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武龍伝  作者: とみぃG
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84 講師の選定

リュウがドワーフと南北トンネルについて打ち合せをしていた頃、ローグではギルド会頭のナターシャがアカデミーの教師候補を確保するため各所に走り回っていた。


リュウに教師の確保を確約した以上、集まりませんでしたと言う訳にはいかなかった。教師の目途はいくつかあったのだが、各教科の責任者となる大臣の目に適う者がなかなか現れなかったのだ。


一見して見た目は良いのだが、面接して話を聞いてみると私利私欲である事が言葉尻から現れていたり、教育として生徒を育てるというようりも自分のステータスとして希望する者が多かったからだ。


軍関係の”戦術課”は先の魔族との戦闘で負傷し後遺症が残り退役を余儀なくされたリーダークラスの者が候補者として挙がっていたが、彼は志も高く、人望も厚いことから問題はないだろう。

臨時講師も各隊の隊長・副隊長が非番の日に受けて貰える手筈となっている。


ハンター育成を中心とした”冒険科”はギルドのAクラスの人材を用意するつもりでいる。又、臨時講師もギルドで選出できるし、元碧い大海のメンバーもいるので層も厚くなっている。


問題なのはそれ以外の教科だった。戦術と冒険の二科以外は教科も講師も未定のままなのだ。


法学科については法務大臣、経済学科は財務大臣に選出をお願いしているのだが、なかなかこれという人物に絞られずにいた。


政務大臣が担当する学科も決めなくてはいけない。


『やはりバランスを考えると、どの大臣の学科も欠けると困るのよね・・・』


こういう問題を解決するにあたってリュウは頼りになるのだが、今は遠く離れた南の大陸にいるのでそれもできない。

ナターシャは駄目もとで一つの考えを実行してみることにした。


『クラリス、ちょっといいかしら?』


””何かお困りでしょうか?クラリス様””


クラリスはリュウから近しい者が助けを求めてきたら協力する様に言われていたのでナターシャの呼びかけに反応したのだ。


『アカデミーの事は知ってるわよね?今、新しい学科の事で悩んでるのよ。何か良いアイデアは無いかしら?』


””即答はしかねますが、先ずはお話をお聞かせ願いますでしょうか?””


ナターシャはクラリスに今困っていることを話た。


””わかりました。それではこうういのは如何でしょうか?

法律と経済は既にある省庁が手本となるべきかと存じます。従って職員に出向という形で任に着かせるのです””


『なるほど、外から連れて来ようとしたから無理があったのね。現役の職員に業務として命じればいいのね。いい考えだわ』


””政務大臣の主幹とする学科もそう難しくはありません。ローグに必要な産業を考えるとおのずと答えが導かれます。


ローグの産業の中心は生産系の産業です。工房で造られるローグ製の品は既にこのローグの経済の屋台骨となっているのです。


そしてその商品の販売や取引といった商いもしかりです。この二つの産業をそのまま学科とすれば良いのではないでしょうか?””


『そうよね。クラリスの言う通りだわ。どちらも伯爵のテリトリーでもあるわね。モノローグカンパニーから人材を選出させましょう』


””実はマスターからナターシャ様が今後困って頼ってくるかも知れないということで、その際は人員を選出する様に候補者を聞いております””


『なにそれ?あいつは私が困ることを予測してたですって!?

キーーーッ、悔しいわ!!今度会ったらタダじゃ置かないわよ!今度はキスだけでなく全部奪ってやるんだから!』


””ナターシャ様、その行為は刑法12条の強姦罪となります””


『いいのよ!私とあいつの仲なんだから!こうでもしないと私の気が済まないのよ』


実際にはリュウに襲い掛かったとしてもリュウが拒めばいいだけの話だ。だが、そういう事に弱いリュウは果たしてどこまで拒めることやら。


””話は随分脱線しましたが、商業科と生産科の講師候補者のリストはこちらに用意してある通りです””


クラリスにあっさりと話を流されてしまったナターシャはこれ以上続ける訳にもいかず仕方なしにリストをクラリスから受け取るのであった。


来週からアカデミーの体験入学者の受け入れを行う予定をしている。

その準備も行わなくてはならない。


何故ナターシャが動いているのかと言うと、今回はギルドを主体として各国のギルドから体験入学者を募るという形にしているからだ。先ずは学生を通じて各国の交流を進めるという政務大臣の働きかけによるものだった。


体験入学は二週間共同生活を通じてギルドの活動を体験してもらうというものだ。ギルドの活動だけでなく、冒険や戦闘の基礎の座学と実習も短時間だが用意している。


この体験入学行事の主幹はナターシャが受け持っている。実際の講師はギルド職員の元ハンターに任せる予定だ。


各国からの反応は上々で、それぞれの国から20名程度の参加申し込みが来ている。参加者は政府高官や貴族の子息といったところでアカデミーの交流を通じて政治的にも役立てようという目論見が見え隠れしている。リュウの想定範囲だ。


ナターシャは体験入学生の受け入れを行う準備で政務大臣との打ち合せに向かった。


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