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武龍伝  作者: とみぃG
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21 ありのままに

クリスに連れられて入った部屋は恐らく中の様子からしてクリスの私室だろう。クリスはリュウの後から部屋に入り、ドアに鍵を掛けると振り向き様にリュウに抱き付いてきた。


『リュウ様!』


強く抱き付きながら、リュウの胸に顔を埋めるクリス。 十分にリュウを堪能しただろう彼女は顔を上げて下からリュウを碧い瞳で見つめた。


リュウと出会ったクリスは恋する少女から恋する大人の女性へと変わっていった。リュウもどんどん大人になっていく彼女を見てドキっとしたことは一度や二度ではなかった。 今まで出会った女性の中でも超のつく程の美人の彼女にウルウルとした瞳で見つめられたら流石にリュウでも自制心を保つのは難しい。


顔を上げて瞳を閉じた彼女にリュウは自分から優しく口づけをした。

一瞬とはいえない時間だったが、柔らかい唇の感触がわかる程度の軽い口づけだ。


一時は逃げの口実でクリスとの話をなかった事にしようと思ったリュウだが、素直で一途な彼女を見て少しずつ惹かれていることに気がついたのだ。

別に領主という名誉が欲しい訳ではないのは言うまでもないが、リュウを信じてあれ程までに強くなったクリスなら、この先も戦いのパートナーとしても背中を預けることが出来ると思ったのだ。


しばらく間を置いてリュウはクリスを見つめながら話しかけた。


『聞いてくれ、クリス。俺は君に大事な話をしなければならない。俺の話を聞いた上でどうしたいかを聞かせて欲しい』


リュウはクリスに今まで自分に起こった出来事を包み隠さず話した。

異世界から来た事。 異世界で今まで何をしてきたか。この世界に来て仙人と出会って修行をした事。神の力を得た事。神の弟子となってこれから鬼神を倒さなくてはいけないことなど全てを話した。


通常なら信じられない話の連続だ。リュウはこの話をしてクリスが心変わりしてしまうのが怖かったが、それ以上に彼女に隠し事をしたままいる方が辛かったのだ。



『話てくれてありがとうございます。でも、私は驚きません。私はリュウ様の全てを受け入れる覚悟が出来ております。リュウ様への想いは誰にも負けません。そして誰よりもお役に立ちたいと思っております』


『俺も君に話してよかったよ。正直、クリスの反応が怖かったんだ。もし、話を聞いて目の前から去っていくと考えると・・・。ありがとうクリス、いつまでも一緒に居てくれ』


リュウはクリスを言葉を聞いて安心した。

それと同時にもっと彼女が愛おしくなったリュウはクリスを力強く抱きしめ、先程より強く激しく唇を重ねた。



しばらくしてリュウはクリスに今後のことについて話をした。

それは二人の事もあるが、この国の事のについてが本題だった。


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