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武龍伝  作者: とみぃG
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22 リュウの狙い

リュウはクリスにこれからの事について話すことにした。


『クリスには俺が何をしようとしているのかを知っていて欲しい。でも、その前に会わせたい人がいるんだ』


そう言うと、リュウは念話で鈴鳴を呼んだ。

念話は仙人間で行うテレパシー通信だ。いつでも相手の意識に呼びかけることができる。


そして鈴鳴はクリスの部屋に程なく飛んできた。


『うむ、其方がクリスじゃの、妾はリュウの師匠の鈴鳴じゃ。よろしくな』


『先程、リュウ様からお聞きしました。領主の娘であり、次期領主の妻となるクリスティーヌを申します。よろしくお願いいたします。


ところで、リュウ様とお宿を共にしているとの事ですが、どの様なご関係でしょうか?』


リュウを想う気持ちが強いクリスはリュウと生活している鈴鳴に強く嫉妬していた。


『心配はいらぬわ。妾はリュウを想うてはおらんぞ。ちと体の温もりが欲しいだけじゃ』


『おいおい!誤解するような事を言うな!一切なにもないだろう!!』


リュウが必死に否定する。


『リュウ様と鈴鳴様のお二方に気持ちがないのなら問題ありません。深く嫉妬をしておりますが、これからは嫉妬をしない様に行動すれば良いだけの事。 それにお父様などは私に隠しておりますが3人も妾がいるのです。 それに比べたら、リュウ様に私だけを想っていただけるのは贅沢なくらいです』


リュウはクリスがイマイチ何を言っているのか判らない部分があったが、とりあえずは問題が収束しそうでホッとした。


『そろそろ本題に入らせてもらっていいか?』


『申し訳ございません。お願いします』



『先程話した通り、俺は鬼神と何れ戦わなくてはならない。 神から託されている俺の使命だ。 その神の一人が鈴鳴だ。 何故一緒にいるのか解ってもらえると思う。 鬼神は人を巻き込んでこの世の人間を悪鬼に変えようとしている。それは何としても阻止しなければならない。 その為に多くの人間が鬼神や悪鬼に対抗できる様にする必要がある。


俺はこの国を基盤として国力や戦力、経済力、あらゆる面で盤石な体制に変えて共に鬼神と戦いたいと思っているんだ』


『お話に出てくる鬼神とはどういうものなのでしょうか?』


『うむ、鬼神とは仙人が邪に取り込まれたものじゃ。この世の悪しき心を取り込んでその力を増大されることが出来るのじゃ。鬼神は長い年月を掛けて人々を消しかけて恨みや憎しみなど負の感情を我力へと取り込んでおる』


『俺も見たことないが、相当危険な存在らしい。どんな形で現れるかわからない以上、心して対処しなくてはいけない』


その後、一応伝えたい事を伝えて鈴鳴は帰った。

帰った後に、リュウは今後の計画を更に詳しく丁寧にクリスに説明していった。


そして、辺りも暗くなり、リュウも帰ろうとしたのだが、クリスに強く引き止められた。


『リュウ様、私を女にして下さい。今後何が起こっても後悔しないように』


リュウとしてはクリスを大切に扱うつもりで今はまだその時ではないと思ったのだったが、クリスの意思に根負けしてしまった。


そしてクリスは初めての夜を迎えた。リュウもこの世界では初めてということでは同じだった。


翌朝、クリスはリュウの腕枕でぐっすり眠っていた。 昨晩は最初のうちは強い痛みだけだったのだが、徐々にそれが和らぎ、ハンターの特訓の時に味わった気の流れの電流よりも更に強い電流が体中に走りエクスタシーを味わい続けたのだった。 クリスもリュウに気持ちよくなってもらおうと必死で頑張った。頑張り続けて疲れてそのまま寝てしまったのだ。


お互いなんだか照れくさい気分だったが、服を着替えて外で朝食を食べにいくことにして出かけた。


クリスの部屋は基本的にメイドがベッドメイクをする。当然、この朝もそうだった。

そしてメイドはシーツに残る血の染みを見つけた。 それはもう大騒ぎだった。

もちろん喜ばしい事としてだった。 ここだけの話として屋敷中に広まるのにはそう時間が掛からなかった。


そして、ここに一番喜んでいる人間が居た。クリスと共に生死を彷徨い歩いたあの侍女長のカレンだった。 盗賊から追われているところを助けられ、短期間で騎士団の小隊長を倒すくらいに強く育てられ、そして二人は結ばれて夫婦になるという劇に出来る程のラブロマンスにカレンは心から祝福した。


クリスが朝食から戻ってきたら何故か皆よそよそしくしているのを不思議に首をかしげるのであった。

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