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俺の指圧がチートすぎる  作者: 佐藤謙羊
第2章 ハーレム修学旅行にイッてきます!
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01 旅のはじまりは恋人つなぎ

新連載、はじめました!


『チートゴーレムに引きこもった俺は、急に美少女たちから懐かれはじめました。キスしながら一緒に風呂やベッドに入るって聞かないんです!』


https://ncode.syosetu.com/n0930eq/

※本作のあとがきの下に、小説へのリンクがあります。

 俺は、火串(ほぐし)(タクミ)

 前世は38歳のオッサンだったが、今はいろいろあって剣と魔法が支配する異世界の高校生をやっている。


 この世界での俺の職業(ジョブ)は、『指圧師』。

 前世でマッサージ屋を開業するために勉強してたんだが、どうやらそれが影響したらしい。


 でも……こっち世界には『ツボ押し』やら『マッサージ』やらの概念がなかった。

 『指圧師』っていう職業(ジョブ)も、世界では俺だけらしい。


 評価基準がないってことで、俺の通う『リンドール学園』では最低のFランクの評価を受けていた。

 この学園ではランクが全てらしく、最低ランクで落ちこぼれの俺は、前世と変わらねぇぼっち生活を送っていたんだ。


 それはまぁ、慣れてる事だし別に良かったんだが……ある日、学園にやってきたテロリストを俺が撃退したことによって、ぼっち生活は終わりを告げた。


 俺はたった一日にして、学園のヒーローになっちまったんだ。

 いきなりのリア充生活に戸惑っていたら、修学旅行の日がやってきた。


 でも落ちこぼれのFランクである俺は、修学旅行には連れて行ってもらえなかったんだ。

 ひとり学園に残っていてもしょうがないと思って、俺はひとり旅に出かけることにした。


 修学旅行当日、ひっそりと出かけようとしたんだが……家の外では女の子たちが待ちぶせしていて、



『タクミ(くん、さん、様)……っ!!!!! つれてってぇーーーっ!!!!!』



 と大合唱されちまったんだ。



  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



 高原にある『リンドール学園』を出発した俺は、麓にある『サンロックの街』目指して山道を歩いていた。



「はぁーっ、ツイてないわ」



 隣には、不機嫌そうに溜息をつくひとりの女がいた。


 俺と同じ戦士科を専攻しているクラスメイト、シャラール・スパーク。

 ほっそりした長い耳が特徴的な、森林族(フォレスタ)の女子だ。


 成績優秀のAランクで、俺のクラスでも中心的な存在。

 金糸のようなゴージャスなストレートヘアをツインテールに結っている、北欧系を彷彿とさせる顔立ちの美少女。


 どのくらい可愛いかっていうと、おとぎ話から飛び出してきたお姫様みたいに浮世離れしていて……もし嫉妬した継母がいるんだったら、命を賭けてでも守ってやりたくなるレベルだ。


 ただそれも、黙っているあいだの話で……口を開いたら台無しになるんだけどな。



「まさかアンタみたいなFランク男とふたりっきりで旅することになるなんて……最悪。アタシって、クジ運はかなり良いほうだったのになぁ……」



 そうだ、そうなのだ。

 学園の女の子たちは俺の旅について来たがったんだが、教師陣からのストップが入ったんだ。


 そりゃそうだろう。

 だって、女の子が全員俺について来ちまったら、修学旅行に行くヤツは半分になっちまうんだからな。

 残された野郎どももつまらんだろう。


 俺の家の前で、教師陣と女生徒たちがしばらく押し問答した挙句……折衷案が取られることになった。

 クジ引きで当たった生徒が俺に同行して、ハズれた生徒は修学旅行のほうに行く。


 で、一日ごとにクジ引きが行われ、先生の転送魔法で同行者の入れ替えを行う……ということになったんだ。



「しかも、まる一日だなんて、どんな罰ゲームよ、まったく……」



 最初のパートナーとして当選したシャラール。

 俺のすぐ横で、さっきからしきりに木の枝でツンツン突いてきている。


 愚痴っているわりには足取りが軽い。

 そりゃそうだ、だってヤツは当然のように全ての荷物を、俺に背負わせてるんだからな。



「ちょっと、アンタも黙ってないで何か言いなさいよ。アタシを最悪の気分にさせてる張本人のクセして」



「うるせぇなぁ……そんなに嫌なんだったら、クジ引かなきゃよかったじゃねぇか」



 いい加減イラッときた俺が言い返すと、



「そういうワケにはいかないわよ、アタシはアンタの保護者なんだから。……って、そろそろいいかしら」



 シャラールは後ろを振り返って何かを確認したあと、体当たりするように俺に身体を寄せてきた。


 そのまま俺の左手をとり、後ろからシャラール自身の腰にまわす。

 腰にまわした俺の左手に、シャラールの右手が絡んできた。


 なんか情熱的なペアダンスみたいに、身体がぴったりと密着。

 シャラールは俺の頭ひとつ背が低いので、身体がくっついた瞬間から髪の毛のいいニオイがこれでもかと漂ってくる。


 き……金髪のつむじが、俺のアゴに触れてる……!

 それに、これだけ近いと……ほんのりと肌のニオイがして……ヤベェ!



「なっ、なんだよ?」



 俺は生身の女の子を意識してしまい、思わずのけぞってしまう。

 でもシャラールはおかまいなしに、いつものすまし顔で俺を見上げる。


 アクアマリンの宝石みたいな瞳……そこに映り込む俺の顔は、我ながら情けないほどにドギマギしていた。



「アンタさ、女の子慣れしようとしてんでしょ?」



「なっ……なんで知ってんだよ?」



 言い当てられて、俺の動揺はさらに大きくなった。

 実を言うと、女慣れするのはこの旅の目的のひとつでもある。



「わかるわよ、アンタの浅はかな考えくらい。でも不思議なんだけどさ、テロリストが来たときのアンタって、女の子が苦手なようには見えなかったけど……アタシの胸を平気で触ったり、股間に手を突っ込んだりしてたじゃない」



「……アレは、状況が状況だったからな。それに胸を触ったのも、股間に手を入れたのも、全部ツボを押すためだ」



 テロリストと戦っているときの俺は、理不尽なものに立ち向かうという信条に突き動かされていた。

 それにツボを押すのは医療行為だと思っているので、たとえ女の身体であってもなんとか触れるんだ。



「ふーん、じゃあアタシとこうしてるのも、医療行為だと思えばいいのに」



「そ……そんな器用なこと、できるかよ」



「そのくらいのこともできないなんて、Fランクはやっぱりバカねぇ。……ま、いいわ、アタシはアンタの女慣れを手伝ってあげようと思って、こうしたのよ」



「そ、そうなのか?」



「こうしてくっついてりゃ、嫌でも慣れるでしょ。さ、いくわよ」



 事も無げに言って、俺を引っ張るようにしてスタスタ歩きだすシャラール。

 俺は足を踏まないようについていくだけで精一杯だった。



  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



 俺とシャラールは、山の間をぬって走る広いあぜ道を、まるでバカップルのようにくっついて歩いていた。


 シャラールは誰もいないときには、



「もっとくっつきなさいよ。もっと腰を抱き寄せて……ほら、グッと」



 なんてリードしてくるんだが、他の旅人や馬車が通りかかった瞬間、



「ベタベタすんじゃないわよっ! 離れなさいっ! 気持ち悪いわねぇ!」



 急に変態扱いしだして、まるで俺に無理矢理やられてるみたいに振りほどいてきやがるんだ。


 そんなことが何度か続いたので、温厚な俺もさすがにキレてしまった。



「おい! お前いったい何なんだよっ!? なんで誰かが通りがかるたびに、突き飛ばすんだよっ!?」



 俺に問い詰められたシャラールは、悪びれるどころかふてくされたように目をそらす。



「だって……AランクのアタシがFランクのアンタなんかとくっついてるなんて、見られたら恥ずかしいし……」



 お前はギャルゲーのヒロインか。

 それにそんな言われようだと、俺のほうから誘ったみてぇじゃねぇか。



「お前からくっついてきたんだろうが! そんなだったら最初っからやるんじゃねぇよ!!」



 落ちこぼれの俺に怒鳴りつけられるのは不本意なのか、優等生は、キッ! と睨み返してくる。



「なっ……なによぉ! たとえわずかな時間かもしれないけど、Aランクのアタシがくっついてあげるって言ってるんだから、有難く思いなさいよね!」



 俺の表情が……自分でもわかるくらい、すっと真顔に戻っていくのがわかった。

 シャラールの顔に戸惑いの色が見えたが、俺はさっさと背を向ける。



「お前が、俺の女慣れを手伝ってくれるって言ったとき……びっくりしたけど、嬉しかったんだ。でも……そんな風に考えてるんだったら、いらねぇよ」



 それだけ言って、俺は歩きだす。

 後ろから罵倒混じりの呼びかけを受けたが、俺は無視した。


 てっきり引き返すだろうと思っていたんだが……しばらくして、ドスドスといかにも大股歩きのような足音が迫ってきた。

 後ろから左手首をガッと掴まれ、引き止められる。



「離せよ、お前はAランクのヤツらと……って、何やってんだ?」



 俺は振り向きながら抗議するが、シャラールはガン無視だった。

 掴んだ俺の手のひらに、小瓶の液体をドバドバとふりかけている。



「え……Fランクのアンタに、Aランクのアタシの申し出を断る権利なんてないんだからねっ!!」



 そう言いながらまた腰に手を回し、シャラール自身の右手と、液体を塗った俺の左手を恋人繋ぎした。



「な……何をやったんだよ?」



「魔法成分入りのニカワを塗ったの。本来は弓の応急処置用のヤツなんだけどね。これは一度くっつくと、まる一日はなにをやっても絶対剥がれないの」



「う……ウソだろっ!?」



 俺は繋いだ手を離そうとしたが、まるで皮膚どうしがひとつになったみたいに、本当にピッタリくっついていて全然離れなかった。



「フフン、アタシから逃げようったって、そうはいかないんだから」



 焦る俺を見て、得意気に鼻を鳴らすシャラール。

 これでもう、誰かが来ても離れられなくなったことに、気づいてないようだ。


 コイツの一時的な感情で、とんでもないことになっちまったぞ……と思っていると、シャラールは急にうつむいてしまった。



「……どうしたんだよ?」



 尋ねても、黙り込んだままのシャラール。

 金色のツインテールから飛び出す長い耳は、朱に染まっており……制服のミニスカートの太ももを、もじもじとこすり合わせている。



「どうしたんだ? どっか具合でも悪いのか? おいっ!?」



 俺は腰を抱き寄せて前を向かせ、空いている右手でアゴをクイッとやって、上を向かせる。


 さっきまで鬼の首を取ったようだったシャラールの顔は、赤鬼かと思うほど真っ赤っ赤になっていた。

 取り返しのつかないことをしてしまった子供のように目を泳がせながら、血色のいい唇がゆっくりと動く。



「……お……おしっこ、したくなっちゃった……」

新章となります。

前のテロリストたちとの戦いでは、仲良くなった女の子とイチャイチャする時間がなかったので、この章でイチャイチャする予定です。


ちょっと更新頻度は落ちるかもしれませんが、読んでいただけると嬉しいです。

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ゲーマーおっさん、ゴーレムに引きこもる…でもソレ、実はスーパーロボットですよ!?
本作が好きな方でしたら楽しんでいただけると思いますので、是非読んでみてください!


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