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武龍伝  作者: とみぃG
188/222

187 反撃

オーグに打撃を与えたリュウだったが手加減をしたつもりだったのだが予想以上にオーグが吹き飛ばされた事に驚いた。


『おっと、ちょっと力を入れ過ぎたか?』


リュウはかなり手加減したつもりだったのに遥か彼方に飛んで行ったオーグを見てもっと手加減が必要かと力加減の難しさを感じた。

“”マスター!今のは高速度カメラでも撮るのが難しいくらいのスピードの攻撃でしたよ!?すごいですね!“”


クラリスの高速度撮影処理能力は最高で一秒間に百万コマを撮影するこが出来、シャッタースピードは二百万分の一秒という超高速性能を誇るのだが、その処理能力をしても追いかけるのが精一杯だったリュウの攻撃スピードも凄いが、その攻撃を受けて飛ばされただけというオーグも恐るべき防御力と言えた。

だが、あれだけの攻撃を受けてオーグも無事では済んでいない。ダメージが大きく仰向けに寝たままなかなか立ち上がる事が出来ずにいた。


リュウの攻撃により飛ばされたオーグだったが、時間をかけてようやく立ち上がることが出来た。だが足元がフラついており立ち止まることが出来ずにいた。


リュウからオーグまでの距離は2キロメートルくらいはあるだろうだろうか。オーグがこの世界の物全てを吹き飛ばしてしまったために障害となるものがなかっため抵抗となるものがなく飛ばされ続けた結果だった。


オーグはこの距離なら体制を立て直すのに時間が取れると思っていたのだが、その思惑がはずれリュウはその距離を一瞬で詰め寄り目の前に現れた。


リュウは出現すると止まる間もなくオーグの鳩尾に膝蹴りをし、下がった頭に踵落としを行い、そこから軸足を固定して回し蹴りの三連コンボを決めた。正確に急所を狙ったその攻撃で流石のオーグも意識を失いかけた。


『おのれ!調子に乗りおって!』


飛びかけた意識を戻してオーグは反撃に出るために攻撃手段を考えていた。先程の様に次元反転で光が支配するこの空間を闇に変えることは光が圧倒的に強いため出来なかった。形勢を逆転するには力の差を埋める必要がある。オーグは自身の持つ力で対抗が可能な技を思いついた。


『ならばこれならどうだ!』


オーグが唱えるとオーグが分裂し二人のオーグが四人に四人のオーグが八人にと分裂を繰り返し、512体のオーグが出現した。


『なんだ?分身を使ったのか?』


『分身などと言うまやかしと一緒にするな。もっと高等な分裂だ。幻影でなく儂自身が増えたということだ。これで儂の戦力は500倍になったという訳だ』


オーグは得意げに語った。分身と分裂の違いは分身とは術で幻影を実体化させるものでオリジナルの持つ魔力で能力が決まる。それに比べて分裂はアメーバーの細胞分裂と同じでまったく同じものをコピーする能力だ。オリジナルと同じ力を有するのでその数が多ければ多い程有利になるのだ。


『それは凄いな。だが、500体ちょっとでいいのか?もっと増やしたらどうだ?圧倒的な力が欲しいんだろ?』


『ふん、やせ我慢しおって。ならば望みどおりにしてやろう』


オーグの体は鼠算の如く増えていった。その数、16,384体。もはやオーグ軍といっても良い程の数のオーグでひしめき合っていた。この数なら勝てる、オーグは確信していた。


これだけの数を生み出したのであればオリジナルのオーグの魔力が枯渇しそうなものだが、分身だと確かにそうなるが分裂はそうはならなかった。

オリジナルは最初の一体を分裂させるのに消費する魔力だけでいいのだ。あとは分裂体が勝手に増えていってくれる。

それぞれは別の一体を生み出す魔力として半分の魔力を使うのみだった。これを使えば無限に数を増やすことも可能な恐ろしい技だ。だが良いことばかりではない。

分身なら術者の意思で消す事ができるが分裂体はそれが出来ない。消すには殺すしかないのだ。自分と同等の力の分裂体を消すと言うことは容易ではなかった。

更に分裂体は個々に意思があり分身体の様に術者に従うとは限らない。下手をすると分裂体に返り討ちにされる恐れもある非常に危険な術でもあった。


『ひゅーっ、これは凄い光景だな。こんなにオーグが居たら倒すの大変だろうな』


リュウは人ごとの様にオーグの軍団を見て感想を述べていた。


『形勢逆転だな。お前達!あいつを倒すのだ!』


オーグは全体を指揮してリュウへの攻撃を命じた。


だが様子がおかしかった。誰一人としてリュウに攻撃をする者はいなかったのである。


『なんでお前に従わねばならんのだ』


『儂が指揮をとる代われ』


『先ずはお前から攻撃をしかけろ』


分裂体はオーグに全く従う気はない様だ。

しかもオリジナルが利己的なので分裂体もそれを引き継いでおり自分さえ良ければという考えで他人を利用することしか考えておらずコントロール出来る状態ではなかった。


だが一万以上も居ればいろんな考えの者もいる。共同戦線を張って複数でリュウを倒そうという者達も居た。それを見て追従する者、静観している者、他の者をけしかけている者など様々だった。

リュウは次々と襲いかかるオーグ達と組み手をするが如く相手をしていった。


先程はオーグを簡単に殺してしまわない様に手加減をしていたのだが、分裂体なら手加減無用だった。

リュウの手加減なしで放つ拳は一撃必殺で分裂体のオーグを消滅させていった。

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