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武龍伝  作者: とみぃG
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146 神楽の罠

リュウによって発令された神楽元の掃討作戦は彼の拠点潰しと神楽自身の捕縛或いは抹殺としてマキワの特殊部隊を中心に各国協力の下遂行された。


リュウはこの時まだ知らなかったのだが、既にオーグの復活装置は完成の領域にあり、復活のための負の因子は規定量を上回る量を確保していたのでいつ復活してもいい状況にあったのだ。だが完璧主義の神楽元は失敗を恐れるため確実に復活出来る目処を立てないと実行できないため最終調整に時間を費やしていた。


神楽の拠点潰し作戦は順調に進んだ。ローグの5拠点を皮切りにガゼフ帝国、ランドワープ王国、イスタスと3つの国にはそれぞれ3~4拠点を構えていたのだが元盗賊というだけで大した戦闘力は持ち合わせていなかった為、討伐部隊の脅威とはならず全員が捕縛された。


リュウのもとに寄せられた情報では南の大陸ではまだ拠点が作られていない様だったので北の大陸の拠点を全て潰したため制圧完了と判断した。


だが、リュウは肝心の神楽元が見つかっておらず焦りは隠せなかった。

これこそが神楽元の仕組んだ罠だったのだ。部下の盗賊達に拠点を増やす様に命じた後は一切拠点には顔を出していない。急激に拠点を増やすということは目立つ動きをさせるためで討伐部隊の動きも予想しての事だった。こうして討伐部隊の目を拠点に向かせ自分はオーグのもとで装置の最終調整を行う時間を稼いでいたのだ。

所詮神楽元にとって盗賊達は捨て駒に過ぎなかった。表向きは従っているがいつ裏切るか判らない盗賊達よりも自身の作った魔鬼の方が余程使い勝手がいいしいくらでも数が増やせるのだ。



そして一ヶ月の時間が過ぎて神楽元の思惑通りオーグ復活のための装置が作動した。


それと同時にダークネスの全世界同時攻撃が仕掛けられた。



ローグの自宅にある研究工房でリュウが新たな武器を開発している時だった。突然目の前にクラリスが現れた。


『マスター!大変です!黒い魔物が多数襲ってきます!』


『なに?!それはどこだ?』


『このローグと北の国他3カ国、南の大陸5つの拠点全てです』


『すべての拠点に総攻撃だと?一体どうやって現れたんだ!?』


『方法については不明です。ですが移動した痕跡はありませんでした。突然沸いたかの様に現れました』


『わかった。奴らが現れた手段については後回しだ。至急全世界にこの事を発信して伝えてくれ。それと軍の緊急招集を頼む』


『承知いたしました。それらはクラリス2号機と3号機に任せます。クラリス初号機はマスターの護衛として常にお傍に居ます』


『そうだな。クラリスを通じていろいろと指示を出さないといけないからな』


『はい、お役に立てて光栄です』


クラリスは満面の笑顔でリュウにしがみついていた。なんだか日増しに甘えたがりになっている。だが、今はそれを気にしている時ではなかった。


『各拠点のおおまかな敵勢力は判るか?』


『はい。このローグに敵勢力総数約100万。各拠点には約10万ずつの勢力が配置されています。全体総数は200万と思われます』


『何?200万だと!?・・・今回は前回以上に数を増やしてと思っていたがこれ程までとは・・・』


200万という軍勢の数は流石にリュウの想定数を超えていた。だが有り得ない話として油断をしていた訳ではない。兵を工場で量産する事は情報として知っていたのである程度の数で押し寄せてくることは考えていた。


『マスター如何致しましょう?』


『こちらも今まで何もせず過ごして居た訳ではない。各拠点の防衛体制を起動してくれ』


『はい、マスター。各拠点の無人防衛システム作動させます』


無人防衛システムとは、かつてリュウが開発した太陽光レーザービーム砲を夜間でも発射可能にした24時間迎撃可能なシステムだ。更にビームは同時に20箇所までの照射が可能なマルチ迎撃砲で有効射程距離は2000メートルと人間の目視出来ない敵でも確実に察知して仕留める事ができる。

更にレーザーが対象に照射して当たった際に爆発を起こすことも出来る。これはその対象に出力を加速的に圧縮して送り小規模爆発を起こす技術でリュウが考案したものだ。これによりレーザーの欠点である直線攻撃をある程度範囲攻撃にすることが可能となった。


各拠点にはこの無人迎撃システムが10機ずつ配備されている。圧縮魔力をエネルギー源としており、連続作動時間は3時間程度だ。この間に敵を殲滅できれば良いが数が多い場合は味方の体制構築のための時間稼ぎとして機能する。

今は正に味方への緊急配置を指示しており、その間の敵の攻撃阻止のためにこの防衛システムが作動している状態だ。


『問題はローグの100万の軍勢の対処だな。俺がここに居てよかったな』


リュウはどこに居ても瞬間移動出来るので変わりはないのだが、初動が遅れる事になってしまう。


『マスター、ローグの迎撃はマスターが行いますか?』


『そうだな。敵の攻撃数を見てもローグを攻撃の中心としているのは間違いない。恐らく指揮官もここに来ているだろう。俺が迎え撃とう』


『了解しました。私もお伴致します』


リュウとクラリスは敵を迎え撃つべくローグの門へ向かった。


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