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武龍伝  作者: とみぃG
178/222

177 首相との会談

国王達が案内された応接の間は鳳凰の間と呼ばれる部屋で天上には大きな鳳凰が羽ばたいている装飾がされており、壁の模様も羽をモチーフにした刺繍が施されていてこの部屋を作るのに一体何人の職人がどれくらいの年数を掛けて作られたのだろうと思させるものだった。

ここは皇族のみ案内された部屋なのでモノローグの代表代行として今回参加しているジャンが見れば驚きの余りに卒倒してしまいそうな装飾だろう。


そのジャン達、皇族以外の者は大広間の待合室に案内された。そこは単なる待合室ではなくゲストを迎えるための装飾や調度品が設えてある立派な部屋だった。

床は毛の長いフカフカの絨毯が敷き詰めてあり、その絨毯にも刺繍がされている。この室内だけでも西陣織や大島紬などの織物や美濃焼などの陶磁器、琉球ガラスのガラス品などが飾られており見る者の目を楽しませている。


やはりローグ職人のジャンは反応をしめしており、磁器の皿の薄さに感動したり、液晶テレビには何故映像が映っているのか不思議に思い食い入る様に見ていた。だが、一番反応したのは日本刀の展示だった。

武器であるためガラスケースの中に入れて展示されているのだが、ガラス越しに見てもその刃の輝きやしなり具合、製作工程などが飛び込んで来る。ジャンがずっと見入っていたこの刀は名刀

正宗と呼ばれている刀だった。


国王達が鳳凰の間に案内されてから正確に三十分後に案内の者がやってきた。


『大変お待たせを致しました。どうぞこちらへ』


礼儀正しく凛々しい案内の者は燕尾服を来ており正装と呼べる服装をしていた。

鳳凰の間から少し離れた場所に別の応接の間があった。どうやら首相はこの部屋で待っているらしい。


『少々お待ち下さい』


案内の者がそう告げるとドアをノックし国王一行が到着したことを中の者に伝え、応答に従いドアを開いた。


『どうぞお入り下さい』


ドアを開いて横に立って国王達を部屋の中へと案内した。


『少しはお休みになられましたでしょうか?』


北条首相が国王達を気遣って声を掛ける。


『はい、立派なお部屋で驚いておりましてなかなか寛げるとまでは言えませんでしたが体を休めることはできました。この国の財はすばらしい程のものがあるのでしょうな』


『いえいえ、そんなことはありませんよ。ただ歴史の長い国ではありますので長年に渡って受け継がれて来た物が多くあります。この迎賓館も建てられて既に百年以上が経っています』


『なんと!それは驚きました。こんなに立派で綺麗な建物が百年以上も経過しているものとは・・・大した技術です』


『こういった建物も設備も元は国民の税金ですので。長年使う事を想定して良い物を選んで大切に使っているに過ぎませんよ。あとは定期的に補修をしております』


国王はローグの建物や調度品はリュウが新ローグの都市に造り変えた際に全て用意した物でこれらも長年大切に使っていかなくてはならないと見習う事にした。


この部屋で国王達を迎えたのは内閣総理大臣の一条時宗、副総理の横山博史、内閣官房長官の藤沢利一の三名だった。正確には秘書官や警備の者が同室しているが席上に着いている訳ではないのでこの三名との会談となる。


総理から副総理と官房長官の紹介があり、国王側も改めてそれぞれの自己紹介を行った。


『既に巡洋艦しらかぜの艦長から報告を受けておりますが、改めてこの度の我が国への来訪目的をお聞かせいただけないでしょうか』


『わかりました。それでは前回同様に私たちの世界の説明からしましょう』


国王は艦長に説明した時と同様に向こうの世界の説明とこの世界に飛ばされた経緯を話した。総理達はその話を真剣に聞いてはいたが未だ半信半疑なところがあった。

巡洋艦しらかぜの艦長達とは異なり、浮遊する島や魔法を見た訳ではないので仕方がないところだろう。


『状況については判りました。異世界からの来訪者を迎え入れるのは我々も初めての事ですので不手際等あるかも知れませんがご了承下さい。

ですが、あなた方は我々日本人とは見た目は異なりますが、北欧と呼ばれる地域の人々と良く似ております。髪の毛や目の色なども同じ感じがします。なので余計に異世界の方という雰囲気はないので我々としても接しやすいのです』


『はい、その辺については主人より聞いておりました。私の世界では人間は皆同じ様な感じなのですが、この世界では髪・肌・目の色が異なる方々が住まわれているそうですね』


『そうです。世界は小国を含めると200カ国近くあり、話す言葉も100言語以上あると言われています同じ世界なのに生活文化や習慣もそれぞれの国ごとに異なっているのです。ですが、それらは既にかつての話としなくてはいけないかも知れません』


『そのお話の感じですと今は違うのでしょうか?』


『そうですね。その辺については今度は我々の方からご説明をしないといけないかも知れません。皇女のご主人がこの世界に住まわれていた頃から些か世界情勢が動いているのです』


一条総理は深刻そうな顔をして説明をはじめた。それを両隣で聞いている副総理と官房長官も今までの笑顔が消えて総理と同様の表情になっている。


『突然の話で驚かれるかも知れませんが、今この世界は滅びの道を進もうとしているのです』


総理から出た言葉は予想していなかったものだった。



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