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俺の指圧がチートすぎる  作者: 佐藤謙羊
第3章 クラスメイトをxxxします!
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30 最終兵器

 転送の魔法陣を敷き終えたシャラール。

 立ち上がって小さな身体をめいっぱい背伸びさせ、両手を広げて叫んだ。



「……我が『タクミ同盟は』、新たな仲間をここに転送するっ!」



 シャラールの背後から、「おおーっ!」と歓声がわきおこる。



「ああ……! ついにシャラールちゃん、決意してくれたんだね……!」



「ずっと反対してから、心配してたけど……! これで負けはなくなったな!」



「たぶん、シャラールさんは最初から呼び出すつもりだったんだと思います」



「ええっ!? あんなに反対してたのに!?」



「はい。あのお方にお会いしたくない者なんて、『リンドール学園』にはおりませんもの。直前まで反対していたのは、シャラールさんなりの照れ隠しだと思います」



「でもよかった! 『タワークエスト』に途中参加させるのって、先生方も猛反対してたもんね!」



「うん! みんなで説得して、ようやくオッケーもらったんだ! 呼び出さなきゃもったいないよ!」



「でも……これで我が『タクミ同盟』は、盤石……! たとえ世界中を敵に回したとしても、平気になりました……!」



 百万の味方を得たかのように盛り上がる、『タクミ同盟』のヤツら。

 どうしようかとアタフタする俺の背後は、どよめきに包まれていた。



「な、なんだ……!? 『タクミ同盟』のヤツら、もう勝ったみたいにしやがって……!?」



「ま、まさか……! あのお方を呼び出すのか……!?」



「だ、誰だよっ!? あのお方って……!? あっ、まさかっ!?」



「そう、あのお方……! あのお方が来たら、終わりだ……!」



「あのお方ってことは、ひとりなんだろ? ひとりくらい増えたって……」



「バカっ! お前はあのお方の強さを知らねぇからそうノンキでいられるんだ!」



「あ……あのお方は、『ダリス・バンディ』の軍隊を、ひとりで壊滅させたこともあるんだぞ……!」



「ええっ!? 『ダリス・バンディ』って、高原族(ハイランド)だろ!? 肉弾戦では全種族でも最強って言われてるヤツらじゃねぇか!」



「それを、ひとりで壊滅って……魔王かなんかか!?」



「いいや、そんな生易しいモンじゃねぇ……! 『ハイラウト王国』では、神獣を二体同時に相手にして、一瞬で黙らせたそうだ……!」



「かっ……神をも食らうと言われた、しっ……神獣を!?」



「ああ……あのお方が戦う様……いいや、戦っているというよりも、赤子をあやしているようなんだ……! 指一本で、神をも地獄へ送るという……!」



「ああっ……だ、ダメだっ!? 終わりだ……! あのお方が来たら、ここにいる全員、地獄に送られる……!」



「あのお方というのは……我らの信ずるあのお方に間違いなさそうですね……!」



「そうですわね……!」



「ええっ、さっきからあのお方、あの方って……いったい誰なんですかぁ!? リリンド副会長!? クリエル会長っ!?」



「落ち着くのですわ。レイアン書記。すぐにわかるのですわ」



「もし、あのお方だったら……どうします? クリエル会長……!」



「ううっ……『タワークエスト』の間は、壺仮面さんの言うことを聞く、という約束をしたのですわ……でも、でも……わたくしは、あのお方に牙をむくことなど、できるわけがないのですわ……!」



 男たちは絶望に、『イポモニ純真女学院』の女たちは苦悩に染まる。

 誰もがもはや、勝負が決してしまったかのように膝を折っていた。


 別の意味で焦っていた俺は、なんとかシャラールを説得しようとする。



「な、なぁ……シャラールさん? 別にいま呼ばなくても……少し戦ってみてからでもいいんじゃないかなぁ?」



 しかし、鼻であしらわれた。



「フン、なによツボ夫。さっきまで余裕だったのに……たったひとり増えるのが怖いの?」



「い、いや、怖いというよりは……その呼ばれる人が迷惑なんじゃないかなと思って……」



「なによ迷惑って。いったい誰に迷惑だってのよ?」



「だって、いきなり呼び出すんだろ? もしその人が、あの……なんか都合が悪かったりしたらどうするんだよ?」



「あのバカの都合なんて知ったこっちゃないわよ。それにこのアタシに呼び出されるとわかったら、シッポを振って喜ぶはずよ。もし嫌な顔したら、ブッ飛ばしてやるんだから」



「や、やっぱり、いきなり呼び出すなんて、マナーとして良くないと思うよ。キミはお嬢様なんだから、マナーはちゃんとしないと」



「……じゃあどうしろっていうのよ?」



「まず、その人あてに手紙を書くんだ。『呼び出してもいいですか?』って。それで相手から『いいよ』って手紙が帰ってきたら……」



「ハアッ!? バカじゃないの!? そんなことしてたら決闘(デュエル)が終わっちゃうじゃないの!?」



「そ、そうかもしれないけど、それが人としての礼儀……」



「ああもうっ! アンタの寝言に耳を貸したアタシがバカだったわ! たとえトイレにいたとしても、知ったこっちゃないわ! アタシもオシッコしてるとこ見られたんだから、これでおあいこ……! ってナニ言わせんのよバカっ!!」



 振り払うように、再び両手を掲げるシャラール。

 背後の仲間たちが、そろって後に続いた。



「いまここに願う……! 千里の道をも超越し、想い人を我がもとに……!」



 とうとう『転送魔法』の詠唱をはじめやがった……!


 は、発動したら、ヤバいっ……!

 でもシャラールを黙らせても、後ろにまだ何人もいやがるし……!


 ああっ、もう……!

 どうすれば、どうすればいいんだっ……!?


 俺はマスクごしの頭をかきむしる。


 この窮状をなんとかするツボは……!?

 なにか、なにか、なにかないかっ……!?


 しかし、いくら考えても出てこない。

 詠唱はいよいよクライマックスへとさしかかり、俺の焦燥も最高潮に達する。


 そして、俺がとった行動は……!



「……ああっ!? 壺仮面が逃げたっ!?」



「や、やっぱり……! あのお方には勝てないって悟ったんだ……!」



「あんなに慌ててる壺仮面、初めて見た……!」



「も、もしかしたら壺仮面だったら、あのお方もなんとかしてくれるかと思ったのに……!」



「あのお方が来たうえに、壺仮面がいなくなったら……俺たちは絶対に勝てねぇじゃねぇか!」



「あ……あれっ!? み、見ろよ!? 壺仮面の身体が、消えていく……!?」



「まさか……魔法を使って逃げようってのか!?」



「ひ、ひでぇ……! 俺たちを置いて、ひとりだけ逃げるなんて……!」



「あっはっはっはっはっはっ! ツボ夫のヤツ、どっかへいっちゃった! このアタシに恐れをなしたようね! だからアタシは言ったのよ、アイツの応援なんて、必要ないって……!」



「ああっ……見てください! 転送陣のうえに、人影が……!」



「ついに……ついに、あのお方と、再び会える……!」



「ああん、もう待ちきれない! 離れ離れになって数日しかたってないけど、もう何年も会ってないみたい!」



「ああっ、もしあのお方に見つめられたら……! わたし、失神しちゃうかも……!」



 『タワークエスト』の全参加者がいるフロアには、ふたつの感情が交錯していた。


 閻魔大王の裁きを待つ、亡者のような悲鳴。

 そして天にも昇るような、幸せに満ちた嬌声。


 転送陣の人影。

 青白かったそれは、足元からじわじわと本来の姿を取り戻していく。


 黒い制服のズボン、長袖の白いワイシャツ。

 そして……黒い指切りグローブ。


 誰もが待ちかねた、あのお方……。

 こんな形では会いたくなかった、あのお方……。


 その顔が、ついに露わに…………ならなかった。


 なぜならば、ついさっきまでそこにいた人物と同じ、マスクを被っていたからだ。


 直後……狂乱の渦だった決戦の地から、衣擦れの音すら消え去る。


 転送陣の上にいた人物は、そろり、そろり……と忍び足で歩きだした。

 さっきまで逃げていたルートを、再びなぞるように。


 その背後から、声がかかった。



「……ツボ夫。そのマスク、取りなさい」



 ツボ夫と呼ばれた男の肩が、ビクッと震えた。

次回、クライマックス…!


それと新作小説を掲載いたしました。

本作がお好きな方でしたら、同じく楽しんでいただけると思います。

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本作が好きな方でしたら楽しんでいただけると思いますので、是非読んでみてください!


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