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武龍伝  作者: とみぃG
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162 邪神オーグ復活

それは一瞬の出来事だった。先程まで戦っていたクラリスロボとガズルの居た場所から門の城壁、更にその先500メートルの建物まで地面がえぐられて陥没している。何らかの衝撃が直線上に働いた痕跡であることは間違いない。


クラリスロボはその衝撃波と城壁への衝突により原型を留めていないくらいにバラバラになり飛散していた。


『クラリス!!』


『どうした?リュウ!クラリスは無事なのか?』


当然搭乗していたクラリスも無事では済まないだろう。リュウは逸る心を抑えて千里眼でクラリスロボの残骸を見渡した。

コックピットのあったであろう部分は形を留めておらずそのパーツにも血が多く付着していた。

先程まで元気に戦っていたクラリス。緊張感の無さで皆をリラックスさせようという気遣いがあったクラリスから返事がない。

この惨状を見て生存していることはほぼ無理だということは誰の目で見ても明らかだった。


クラリスロボと一緒に衝撃波を受けたガズルも悲惨な状況にあった。両手は肩の付け根から、右足は大腿部から欠損しており生きているのが不思議な状態だった。全身がボロボロの状態で起きる事も出来ず仰向けに横たわっている。


リュウが惨状を確認している時に背後から禍々しい気配を感じた。その気配の持ち主は見るだけでも悍ましい程の瘴気を纏っている。身体の周りには瘴気が渦となって回っており空間すら汚してしまう様な錯覚を感じる程だった。


『やはり目覚めよったか。オーグよ』


『あいつがオーグなのか!?』


鈴鳴はオーグを知る者。神として昔は同列で組していた者だ。オーグの気配を忘れる筈もない。


『おお、これは誰かと思えば麗しの姫、鈴鳴ではないか。久しくぶりではないか』


『出来ればお前とは二度と遭いたくなかったのじゃがな。先程の攻撃は其方の仕業か?』


『フフフ、言うまでもないことよ。儂以外に誰があの様な攻撃が放てるというのだ』


やはり先程の攻撃はオーグによるものだった。

それを聞いていた者が苦しみを抑えながら言葉を放った。


『オ・・オーグ様、復活なされたのですね・・・でも、どうして・・・私までも巻き添えに・・・』


ガズルは何とか命を繋いでいた。だが既に瀕死の状態であったので言葉を発するだけで精一杯だった。


『うむ?ガズルか。ああ、復活できたわ。その方とカグラの功績は評価しても良いぞ。だが、どうやらカグラ既に居らん様だな。儂としてはガズル、お前でなく使えるカグラに生き残って欲しかったものだな』


『どうして・・・これだけあなたの・・・為に・・・やっていると言うのに・・』


ガズルは残っている力を振り絞ってオーグに問いかけた。


『そもそも儂の復活が遅れたのはお前が無能だったからだ。カグラのお陰でなんとか復活できたものを本来なら復活出来ぬままだったかも知れんのだ。そんな無能な部下を誰が手元に置きたいと思う?』


リュウは二人のやり取りを聞いていてガズルを不憫に思った。だかそれは少しだけだ。今まで散々な目に遭ってきたのだ。同情する筋合いではない。


『まあよい。最後に儂の役に立たせてやろう。有難く思えよ』


オーグがそう言うとオーグに纏っていた瘴気の渦が回転を速めて広く広がっていった。その渦がガズルのところまで到達するとガズルの体に纏わりついた。


『オーグ様・・一体・・何を・・・』


ガズルの体は瘴気に蝕まれ少しずつ消えていった。


20メートルの巨体を全て取り込むのに1分も掛からなかった。瘴気はオーグのもとに戻っていった。


『本当に其方は畜生にも劣る奴じゃのう。仲間がいままで苦労して其方の復活のために働いておったじゃろう』


『抜かせ。儂は最初から皆を滅ぼすつもりだったのだ。部下など利用した後に処分するだけよ。全てを滅ぼした後に造る新世界の創造主となるのだ。全てのものは儂の力の素となればよい』


『その様な事、妾達が許すと思うてか?全力で阻止するに決まっておろう』


『そうだな。それで儂の力を封印した。だが、こうしてその封印は解かれて以前以上の力を得た。カグラの奴には感謝せねばならんがもう居らんものは仕方ない』


『カグラは一足先にあの世というところに送ってやった。次はお前の番だ、オーグ』


『ん?何か羽虫がおると思ったらお前か。お前にも散々世話になったな。この借りはきっちり返させてもらうぞ。お前の大切にしているものが次々と滅びていくのを指を咥えて見ているがいい』


リュウは目の前に立つオーグを見てその圧倒的な力に驚愕した。

その力はリュウの全力の力を1とすると100は超えているだろう。どう考えても勝ち目がない。だからと言ってオーグを好き放題させてこの世界を滅ぼす訳にはいかない。

リュウは次の手を考えていた。考えているが打開策が思い浮かばない。こんな時にクラリスが居てくれたら、リュウはいつもピンチに助けてくれるパートナーが既にいないことに悔やんだ。


『さて、余興はこれくらいにしてそろそろ世界消滅のイベントを始めるとしようか』


オーグはそう言うとこの世界から一切の光を奪い去った。


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