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武龍伝  作者: とみぃG
156/222

155 獣人と魔族

<獣人の里>

獣人は獣に近い存在であるため臭いや気配には敏感だ。今回の襲撃に際しても逸早く対応をしていた。


魔族に囚われて兵士訓練を受けていた流れで開放された後にもリュウから仙人界での戦闘訓練を受けだ獣人達は以前とは比較にならない程の戦闘力となっていた。

獣人の得意とするのは強大なパワーを発揮させる素手の近接攻撃や体術なのだが接近戦しかできない場合に飛行の敵や遠方の敵に対して分が悪い。また1対1でも効率面で劣ってしまう。これらの問題を克服するために体術と魔法を組み合わせた先方を編み出している。

鋭い拳の突きから発せられる竜巻拳や地面を自在に操る事が出来る地竜拳などである。普通にファイアボールやライトニングを使うこともあるので状況に応じて繰り出す術を対応させていた。


そしてローグからも強力な助っ人が援軍に駆けつけていた。諜報部隊長のクリフだ。

ダークネスの侵攻の対象が全世界と聞いた途端、クリフから獣人の里の援護に行かせてくれと懇願されたのだ。動機は至って単純だ。クリフはラナを守りたかったからだ。男か好きな女を守るのに理由など不要だ。ここで彼の希望を適えないのは無粋というもの。

リュウはクリフの願いを聞き入れ獣人の里へと送った。


『クリフさん!来てくださったのですね!』


『はい、ここが襲われれると聞いて居ても立ってもいられず派兵を伯爵にお願いして来させてもらいました』


『ありがとうございます!クリフさんが来てくれたら百人力ですよ!』


ラナは突然現れたクリフに驚くと共に久しぶり顔が見れた事を喜んだ。


そのラナの笑顔に不機嫌な者も居た。



『おい、ナタル。あの人間誰だ?何故ここに居る?』


『あれがラナの言っていたクリフという部隊長じゃないか?』


『くっ、あいつがそうか!』


ギムドはラナに好意を寄せているのだがラナはクリフにご執心なのが気にいらなかった。


クリフは族長のもとへ挨拶に出向いた。


『おお!お久しぶりです。その節は我が里を救っていただきましてありがとうございました』


『ご無沙汰しております。いえ、私などは大した事はしておりません。全て私の上司であるタイラ伯爵の活躍あってこそです』


『ご謙遜を。とこで今回はどういったご用件で?』


『はい、現在世界各国がダークネスに襲撃されております。この獣人の里へは微力ながら私が加勢させていただきます』


『そうでしたか。それはありがたい。今の戦況ですが、敵の奇襲は何とか防ぐ事ができましたが、その後は一進一退の攻防を繰り広げております』


『私は戦闘力はタイラ伯爵の様な優れた力は備えておりませんが、戦いにおいての戦況把握や戦術・陣形に関しては指揮官として充分お役に立てるかと思います』


クリフは族長に軍師として参加の許しを得た。


クリフは戦闘力こそ飛び抜けたものはないが頭の回転は人一倍速い。策士でもあり軍師として獣人達への戦闘指示を行った。

物量で攻めるダークネスに対して地形や戦術で対抗するクリフの策は圧倒的な戦力数の差をカバーするものだった。


恋敵ともいえるクリフの存在を疎ましく思えたギムドだったが軍師としてのクリフの指揮は完璧と呼べるものだった。

獣人の里に長年居た訳ではないのに自軍の兵の数、それぞれの特徴を理解しており適材適所に配置。敵の状況を予測して無駄なく撃退させるその手腕には次第に認めざるを得なくなった。


クリフの参戦により獣人の戦いは善戦したが完全に無事という訳にもいかず時々負傷者が運ばれてきた。

治癒力の高い獣人はそれほど手間がかからず治療にあたったエレノアもこの地域は治療は楽と言えた。



今回のダークネスの動きは魔族とは全く異なるものだった。むしろダークネスにとっては魔族も攻撃対象となっている。

拠点である火山島以外の全地域が攻撃対象であると言っても良かった。なので魔界の魔都バレスも攻撃対象となり攻撃を受けていた。

ダークネスの拠点のすぐ近くということもあり一方的に攻撃され続けており住民は逃げるしか手が無かった。

バレス襲撃の一報を受けてリュウは魔族をニューシティへ避難させる様にニューシティ市長のローマン公爵と自治区代表のロデムに繋いだ。手法など詳細については二人に任せている。


魔族の避難にあたってはバレスに残りたくて残っていた者以外にも武闘派の者が居たため受け入れには反対する意見も聞かれたが既にオーグやガズルが抜けた武闘派には何の力も残っておらず脅威とは成り難かった。その武闘派達もまさか自分達が攻撃の対象とされるとは思ってもおらずショックは隠せなかった。そんな状況なので今は避難出来る先があるだけで有難く大人しく指示に従っていた。


こうして世界中の状況を鑑みるとダークネスに近い南の大陸の方が被害が少なく、遠くにある北の大陸の各国の方が被害が甚大だった。

それはいつか来ると言われていたダークネスの侵攻に素直に向き合って対策をしてきたか否かの違いだった。


リュウのもとにはエレノアとカーラから状況が逐次入ってきていた。

今リュウは戦闘中にあるのだが状況報告は念話でのやりとりだったので戦闘中でも問題なかった。


そのリュウの目の前には超巨大化したガズルとその大きさに対抗すべく自身で生成したロボットに搭乗したクラリスが向き合っている。


リュウは神楽元と向き合い戦闘が開始されようとしており、鈴鳴はダークネス百万の侵攻を防ぐべく聖結界の壁でダークネスを防いでいる。


そしてそれぞれの戦いの火蓋が切られた。


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