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武龍伝  作者: とみぃG
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48 手がかり

翌朝、鳥のさえずりで目が覚めた。3時間くらいは眠れたはずだ。リュウは寝袋を畳んで収納すると携帯食を食べながら今後の行動について考えた。

魔族がどの辺りにいるのかを先ずは知る必要がある。

千里眼を使うと察知される恐れがあるため安易に使うわけにはいかないので直接探りを入れる必要があった。


『クラリス、この辺りの地形はわかるか?』


””おはようございます。マスター。はい、データにあるのでお答えできるかと思います。””


『一番近い町は確かドレンというらしいが間違いないか?』


””はい、ここから東に10キロメートルの地点にある人口3000人の町です。主要な産業はありませんが、国境付近ということもあり、宿場町として利用されております。”


マキワとガゼフ帝国は国交を断絶したり敵対をしている訳ではないので商人や旅人は普通に行き来をしている。

行商人達は季節ごとに移動をしたり、交易品を流通させたりして商いを行っているので多くの人数ではないが、年間を通じて交流はあるのだ。


リュウはとりあえず商人に扮してドレンに入ることにした。

大きな商品を扱う場合、馬車がないと怪しまれるので貴金属を扱う行商人ということで手荷物だけということにする。


歩いて2時間程でドレンに着いた。簡易な木の柵で囲われた町で特に賑やかという訳ではなかった。

リュウはとりあえず食堂に入り食事をとることにした。


『いらっしゃい。お客さんは旅の人かい?』


『ええ、貴金属商をやっています。ローグで珍しいアクセサリーを仕入れてきました』


『おお、そうかい、それは珍しい。よかったらあとで見せてくれないかい?』


ここは宿屋と食堂が一緒になっていた。店の女将さんらしき人がリュウにオーダーを聞く際に一言二言会話をしてきた。

今までローグには目立つ産業がなかったのでローグ産のアクセサリーと聞いてどんな物か見てみたかったのだろう。


リュウは鶏もも肉を焼いた物と飲み物を頼んで食べた。味付けは以前のローグよりしっかりしている。こちらでは調味料が普通に使われているみたいだ。


食事が終わった後でリュウは女将に商品を見せた。

小さいガラス細工や指輪、ネックレスなどが入ったトランクケースを開いて並べてみせた。


『この透明なのは何だい?こんなに綺麗なもの見たことないわ』


女将はガラス細工を初めて見たらしく大層気に入った様だ。


『それは最近ローグで名産となっているガラス細工です。値段もお手頃ですし、一つ如何ですか?』


『そうねえ、じゃあ、これとこれを貰らおうかしら?』


『はい、それでは2つで10金貨ですが、半額の5金貨で結構です』


『そんなに安くしてくれるのかい?悪いわね。それじゃ、食事はサービスさせてもらうわ』


『ありがとうございます』


すっかり女将は気を良くしたみたいだ。ガラス細工が手に入って鼻歌まじりで上機嫌な顔をしている。


『そういえば女将さん。ローグからこちらに来る途中、ガゼフの兵隊さんを全然見かけませんでしたが何かあったんですか?』


『そうなんだよ。ひと月前に皆首都に戻されてしまって今では誰もいないのさ。ここで食事してくれるお客も多かったのに商売上がったりだよ』


『でも兵隊さんが誰もいなくなったんじゃ、この町も野盗とかの襲撃が怖くないですか?』


『駐屯地にはいなくなったけど、別の部隊がこの辺を監視しているから心配しなくていいって言ってたよ。ほんとかどうかわかりゃしないけどさ』


『そうだったんですね。それじゃ、私もこの先の道中安心ですね?野盗だけは勘弁して欲しいですからね』


どうやらこの近辺に別の何者かが潜んでいるようだ。恐らくだが、魔族だろう。


リュウは食堂を後にして路地裏でハンターの服装に換装してからこの町のギルドへと足を運んだ。


小さな町のギルドなので小さなカウンターに職員が一人いる田舎の郵便局みたいな雰囲気のところだ。


『こんにちは。この辺でランクの高い依頼とかはないですか?』


職員はリュウのAランクバッチを見て一瞬目を見開いた。

田舎のギルドでは通常Cランクか高くてBランクのハンターしかいないからだ。


『生憎ですが、こんな田舎なのでAランクが請ける様な依頼はないですよ。蛇退治か狼の毛皮集めくらいですね』


どうやらハンターの仕事はあまりありそうになさそうな場所だ。


『最近、魔物が出たとかそういう被害は出ていないですか?』


『魔物ですか?被害は出ていませんが、農夫が東の山でゴブリンを見たと言っていましたが、この大陸に魔物はマキワの更に西にある魔の森くらいしか居ませんからね。どうせ酔っぱらって獣と見間違えたんだろうって皆笑ってますよ』


リュウは職員に挨拶をしてギルドを出た。ギルド職員は急な来訪に驚いていたが、のんびりした土地柄なのか特に気にする様子はなかった。


どうやら東の山に奴らは隠れているらしい。

東の山へは日が暮れてから入ることにした。


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