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武龍伝  作者: とみぃG
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195 気の合う者同士

鈴鳴にとって天界神は絶対的な存在だ。その天界神から叱責を受けることとなったので気が動転してしまった。

リュウはこの様に狼狽えている鈴鳴を見るのは初めてだった。いつも堂々と構えている姿が微塵もない。

流石に見るに見かねてリュウは助け舟を出すこととなった。


『エリザベート、そんなに苛めないでやってくれませんか。鈴鳴には本当にいろいろと支えてもらって世話になってます。オーグを倒せたのも鈴鳴達が居たからこそで俺一人お功績じゃないから大目に見てやって下さい』


『ふふふ、判っておりますよ。鈴鳴があまりにも畏まって固くなっていたのでちょっとからかっただけです。ですが実際は余計に委縮させてしまったみたいですね』


天界神はテヘペロとでも言いそうな感じで舌をだした。

そういう気遣いをしてくれるのは有り難いが立場を考えると無理がある。それくらい神々にとっての天界神という存在は尊かった。

だが、だとすればオーグの様な歯向かう者が出ない筈なのだが。

崇高が高まれば自身がその存在と勘違いするというやつなのだろうか?よく熱狂的なファンが自分がその存在と勘違いしてしまう事例をリュウは思い出した。


『私は滅多な事ではこの世界から出る事は出来ません。その為に世界には神という私のしもべを置いているのです。

この子には外の世界で私の分身となって神と共に問題解決にあたってもらおうと思っています』


『そうだったのですね。天界神様の思惑が理解できました。未熟者故、思慮が足らずに申し訳ありませんでした。

それで、リュウの役目は判りましたが、天界神様とリュウとの関係はどうなのでしょうか?』


『ふふふ、それは内緒です』


『なんと!言えぬ様な事をされているのでしょうか!?私も久しくリュウには構ってもらえずして貰っていないというのに・・・なんと羨ましい・・・』


『それでは鈴鳴、貴女も加わりますか?』


天界神と鈴鳴の会話がどんどん脱線していく。こういう話になったら一気に暴走するのは過去からの経験で判る。


『おいおい、一応目の前に俺も居るんだけどな?そういう女子会みたいな会話は俺の居ないところでやってくれないか?と言うか神とかの会話じゃないだろ?』


これ以上話が酷くならない様にリュウが釘を刺した。


『そうですね。この続きはまた今度しましょう。鈴鳴、これからもダーリンの事、宜しく頼みますよ』


『はい、お任せください。話の続きはまた今度に。それまで天界神様の分もこの私が勤めさせていただきます』


『私も一緒に行きたいのですが仕方がありませんね。でも、この世界にはいつでも来ることが出来ますのでダーリンがなかなか来ない時には鈴鳴、貴女がここにダーリンを連れて来て下さいな』


『承知いたしました。亀甲縛りにして連れて参ります』


なんだか天界神と鈴鳴はいつの間にかリュウと言う共通目標で意気投合してしまった様だ。この二人を相手にするのは相当疲れる。

リュウはまた余計な苦労を背負い込んだと自らの運命を悲観した。

いつもならこのタイミングでクラリスが乱入してくるのだが、それが無かった事が幸いだった。二人が三人になったら暴走を止める自信がリュウには無かったからだ。


『お話はこのくらいにして貴方達を元の世界へ戻します』


天界神はそう言うと空間が閉じられて元居たローグ跡地へと変わった。


『鈴鳴、普通に話せるんじゃないか』


『何を言うとる、天界神様の前だけじゃ。いくら妾でもあの方に対してぞんざいな物言いが出来る筈なかろう。じゃが普通に話すと肩が凝るわ。妾が目上と呼べるのは今となっては天界神様しか居らぬからの。それにしてもすばらしいお方じゃったの』


変なところで意気投合していたので鈴鳴の言うすばらしいがどの辺なのかリュウには判らなかった。


この世界に再び戻って来て気付いた事がある。天界神の世界には二時間程度滞在したはずなのだが、リュウが確認した時計の時刻から見て戻ってきた時間の針は殆ど動いていなかった。

つまり仙人界と同様に向こうの世界ではこの世界と時間の流れが異なるという事だ。


戻ってきたリュウは異世界のローグに行くメンバーを招集した。


今回は大勢を連れていく訳にはいかないので最小限のメンバー構成だ。

向こうの状況が判れば都度こちらとの行き来はリュウなら簡単に出来るので今回は身内だけで構成することにした。

鈴鳴、ユリン、エレノアの三名だ。


見送りにはムーアが来ていた。他の者もリュウ達がローグに行く事は伝わっているのだが、具体的な出発時間と出発場所を伝えてなかったので見送り行きたくてもいけなかったのだ。


ムーアには色々と不在の間にやってもらわないといけない事もあるしリュウの秘書でもあるので彼女だけには伝えていた。


『それじゃあ、これからローグに行ってくる。帰りはいつになるか判らないが何かあれば連絡をくれ。不在の間宜しく頼む、ムーア』

『承知しました。何か緊急や不測の事態が発生した際にはご連絡させていただきます。それと、成功報酬の件は宜しくお願いしますよ』


『なんじゃ、成功報酬とは?』


鈴鳴がすかさず聞いてきたがリュウはそれには触れることがなかった。いざ出発という時に鈴鳴に話すとまた出発が遅れそうな予感がしたからだ。


今はリュウの自宅前にいる。出発する前に我が子ジルバートの顔を一目見ておきたかったのでリュウがこの場所を指定したのだ。

先程リュウが自宅に戻った際にはベッドでスヤスヤと寝息を立ててジルバートは眠っていた。起すといけないと思いリュウはジルバートを軽く撫でて部屋を出た。


準備の整ったリュウ達四人はリュウの力で光に包まれて天へと舞い上がり光の流れと変わった。上空高くでその光は消滅した。

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