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武龍伝  作者: とみぃG
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79 魔王ガズル現る

エリン達は心配そうにリュウの後ろに立っていた。

不安を察知したリュウがエリン達に声を掛けた。


『どうやら魔族はドワーフに攻め入ったらしい。少し遅かったみたいだ。エルフからの告知で警戒はしていただろうが、想像以上の攻撃にあったんだろう』


リュウがそう二人に告げているとドワーフの男が少し動いた。

意識が戻ったみたいだ。


『うっ・・・ここは?俺は助かったのか?』


『どうやら気が付いたみたいだな。瀕死の状態だったが俺たちが見つけて治療をした。もう大丈夫だ。心配はいらない』


『そうか、あんたが助けてくれたのか・・・この辺では見かけない顔だけど人間なのか?エルフとフェアリーも一緒とは・・・』


ドワーフの男は意識は回復したが、まだ虚ろな状態ではっきりとした意識ではないらしい。


『一体何がドワーフに起こったのか教えてくれないか』


『ああ、すまない。ようやく頭がハッキリしてきた。

 俺たちドワーフの里に武器を持った魔族が今朝方押し寄せてきたんだ。鉱山に用があったらしく大人しく引き渡せと。

鉱山といえば俺たちドワーフにとっては聖地も同然、おいそれと応じられるはずもなく魔族を退けることにしたんだが・・・


魔族は手に持った筒で俺たちを狙って攻撃してきたんだ。火を噴いて何かを飛ばすその筒の威力は凄まじくて強靭な身体を持つドワーフでもひとたまりの無く倒されていったんだ。俺は逃げ惑う仲間に交じって反対側へと逃げたんだが、背中を撃たれて意識が朦朧として、気が付いたらあんたらに助けられていたという感じだ』


『そうか。今朝の出来事か。もう日が暮れる時間だがまだ魔族は里にいるのだろうか?』


『あんた行くつもりか?止めといた方がいい。蜂の巣にされてしまうぞ』


ドワーフの男は襲われた時の恐怖を思い出したのか顔色が悪かった。


『エリン、メアリーはこの人と一緒にここに残っていてくれ。俺はドワーフの里に様子を見に行ってくる』


『伯爵、一人で大丈夫なの?』


『ああ、問題ない。むしろ俺一人なら何とでもなるさ』


『わかったわ。ここで待ってます。無理しないでちゃんと戻ってきてね』


不安がる二人を置いてリュウはドワーフの里へと急いだ。

ドワーフの男が倒れていた場所から里までの距離はそれ程離れていなかったのですぐに里へと着いた。


『クラリス、里の状況はわかるか?』


””はい、マスター。魔族と思われる者達は鉱山から物資を運んでいます。恐らく鉄鉱石だと思われます””


『里の住人はどうだ?』


””銃で撃たれたものが50人程います。ほとんどが重傷です。既に生命反応のない者が数名います。緊急避難場所がある様で住人の大半はそこに隠れている様です””


『魔族と戦闘となって巻き込む可能性は?』


””撃たれて倒れた人達が巻き込まれる恐れがあります””


『わかった。先ずは里から撃たれた人の転移を行う。転移と同時に体力回復と止血を行い延命処置を施す。時間がないので治療は魔族を倒してからまとめて行う』


””承知しました。念のために避難場所には結界を施しておいた方が宜しいかと思われます””


『そうだな、クラリス頼めるか?』


””問題ありません””


クラリスはリュウの魔力を通じて魔法を発動させることも出来る様になっていた。結界程度の魔法であれば実行は可能だ。


クラリスと段取りを済ませた後、リュウはドワーフの里に突入した。

銃を持ったゴブリンやオーク達が警戒にあたっていたが、リュウが目の前に現れたのに気付いたが、撃つよりも早くリュウの手刀から放たれる真空斬で体を切り割かれた。


4体の魔族を片付けたが、遠方に居たゴブリンが気付いて発砲をしてきた。銃はライフルタイプだった。まだ扱いに慣れていないのか照準が定まっておらずリュウは避けることもせずに弾が反れていった。


『お前らが撃っている弾は当たると痛いんだぞ?少し試してみるか?』


リュウは3体のゴブリンのライフルから撃たれた弾を空間転移で発射した方向に返した。


『ウギャーーー』


弾が着弾するとゴブリン達は吹き飛んだ。ドワーフとゴブリンだとドワーフの方が強靭ということだろう。


騒ぎを嗅ぎ付けた魔族達が鉱山から続々と出てきた。

その中にボスと思わしきリュウの良く知る魔物がいた。


『やっぱりお前だったか。よくも儂の身体を散々な目に遭わせてくれたな』


『ガズル、お前の仕業か。俺の贈った人形は気に入ってくれた様だな。ついでに死んでくれてたらよかったものを』


『お前のせいでどれだけ苦痛を味わったことか。でも、過ぎた事を言っても仕方あるまい。儂は未来を見ているのだ。お前たちが苦しみもがく未来をな』


ガズルは勝ち誇ったかの様に不気味に笑った。

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