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武龍伝  作者: とみぃG
201/222

200 5年の出来事

リュウは一条首相に聞いたこの世界の危機的問題と向こうの世界のオーグがもたらした危機の関連性についてクリスに説明しながら自分自身としても再度考察しなおす必要性を感じた。


『それにしても全く異なる世界なのに関連性があったなんて驚きですね』


『まあ、俺がクリス達の世界に飛ばされている事自体でもう既に関連性があるんだけどね』


『そう言われてみれまそうですね。私、あなたの住んで居た世界が見れたりかつての同僚の方とお話が出来て良かったです』


『ああ、軍の人たちに会ったらしいな』


『はい、あなたはこちらの世界でも英雄だったのですね。驚きました。でもやっぱりあなたですね』


クリスは笑いながら話した。


『うーん、どうだろうな。英雄と呼ばれる程の事はしてないよ。特に英雄なんて戦争では味方にとって英雄でも敵から見たら殺戮者に過ぎないからな。任務とは言え多くの命を奪ってきたのには変わらないよ』


『あなたが今まで多くのものを背負ってきたのは理解できます。そんなに卑下することはありませんよ』


『クリスにそう言ってもらえたら少しは気が軽くなるよ』


『あなた、今日はもうお疲れでしょう?おやすみになりませんか?』


『ん?寝てもいいのか?久しぶりなのに?』


『・・・えっと・・・』


顔を赤くするクリスをベッドに倒したリュウは部屋の電気を消して

久しぶりにクリスの温もりを感じた。

リュウが擬体になって初めての夜の営みとなるのだが擬体になったとは言え生前と何ら変わることはなかった。だが子供が出来る事はないとは思われるがその辺りは天界神に一度確認してみる必要がある。


翌朝、全ての公式行事を終えて皇族一行はホテルをチェックアウトし、浮遊島ローグへと戻った。


ローグに戻ったリュウはこの世界の変化について調べることにした。リュウが不在だった期間は僅か5年程なのだが、その5年間に何が起こったのかを知る必要がある。


『クラリス』


””マスター!おはようございます””


『ああ、おはよう。ちょっと調べて欲しいんだが、この世界で俺が居なくなった5年前からの出来事で何か気になる事はないかだ。多方面での動きを調べて欲しい』


””はい、マスター。ネットワークにアクセスしてデータベースを更新しますね。各国の機密サーバーにもアクセスしますので少々お待ち下さい””


クラリスのアクセスは通常のパソコンでの接続とは異なり、思念体の状態でネットワーク回線を通じて物理的なアクセスをすることが可能となる。物理的にアクセスできるのでファイアウォールやセキリュティーは意味を成さなずあらゆるデータにアクセスすることが出来る。その気になればオフラインのサーバーでもアクセス可能だ。


こうして全世界のコンピュータにアクセスしてクラリスデータベースのデータ更新に掛かった時間僅か10分だった。



リュウはクラリスがデータアクセスしている間にこの世界について疑問に思う事があった。

その疑問とは、向こうの世界では7人の神が存在して世界を管理していた。当然この世界でも神という存在がいる筈なのだ。

星の危機的状況にあるのに神達は一体何をしているのだろう?その事が非常に不可解に思えた。

いや、リュウが知らないだけで神々は救済のための手段を講じているのかも知れない。

何れにしても一度この世界の神と会って見る必要がある。


””マスター!お待たせしました。データ更新が完了しました。何でも聞いて下さい!””


『おっ、もう終わったのか?早いな』


””どうやら私の復活にも天界神様がお力添えしていただいたみたいです。以前の処理スピードとは段違いになっていてビックリしましたよ””


『そうなのか?それでどれくらいの性能アップになった?』


””そうですね。条件にもよりますが、平均して十倍くらいの処理速度の向上です。処理速度だけでなく様々なものに直接アクセスが可能になりました。これはマスターの能力に近いものがありますね””


『それは凄いな。俺の世界眼の様なものだな』


リュウの世界眼とは以前の千里眼を全ての領域に拡大したもので、単に見るだけでなく触れることなく対象を調べたり意識に干渉したりすることが出来る天界神の力だ。


『それで調べてもらいたいものがあるんだが』


””はい、何なりとどうぞ””


『この世界の神について調べて欲しい』


””どの時代についてお調べしましょう?””


『今現在にこの世界に存在する神についてだ』


””承知しました。現在この世界に存在する神様についてお調べします””


クラリスはたった今更新したデータベースから神に関する情報を引っ張りだした。

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