあわてんなって」



 俺はヤツが抜くより早く、短刀の柄を押し込んで、抜刀を阻止した。



「!?!?」



 くのいちは被り物から覗かせている目を、信じられない様子で剥いている。

 キレイな瞳だな……と見とれていると、キッと睨まれてしまった。



「貴様……読心術の使い手かっ!?」



 どうやら、俺が心を読んだのと勘違いしているらしい。



「……まあそんなところだ。俺とフレンドになりたいんだろ? かなり不器用なアプローチだが、嫌いじゃないぜ」



 俺が軽口を叩くと、彼女の眉間のシワはより一層深くなった。

次回、タクミの新たなる指圧!


それと新作小説を掲載いたしました。

本作がお好きな方でしたら、同じく楽しんでいただけると思います。

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ゲーマーおっさん、ゴーレムに引きこもる…でもソレ、実はスーパーロボットですよ!?
本作が好きな方でしたら楽しんでいただけると思いますので、是非読んでみてください!


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