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武龍伝  作者: とみぃG
192/222

191 ローグ跡地

リュウはマキワのローグ跡地へと飛んだ。そこには多くの人が集まっていた。皆突如として消えたローグを心配していた。

一見してオーグの攻撃によって消滅させられたと思う筈の大きなクレーターの様な窪地だが、事の始終を見守っていた鈴鳴とムーアが訪れた人達に状況を説明して回っていた。


鈴鳴達の説明によりパニックにはならなかったのだが安否を気遣うことには変わりなく皆その無事を祈った。

群集の中には知った顔も混じっていた。軍から各地に派遣していた隊長クラスには軍用ホバーを支給しているので大陸間の移動を早く行えるので戦いから数日経った現在、殆どのメンバーがここに帰還していた。タイラ家の者達は鈴鳴のもとに集まっていた。


『あそこに立つ者じゃが、濃密な聖気を纏っておるのう。初めて感じる気配じゃが何者じゃ?』


鈴鳴がリュウの気配に気付いた。リュウは擬体のままではなく白いローブを纏っている。ローブから少し覗かせる髪の毛の色は白だ。金色の目を隠すためにサングラスをしているため外見でリュウと判る者は恐らくいないだろう。気配にしてもリュウの体は既に消滅しており擬体に入った魂だけなので以前のリュウの気配はなくエリザベートの気配に近いものだった。


『あれは!?神様!!!』


神への信仰が人一倍深いエレノアは神々しいリュウのオーラに神を感じた。以前のリュウも神の気配を感じていたのだがそれはあくまでも一部の面影だったのだが、今目の前に居る人物は濃密な神のオーラを纏っており神そのものの存在ということが理解出来たのだ。

エレノアも南の大陸の派遣から自らホバーを操作し海底トンネルを経てローグの跡地に戻ってきていた。オーグとの戦いで海底トンネルが破壊されなかったのは幸いだった。

エレノアはリュウのもとへと駆け寄っていく。


『貴方様は神様であられますか?』


エレノアは躊躇いもなく声を掛けた。


『無事だったか?エレノア』


その声は聞き覚えのエレノアの良く知る者の声に似ていた。


『その声は・・・まさか、リュウ様ですか!?』


『ああ、俺だ。心配かけたな』


『ご無事だったのですね!良かった・・・でもそのお姿・・・オーラも以前のものと違います』


エレノアが何故?と聞こうとしたところで皆が気付いて集まってきた。


『なに!?リュウなのか!?どうしたのじゃその姿は』


『リュウ!おかえり~!』


鈴鳴は明らかに以前と異なるリュウの姿と気配に驚いた。ユリンはとにかくリュウが戻ってきたことが嬉しくてリュウに飛びついた。

『みんな、すまない。俺はオーグにやられて死んだ。今は魂だけの存在でこの姿は仮初の姿なんだ』


『『え!?』』


エレノアもユリンは一瞬リュウが何を言ったのか理解できなかった。だが時間が経つに連れて目の前のその姿と合わせてリュウの言う事を理解した。驚きのあまりに声も出ずに涙だけが溢れでてきた。


『死んだとはどういうことじゃ。オーグはどうなった?何故リュウがここにおるのじゃ?』


流石の鈴鳴混乱しており判らない事だらけで質問の連続だった。


『俺は次元の狭間でオーグに倒されて体が消滅したんだ。だが魂の状態で天界神に声を掛けられて擬体に魂を入れることで今の体を保てているんだ。この体は俺のものでなく天界紳のものになる』


『なんと!今天界神様と申したか!?』


鈴鳴は神の神である天界紳とは顔を合わせたことがない。高貴な存在な為神であってもその姿を見たものは数える程しかいないらしかった。


『ああ、天界神のエリザベートだが?どうかしたか?』


『どうかしたかじゃなかろう、天界神様と言えば妾達神の更に神に君臨されるお方じゃぞ。そんなお方においそれと会えるものではないわ』


『まあそうらしいけど天界神にオーグを倒す様託されたんだ。その力は絶大でオーグを倒して結界封印して無限回廊に隔離した』


『リュウ・・・死んじゃったことはもう会えなくなるの?そんなの絶対嫌!許さないから!』


『天界神様に認められたということは恐らくリュウは自らで擬体を作る修行に入ることになるじゃろう。そうすれば数百年は修行に篭ることになるのう』


『いやあ、それなんだが、この擬体を特別に天界神からしばらく借りれることになったんだ。姿は元にもどれないけどみんなと一緒に居ることが出来るみたいだぞ』


『そうなの!?以前の体ではないのが残念だけど贅沢は言えないね。リュウが傍にいてくれるだけで嬉しいよ』


再びユリンはリュウに抱きついた。右腕にはユリンが左腕にはエレノアがしがみつき久しぶりのハーレム状態の復活だった。鈴鳴はと言うとまだ天界神の事がショックだった様で何やらブツブツ独り言を言っていた。


『それから、良い知らせもあるぞ。クラリスが復活した』


クラリスはもともとコンピュータなので死んだとか言う表現は適切ではないが誰もがあの場で死んだと思っていた。


“”はい、皆さん、ご心配お掛けしましたが、この通り健在です。ナイスなボディはしばらくお預けですが今まで通り支援はできますよ“”


『おお!クラリス!生きておったか!あれ以来一切反応を示さぬから既に消滅したものとばかり思うておったぞ』


鈴鳴はクラリスの最後を見ていたので復活した事が他の者より嬉しく感じた。

エレノアやユリンも鈴鳴から状況を聞いて落胆していたのでクラリスが復活したことはやはり嬉しかった。

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