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武龍伝  作者: とみぃG
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188 一万倍の力

もの凄いスピードでリュウは分裂体オーグを消滅させていく。拳の波動が後ろや更に後ろのオーグまで飛びその波動の威力で消し飛んでいった。

数で圧倒していても力の差が歴然と判ったオーグ達はこの光属性の空間を何とかすることが先決と団体で次元反転を試みた。10人のオーグが集まっても次元反転にはならなかった。光属性があまりにも強かったからだ。


『次元反転を優先させろ!』


一人のオーグがそう言い放った。賛同する者、渋々従う者が次々と次元反転を唱えていく。やがて半数のオーグ、5000体以上が一斉に次元反転を唱えると光が闇に変わっていった。


『どうだ、これでお前は終わりだ』


闇の世界を取り戻したことで光属性の阻害を受けなくなりオーグ達は力が存分に使える様になった。光がどんどん闇に変わっていきやがて真っ暗な世界となった。


闇の世界が広がったが二箇所だけ明かりが広がっている。リュウと天界神の周りだけは闇に飲まれることなく明るいままだった。これは今の世界の闇よりもリュウと天界神の光の力の方が勝っているということになる。


『オーグ、残念だな。分裂体が全てお前に従って次元反転していたら結果はどうなったか判らないが、たった5000程度の力ではどうしようもないな。俺の光属性は今までとは次元が違うぞ』


リュウが力を入れ波動の輪の大きな波紋を飛ばすと中心から順に暗闇が光へと上書きされていった。

この状況から見て闇に塗り替えられたというよりも闇が光を薄く覆っていただけというのが正しいかも知れない。決して上書きするという程のものではなく埃を掃ったといった感じの簡単な造作に見えた。


『おのれ・・・数でも負けるのか。なら数は要らん。有象無象は儂の力となればいい。皆の者!我の糧となれ!』


オリジナルのオーグが近くに居た分裂体オーグを順番に取り込んだ。オーグは元々オリジナルと同等の力を有している。オリジナルのオーグが吸収をしようと思っても本来ならそれを拒絶する力を持っているのだがオリジナルオーグは既に数体のオーグを吸収し終えているので元から数倍の力を吸収し分裂体単体では拒絶できなくなっていたのだ。先手必勝ということだった。

しかもオーグは近くにいる分裂体を片っ端から吸収していっているので分裂体の中にも周りを取り込み出した者も居たのだが時既に遅しだった。みるみる力を吸収していくオーグは力の増強とあわせて体も巨大化していった。


数体程度なら体の大きさには変化は見られなかったのだが一定段階を超えると巨大化する様だ。既に何段階もの変化を遂げて既に10メートルを越す大きさまでになっていた。

分裂体オーグ達の抵抗も虚しく、やがて全ての分裂体を吸収したオーグはその体長が25メートル程にも達していた。巨大化ガズルよりも更に大きかった。


『貴様に多くを倒されたとはいえ1万体以上を吸収した儂は、その力も1万倍以上となったのだ!!いくら貴様が以前より強くなったとは言えこの圧倒的な力には適うまい』


みなぎる力を感じたオーグは“どうだ!”と言わんばかりにリュウに向かって咆えた。


『お前は単純だな。力が足し算や掛け算で計算できるんだから。底が浅いと言ったらいいのか』


『馬鹿にしおって。何故に余裕で居られる?負け惜しみか、この力を前をして気でも狂ったか?』


リュウはオーグが巨大化してどれくらい強くなるのか興味があったのだが単純に力が増減するのが滑稽に見えた。

巨大化したオーグは今までの一万倍以上の力を得てドーピングというよりも超チート能力を得たに等しい感があった。レベル100がMAXのゲームでレベル1000とかレベル10000で戦う様なものでどんな相手でも捻り潰す圧倒的な戦力差だ。


『能書きはもういいだろう。では軽く手合わせといこうか。かかってこいよ!』


リュウは自分の体より何十倍も大きくなったオーグを相手にするため体を宙に浮かせた。ゆっくりと浮んだリュウはオーグの目線まで上昇し静止する。


巨大化したオーグにとってリュウは小さな蝿の様な存在だ。目の前を飛ぶ五月蠅い蝿の様に苛立たせる存在だった。


リュウを鷲掴みしようと手で掴もうとしても隙間からあっさりと逃げてしまう。力が倍増したオーグでもスピードはリュウの方が上だった。しかもその身の小ささ故に簡単には捉えることが出来なかった。


リュウはただ逃げるだけな訳もなく宙を蹴ってオーグの顔面を回し蹴りした。

巨大オーグの顔面だけでもリュウの体よりも何倍も大きい。そのオーグの頬にリュウの足蹴りが決まりオーグの頭は蹴られた反対方向に傾いた。


『ほう、なかなか力はある様だな。少しは痛みも感じるくらいだがな。その様な攻撃、全然効かんぞ』


オーグは蹴られて顔は動いたが体制を崩すという程でもなくまた直ぐに元の状態へと戻った。

リュウは何も言わずに同じ攻撃を二回、三回と繰り返した。 どの攻撃もクリーンヒットで急所を狙った攻撃だ。


『何度やっても同じ事だ。無駄な事をしおって。貴様の攻撃などワシには通用せんぞ』


『そうか、それなら何故お前の顔は歪んでいるんだ?』


オーグは何を言われているか判らなかった。顔に手を当てると頬が陥没し歪な形の感触が手に伝わった。


『なんだこれは!?うっ、痛い!』


オーグが顔の変化に気付いた途端に強烈な痛みが顔面を襲った。

リュウの攻撃は威力と速度が速いため痛覚の反応が間に合わなずオーグは痛みを時間差で感じることとなった。


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