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武龍伝  作者: とみぃG
152/222

151 各地の状況

リュウ達がローグ門前で100万の軍勢と戦っていた時、世界各地でも同様にダークネスとの戦いが繰り広げられていた。


<リュウの家族>

クリスは敵の襲撃の一報を受けジルバートを連れて家臣と共に王宮の地下シェルターへ避難した。

王宮のシェルターとは王宮の地下200メートルの位置にある結界シェルターでこのシェルターは特殊な魔方陣が組み込まれており、通常時にはシェルターとして作用しているがシェルターが破壊される様な強い力が働いた場合にシェルターごと空間転移して避難する様に施されている。有事の際に国の要人はこのシェルターに避難させて国の中枢は維持出来る様に考えられている。


ちなみにリュウがダークネスの地震攻撃からローグを街ごと浮かせて振動を遮断した時、このシェルターがあるためリュウはローグの中心部を500メートルの深さまで掘り下げて浮かせていた。

シェルターのことを忘れて街を浮かせていたらひょっとするとシェルターが破壊されていたかも知れない。


クリス達の避難には自宅から王宮までの地下ライナーを使用した。これは緊急時のみに使用する移動装置でリニア鉄道と同じ仕組みとなっており自宅から王宮までの移動時間が2分とかなり短かった。王宮の地下シェルターには既に王と王妃が既に避難を終えていた。


『おお、クリス。無事だったか。ジルバートも一緒だな。それで婿殿は?』


『はい、お父様。あの人は今門の外で敵と交戦中です。今回の敵は100万の軍勢で襲ってきたと聞いております』


『100万だと!?』


国王はその数が想像を遥かに超えていたので腰を抜かしそうになった。何しろ以前の魔族侵攻の5万でさえ目の前が敵で埋め尽くされていたのだ。その二十倍など想像がつくはずもない。


『それでこちらが迎撃に向かったのは誰だ?』


『主人と鈴鳴さん、それとクラリスの三名です』


『たった三人!?大丈夫なのか!?』


『恐らく非常に厳しい戦いだと思います。ですが三人という人数はあの人から希望したものでした。味方がこの大軍の中に混戦で混じることは悪手だと言っておりましたので』


『なるほど、殲滅させる大きな火力に味方を巻き込みたくないという訳か』


国王はクリスから理由を聞いて納得はしたのだが、実際に三人で百万の軍勢に応戦する状況など想像もつかない。偉大な力をもつリュウの実力は理解していたが万一を考えると不安は拭えなかった。


国王とクリスの会話を聞いていて王妃も非常に心配な顔をしていた。いつも笑顔を絶やさないのだが余程リュウの事が心配だったのだろう。


『クリス、リュウさんは本当に大丈夫なのですよね?』


『お母様・・・今はあの人を信じるしかありません。無事を祈りましょう』


『ええ、そうね。でもいつも私達はあなたの旦那に助けられてばかりでしたね。それに甘えてばかりいました。百万の軍勢をたった三人で立ち向かうなんて私には想像がつきません。今ではクリスの旦那というだけでなく本当の自分の息子の様に思っています。なので絶対無事に戻ってきて欲しいのです・・・』


『そのお話、あの人が聞いたらきっと喜ぶと思いすよ。あの人は物心つく前に両親と死に別れて家族と言うものを知らずに育っています。なので今の家族のある状況がすごく幸せだと言っていました。だから絶対に守ってみせるとも』


クリスの言葉を聞いてケイトは涙を流した。こんなことならもっと話をしておくのだったと後悔もしている。


『ケイト、婿殿は大丈夫だ。今回も敵を殲滅して戻ってくれるさ。我々はそれを信じて待っておこう』


『あなた・・・』


国王は妻がこれ程までにリュウの事を心配しているのが意外だった。普段妻がリュウとあまり会話をしているのを見たことがないからで、ひょっとしたら合わないのかと心配した事もあったくらいだからだ。

だがその心配は杞憂に終わったようだ。


『そうだな、この戦いが終わったら婿殿の公爵への昇爵を盛大に行おうではないか。国中あげて祝って凱旋パレードを行うといい』


『あの人、昇爵はあまり望んでいませんでしたね。側室はもうこれ以上要らないって。私たちを大切に思ってくれているのがうれしかったです』


『男なら女は囲えるだけ囲えばいいものを。色とりどりで毎日が楽しかろうに』


『そうでしょうけど、あなたは控えて下さいね!』


『・・・・・』


ケイトからピシャリと釘を刺された父だった。国王も形無しだ。ひょっとしたら最近二人の間でなにか揉め事があったのかも知れない。

だが、国王は母が気落ちしているのを紛らわそうとしてわざとこの様な話を振ったのかも知れない。クリスは父の優しさを見た様に感じた。


このシェルターはいくつもの部屋に区切られており王家の者の部屋は二十畳ほどのリビングと十畳ほどの個室が十部屋程備わっている。リビングにはモニターがあり門外の戦闘状況が映像として映し出されている。その他、各国の状況も逐次入って来ており、固定カメラでの映像がモニターでマルチ映像として映し出されている。


国王達が会話している間もこのモニターの向こうでは戦闘が繰り広げられており緊迫した状況が続いているのは変わりかなった。


クリスは保育カプセルに入って寝ている我が子ジルバートの顔を見ながらリュウの無事を祈った。


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